柔と耕作(松田)の新婚日記 18日目 (午後編第3部)

            文書量(文字数)が膨大な為、一日を分割で表記しています





      柔は浮かない表情で吐露した。

      柔「うへ~、どうするかな~。」

      舞「柔さん、凄いじゃないですか~。」

      美咲「本当ですよね、連盟からの依頼って。」

      キョンキョン「それなのに、どうして浮かない顔をしてるんですか?」

      柔「それはね~、あたし、お相手出来ないのよね、それをどうするかなの。」

      キョンキョン「どうして相手が出来ないんですか?」

      柔「それは・・、あなた?どうする?」

      耕作「そうだな、キョンキョン達なら話しても大丈夫じゃないかな。」

      柔「うん、分かった。そうするね。」

      キョンキョン「何か事情が御有りの様ですね。」

      柔「今から言う事に驚かないでね?それと口外しない様にして欲しいの。」

      舞「何か深刻そうですね、分かりました。」

      美咲「柔さんがそう仰るなら口外はしませんから。」

      キョンキョン「分かりました、どうぞ聞かせて下さい。」

      柔は小声で皆に話し始めた。

      柔「実はね、あたし、妊娠してるかもしれないの。」

      舞「え?本当なんですか?おめでたい事じゃないですか~。」

      美咲「そうですよ、柔さん、舞の言う通りだと思いますよ。」

      キョンキョン「それが本当なら舞と美咲が言う様におめでたいですね。」

      柔「皆、ありがとう~。」

      柔「確かに、皆が言う様におめでたい事なんだけどね。」

      柔「ただ4週間以降じゃないと検査出来なくて、それで漸く確定診断が出るの。」

      柔「それまでは分からないから公には出来ないのよね。」

      キョンキョン「あ、そうなんですね。」

      美咲「確定して無い段階でも用心しないといけないんですね。」

      舞「なるほど、かもしれない状態でも万一の為に激しい動きは駄目なんだ。」

      柔「そう言う事なの、相手が出来ない以上迷惑を掛けるかな~って。」

      富士子「柔さん、そこは私が代わりを務めますから。」

      柔「でも、そこまで迷惑は掛けられないよ?」

      富士子「強化メンバーはこの大学に練習に来るんですから、私が柔さんの代わりを
           務めても可笑しくないと思います。」

      富士子「第一、私は迷惑とは少しも思って無いですよ。」

      富士子「それに私も教える勉強になりますからね。」

      柔「分かったわ、富士子さん、お願いするね。」

      富士子「大船に乗ったって言う事は出来ませんけど、任せて下さいね。」

      柔「やっぱり、富士子さんは頼りになるな~。」

      富士子「その為にも今日やる寝技の練習は頑張りますよ。」

      柔「そうだね、頑張ってね、富士子さん。」

      祐天寺が監督室から出て来て柔達の元に戻ってきた。

      柔「如何でしたか?」

      祐天寺「はい、連盟の方も喜んでいました。」

      祐天寺「早速、週明けの初日から2名程こちらに来る手筈を整えるそうです。」

      柔「そうですか、2名なら何とかなりそうです。」

      祐天寺「それなら良かった、私も余り大人数は困るとは言っておいたので。」

      祐天寺「その点も考慮してくれたみたいです。」

      柔「そうでしたか、助かりました。」

      祐天寺「来週から、よろしくお願いします。」

      柔「はい、私が直接指導出来ない分は富士子さんに任せようと思っていますけど。」

      柔「それで構わないでしょうか?」

      祐天寺「はい、富士子君の勉強にもなりますから、是非それでお願いします。」

      柔「分かりました。」

      祐天寺「それで今日の練習なんですが、富士子君から聞いた話だと寝技をするとか。」

      柔「そうですね、寝技も得意になっていれば立ち技が有効に使える様になりますから。」

      祐天寺「確かに、柔さんは寝技も得意でしたね。」

      祐天寺「分かりました、じゃあ、富士子君よろしくお願いするよ。」

      富士子「はい、監督のご期待に添える様に頑張ります。」

      柔「それでは早速始めましょうか。」

      柔「富士子さん?具体的にはどうするの?」

      富士子「まず、私ともう一人でどう言う練習なのかを実践して、後で皆にペアになって貰い
           全員でそれをやって貰うって言うやり方です。」

      柔「あれ?じゃあ、指摘していくのは誰になるの?」

      富士子「勿論、柔さんですけど、不味いかな?」

      柔「う~ん、それじゃあ、富士子さんが指導してる事にはならないよね?」

      富士子「そうなんですけど、私には指導出来るだけの知識が無いですから。」

      柔「そうか~、だよね、じゃあ、暫く自分達が知っている寝技で連続してやってみて。」

      柔「ちなみに試合形式で寝技だけで闘う感じでやる様にしてね。」

      富士子「試合形式って言うと抑え込んで30秒そのままの姿勢って事ですよね?」

      柔「うん、そうしないと練習にならないじゃない?」

      富士子「なるほど、真剣にやりなさいって事なんだ。」

      柔「そう言う事なの。」

      耕作「柔?」

      柔「な~に~?あなた。」

      耕作「口出しするつもりは無かったけど、それだと皆似た様な寝技を使ったりしない?」

      柔「あ、そっか、皆がどれだけの寝技を知ってるかを把握するのが先って事ね?」

      耕作「うん、その方が良いと思うよ。」

      柔「って事は以前高校でやったみたいにして寝技講習をするって事だよね?」

      耕作「その方が良いと思うよ、苦手を無くすのはその後でも良いんじゃない。」

      柔「さすが、あなた、良く分かってるね。」

      柔「富士子さん、今の主人のお話は分かった?」

      富士子「つまり、最初は寝技講習をするって事ですね。」

      柔「そうね、この場合はあたしが講師になるから富士子さんは誰かと組んで
        講習の対象者になってくれないかな?」

      富士子「分かりました、じゃあ、それで皆に話します。」

      柔「皆が納得した時点で富士子さんのやり方でやろうか。」

      富士子「分かりました。」

      柔「その時は富士子さんも講習を受けてる訳だから指摘役は引き受けてね。」

      富士子「分からない時は柔さんに聞いても良いんですよね?」

      柔「そうね、どうしても分からない時はね?」

      富士子「はい、それで構いません。」

      柔「じゃあ、皆、そう言う事で行ってきます。」

      富士子「行ってきます。」

      祐天寺「柔さん、よろしくお願いします。」

      祐天寺「富士子君も頑張って。」

      柔「分かりました。」

      富士子「はい、監督、頑張ります。」

      キョンキョン、舞、美咲「行ってらっしゃ~い。」

      耕作「2人とも頑張れよ。」

      柔「は~い。」

      富士子「はい!」

      鴨田は撮影ポジションを取ると撮り逃しが無い様にカメラを構えた。

      柔と富士子と祐天寺は他の部員達が集まっている場所へ行くと練習の概要を富士子が説明した。
      その後富士子ともう一人の部員で寝技講習が始まった。

      キョンキョン「松田さん、凄いです、さっきのアドバイス的確でしたね。」

      耕作「柔はね、まずは寝技を皆にさせるって事に視点が固まってたから。」

      舞「なるほど、だから旦那様が助言って言う形で話されたんですね。」

      美咲「後、柔さんもその助言を素直に受け入れてたのも凄いと思います。」

      耕作「柔は柔軟性が有るからね、言われた意見が間違ってない限り素直に聞くよ。」

      キョンキョン「柔軟性と素直さ、とても大事な事の様な気がします。」

      耕作「それって恋愛に関してもそうだと思うよ。」

      舞「確かに、そうですよね、押してばかりじゃ駄目、時には引く事も大事なんですね。」

      耕作「そう言う事だね、押し合いばかりだと下手したら喧嘩になってしまうからね。」

      美咲「それ、良く分かります、私も今後は注意しないといけないですね。」

      舞「旦那様?今柔さん達は何をしてるんですか?」

      耕作「え~っと、今は寝技を教えてるんだけど、連続して使える技を教えてるみたい。」

      美咲「寝技で連続して出来ないと、どうなるんですか?」

      耕作「連続で寝技を掛ける事が出来ないと最終的には抑え込めないんだよ。」

      舞「どうしてそうなるんですか?」

      耕作「う~ん、どう例えたら分かり易いかな?」

      耕作「そうだ、君達は料理をしたでしょう?」

      キョンキョン「そうですね、先程やりました。」

      耕作「料理でも流れって有るじゃない?」

      舞「はい、その料理に合った材料とか調味料を使って手順に従って完成させますね。」

      耕作「そうだよね、その手順って言うのが技を連続させるって言う事なんだ。」

      耕作「逆に連続して出来ないって言うのは今作ってる料理に別な手順を
          しようとする事になるかな?」

      美咲「それだと最初のお料理が出来上がらなくて違うお料理になる可能性が有りますよ?」

      耕作「まさに、それだよ。」

      耕作「違う料理になった時点で柔道では抑え込む事が出来ないって事になるんだ。」

      耕作「つまり、料理で別な手順をするって言うのが連続して出来ない技をやろうとする事なんだ。」

      美咲「なるほど、そう言う事なんですね。」

      耕作「後、技を連続させられるかどうかって言うのは料理で言うとキャベツの千切りって
          切る向きが有るじゃない?」

      舞「そうですね、違う向きで切るとキャベツがバラバラになって切り難いです。」

      耕作「そうだね、技にも向きと言うか動きが有るんだよね、それぞれ連続させ易い動きと
          させ難い動きが有るんだ、そう思って貰うと分かり易いかもね。」

      舞「旦那様、比喩の説明がお上手なんですね~。」

      キョンキョン「柔さんに色々ご説明してるうちにそうなったって仰ってましたね。」

      耕作「キョンキョンの言う通りだよ。」

      耕作「柔に説明する時は難しい説明をすると、更にその説明をしないといけなくなるから
          自然と分かり易い例えで説明する様になったんだ。」

      美咲「そうなんですね。」

      美咲「確かに、柔さん、ご自分が納得しないと何回も尋ねてましたもんね。」

      耕作「佐藤にそれやってたね、柔を納得させないといけないからね。」

      舞「あ~、あの時、佐藤さん困惑してました。」

      耕作「だから、簡単に分かり易く例えで説明してるんだよ。」

      舞「あれ?さっきと違う事をしてますよ。」

      耕作「あ~、あれは寝技を解く方法を教えてるんだね。」

      美咲「寝技って解けるもんなんですか?」

      耕作「容易に解ける技と解くのに自分の体に相当な負担が掛かる技と有るね。」

      耕作「後、絶対に解く事が出来ない技も有るから、そうならない様にはどうするかも
          この後に教えるんじゃないかな?」

      キョンキョン「私も柔さんにあんな風に教えて貰ってたら、もう少し勝てた気がするな~。」

      耕作「以前も言ったけど、君達の場合は投げ技を絞り込んで教えるのがやっとだったと
          思うよ、試合までの時間が無さ過ぎたからね。」

      キョンキョン「そうなんですよね、もう少し時間が有れば色々と教えて貰えたのにな~。」

      耕作「そうなんだけど。」

      耕作「でも、あの状況で有効なり技有りなりを取れただけでも凄い事だと俺は思うけどね。」

      耕作「だって君達って柔道を初めてやった訳でしょう?」

      キョンキョン「そうでしたね、全員が初めてでした。」

      耕作「そんな状態であそこまで進歩した事自体が凄い事だと思うよ。」

      キョンキョン「そう言って頂けると何だか嬉しくなります。」

      舞「今日子先輩も頑張ってたんですね~。」

      美咲「初めてで有効を取るまでになるって凄い事だと思います。」

      耕作「そう言う事だよ、誇らしく思っても罰は当たらないと思うよ。」

      富士子が皆に話し掛けていた。
      今度は別な2人が講習対象者になって似た様な事を始めた。

      舞「何故、同じ様な事をやってるんだろう?」

      耕作「多分、さっきの講習を余り良く理解出来なかった2人に同じ事をさせてるんだと思うよ。」

      美咲「そうなんですね、全員が同じ様に理解させる為なんですか?」

      耕作「そうだと思う、この後全員で寝技をさせるって言ってたから。」

      舞「その為に全員が理解していないといけないって事なんですか?」

      耕作「そうだね。」

      耕作「少しでも理解していない人が居ると、そこに手を取られて全員を指導出来無いからね。」

      美咲「なるほど、そうならない様に今理解して貰う事に努めてるんですね。」

      耕作「そう言う事になるね。」

      舞「富士子さんが柔さんに何か聞きながらさっきの2人に何か話してますね。」

      美咲「どう言う事なんでしょう?」

      キョンキョン「この後、寝技の全体練習をする時に富士子さんに指導させるって
              さっき、柔さんが言ってたでしょう?」

      舞「はい、そう仰ってましたね。」

      キョンキョン「その為に今富士子さんに柔さんがさせてるんだと思うよ。」

      耕作「キョンキョンの言う通りだよ。」

      美咲「そうだったんですね。」

      富士子が実技をしている2人に話し掛けると2人は頷きながら部員達の中に戻った。
      更に富士子が話し始めると部員達全員が二人一組になって寝技を始めた。

      富士子は柔に時々話し掛けながら寝技をやっている部員達に指摘を始めた。

      舞「富士子さん、頻繁には柔さんには話し掛けないんですね。」

      耕作「そうだね、富士子さんがさっきの講習で理解してた事になるね。」

      美咲「寝技の講習でですよね。」

      耕作「うん、そうだよ。」

      キョンキョン「富士子さん、結構、柔道センスが良かったですしね。」

      耕作「そうだったね、理解力は有る方だと思うよ。」

      舞「そうですよね、そうじゃないと代表とかに選抜される訳無いですから。」

      美咲「そうでした、富士子さんもオリンピックでは代表でしたね。」

      耕作「技の種類は少ないかも知れないけど。」

      耕作「それを補って余りある程に柔道センスは抜群に優れていると思うよ。」

      舞「そうなんですね、さすがです。」

      美咲「あれ?今度は柔さんが直接指摘してますね。」

      耕作「多分、富士子さんが理解出来なかったのかもしれないね。」

      キョンキョン「って事は、寝技を教えるのって富士子さんにはまだ難しいんですか?」

      耕作「仕方ないと思うよ、今まで余りやって無かった訳だから。」

      耕作「それに、柔も1日では無理って言ってたし。」

      キョンキョン「柔さんもそう判断してたんですね。」

      舞「あれ?もう終わったのかな?」

      耕作「うん?あ、いや、相手を変えてまたするつもりじゃないかな?」

      美咲「そうみたいですね、別の人と組んでますよ。」

      舞「なるほど、慣れると相手の手の内が分かるからかな?」

      耕作「舞さん、鋭いね、その通りだと思うよ。」

      耕作「これを何度か繰り返してすると思うよ。」

      美咲「そうなると結構な時間する事になりますね。」

      耕作「そうだね、皆、余り寝技をやって無かったみたいだから丁度良い機会かも。」

      舞「今度は富士子さん、1人で指摘して回ってますね。」

      耕作「柔がそうさせてるのかも、分かり易い箇所だけを指摘させてるんだろうね。」

      キョンキョン「富士子さんに教える事を慣れさせてるんでしょうか?」

      耕作「そうだと思うよ、教えるという事に慣れさせる事も大事だから。」

      美咲「柔さんが富士子さんを呼んで何か話されてます。」

      耕作「何を話してるんだろう。」

      キョンキョン「柔さん、富士子さんと話しながら部員の組を一つずつ指差してますよ。」

      耕作「そうか、どこか指摘する箇所が有るか富士子さんに聞いてるんだ。」

      耕作「特に何も指摘する箇所が無い時は富士子さんに何も話していないけど、
          指摘する箇所が有ると富士子さんにそれを説明してるんだろうな。」

      舞「旦那様の言う通りだと思います。」

      舞「柔さんが富士子さんに話し掛けた後、富士子さんに説明してる回数が少ないです。」

      耕作「指摘しないといけない部分が少ないって事なんだろうね。」

      美咲「柔さんから説明を受けてた部員の組には富士子さんが指摘しに行ってますね。」

      キョンキョン「きっと、富士子さんに出来るだけ指摘させる様にしてるのよ。」

      舞「柔さんと富士子さんが何か話してますね。」

      耕作「そろそろ終わるんじゃないかな?」

      富士子が部員達に声を掛けると部員達は寝技を止めて整列した。

      柔が部員達に何か聞いていたが、柔からは特に何も声を掛けなかった。
      代わりに富士子が説明を始めた。

      富士子の説明が終わると再び柔が部員達に話し掛けて、それに対して
      部員達は全員が頷いていた。

      柔と富士子と部員達はお互いに一礼して祐天寺が部員達に話し始めると
      柔と富士子は耕作達の元に戻ってきた。

      柔「終わったよ~。」

      富士子「漸く終わりました~。」

      耕作「2人ともお疲れ様だったね。」

      キョンキョン「柔さんも富士子さんもお疲れ様でした。」

      舞、美咲「お疲れ様でした。」

      耕作「どうだった?」

      柔「まあ、最初にしては上手くいった方かな?」

      富士子「私はまだまだだって痛感しましたよ。」

      柔「そんな事は無いよ?結構指摘してたから。」

      富士子「そうですか?」

      耕作「こっちから見ててもかなり指摘してたよ?」

      耕作「それが証拠に柔から説明受けた組が少なかったでしょう?」

      富士子「あ、そう言えば、少なかったかも。」

      柔「あたしが追加で指摘箇所を説明した所が出来る様になれば完璧だよ。」

      富士子「そうなんですね、もっと頑張りますよ。」

      柔「じゃあ、明日はどうするか考えてきてね。」

      富士子「え~、また宿題なんですか?」

      柔「練習方法を考えるのも指導する立場としては当然だからね。」

      富士子「確かに、そうなんですけどね。」

      富士子「どこまで出来るか分かりませんけど、一応考えてきます。」

      柔「そうしてね、富士子さんの為でも有るんだから。」

      富士子「そうですね、分かりました。」

      祐天寺が柔達の所へやって来た。

      祐天寺「柔さんも富士子君もお疲れ様でした。」

      柔「監督も長い時間お疲れ様でした。」

      富士子「監督もお疲れ様でした。」

      祐天寺「柔さん、富士子君はどうですか?」

      柔「後少しで完璧になると思います。」

      祐天寺「そうですか、富士子君、良かったな、後少しだそうだ。」

      富士子「はい、明日からも頑張ります。」

      祐天寺「それではまた明日お願いします。」

      柔「はい、また明日お邪魔します。」

      祐天寺は会釈すると監督室に戻って行った。
      柔と富士子は監督に会釈して見送った。

      柔「それじゃあ、富士子さん着替えてこようか。」

      富士子「そうね、着替えてきます。」

      耕作「行ってらっしゃい。」

      キョンキョン、舞、美咲「行ってらっしゃ~い。」

      柔と富士子は更衣室に向かった、部員達も柔達の後を追う様にして更衣室に入って行った。

      耕作「鴨田、すまなかったな。」

      鴨田「これ位どうってことないっす。」

      耕作「皆も長い時間お疲れ様だったね。」

      キョンキョン「説明を聞きながらだったので、そこまで長く感じませんでした。」

      舞「私も凄く勉強になりました。」

      美咲「そうだね、今まで知らなかった事も知る事が出来て良かったです。」

      耕作「君達の理解力も相当なものだと思うよ。」

      耕作「柔道の知識はそれ程無いのに俺の説明で良く理解してくれてたから。」

      舞「旦那様の例えの説明が分かり易かったからですよ。」

      美咲「私もそう思います、凄く分かり易かったです。」

      耕作「そう言って貰うと説明した甲斐が有ったよ。」

      キョンキョン「さすがは柔さんのコーチですね~。」

      耕作「まあ、コーチじゃないんだけどね。」

      舞「似た様な感じだと思いますけど。」

      美咲「そうですよ、先輩が言う様にコーチと同じだと思います。」

      耕作「その俺が柔のコーチっぽいって言うのは柔には言わないでね。」

      キョンキョン「どうしてですか?柔さんもそう思ってたと思いますけど。」

      耕作「柔がそう思ってる分は良いんだけど、周りまでそうい始めると柔もその気になるから。」

      舞「その気になるといけないんですか?」

      耕作「俺を頼りっきりになると柔の良さが損なわれるからね。」

      美咲「柔さんの良さってどう言った事なんですか?」

      耕作「柔の独創的な発想が失われるかもしれないって事なんだ。」

      キョンキョン「それって柔道の練習を考えたりするところですか?」

      耕作「そう捉えて貰って差し支えないよ。」

      舞「そうなんですね、分かりました、柔さんの前ではコーチの話はしません。」

      美咲「私も舞と同じで話さない様にします。」

      キョンキョン「私も気を付けますね。」

      柔と富士子が部員達と談笑しながら更衣室から出て来て途中で部員達は
      柔と富士子に別れを告げて帰って行った。

      柔と富士子が耕作達の所へ戻ってきた。

      柔「皆、お待たせ~。」

      富士子「ごめんね~、待たせちゃって。」

      キョンキョン「お帰りなさい、そこまで待って無かったですよ。」

      舞、美咲「お帰りなさい。」

      耕作「お帰り。」

      柔「じゃあ、富士子さん、これで失礼するけど、明日頼むわね。」

      富士子「はい、また明日お願いします、宿題考えておきますから。」

      富士子「それじゃあ、また明日~。」

      富士子は急いで帰って行った。

      柔は道場から出る際に一礼して出た。

      柔「さて、帰りましょうか。」

      耕作「そうだね、タクシー呼んでくるから。」

      耕作は電話を掛けに事務棟の方に向かうと、柔達と鴨田は駐車場へ向かい歩き始めた。

      柔「鴨田さん、何時も長い時間お疲れ様です。」

      鴨田「いえ、これ位何とも無いっすから。」

      鴨田「それより皆さんの方が長い時間でお疲れじゃないっすか?」

      キョンキョン「大丈夫ですよ、これ位は。」

      鴨田「そうっすか、それなら良いっすけど。」

      柔達よ鴨田は駐車場に着いて耕作を待った。

      柔「遅いな~。」

      キョンキョン「遠いから仕方ないですよ。」

      柔「あれ?キョンキョンは事務棟って知ってるの?」

      キョンキョン「はい、前回ここに来た時に道場の場所を尋ねましたから。」

      柔「あ、そっか、あの時に行ったんだ。」

      キョンキョン「そうですね、事務棟がどこか少し迷ったので覚えてるんです。」

      柔「なるほどね。」

      耕作が走って柔達の元へやって来た。

      柔「お疲れ様~、どうだった?」

      耕作「お待たせ、直ぐ来るそうだよ。」

      柔「それなら少し待てば良さそうね。」

      耕作「多分、そうなるかな。」

      耕作「分乗の仕方は来る時と同じで良いよね?」

      柔「うん、あれで良いよ。」

      そこへタクシーが来たので柔とキョンキョンは鴨田の車に乗り先に出発し、
      耕作は舞と美咲と一緒にタクシーに乗ると柔達の後を追った。