柔と耕作(松田)の新婚日記 18日目 (午前編第2部)

            文書量(文字数)が膨大な為、一日を分割で表記しています





      部屋の入ると耕作はポットを机の上に置いてベッドに座った。
      柔はお茶を注いでコーヒーを淹れると耕作に渡しながら寄り添って座った。

      柔「はい、コーヒーどうぞ~。」

      耕作「ありがとね。」

      柔「あなたの会社には何時位に行くの?」

      耕作「9時半に会社に着けば喫茶店での待ち合わせには余裕で間に合うよ。」

      柔「じゃあ、9時過ぎにここを出れば良いんだね。」

      耕作「そう言う事になるかな?」

      柔「って事は、まだかなり時間が有るね。」

      耕作「有りまくりだね。」

      柔「何をお話するかな~。」

      耕作「あ、さっきの更衣室の件だけど。」

      耕作「明日、滋悟朗さんも同席するならわざわざ今日聞かなくても良かったんじゃない?」

      柔「あ、そうだったね。」

      柔「でも、良いかな、おじいちゃんには事前に知ってて貰った方が良いし。」

      耕作「そうか、明日いきなり聞かされるよりはましか。」

      柔「更衣室の構造をどうするかな~。」

      耕作「予定の広さだとシャワーは精々1つか2つしか付けられないんじゃ?」

      柔「それで十分だと思うけどね。」

      柔「そんな何十人にもなる訳無いからね、精々十数人が良いとこだと思うよ。」

      耕作「それもそうだね。」

      柔「そうだよ、家の道場の広さだと十数人でも多過ぎな位だし。」

      柔「それに家の収入ってあなたの分が増えるから結構楽になるよ?」

      柔「だから、無理して余り人数は集めなくて良いと思うのよね。」

      耕作「それもそうか。」

      耕作「でも、君が見るって言っても週に1回位しか出来ないよね?」

      柔「そうだね~、会社の事も有るからね。」

      柔「それに会社でもあたしの代わりが出来る子を育成しないといけないのよね~。」

      耕作「そうか、少なくとも1ヶ月位は全然見る事が出来なくなりそうだからね。」

      柔「そうなのよね~。」

      柔「どっちにしてもあたしが会社に復帰してになるから今はまだ考えなくても良いかな?」

      耕作「そうだね、今日明日って言う訳じゃ無いしね。」

      耕作「でも、会社で代わりが出来る子って居るの?」

      柔「まだ皆には直接指導して無いから分からないよ?」

      耕作「あ、そうか、今度からになるんだったね。」

      柔「そう言う事なの。」

      耕作「じゃあ、今は滋悟朗さんが指導してるのかな?」

      柔「そのはずだけど。」

      耕作「何時してるんだろう?」

      柔「あたしが練習に行ってる時間位にやってるんじゃないかな?」

      耕作「なるほど、確かにその時間位じゃないと会社も有るから出来ないよね。」

      柔「あたしに代わったら午後から練習して良いって言われてるけど。」

      柔「でも、長くやれば良いっていう物でも無いのよね。」

      耕作「まあ、そうだよね、効率良くすれば時間は短縮出来るから。」

      柔「だから、西海大での乱取りをやろうと思ったの。」

      耕作「そう言う経緯でやる事にしたんだ。」

      柔「うん、じゃないと会社の道場だけで4時間近くも何するんだってなりそうだったからね。」

      耕作「やっぱり、色々と考えて行動してるんだな。」

      柔「それに、やる以上は今迄よりも良い成績を残させてあげたいから。」

      耕作「そう言う事でも面倒見が良いんだね。」

      柔「気持ち的には短大の時と同じかも。」

      耕作「ところで滋悟朗さんが部員の数はギリギリって言ってたけど何人居るの?」

      柔「確か7人じゃ無かったかな?」

      耕作「奇数か~、それじゃ全員で乱取りすると余る人が出るね。」

      柔「そうなの、それも有ったからなの、西海大に行くって決めたのは。」

      柔「あたしが相手出来なくなるのを見越してだけどね。」

      耕作「なるほど、やっぱり君は先を見据えて行動してるんだ。」

      柔「あなたの影響が大きいかもね。」

      耕作「そうかい?」

      柔「あなたが一緒に居るから出来る事だと思うよ。」

      耕作「俺って特に何もして無いと思うんだけど。」

      柔「うふふ、居るだけで違うのよ?」

      耕作「どう言う意味?」

      柔「何て言うか~、心にゆとりが出来た?そんな気がするの。」

      柔「だから、前よりも一層、他の人の事も考えられる様になったのかも。」

      耕作「それは有るかもしれないね。」

      耕作「俺も同じかもね、君と居ると凄く和むから。」

      耕作「だから、自分の事以外の事にも考えが及ぶ様になった気がするよ。」

      柔「やっぱり、どっちもなんだね~。」

      耕作「そうだね、色々とどちらもになってるのか。」

      柔「あれかな~?」

      耕作「あれって?」

      柔「ほんとの意味での一心同体になったからじゃないのかな?」

      耕作「つまり、愛し合ったからって事だよね?」

      柔「そうなの、あなたと一つになれたって実感したからだと思うよ。」

      柔「それが有ったから、どっちもって言う事が多くなった気がするよ?」

      耕作「確かに、アメリカに居る時はそこまでは無かったかも。」

      柔「更に絆が深まる様に、今夜はあなたに愛されてるって実感出来るのね~。」

      耕作「もしかして、そこに持って行きたかったの?」

      柔「違うよ?そこまで考えて無かったもん。」

      柔「成り行きでだよ?」

      耕作「そうかな~?君は策士だからな~。」

      柔「あ~、あたしの事、信用して無いんだ~。」

      耕作「ごめん、ごめん、信用して無い訳じゃ無いから。」

      耕作「良く考えたら、俺に対してはアメリカから帰って以降はそう言う事はして無かったね。」

      柔「そうだよ?まあ、向こうでは結構色々やったのも事実だけど。」

      耕作「そうだよな~、何度も言う様だけど、ほんとに危なかった時も有るからね。」

      柔「そうだったんだ、あと一押しだったのか~。」

      耕作「こらこら、もし間違いを犯してたら、今こうして一緒に居られなかったかもよ?」

      柔「もう~、冗談に決まってるでしょう?」

      柔「あなたにそう言われたから自重してたんだよ。」

      耕作「うは、あれで自重してたんだ、して無かったらどうするつもりだったの?」

      柔「そうね~、バスタオル無しでお風呂場から出てきたりとか?」

      耕作「まさか、冗談だよね?」

      柔「だって、あたしの全てをあなたに捧げるつもりで渡米したんだよ?」

      耕作「あ~、そう言ってたね。」

      柔「最後の一線を超えても良いかなって思ってたんだから~。」

      耕作「そこまで考えてたのか、俺の一言が無かったら危なかったんだ。」

      柔「危ない事はしないよ?あなたに抱かれるだけでしょう?」

      耕作「いや、危険な事じゃなくて、一線超えてたらって思うとね。」

      耕作「結婚の許可が貰えなかったかもしれないじゃない?」

      柔「あ、そう言う意味なのね。」

      柔「でも、帰って直ぐは貰えなかったかもしれないけど、何れは許可されてたと思うよ。」

      耕作「そうかな~?」

      柔「だって、おかあさんはあたしの気持ちを理解してくれてたから。」

      柔「おかあさんが反対しないのにおとうさんもおじいちゃんも反対出来る訳無いじゃない?」

      耕作「なるほど、そう言われてみればそうかも知れないね。」

      耕作「でもさ、やっぱり喜んで許可して貰いたかったからね~。」

      耕作「向こうで間違いを起こさなくて良かったって思うよ。」

      柔「うふふ、その点はあたしも同じ事を思ってるよ。」

      柔「怒られるとしたら、あなたよりあたしの方だと思うから。」

      耕作「いや、やっぱり俺の方が怒られてたでしょう?」

      柔「どう言う事情だったか説明したら、あたしが怒られるに決まってるじゃない?」

      耕作「あ、確かに、事情を説明したら、何でそんな事をしたか~って怒られそうだね。」

      柔「特におじいちゃんがね。」

      耕作「ほんと、そうならなくて良かったよ。」

      耕作「君が悲しむ様な事はさせたく無いからね。」

      柔「あなたの一言であたしは救われたのね、ほんとにありがとう~。」

      柔は耕作をジッと見詰めると目を瞑った。
      耕作はそれに応える様に片手を頬に添えて優しくキスをした。

      柔「うふ、ありがとう~、催促しちゃったね?」

      耕作「いや、俺もそう言う気持ちだったから。」

      柔「そうだったのね。」

      耕作「君からそうしてくれて良かったよ。」

      柔「うふ、一心同体だね~。」

      耕作「ふふ、そうだね。」

      耕作「少し早いけど出掛けようか?」

      柔「うん、余裕が有った方が良いからね。」

      耕作「君はそのままで良いの?」

      柔「このままで良いよ、あなたは着替えないとね?」

      耕作「そうか、寝間着のままだった。」

      柔「ね~、あなた?」

      耕作「分かった、上だけお願いするね。」

      柔「あは、分かってたのね。」

      耕作「前に俺がさっさと着替えた時に、次は君にお願いするって言ってたからね。」

      柔「あなたは覚えてたのね~、あたし忘れてたよ~。」

      耕作「そうだったのか、まあ、良いか、じゃあ、着替えるね。」

      柔「は~い、待ってま~す。」

      耕作は寝間着を全部脱いでTシャツを着てズボンを穿くとシャツを選んで柔に渡した。
      柔は立ち上がって耕作にシャツを着せた。

      耕作「ありがとね。」

      柔「どういたしまして~。」

      耕作は机の上の原稿を封筒に入れて持った。

      耕作「じゃあ、出掛けようか。」

      柔「は~い。」

      耕作はポットを持ち柔は急須とカップ2つを持つと下に下りて行った。



      下に下りた2人は台所へ行き耕作はポットを流しの横に置いて
      柔はカップと急須を洗い所定の位置に直した。

      2人は玄関へ向かい外へ出ると木戸を潜って表通りまで歩いて行った。

      柔「タクシー呼んだ方が良かったかな?」

      耕作「いや、急いでる訳じゃ無いから呼ばなくて良かったって思うよ。」

      柔「それもそうだね。」

      2人は表通りに出て暫く待つとタクシーが来たので止めて、
      それに乗り込むと耕作の会社を目指した。



      会社の前でタクシーから降りた2人は会社のビルに入り上に上がって
      編集部のドアを耕作が開け柔を先に入れて耕作は後に続いて入った。

      柔「おはようございます。」

      耕作「おはようございます、編集長、原稿をお持ちしました。」

      編集長「おはよう、今日は早かったな。」

      耕作「後に用事が有るので早めに持ってきました。」

      耕作は編集長に原稿を渡した。

      編集長「ほう、用事がな、確認させて貰うぞ。」

      耕作「どうぞ。」

      編集長は原稿に目を通した。

      編集長「今回は柔さんの考えと言うのは書いて無いんだな、何故なんだ?」

      柔「あ、すみません。」

      柔「それは、あたしが主人に事情を話して書くのを止めて貰ったんです。」

      編集長「それはまたどうしてですか?」

      柔「編集長さんもご存知と思うんですけど、西海大の部員達に富士子さんに指導を
        お願いしてるあたしの意図を知られたく無かったんです。」

      編集長「それは何故なんですか?」

      柔「あたしの意図が部員達に知られると富士子さんが指導してる意味が薄れるからなんです。」

      編集長「つまり、部員達に富士子さんの陰に柔さんが居ると思われてしまうって事ですか?」

      柔「そうなんです、あたしを感じられなくする為に意図は伏せて貰ったんです。」

      編集長「そういうことですか。」

      編集長「まあ、意図は書いてませんけど、どう言う風に柔さんが富士子さんに
           指導させてるかと言うのが分かるから、それで十分ですよ。」

      柔「そうですか、そう仰って頂くと助かります。」

      編集長「それで種明かしは何時になるんですか?」

      柔「そこまでお分りになってるなんて、さすが編集長さんですね。」

      柔「今度の土曜日に書く分で種明かしをする予定になってます。」

      編集長「そうですか、それは楽しみですな。」

      柔「それまでは今日みたいな記事になりますけど、ご容赦下さい。」

      編集長「いや、それは構いませんよ。」

      編集長「柔さんの目論見を潰す気なんて毛頭有りませんから。」

      柔「ありがとうございます。」

      編集長「松田君、柔さんと話し合いながら今日以降の原稿も頼むよ。」

      耕作「はい、重々承知しています、その様に書くつもりですから。」

      編集長「用事も有るだろうから、今日はこれで帰って良いぞ。」

      耕作「すみません、失礼します。」

      柔「編集長さん、失礼します。」

      2人は会釈すると編集部を後にして下に下りて行った。



      下に下りた2人は喫茶店を目指して歩き始めたが柔が腕を組んできた。

      耕作「相変わらずだね~。」

      柔「良いでしょう?」

      耕作「構わないよ、皆に見られるのはもう慣れたから。」

      柔「あたしは皆の視線なんて気にならないも~ん。」

      耕作「そう言う所は柔道をしてる時の君と同じなんだね。」

      柔「良く知ってるのね~。」

      耕作「それはね~、俺が居たら俺の方ばかりチラ見してたじゃない?」

      柔「うふ、あなたを見ると集中出来るからね~。」

      耕作「君の役に立てて嬉しいよ。」

      柔「あたしもあなたが喜んでくれるから嬉しいの~。」

      耕作「着いたよ、どうする表で待つ?それとも中?」

      柔「中で待ちましょうか。」

      耕作「分かった、じゃあ、入ろうか。」

      耕作は喫茶店のドアを開けて柔を先に入れ自分は後に続いた。

      店員「いらっしゃいませ、2名様でよろしいでしょうか?」

      耕作「後から3名来るので、それでお願い出来ませんか?」

      店員「承知しました、それではこちらへどうぞ。」

      店員は柔達を6人掛けのテーブルに案内した。

      店員「ご注文が決まりましたらお呼び下さい。」

      店員はそう言うと所定の位置に戻って行った。

      柔「何にしようかな~。」

      耕作「パフェでも良いよ?」

      柔「う~ん、急いで食べないといけないからな~。」

      耕作「君と俺しか居ないんだからゆっくり食べても良いよ?」

      柔「ほんと?良いの?」

      耕作「構わないさ、ずっと話さないといけないって事は無いんだからね。」

      柔「じゃあ、チョコパフェで~。」

      耕作「分かった、じゃあ、頼むから。」

      耕作は手を挙げて店員を呼んだ。

      店員「ご注文はお決まりでしょうか?」

      耕作「俺はブレンドで妻はチョコパフェでお願いします。」

      店員「畏まりました、少々お待ち下さい。」

      店員は厨房に行き注文を伝えていた。

      柔「うふ、妻って言われちゃった~。」

      柔「そう呼ばれると、夫婦なんだって実感出来て良いね~。」

      耕作「久しぶりに君の事をそう呼んだ気がするよ。」

      耕作「ただ、君みたいに他の人と話す時にはまだ無理かな~。」

      柔「無理しなくて良いよ、呼びたい様に呼んで良いんだから。」

      耕作「そうだね、以前からそう言ってたし。」

      柔「そう言えば、皆があなたの事を旦那様とか旦那さんって呼ぶけど平気なの?」

      耕作「どうして?普通はそう呼ぶんじゃない?」

      柔「普通はご主人って言うんじゃない?」

      耕作「どうなのかな?まあ、そう呼ばれても何とも思わないけどね。」

      柔「ご主人様は駄目なのに?」

      耕作「いや、それは如何わしい店(注)とかでそう呼ぶから勘弁して欲しいかな。」

      【(注)1990年代当時はメイド喫茶等は存在していないので、こういう設定にしました。】

      柔「あ~、ご主人様って言う呼び方って如何わしいお店で呼ぶ呼び方なのね。」

      耕作「あれ?そうやって説明しなかった?」

      柔「ううん、確かご主人様の説明は聞いて無いよ。」

      耕作「そうだったかな?まあ、今説明したから良いよね?」

      柔「うん、今の説明であなたがあたしに止めてって言った理由も分かったから良いよ。」

      耕作「そう言えばそう言った記憶が有るよ、確か向こうでだったかな?」

      柔「そうだね、アメリカに居る時にあなたの呼び方~って言った時だったよ。」

      耕作「そうだったね、思い出したよ。」

      柔「あなた、店員さんが持って来たよ。」

      耕作「早いな。」

      店員「お待たせしました。」

      店員はチョコパフェを柔の前にブレンドコーヒーとミルクを耕作の前に置いた。

      店員「以上でお間違いございませんか?」

      耕作「はい、間違いありません。」

      店員「それでは、ごゆっくりどうぞ。」

      柔「御丁寧にどうも。」

      店員は所定の位置に戻って行った。

      柔「いただきま~す。」

      耕作「ゆっくりで良いからね。」

      柔「は~い。」

      柔は美味しそうにチョコパフェを食べ始めた。

      柔「あ~、美味しい~、久しぶりに食べた気がする~。」

      耕作「そうなんだ、味わって食べてね。」

      柔「うん、そうする~。」

      柔は味わい乍ら食べ始めた。

      耕作「美味しそうに食べるんだね。」

      柔「だって、ほんとに美味しいんだよ?」

      耕作「そうだったね。」

      耕作「あ、キョンキョン達来たよ。」

      柔「むぐむぐ、あ、ほんとだ。」

      キョンキョン達が店員に先導されて柔達の所へやって来た。

      キョンキョン「柔さん、来ましたよ~。」

      舞「柔さ~ん、来ちゃった~。」

      美咲「来ましたよ、柔さん。」

      キョンキョン達は柔達の向かいに座った。

      柔「むぐ、いらっしゃい、元気そうだね~。」

      耕作「先に何か注文して良いよ。」

      キョンキョン「はい、そうしますね。」

      舞「は~い、何にしようかな~。」

      美咲「どれが良いかしら?」

      キョンキョン達はメニューと睨めっこしていた。

      舞「柔さん?それ美味しいですか?」

      柔「うん、凄く美味しいよ~。」

      舞「私もそれにしよう~っと。」

      耕作「キョンキョンと美咲さんは決まった?」

      キョンキョン「はい、決まりました。」

      美咲「私も決めました。」

      耕作は手を挙げて店員を呼んだ。

      店員「ご注文はお決まりでしょうか?」

      キョンキョン「はい、アメリカンをお願いします。」

      美咲「私はハーブティーで。」

      舞「私はチョコパフェです。」

      店員「畏まりました、少々お待ち下さい。」

      店員は厨房へ行き注文を伝えた。

      柔「あ~、美味しかった~。」

      キョンキョン「結構前に来られてたんですか?」

      柔「そうでもないよ?15分前位かな?」

      美咲「そうなんですね。」

      柔「キョンキョン、急かすつもりじゃないんだけど、どうだった?」

      キョンキョンがニコッと微笑んで左手の薬指を柔達に見せた。

      キョンキョン「これ、彼から頂きました。」

      柔「お~、婚約したんだ~、おめでとう~。」

      耕作「良かったね、おめでとう~。」

      柔「それで昨日のお話し合いはどうだったの?」

      キョンキョン「はい、その事なんですけど、彼は電話の後、色々と悩んだみたいなんです。」

      キョンキョン「それで、彼のご両親と相談して、そこで決心してこれを買いに行ったそうです。」

      キョンキョン「昨日のお話の時に私の両親に挨拶したいからと言われて。」

      キョンキョン「私の家に行ったら彼が私をお嫁さんにしたい旨を両親に話しました。」

      キョンキョン「両親が私の顔を見て彼に娘の事はよろしくって。」

      キョンキョン「その後にこの指輪を嵌めてくれました。」

      柔「そうなんだ~、良かったね~、それで結婚式とかは?」

      キョンキョン「そこまではまだ決まっていないです。」

      耕作「俺達みたいに慌てる理由も無いから良いんじゃない?」

      柔「あ、それもそうだね。」

      舞「今日子先輩、ここに来る途中もずっと指輪を眺めていましたよね~。」

      キョンキョン「舞は~、言ったら駄目よ~。」

      美咲「本当に良かったって思います、だって先輩凄く嬉しそうにしてましたから。」

      キョンキョン「松田さんにも柔さんにも本当にお世話になりました、ありがとうございます。」

      耕作「いや、俺は彼にキョンキョンの事を大事にして欲しかっただけなんだ。」

      柔「あたしも自分の思ってた事をお話しただけだよ?」

      キョンキョン「それが私の助けになり、彼にも考える機会を与えて下さったんです。」

      耕作「これからは彼と二人三極で頑張ってね。」

      キョンキョン「はい、そうして行きたいと思ってます。」

      柔「あ~、ほんとに良かったな~。」

      柔「ところで美咲さんと舞さんはどうだったの?」

      舞「やっぱり、そう来ますか~。」

      美咲「聞かれると思ってました。」

      耕作「まあ、2人はまだ付き合い始めたばかりだし慌てなくて良いと思うけど。」

      柔「そうなんだけどね、デートはどうだったのかな~?」

      舞「それは上手くいきましたよ。」

      美咲「そうだったね。」

      キョンキョン「私は居辛かったけどね?」

      舞「あ~、先輩~、そう思ってたんですか?ごめんなさ~い。」

      キョンキョン「嘘ですよ、2人が楽しそうにしてるのを見てて私も嬉しかったよ。」

      美咲「先輩が冗談を言ってる・・。」

      柔「これからはキョンキョンが2人の相談相手になってあげないとね?」

      キョンキョン「そうですね、余り応えられないかもしれないけど、相談して頂戴ね。」

      舞「勿論ですよ~、何か有ったら先輩に必ず相談しますから。」

      美咲「私も舞と同じで絶対に相談しますから。」

      柔「ね~、舞さんと美咲さん?」

      舞「はい、何でしょう?」

      美咲「どうかしましたか?柔さん。」

      柔「あたしの記憶違いじゃ無かったら、2人の身に着けてるネックレスって買って貰ったの?」

      舞「どうして分かったんですか?」

      美咲「本当です、何故分かったんですか?」

      柔「向こうで一緒の時にネックレスとかしてるの見た事無かったから、何となくかな?」

      キョンキョン「聞いて下さいよ、柔さん。」

      柔「どうしたの?キョンキョン。」

      舞「あ~、先輩~、言わないって約束だったじゃないですか~。」

      美咲「でも、仕方ないかもよ?舞、あの時は先輩を一人にしちゃってたから。」

      舞「あ、そうだった。」

      キョンキョン「もうね~、勝って貰う時に2人とも凄く嬉しそうにしてたんですよ~。」

      柔「そうだったんだ、でも、良かったね、舞さんも美咲さんも。」

      舞「佐藤さんったら、これ渡す時に『俺だと思って身に着けていて欲しい』って
        言われちゃったんです~。」

      美咲「え?舞もそう言われたんだ。」

      柔「美咲さんも何か言われたの?」

      美咲「はい、『これを俺だと思って持っててくれないか』って。」

      柔「そうだったのね~。」

      柔「あなたも似た様な事してたね?」

      耕作「俺は佐藤や三浦みたいな事は言わなかったと思うけど。」

      柔「言葉じゃなくて物よ、物。」

      耕作「あ~、確かに、物は似てるかもね。」

      舞「柔さんも旦那様から何か貰ったんですか?」

      柔「アメリカに居た時に色々としてくれてるから感謝の気持ちにってネックレスをね。」

      美咲「男性って同じ様な考え方をするんですね~。」

      耕作「偶々じゃないかな?」

      柔「い~え、恐らく先生と佐藤さんは前日にお話したんだと思うよ。」

      美咲「柔さんもやっぱりそう思います?」

      舞「私も美咲と話してたんです。」

      舞「佐藤さんと先生は打ち合わせてたんじゃないかって。」

      美咲「どう考えても、そうとしか思えないんですよね。」

      美咲「同じ様な物を同時に買ってたんですから。」

      店員がやって来た。

      店員「お待たせしました。」

      店員は注文した物を注文した人の前に置いた。

      店員「それではごゆっくりどうぞ。」

      店員は元居た場所に戻って行った。

      柔「少し騒がしかったかな?」

      耕作「いや、そんな事は思って無いと思うよ?」

      柔「そうなの?」

      耕作「だって、女性が4人居れば賑やかになるのは仕方ないよ。」

      キョンキョン「確かに、そうですね。」

      舞「向こうでも賑やかでしたからね~。」

      柔「あ、食べて良いよ。」

      キョンキョン「いただきます。」

      美咲「失礼して頂きます。」

      舞「よ~し、食べるぞ~。」

      柔「食べながら飲みながらで良いので聞いて頂戴。」

      キョンキョン「はい、どうぞ。」

      柔「この後は買い物に行くけど、その後は3人とも何か用事とか有る?」

      キョンキョン「私は特にありませんよ。」

      美咲「私も先輩と同じです。」

      舞「もぐ、むぐ、は~、私も何もありませ~ん。」

      柔「そうなんだ、じゃあ、あたしの家でお昼を一緒に食べない?」

      キョンキョン「え?よろしいんですか?」

      美咲「本当に良いんですか?」

      舞「私、行く~、柔さんの家を見てみたいで~す。」

      柔「あ、家は古めかしいよ?じゃあ、3人ともOKで良いのね?」

      キョンキョン「はい、構いませんよ。」

      美咲「私も先輩と同じで良いですよ。」

      舞「私も~、柔さんの部屋も見てみたいな~。」

      キョンキョン「もう~、舞は本当にしょうがないわね~。」

      柔「良いよ、見たいなら見ても。」

      美咲「本当ですか?お願いします。」

      舞「やった~、柔さんの部屋が見れる~。」

      柔「分かった、じゃあ、ちょっと家に電話掛けてくるね。」

      キョンキョン、舞、美咲「行ってらっしゃい~。」

      柔は電話を掛けに行った。

      キョンキョン「松田さん、よろしかったんですか?」

      耕作「ああ、俺が言い出した事なんだ、玉緒さんも了解してくれてるから大丈夫だよ。」

      キョンキョン「そうだったんですね、分かりました。」

      舞「さすが、旦那様ですね、ありがとうございます。」

      美咲「ありがとうございます、一度はお訪ねしてみたかったんです。」

      柔が電話を掛け終わって戻って来た。

      柔「終わったよ~、何時でも来て頂戴って。」

      舞「わ~い、良かった~。」

      キョンキョン「柔さん、お手数かけてすみません。」

      美咲「柔さん、ありがとうございます。」

      柔「気にしなくて良いよ、後ね、皆でお料理作る事にしたけど良いかな?」

      キョンキョン「まあ、本当ですか?それは助かります。」

      美咲「私もその方が勉強になります。」

      舞「本当ですか~、やった~、料理頑張りま~す。」

      柔「じゃあ、皆で頑張ろうね~。」

      キョンキョン「分かりました、出来るだけ頑張ります。」

      美咲「はい、頑張ります。」

      舞「は~い、頑張りま~す。」

      柔「話は変わるんだけど、美咲さんと舞さん?」

      美咲「はい、何でしょうか?」

      舞「は~い、何ですか?」

      柔「お2人にお願いしたい事が有るんだけど。」

      美咲「どう言った事ですか?」

      舞「何をお願いなんですか?」

      柔「まず、美咲さんにお願いしたい事は、先生と電話で連絡を取った時なんだけど。」

      柔「柔道部の状況を聞いて欲しいの。」

      美咲「はい、構いませんけど、どうしてなんですか?」

      柔「あ、そんなに頻繁にじゃなくて良いのよ?月に2回程度で良いの。」

      柔「あたしがどういう状況か知りたがってるって言って聞いて欲しいの。」

      美咲「分かりました、私もお話する機会が増えるので嬉しいです。」

      柔「よろしくね。」

      柔「舞さんへのお願いも似た様な事なんだけど。」

      舞「はい、どんな事でも柔さんの為ならするつもりですよ。」

      柔「うふ、ありがとう~、佐藤さんに電話で連絡した時、あ、これも月2回程度ね。」

      柔「美咲さんが先生に連絡した後で良いんだけど、先生が言ってる事が間違ってないかを
        佐藤さんに確認して貰って欲しいの。」

      舞「はい、良いですよ、私も美咲と一緒で連絡する機会が増えるのは嬉しいですから。」

      キョンキョン「柔さん?どうしてそうするんですか?」

      柔「えっとね、先生を信用して無い訳じゃ無いのよ?」

      柔「ただ客観的な目でも見て欲しいって思ってるからなの。」

      柔「あたしがそれを聞いて、そのままで良いのか何かを変えないといけないのかって言う
        判断が出来る材料にしたいんだけど。」

      キョンキョン「そう言う事なんですね。」

      美咲「分かりました、じゃあ、舞とも連絡を取り合った方が良いですね。」

      柔「そうだね、美咲さんが連絡した後、先生がどう言ってたかを舞さんに伝えて、
        それが間違って無いかを佐藤さんに確認するって言うやり方かな?」

      美咲「分かりました。」

      舞「私は佐藤さんから聞いた事を柔さんに話せば良いんですね?」

      柔「そうして貰うと助かるかな。」

      舞「了解しました、でも、美咲~、連絡する回数が増えて嬉しいね~。」

      美咲「そうだね、用事が有っての連絡だからし易いしね。」

      キョンキョン「2人とも良かったね~。」

      舞「はい、先輩、嬉しいです。」

      美咲「私も本当に嬉しいです。」

      柔「まあ、ほんとはそれが狙いだったりするのよ。」

      美咲「そうなんですか、柔さん、ありがとうございます。」

      舞「さすがは柔さんです、ありがとう~。」

      柔「こっちこそお礼を言いたいよ、柔道部の状況が良く分かる様になるんだから。」

      キョンキョン「柔さん、さすがです、そこまで考えてるなんて。」

      柔「じゃあ、あたしも伝えたい事は終わったし、買い物に行こうか?」

      キョンキョン「え?柔さんも一緒に行ってくれるんですか?」

      柔「あ、駄目だったかな?」

      キョンキョン「いえ、どうせ柔さんのお家にもお邪魔するから一緒の方が良いですよ。」

      舞「わ~い、柔さんと一緒に買い物が出来る~。」

      美咲「すみません、柔さん、よろしくお願いします。」

      柔「もう、食べるのも飲むのも終わってるみたいだから、行こうか。」

      キョンキョン「そうですね。」

      美咲「行きましょう。」

      舞「は~い。」

      耕作「先に出てて良いよ、ここは俺が出すから。」

      キョンキョン「え?それは悪いですよ。」

      耕作「良いんだよ、君達は買い物でお金使うでしょう?それに家にも来てくれるからね。」

      キョンキョン「そうですか、前の時も有るのに申し訳無いです。」

      美咲「前回に引き続いて。すみません、旦那様。」

      舞「旦那様、すみません、いつも。」

      耕作「気にしないの、これ位俺の顔を立ててね。」

      キョンキョン、舞、美咲「はい、分かりました。」

      柔とキョンキョン達が先に喫茶店を出たのを確認して、耕作は会計を済ませて追いかけた。

      キョンキョン「松田さん、ごちそうさまでした。」

      美咲「旦那様、ありがとうざいます。」

      舞「ごちそうさまでした、旦那様。」

      耕作「良いよ、皆が楽しんでくれる方が嬉しいし。」

      柔「あなた~、ありがとう~。」

      柔「しかし、良い恰好し過ぎなんじゃ?」

      耕作「これ位はしないとね。」

      柔「うふふ、それじゃ、行きましょうか~、お買い物~。」

      キョンキョン、舞、美咲「おぉ~。」

      耕作「ふふふ、ノリが柔みたいだな。」

      柔達5人は近くのショッピングモールへと向かった。