柔と耕作(松田)の新婚日記 23日目 (午前編第3部

            文書量(文字数)が膨大な為、一日を分割で表記しています。





タクシーで暫く走った後、遊園地の入り口に近付いてきたので、そこでタクシーを停めて降りた。

柔「あ~、何だかドキドキしてきた~。」

耕作「俺もそうかも、久しぶりだからな~、ここに来るのも。」

柔「余り人居なさそうね。」

耕作「時間が早いからかな?」

柔「10時過ぎてるよ?」

耕作「まあ、人が多かろうが少なかろうが俺達には殆ど関係無いけどね。」

柔「確かにね~、あたしはあなたさえ居れば良いも~ん。」

耕作「俺もそうさ、君が一緒なら他に何もいらないよ。」

柔「あたしが居るだけで楽しめるの~?」

耕作「うん、君を眺めてるだけで楽しめるよ?」

柔「前からそう言ってたね~。」

柔「でも、今日は一緒に何かして楽しもう?」

耕作「そうだね、その為にここに来てる訳だし。」

柔「じゃあ、さっさと中に入ろう?」

耕作「そうするか。」

2人は入場券を買って中に入った。

耕作「これからどこに行こうか?」

柔「取り敢えず、園内をブラブラしようか?」

耕作「もしかしなくても、こうするんだよね?」

耕作が柔の腰に手を回すと柔も耕作の腰に手を回した。

柔「うふふ、勿論だよ~。」

2人がその格好のまま歩いていると、擦れ違う人達から声を掛けられ、その度に2人は会釈で応じた。

柔「やっぱり、声を掛けられるね。」

耕作「君は殆どの人に顔も名前も知られてるからね、仕方ないよ。」

柔「でも、握手を求めてくる人が居ないのは救いかな?」

耕作「さすがに、こんな格好してたら握手を求めるなんて出来ないと思うよ。」

柔「まさか、この格好が接触防止になるとは思わなかったね。」

耕作「そうだよな~、寄ってき難いとは思ってたけど、そんな効果まで有ったとはね。」

柔「ね~、あなた?あのベンチ、覚えてる?」

耕作「あ~、最初に来た時に俺が横になってたベンチだね。」

柔「うふ、良く覚えてたね~。」

耕作「自分が絶叫系が弱いって分かった時だからな~。」

柔「そうなんだ、って事は、あの時よりも前に乗った事が無かったの?」

耕作「それ以前に、あの時が遊園地に来たのも初めてだったよ。」

柔「え?あたしと来た時が初めてだったって事なの?」

耕作「そうだよ、君と一緒に来たのが初めてだったんだ。」

耕作「立ち話もなんだから、あそこに一寸座ろうか。」

柔「そうしましょう。」

2人は腰に手を回した格好のままベンチに座った。

柔「そうだったのね~。」

柔「あの時があたしとあなたにとっての初めてだったんだ~。」

耕作「これこれ、その言い方は誤解を招くから余り大きな声で言わないでよ?」

柔「何で誤解を招くの?」

耕作「えっとね、その言い方だと君が俺に操を捧げたって言う意味に取られかねないんだ。」

柔「ね~、操を捧げるってどういう事なの?」

耕作「それ、本気で聞いてるんじゃないよね?」

柔「そもそも操って何?」

耕作「や・わ・ら・さ・ん?」

柔「な~に~?こ・う・さ・く・さ・ん?」

耕作「真似しな~い。」

柔「うふふ、どうかしたの?」

耕作「君が言った言葉だと思ったんだけど、操って。」

柔「あは、良く覚えてたね~。」

耕作「初めての夜の前に君が言った言葉だったよ?」

柔「そうだったね。」

柔「つまり、その事を指して言う事になるんだね?初めてって言う言葉を使うと。」

耕作「初めてだけじゃそうは思われないけど、その前に俺達のって付けるとそう受け取られるかも。」

柔「なるほど、今後は気を付けるよ。」

柔「さっきの言い方だと遊園地に一緒に来た事が有るのって、あたしとだけなの?」

耕作「勿論さ、君以外にここに誰かと一緒に来た事なんて無いから。」

柔「うふふ、嬉しいな~、あたしとだけか~。」

耕作「君は誰かと来た事が有るのかな?」

柔「来た事は有るよ。」

耕作「え?それって誰なの?」

柔「今、横に居るけどね、その人って。」

耕作「それって、俺とだけって事になるのかな?」

柔「当たり前じゃな~い、あなたとしか来た事無いも~ん。」

耕作「ふふ、良かったよ、俺と一緒にってだけで。」

柔「嬉しい?」

耕作「君が嬉しい様に俺もそうさ。」

柔「一緒だね~。」

耕作「そうだね、同じ気持ちだよ。」

柔「そう言えば、あたしが男の人達に絡まれそうになった時に助けてくれたね。」

耕作「あ~、あれは君がその人達を投げ飛ばしたらいけないと思ったからなんだ。」

柔「あたしってそんな事をしそうだった?」

耕作「その前に俺が投げられてたからね。」

柔「そうだった、何度も謝ってるけど、あの時はごめんね~。」

耕作「あの後も結構投げられたけど、全然気にして無いから、謝らなくても良いよ。」

柔「若気の至りだったのよ~。」

耕作「確かにね~、社会人になるまではそんな感じだったかな。」

柔「そうだったっけ?」

耕作「短大時代まで投げられてた気がするよ。」

柔「・・・、そうでした、ごめんね~。」

耕作「ほら、また謝ってる、さっきも言ったじゃない?」

柔「ついね~、謝らないとって思っちゃうのよ~。」

耕作「このまま話だけしてると君に謝らせてばかりになりそうだから、何か乗りたい物ってある?」

柔「う~ん、今は絶叫系に乗っちゃいけないからね~。」

柔「あなたは何か無いの?乗りたい物って。」

耕作「君も知ってる様に俺は絶叫系は駄目だから。」

柔「だよね~、どうしようか~。」

柔「・・・、そうだ、高い所が苦手とかは無いよね?」

耕作「それは大丈夫だよ。」

柔「じゃあ、観覧車に乗ろうか?」

耕作「良いね、それにしよう。」

柔「観覧車は・・、あそこか~。」

耕作「行こう?」

柔「そうだね。」

2人は立ち上がると観覧車が有る場所へ向かった。



柔「これ、結構高い所まで上がるのね。」

耕作「良いんじゃない?2人っきりになれそうだし。」

柔「何?何かするつもり?」

耕作「まさか、こんな場所で何をするって言うんだい?」

柔「うふ、一寸ね~。」

耕作「一寸も何も出来る訳無いじゃないか。」

柔「な~んだ~、何もしないのか~。」

耕作「ほんとに、君って子は~。」

柔「取り敢えず、乗りましょう?」

耕作「まあ、良いか、乗ろう。」

係員「お二人様ですか?」

柔「はい、そうです。」

係員「もしかして、柔さんですか?」

柔「そうですよ。」

係員「やっぱり、そうでしたか、当園をご利用頂いて、ありがとうございます。」

柔「いえいえ、ご丁寧にどうも。」

係員「ご主人ですか?」

柔「はい、あたしの旦那様です。」

係員「そうでしたか、旦那様がご一緒ですか。」

係員「それはそれは、どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。」

2人は係員に促されてゴンドラに乗り込むと並んで座った。

柔「声を掛けられちゃったね。」

耕作「まあ、当然そうなると思ってたよ。」

柔「でも、挨拶程度で済んで良かったね~。」

耕作「確かに、根掘り葉掘り聞かれずに済んで良かったよ。」

柔「あの方の言ったお楽しみ下さいってどういう意味で言ったのかな?」

耕作「普通に景色を見て楽しんで下さいって言う意味じゃないの?」

柔「そうなのかな~?」

耕作「君は言葉に敏感だけど、この場合は額面通りで良いと思うよ。」

耕作「その証拠に、ほら、外を見てごらん?」

柔「あ~、ほんとだ~、景色がきれいね~、これなら楽しめるね~。」

柔「今、初めて気が付いたけど、ここって結構広かったのね。」

耕作「こんな風にして、じっくりここを眺めた事って無かったからな~。」

柔「そうかもね~。」

柔「あたしがあなたと一緒にここに来た時って、あたしに何かしら有った時だもんね。」

耕作「そうだったね、最初の時は君の気を紛らわそうとして来たんだったかな。」

柔「うん、そのお陰で気持ちが結構落ち着いた気がするよ。」

耕作「じゃあ、来て正解だったんだね。」

柔「2度目の時は・・。」

耕作「それはもう言わない方が良いと思うよ。」

柔「うふ、そうだね、その時の事を吹っ切る為に今日は来たんだもんね。」

耕作「そうだよ、今日は楽しむ事が第一なんだから。」

柔「ね~、あなた?」

耕作「何だい?」

柔「写真撮って無いね?」

耕作「しまった、忘れてた。」

耕作「って言うか、カメラ持って来るの忘れた。」

柔「うふふ、そんな事になるだろうと思って先にこのバッグに入れてたんだな~。」

耕作「さすが、俺の奥さんだ、俺の性格を良く把握してるね。」

柔「あなたって良く物忘れしてたからね。」

柔はバッグからカメラを出して耕作に渡した。

耕作「ありがとね、それでここで写真を撮るの?」

柔「撮って欲しいかな~。」

耕作「どんな風にして撮ろうか?」

柔「ここなら他の人に見られないよね?」

耕作「そうだね、それでどうしたいの?」

柔「キスして欲しいかな~って、それを撮るのは駄目?」

耕作「良いよ、そうしようか。」

耕作は向かいの席に柔の持っているバッグを置いてその上にカメラを置きファインダーを
覗いて位置決めをするとタイマーをセットして柔の隣に座った。

柔が耕作を見上げて目を瞑ると耕作は柔の頬に手を添えて優しく長めのキスをしている間に
シャッター音がした。

柔「はぁ~、何時も以上に素敵なキスだったね~、ありがとう~。」

耕作「君こそ、とても素敵なキスだったよ、ありがとね。」

柔「上手く撮れてると良いね。」

耕作「大丈夫だよ、ちゃんと位置を合わせたから。」

耕作「しかし、君ってほんとに大胆になったよな~。」

柔「あたしもそうだけど、あなたもだよ?」

柔「こんな場所でも平然とキスしてくれるようになったし。」

耕作「俺達は夫婦なんだから、これ位どうって事は無いさ。」

柔「そうね~、あたし達は夫婦なんだもんね~。」

柔「この後お昼にしようか?少し早いけど。」

耕作「良いんじゃない?少しお腹も空いてきたし。」

柔「こういう会話をすると、向こうに居た時を思い出しちゃった。」

耕作「この前もそう言ってたね、俺も思い出してたけど。」

柔「そう言えば、アメリカから帰ってきて、外でお弁当を食べるのって初めてだよね?」

耕作「それも有るけど、君の手作り弁当を食べるのも初めてじゃない?」

柔「言われてみれば、手作りの弁当自体が帰ってからは初めてね。」

耕作「確かに、そうだね、今日の弁当がどんな感じなのか楽しみだよ。」

柔「余り期待しちゃ駄目よ?ガッカリしても知らないよ?」

耕作「そんな事は無いさ、君が作ってくれただけで、俺にとっては十分なんだから。」

柔「そんな風に言われると作った甲斐が有ったかも~。」

柔「おかあさんに手伝って貰ったけど。」

耕作「それは気にしなくても良いよ、君が作った事には変わりないんだから。」

柔「そろそろ下に着きそうね。」

耕作「どこで食べようか?」

柔「それはもう決めてるよ。」

耕作「そうなんだ、大体どこかは想像付くけど。」

柔「多分、あなたの思ってる場所よ。」

下に着くと係員がドアを開けたので2人は降りた。

係員「お楽しみ頂けたでしょうか?」

柔「はい、楽しませて貰いました、ありがとう~。」

係員「この後も園内をお楽しみ下さい。」

耕作「そうさせて貰うよ、ありがとう。」

柔と耕作はその場を離れる為に暫く歩いた後お互いの腰に手を回すと何かに導かれる様に
或る場所を目指して寄り添って歩いて行った。

柔「うふふ、やっぱり、あなたもあそこに行こうとしてるのね。」

耕作「そうだよ、君も同じ事を考えてたみたいだね。」

柔「そうなの、お弁当を作ってる時にどこで食べるか考えてたんだけど。」

柔「あなたに不快な思いをさせたあの場所以外無いかな~って思い付いたの。」

耕作「いや、俺じゃなくて君こそ不快な思いになってたんじゃない?」

柔「あなたもそう思ってたのね。」

耕作「2人とも同じ考えなら、そこで食べるのが一番相応しいと思うよ。」

柔「そうね、アメリカでお昼を食べた時みたいに楽しい気持ちになりましょう。」

耕作「勿論だよ、2人で楽しまなくちゃ。」




柔「さあ、着いたよ~、あの時の場所に。」

耕作「うん、間違いなくこの場所だった。」

柔「あのベンチに座りましょうか。」

耕作「そうだね。」

2人は腰に手を回した格好のままベンチに腰掛けた。

柔「一寸待ってね、出さないといけないから手を離すね。」

耕作「確かに、このままだと出し難いか。」

2人は互いの腰に回していた手を解いた。
柔はバッグの中から弁当が入った包みを出して解くと蓋を開けた。

耕作「凄く美味しそうだ、これ全部作ったの?多くない?」

柔「多いかな?もし食べ切れなかったら残しても良いよ、持って帰れば良いんだし。」

耕作「食べ切れない事は無いと思うよ?」

柔「無理して食べちゃ駄目よ?」

耕作「無理何てしないよ、俺の食べっぷりは君も良く知ってるじゃないか。」

柔「それもそうね、最近は腹八分で納めてるけど。」

耕作「早速食べても良いかな?」

柔「うん、食べてね~、どれから食べる?」

柔が箸を持った。

耕作「あれ?俺の分の箸は?」

柔「やだな~、あたしが食べさせてあげるに決まってるでしょう?」

耕作「え?君が俺に?」

柔「楽しまないといけないからだよ~。」

耕作「なるほど、そういう事か。」

耕作「それじゃ、卵焼きを先に良いかい?」

柔「は~い、卵焼きね~、どうぞ~。」

柔は卵焼きを箸で摘まんで持ち上げると耕作の口に持って行った。
耕作はそれを一口で頬張って食べた。

耕作「やっぱり、何時食べても美味しいな~。」

柔「う~、一口で食べちゃうんだから~。」

耕作「あっ、もしかして半分ずつだった?」

柔「あたしにも食べさせてくれるかと思ってたのに~。」

耕作「ごめん、そんな風に食べるんだって思わなかったから。」

耕作「今度はちゃんと君にも食べて貰うから機嫌を直して?」

柔「うふ、機嫌悪くなんかなって無いよ。」

柔「あなたにあたしが最初にどう食べるかを言えば良かっただけなんだから。」

耕作「機嫌が悪くなって無くて良かったよ。」

耕作「それで具体的には如何すれば良いのかな?」

柔「あら?分かってるのかと思ってた。」

耕作「えっと、君から箸で食べさせて貰ったのを半分っこにするんだよね?」

柔「そうなんだけど~、あなたは半分だけ口に入れたら、そのままにしてくれてれば良いよ。」

耕作「口に半分だけ入れたままにするって事?」

柔「そうだよ。」

耕作「じゃあ、口から出てる部分はどうやって食べるつもりなの?」

柔「ここまで言っても分からないかな~?」

耕作「あっ、もしかして君が口を近づけてその半分を食べるって事で良いのかな?」

柔「そうで~す、大正解~。」

耕作「そんな食べ方して誰かに見られたら恥ずかしくない?」

柔「あら、だって、あたし達って夫婦じゃない?何で恥ずかしいって思うの?」

耕作「まあ、そうなんだけど、君が良いなら俺は構わないよ。」

柔「もしかして、あなたは恥ずかしいの?」

耕作「少しだけ恥ずかしい気もするかな?」

柔「じゃあ、止める?」

耕作「いやいや、君が折角考えてくれた食べ方なんだから、それで良いよ。」

耕作「それにここは周りに植え込みが多いから周囲から見られる事もないだろうし。」

柔「うふ、そうだよね、それも有ったからなの。」

耕作「ここがどんな場所かも覚えてたんだ。」

柔「それはあなたもでしょう?」

耕作「勿論さ、あの時も周囲からは誰にも見られて無かったのも覚えてる。」

柔「じゃあ、次は何を食べたい~?」

耕作「あ~、そういう事か~。」

耕作「今、気が付いた、何で全部長めに作って有るのかって事に。」

柔「ふふふ、さすがは耕作君だね、そこに気が付くとは。」

耕作「ふふふ、俺を見縊って貰っては困るな~、柔君?」

柔、耕作「あはは。」

柔「最初に気が付いて欲しかったな~。」

耕作「いや、やけに長めに作ってる卵焼きだな~とは思ったよ?」

柔「何で長く作ってるのかまでは分からなかったのね?」

耕作「そこまで考えが及ばなかったよ。」

柔「さて、仕切り直し~、何が食べたい~?」

耕作「シャウエッセン~。」

柔「おにぎりは良いの?」

耕作「それは次にして貰おうかな?」

柔「分かった~。」

柔はシャウエッセンを箸で摘まんで持ち上げて耕作の口に持って行くと耕作は半分だけ咥えて
そのままにすると柔が出ている部分を口で咥え取り2人は同時に食べ始めた。

柔「どう?ドキドキしない?」

耕作「凄くドキドキするよ。」

柔「でしょう?何だか楽しくなるよね~。」

耕作「そうだね、これを最後まで続けると思うと何だか楽しくなってきた。」

柔「じゃあ、次はおにぎりね~。」

耕作「しかし、このおにぎり、まるで海苔巻きみたいに長くしてるんだね。」

柔「だって、今の食べ方をする為にはこうしないと食べ難いでしょう?」

耕作「食べ難いというか殆どキスしてる状態じゃないと食べられないよね、普通のサイズだと。」

柔「あっ、しまった、その手が有ったか~、失敗したな~。」

耕作「いやいや、さすがに毎回キスしながら食べるのも変じゃない?」

柔「それもそうか、このままでも十分楽しめるから良っか。」

柔はおにぎりを箸で摘まみ上げて耕作の口に持って行き耕作はそれを半分口に入れた所で止めると
柔は出ている半分を口で咥え取って2人で一緒に食べた。

柔「あはは、あなた?あたしが食べる時に見詰めないでよ~。」

耕作「あっ、見詰めたら駄目だった?」

柔「駄目って事は無いけど、あたしを見詰めてるあなたの目が真ん中に寄って行くもんだから
  可笑しくなって吹き出しそうになったよ~。」

耕作「あ~、君が食べようとする所を見てるからそうなったんだ。」

耕作「じゃあ、目は瞑る様にするよ。」

柔「そうして貰うと助かるな~。」

2人は同じ様にして弁当の中身を食べていき途中途中でお茶を飲み乍ら時間を掛けて完食した。

柔「どうだった?」

耕作「弁当の中身も美味しかったけど、食べ方も楽しく食べられたから凄く良かった。」

耕作「前も言ったけど、君は俺の想像を上回る様な事を良く考え付くね~。」

耕作「何か考えてるだろうなとは思ったけど、これは予想外だった。」

柔「でも、食べてるだけなのに凄く楽しめたでしょう?」

耕作「勿論だよ、それに君と一緒に食べてたから良かったと思うよ。」

耕作「別々に食べるんじゃない所がね。」

柔「でしょう?どうしたら一緒に食べる事が出来るか考えた結果こうなった気がする。」

耕作「なるほど、ただ、これって夫婦だから出来る事だよね?」

柔「そうだね~、2人が既に夫婦になってるから考え付いたのかも。」

耕作「そう言う事か~。」

耕作「この場所が以前は俺達が一時的にしろ離れる切っ掛けの場所だったから、夫婦になった今は
    より親密になる様な演出を狙ったんだね。」

柔「あは、そこまでは考えて無かったよ?」

柔「ただ、どうやったら一緒に楽しめるかって事は考えてた。」

耕作「そうなんだね。」

耕作「まあ、ドキドキし乍らだけど十分に楽しめたから良い考えだったと思うよ。」

柔「良かった~、あなたにそう言って貰えて。」

耕作「ただ、偶にほんとにキスするのはどうかと思ったけど。」

柔「え~、その位良いじゃな~い?」

柔「あたし達って夫婦なんだよ?毎回してた訳でもないんだし。」

耕作「分かった、君の言う通りだよ。」

耕作「それに以前、君のしたい様にして構わないって言ったしね。」

耕作「それで、この後はどうする?」

柔「どうしようか~。」

柔「お弁当を食べる時の事だけ考えてたから他の事までは考えて無いよ?」

耕作「そうなのか。」

耕作「どうするかな~、俺も君が考えると思ってたから何も考え無かった。」

柔「そうだったのね。」

柔「ね~、食べて直ぐ動くのって良くないから横になったら?」

耕作「え?ここで?」

柔「うん、ベンチに横になったら?あたしが膝枕するから。」

耕作「君はきつく無い?そんな事して。」

柔「大丈夫よ、ベンチに座ってるから楽だし。」

耕作「じゃあ、お言葉に甘えてそうするかな。」

柔が膝の上に載せていたバッグを横に置くと耕作は柔の膝の上に頭を載せてベンチに横になった。

柔「やだ~、もう~、ま~た、あたしの方を向いてるし~。」

柔「そんな寝方してたら転げ落ちるよ?」

耕作「大丈夫だよ、その時は君が支えてくれるって思ってるから。」

柔「うふ、良く分かってます事、そのつもりだから安心して良いよ。」

柔「ただ、こんな格好を他の人が見たら変に思いそうだね?」

耕作「思いたい人には思わせておけば良いさ、気にしなければ良いんだし。」

柔「それもそうね、あたしは全然気にしないよ。」

耕作「俺は君の方を見てるから見られてるのは分からないけどね。」

柔「あ~、狡いな~、あたしだけ他の人に見られるなんて。」

耕作「どうせ君も俺の方だけしか見て無いんだから気にならないでしょう?」

柔「まあ、そうなんだけどね。」

柔「思い返すと、あの時も・・。」

柔「今みたいにお互い素直に自分の気持ちを話す事が出来てたら・・。」

耕作「・・・、止めようか?今更、過去の事を考えても仕方ない事なんだし。」

柔「そうだね、あの時には戻れないんだもんね。」

耕作「そうそう、これからの事を考えるのが大事だよ。」

柔「うん、あたしもそう思うよ。」

耕作「差し当たって今日帰ってきて訪ねて来るであろう桜さんとどんな会話がなされるかかな?」

柔「まあ、あたしが聞きたい事は概ね決めてるから良いんだけどね。」

耕作「桜さんが何を話すか次第になる?」

柔「そうなのよね~、向こうで何か有ったのか、それとも何事も無かったのか。」

耕作「君のお節介がどういう結果を齎してるか気にはなるね。」

柔「それは、あたしも気になってる。」

柔「折角、あなたと2人っきりでここに来てるけど。」

柔「気になりだしたら早く戻りたいって思ってきた。」

耕作「君もなのか・・。」

柔「って事は、あなたもそう思ってるの?」

耕作「勿論さ、相手が俺の同級生だから尚更気になってる。」

柔「じゃあ、これで切り上げて家に戻る?」

耕作「君さえ良ければそうしたいかな?」

柔「あたしもそうしたいから切り上げて戻りましょう。」

耕作「ここでの目的は達成したから、それだけで十分だと思うよ。」

柔「だよね、ここでの辛い思い出を楽しい思い出に変えられたからね。」

耕作「それを残す為にもここでも写真を撮ろうか?」

柔「それ良いと思うよ、どんな感じで撮るの?」

耕作「さすがにここでキスは出来ないよな~。」

耕作「だから、お互いの腰に手を回して寄り添う感じで良いんじゃない?」

柔「うん、ここでの記念にするんだから、それが良いね。」

耕作「一寸待って、カメラをセットするから。」

耕作は起き上がって柔からバッグを受取ると向かい側のベンチの上に置いてカメラをその上に載せて

ファインダーを覗き乍ら位置を微調整した後にタイマーをセットして柔が座っている隣に座ると互いの

腰に手を回して柔が耕作の肩に頭を預けて2人でカメラの方を向いた瞬間にシャッター音がした。

柔「あは、危なかったね~、ギリギリだったよ。」

耕作「もう少し余裕が有ると思ってたけど、ほんとに危なかった。」

柔「でも、素の感じで写ってそうだね。」

耕作「うん、自然な感じで撮れてると思うよ。」

柔「結局、2枚しか撮らなかったけど良いのかな?」

耕作「仲の良さが分かる2枚だから十分じゃないかな?」

柔「そうね、でも、キスしてるのは子供達以外には見せたくないかな~。」

耕作「俺もそう思うよ、あれは他の人には見せない様にしないとね。」

柔「それじゃ、戻りましょうか。」

耕作「分かった、先に戻って桜さんを迎える様にした方が良いと思うし。」

2人は立ち上がり耕作が向かいのベンチに行きバッグとカメラを持って柔の所へ戻り
バッグを柔に渡しカメラは自分の肩に掛けた。
柔がバッグを受取ると2人は互いの腰に手を回した。

柔「次に来る時は子供と一緒かな~。」

耕作「早くそうなると良いね。」

柔「うん、そうなる日が来るのが待ち遠しいよ。」

耕作「それは俺も同じだよ。」

柔「うふふ、次に来る時の楽しみが出来たね。」

耕作「そうだな~、じゃあ、戻ろうか。」

柔「は~い。」

2人は互いの腰に手を回したまま遊園地の出入り口に向かい外に出てタクシーを拾うと
実家に戻って行った。