柔と耕作(松田)の新婚日記 17日目 (午後編第1部)

            文書量(文字数)が膨大な為、一日を分割で表記しています
           文章が大量に抜けていた為追加、前後の繋がりが分かり難く
             なって申し訳有りません。



実家の前でタクシーを降りた柔と耕作は木戸を潜り玄関に入った。

柔「戻ったよ~。」

耕作「戻りました。」

滋悟朗と玉緒が奥から声を掛けて来た。

滋悟朗「よう帰ったの~、ゆっくり休んでええぞ。」

玉緒「お帰りなさい、上でゆっくりしてきなさい。」

柔「分かった~、そうするね~。」

柔「あなた?上に行きましょうか。」

耕作「そうだね。」

玄関を上がると柔は耕作の手を取って上に上がった。


部屋に入って柔が手を離すと耕作はベッドに座った。
柔はお茶を注ぎとコーヒーを淹れて耕作にコーヒーを渡しながら寄り添って座った。

柔「コーヒーどうぞ~、長い時間お疲れ様でした。」

耕作「ありがとね、君こそ話しっぱなしで疲れたんじゃない?」

柔「そんな事は無いよ?あなたも適度にお話をしてくれてたし。」

耕作「そうかな~?君の方が・・。」

柔「うふふ、止めましょう?あなた?」

耕作「ふふ、そうだね。」

耕作「富士子さんが受けてくれて良かったね。」

柔「絶対に受けてくれると思ってたからね。」

柔「でも、あなたが補足してくれた事は指導する上で凄く大事な事だったよ。」

耕作「そうだったんだ、それなら良かったのかな?」

柔「勿論よ、あなたの言った事をするのも指導の方法なんだから。」

柔「あたしの方はどっちかと言うと心構え的な物だからね。」

耕作「でも、今までの君の指導の仕方そのものだと思ったよ。」

柔「やっぱり、良く見てたのね~。」

耕作「俺は君を見てるのが大好きなんだ。」

柔「うふふ、向こうに居る時からそう言ってたね。」

耕作「午後の練習の事だけど、打込はするんでしょう?」

柔「そうだね~、何時もの回数じゃないかもだけど。」

耕作「君が何時も言ってる無理しない程度にだね?」

柔「うん、そのつもりだよ。」

柔「ところで、あなたってあたしの事を何時から君って言う様になったんだっけ?」

耕作「何時からだったかな?」

耕作「多分、君から呼び捨てで良いよって言われた時位じゃ無かったかな?」

柔「あ~、そうかもしれないね。」

耕作「毎回、君の名前を呼び捨てにする訳にもいかないと思ったのかも。」

柔「そうだね、おじいちゃんも毎回呼び捨てじゃ無いしね。」

耕作「確かに、お前とかお主とか言ってたね。」

耕作「それで君って呼んでも良いんだよね?」

柔「うん、そう呼ばれると、あなたの優しさを感じるから、そのままで良いよ。」

耕作「良かったよ、駄目って言われたらどう呼ぶか悩まないといけないとこだった。」

柔「うふふ、あたしが駄目って言う訳無いでしょう?」

柔「あなたと同じで、あたしもあなたのする事は全て受け入れるって言ったんだし。」

耕作「全てってこう言う事も含まれてたんだね。」

柔「当たり前じゃない?あなたもそうでしょう?」

耕作「そうだね、これもどっちもになるんだね。」

柔「うふ、そう言う事になるね。」

耕作「お昼も手伝うの?」

柔「勿論よ~、孝行するって言ってたんだから。」

耕作「確かに、玉緒さんの負担を減らすのも孝行になるしね。」

柔「そうね~、少しでも減らせたら良いな~。」

柔「じゃあ、下りようか?」

耕作「そうだね、行こう。」

柔は急須とカップ2つ、耕作はポットを持つと下に下りて行った。


下に下りて台所へ行き持って来た物を流しの横に置いて耕作は食卓の前に座った。
柔は耕作にお茶を注いで渡し、持ってきたカップと急須を洗い、
炊飯器の中を見た後スイッチを入れた。

柔「今日のお昼は何を作るのかな?」

耕作「君でも分からないの?」

柔「まだ冷蔵庫の中を見てないからね~。」

耕作「そうか、食材を見ないと分からないって言ってたね。」

柔「さすがにね、でも、あなたのお母様から習ったお料理が作れる食材が有れば
  おかあさんに教えながら作れるかも。」

耕作「有れば良いね、見てみたら?」

柔「うん、見てみるよ。」

柔は冷蔵庫を開けて中の食材を全てチャックした。

柔「う~ん、さすがに作るには材料が足りないか~。」

耕作「無いなら仕方ないよ、またの機会で良いんじゃない?」

柔「そうだね~、今有る物で何が出来るかな~。」

玉緒「あら?もう下りてきてたのね?」

柔「あ、おかあさん、お昼は何を作るの?」

玉緒「そうね~、簡単な物で良いかしら?」

柔「それで良いと思うよ。」

玉緒「それじゃあ、あなたはお味噌汁を作ってくれないかしら?」

柔「うん、分かった~。」

玉緒「私が他の物を作るから。」

柔と玉緒は銘々料理を作り始めた。

玉緒「柔?」

柔「な~に?おかあさん。」

玉緒「今はまだ良いでしょうけど、先々2階に居るのは良くないわね。」

柔「そうだね、どうすれば良いか、その事をお話しようと思ってたの。」

玉緒「耕作さんには悪いけど、当面は私と一緒の部屋にするしかないわね。」

柔「うふふ、あたしと同じ事考えてたんだね。」

玉緒「あら、あなた達は既にこの事は話し合ってたのね?」

柔「うん、主人と2人でどうするかってお話したよ。」

柔「その中で、あたしが今おかあさんが言った事と同じ事をお話してたの。」

玉緒「そうだったのね、耕作さんはそれで良いのかしら?」

耕作「そうですね、それで構わないと思います、柔の事が一番大事ですから。」

玉緒「じゃあ、取敢えずは、そうする事にしましょうか。」

柔「1ヶ月後位からで良いよね?」

玉緒「そうだわね、確定するのはその少し前でしょうから。」

玉緒「それからで良いと思いますよ。」

柔「おかあさん、お味噌汁出来たよ。」

玉緒「こちらもそろそろだから食器を用意しないといけませんね。」

柔「あなた?手伝って貰って良いかな?」

耕作「構わないよ。」

柔と耕作は食器を用意した。

玉緒は作った料理を皿に盛付して柔は味噌汁をお椀に注いで茶碗にご飯をよそった。

玉緒「それじゃあ、居間に持って行きましょうか。」

柔「は~い、あなたもお願いね~。」

耕作「分かった。」

柔達3人は居間に料理を持って行った。



居間では滋悟朗が何時もの様にテレビを見ていた。

滋悟朗「おお、出来たか、待っておったぞ。」

柔達3人は食卓の上に料理を並べていき銘々に座った。

玉緒「おとうさん、お待たせしました。」

滋悟朗「頂こうかの~。」

4人「いただきます。」

滋悟朗「柔よ、午後は練習に行くのか?」

柔「うん、今迄と同じ様に14時に鴨田さんが迎えに来るはずだよ。」

柔「そうだよね?あなた?」

耕作「そうだね、14時前には来ると思う。」

滋悟朗「西海大でも教えておるのか?」

柔「そうだよ、祐天寺監督の了解は頂いてるし。」

滋悟朗「祐天寺も喜んでおったろう?」

柔「そうだと思うよ。」

滋悟朗「本来ならお前があそこに入ってから、そうして欲しかったんぢゃろうがな。」

滋悟朗「まあ、教えておるなら同じ事ぢゃて。」

柔「あの時のお詫びも兼ねてるからね~。」

柔「ね~、おじいちゃん?教えてる事は前から知ってたよね?」

滋悟朗「そうぢゃったかのう?」

柔「だって、試合の時、おじいちゃん主審するからって来てたじゃない?」

滋悟朗「ああ、確かに行っておったな。」

柔「試合するからって言う前から教えてるって話してたと思うんだけど。」

滋悟朗「はて、覚えておらんな~。」

柔「まさか、耄碌・・。」

滋悟朗「誰が耄碌しとるか~、忘れておっただけぢゃわ。」

柔「はい、はい、そう言う事にしときましょうかね~。」

滋悟朗「こやつは~・・。」

滋悟朗「ところで会社に復帰したらお前が教えるんぢゃろう?」

柔「うん、そう言う段取りにはなってるみたい。」

滋悟朗「お前の会社は部員の数がギリギリぢゃからのう~。」

滋悟朗「その辺りはどうするつもりなんぢゃ?」

柔「午後からは練習に時間を割いても良いって社長から言われたから
  西海大に行って合同練習しようかと思ってるよ。」

滋悟朗「ほお、そこまで考えておったのか。」

柔「だから、そのお話も今日行った時にしようかと思ってるの。」

滋悟朗「午後全ての時間を西海大でするつもりか?」

柔「ううん、1時間程度はトレーニングとかを会社の道場でして、それからかな?」

柔「西海大では主に乱取りをするつもりだから。」

滋悟朗「お前はもう立派に師範で良い位ぢゃな。」

柔「あたしはまだまだだと思うけど。」

柔「それにここの師範はおとうさんになるんでしょう?」

滋悟朗「な~にを言うちょるか~、師範はあくまで儂に決まっておろうが。」

柔「あれ?引退するんじゃなかったの?」

滋悟朗「ばかも~ん、直接指導せんだけぢゃわ。」

柔「あ、そう言う事なんだ、って事は、おとうさんは師範代になるのね?」

滋悟朗「当たり前ぢゃろうが。」

柔「なるほど、納得したよ。」

柔「という事は、おじいちゃんの声が道場で響き渡るのね~。」

滋悟朗「うんにゃ、儂はもう怒鳴ったりせんからの~。」

柔「あら、そうなんだ、じゃあ、何するの?」

滋悟朗「見ておるだけぢゃ。」

柔「見てるだけなら居なくても良いんじゃない?」

滋悟朗「お前は、自分が教えておってそう言う事を言うのか?」

柔「もう~、おじいちゃんたら~、冗談だよ?」

滋悟朗「こやつは~、そう言うとこは以前と変わっておらんな。」

柔「どう?おじいちゃん、少しは元気出た?」

滋悟朗「お前、その為にわざわざ今の事を言うておったんか?」

柔「だって、最近、おじいちゃん元気無さそうだったんだもん。」

柔「たまには、あたしがこうやって相手してあげないとね?」

滋悟朗「ふん、余計なお世話ぢゃ、儂はまだまだ大丈夫ぢゃわ。」

柔「そうみたいだね~、それだけ元気が有れば。」

玉緒「はい、はい、もうご飯はよろしいですか?」

滋悟朗「儂はもうええぞ。」

柔「あなたは?」

耕作「俺もかな?」

4人「ごちそうさまでした。」

柔「お粗末様でした。」

玉緒「それじゃあ、片付けますか。」

柔「あっ、あたしがするから良いよ。」

玉緒「それじゃあ、お願いね。」

柔「うん、任せて~。」

柔「あなた?一緒に行こう?」

耕作「そうだね。」

柔と耕作は食器類を持って台所に行った。


台所に着くと柔と耕作は食器類を流しの洗い桶に入れた。

柔「直ぐ終わるから待っててね。」

耕作「分かった。」

柔は耕作にお茶を注いで渡した。

耕作「ありがとね。」

柔「うふ、何か言いたそうだね?」

耕作「以前もあんな感じで滋悟朗さんとやり合ってたの?」

柔は片付けを始めた。

柔「そうね~、中学校に入って暫くしてからはあんな感じかな?」

耕作「俺がこう言っちゃなんだけど、呆け防止にはなりそうだね。」

柔「うふふ、やっぱり、そう思うでしょう?」

柔「それなのに、『余計なお世話ぢゃ』って言うんだもんね~。」

耕作「でも、滋悟朗さん、嬉しそうに言ってたね。」

柔「あなたもちゃんと見てるのね~。」

柔「あたしもその笑顔が見たくてやってる様なもんなんだけどね。」

耕作「やっぱり、君っておじいちゃんっ子なんだって思うよ、そう言う事を聞くと。」

柔「そうだと自分でも思ってるよ。」

柔「以前も言ったと思うけど、一緒に居る時間が長かったからじゃないかな。」

柔「終わったよ~。」

耕作「お疲れ様だったね。」

柔「じゃあ、時間まで上に居ましょうか。」

耕作「そうだね。」

柔はポットにお湯を入れて耕作から湯呑を受け取り、それを洗って直した。
耕作はポットを持ち、柔はカップ2つと茶葉の入った急須を持って一緒に2階へ上がった。



      下に下りた二人は台所へ行き、耕作はポットを流しの横に置き柔はカップと急須を
      洗って直すと玄関へ向かった。

      柔「外で待ってましょうか?」

      耕作「そうだね。」

      柔「おかあさん、おじいちゃん、行ってくるね~。」

      耕作「行ってきます。」

      奥から玉緒と滋悟朗の返事が聞こえた。

      玉緒「行ってらっしゃい、気を付けてね~。」

      滋悟朗「頑張ってくるんぢゃぞ~。」

      柔「は~い。」

      柔と耕作は玄関を出て木戸を潜ると表で鴨田の到着を待った。

      柔「後どの位で来るかな?」

      耕作「そこまで待たなくて良いと思うよ。」

      柔「あ、来たよ。」

      鴨田が車を柔達の横に停めた。

      鴨田「待ってたんすか?」

      耕作「いや、少し早く出てきただけだよ。」

      鴨田「そうっすか、それなら良かったっす。」

      柔「何時もすみません。」

      鴨田「いえいえ、気にしなくて良いっすよ。」

      耕作は後部座席のドアを開けて柔を乗せると続いて自分も乗った。

      鴨田「それじゃ、向かうっす。」

      柔「お願いします。」

      鴨田は西海大へ向けて車を出した。


      車中で耕作は鴨田に話し掛けた。

      耕作「鴨田、原稿を持って行くから練習が終わったら会社へ行ってくれないか。」

      鴨田「良いっすよ、会社の用事が終わったらまた送れば良いっすか?」

      耕作「いや、少し買い物をして帰るから良いよ。」

      鴨田「そうっすか?分かったっす。」


      暫く走って西海大の駐車場に到着して車を停めると柔達は車から降りて
      道場へ歩いて向かった。

      耕作「鴨田、今日は富士子さんをメインで撮ってくれないか?」

      鴨田「了解っす、でも、柔さんはどうするっすか?」

      耕作「柔は練習してる姿だけで良いよ。」

      鴨田「分かったっす。」

      富士子が入口付近から声を掛けてきた。

      富士子「柔さ~ん、待ってたよ~。」

      柔「富士子さ~ん、お待たせ~。」

      富士子が柔達に中に入るよう促すと、柔は中に入る前に一礼して入り
      耕作と鴨田は柔に続いて中に入った。

      柔が到着した事を知った部員達から柔に声が掛けられて、それに応える様に柔は一礼した。

      富士子「皆も柔さんが来るのを心待ちにしてたのよ。」

      柔「そうだったのね、いきなり声を掛けられたから何か有ったのかと思っちゃった。」

      富士子「それで、今日の練習は柔さんが言ってた様に苦手な技の克服になってるから。」

      柔「監督は納得してるの?」

      富士子「納得どころか小躍りする位に喜んでいらっしゃったわ。」

      柔「そうだったのね~、良かった~。」

      耕作「ふふ、あの巨体で小躍りは無理だろうけど。」

      柔「もう~、あなたは~、酷い事言うのね~。」

      富士子「まあ、事実ですけどね、巨体なのは。」

      柔「富士子さんまで~。」

      富士子「ふふ、そうそう、明日のキョンキョンの見学も了承して貰ってるから。」

      柔「あ、そうなんだ、でも、明日だけじゃなくて明々後日まで来るって言ってたよ。」

      富士子「あら、そうだったのね、分かったわ、その事はまた話しておくわ。」

      柔「ごめんね~、言葉足らずで。」

      富士子「良いのよ~、それ位何でも無いから。」

      祐天寺が監督室から出て来た。

      柔「監督、お邪魔します、今日から数日お世話になります。」

      祐天寺「柔さん、良く来てくれました、こちらこそ、よろしくお願いします。」

      柔「それで今日の練習内容は富士子さんからお聞きと思いますけど。」

      祐天寺「はい、聞いております。」

      祐天寺「それと指導の方は富士子君メインでやられるとの事ですが何故ですか?」

      柔「その前にお願いしたい事が有るんですけど、よろしいでしょうか?」

      祐天寺「構いませんけど、どう言った事でしょう。」

      柔「あたしの会社にも柔道部が有るのはご存知ですよね?」

      祐天寺「はい、滋悟朗先生が指導されてたとか。」

      柔「それがですね、今度祖父の代わりにあたしが指導する事になりまして。」

      祐天寺「おお、そうでしたか。」

      柔「出来れば乱取りの練習をこちらで御一緒にさせて頂けないかと言うお願いなんですけど。」

      祐天寺「それはこちらとしても願っても無い事です。」

      柔「そうですか、ありがとうございます。」

      柔「それで折を見て練習試合とかもやりたいと思っています。」

      祐天寺「それは助かります、対外試合は日程の調整とかで中々組めないので。」

      柔「あたしが今来ている時間位にお邪魔しようかと思っているんですけど構いませんか?」

      祐天寺「こちらもトレーニングとかが終わった位になりますので構いませんよ。」

      柔「御了承頂いて感謝します。」

      祐天寺「それで富士子君をメインにすると言うのは?」

      柔「はい、あたしがここに来れない時は富士子さんに指導出来る様になって貰いたいからです。」

      祐天寺「そう言う事でしたか、それは有り難い事です。」

      柔「指導方法は、あたしと同じ感じでやって貰う様にする予定ですのね。」

      祐天寺「なるほど、柔さんが2人居る様なもんなんですね。」

      柔「はい、そう思って頂いて構いません。」

      祐天寺「それで今日の練習の苦手な技と言うのはどう言う風にされる予定なんですか?」

      柔「苦手な技を自己申告して頂いて、実際にそれを二人一組でやって貰って
        どうすれば改善するのかを指摘しようと思っています。」

      祐天寺「そうですか、それでは部員達に苦手な技が何かを確認して、それを克服する為の
           練習を始める旨を伝えてきます。」

      柔「そうして頂くと時間が省けます。」

      柔「あたしは少しトレーニングと打込みをしますので。」

      祐天寺「分かりました、終わりましたら、声を掛けて下さい。」

      祐天寺は部員達の所へ行くと柔が話した趣旨を説明していた。

      柔「それじゃ、着替えてくるね~。」

      耕作「行ってらっしゃい。」

      富士子「行ってらっしゃ~い。」

      柔は更衣室に入って行った。

      耕作「富士子さん、自分から監督にメインの事を話したんだね。」

      富士子「はい、その方が私の意気込みが監督に伝わるかと思ったからです。」

      耕作「その通りだと思うよ、柔が言うより君が直接監督に言った方が良いから。」

      耕作「苦手な技の指摘、富士子さんがする事になると思うけど。」

      富士子「私に出来るか不安です。」

      耕作「今日、基本は同じって言ったでしょう?」

      富士子「はい、そう言われてましたね。」

      富士子「あ、そう言う事ですか。」

      耕作「分かったみたいだね。」

      富士子「つまり、柔さんが言ってた事が出来ていないから苦手って事なんですね?」

      耕作「そう言う事だよ、だから、何で出来て無いかを見極めて、どうすればそれを
          改善する事が出来るかを教えてあげれば良いんだ。」

      富士子「分かりました。」

      富士子「松田さんが言われてる事が出来るか不安ですけど、やってみます。」

      耕作「最初の内は柔に教えて貰いながらで良いと思うよ。」

      耕作「途中からは教えて貰った事を踏まえて自分だけでやってみると良いよ。」

      富士子「松田さんって、本当にコーチに向いてるって今思いました。」

      耕作「そうかな?俺は当然の事を話してるだけのつもりなんだけど。」

      富士子「その事がコーチがする事だと思いますよ、だからなんです。」

      柔「何のお話してるのかな~?」

      耕作「お、今日は耳元では言わなかったんだね。」

      柔「もうしないって言ったじゃない?」

      耕作「あ~、そうだったね。」

      富士子「何の話ですか?」

      柔「あのね、あたしが主人の耳元で声を出すと主人が倒れるって言うから、
        あたしはもうしないよって言ったの。」

      富士子「松田さん、倒れたんですか?」

      耕作「いや、倒れるかもって言っただけなんだけどね。」

      富士子「なるほど、そう言う事なんですね。」

      柔「それで何のお話してたの?」

      富士子「私の指導のやり方を教えて貰ってたの。」

      柔「主人に?」

      富士子「そうなの、それが的確なのよ。」

      柔「へ~、そう言う才能が有ったのは以前から知ってたけど、富士子さんにも教えたんだ~。」

      耕作「君は俺にコーチの才能が有るって知ってたの?」

      柔「ジョディー達が言ってたじゃない?」

      耕作「あ~、そう言えば、言ってたね~。」

      富士子「ジョディーさん達は既に見抜いてたのか~。」

      柔「まあ、あたしはジョディー達に言われるずっと前から分かってたけどね~。」

      富士子「さすが、長年一緒に居ただけ有るわね~。」

      柔「じゃあ、トレーニングと打込みしてくるね~。」

      耕作「頑張れよ。」

      柔「はい!」

      柔はトレーニングを開始した。

      耕作「そうか、既に知ってたのか。」

      富士子「松田さんは知らなかったんですか?」

      耕作「柔は特に俺に対して何か言ってた訳じゃ無いからね。」

      富士子「そうなんですね。」

      富士子「あれ?柔さん、トレーニングのやり方を変えたんですか?」

      耕作「そうだよ、君にも可能性が有るって言ってたじゃない?」

      富士子「そう言えば、訪ねて来た時に言ってましたね。」

      富士子「あ、私に指導を任せる以外にも練習方法も変えたんですね。」

      耕作「そう言う事だね。」

      富士子「柔さんはしっかり自分の事も考えてるんですね。」

      耕作「そうだね、当然周囲の事にも気を配ってるけど。」

      富士子「そうなんですよね~、さすが、柔さんって思いますよ。」

      耕作「俺にコーチの素質か有る様に柔にも師範としての素質も備わってるかな~。」

      富士子「それは短大時代からそうでしたね。」

      耕作「そうだったね、皆に分かり易く丁寧に教えてたから。」

      耕作「実は、その素質、高校の頃から既に備わってたって思ってるんだ。」

      富士子「その頃から教えてたんですか?」

      耕作「うん、今みたいに積極的じゃ無かったけどね。」

      富士子「そうだったんですね~。」

      富士子「私は高校の頃の柔さんを知らないからな~。」

      富士子「勿論、柔道をしてるって言うのは知ってましたけど。」

      富士子「柔さんが高校でどう言う生活をしてたかは知らないって言う意味です。」

      耕作「それを言ったら、俺も出会う以前の柔の事は殆ど知らないよ?」

      富士子「そうなんですか?」

      耕作「ああ、例の巴投げを見る以前の柔の事は殆ど聞いて無いしね。」

      富士子「柔さんに聞いたりはしないんですか?」

      耕作「俺と出会って以降の事は俺も知ってるから良いとして、それ以前の事は
          柔本人が言わない限りは聞かない事にしてるんだ。」

      富士子「どうしてなんですか?」

      耕作「俺達2人の生活はまだ始まったばかりでしょう?」

      富士子「そうですね、その事と関係が有るんですか?」

      耕作「この先そう言う事も何時かは話してくれれば良いって思ってるからなんだよ。」

      富士子「なるほど、だから松田さんからは聞かないって事なんですね。」

      耕作「そう言う事になるかな。」

      柔「今度は何のお話してるのかな~?」

      耕作「早かったね~。」

      柔「もう~、回数減らすかもってお話したじゃない?」

      耕作「あ、そう言ってたね。」

      富士子「打込の回数の事?」

      柔「そうなの、ここに来る前にお話したのに、もう忘れてるんだから~。」

      耕作「いや、忘れてた訳じゃ無いよ?」

      柔「それなら何で『早かった』って言ったの?」

      耕作「実際に早かったから、そう言っただけなんだけど。」

      柔「あ、単にそう言う事だったのね。」

      耕作「そうだよ?」

      柔「まあ、それなら良いけど。」

      富士子「御2人の時間は終わりましたでしょうか?」

      柔「あは、ごめんね~、富士子さん。」

      富士子「相変わらずですね~、御2人共。」

      耕作「すまないね~、富士子さん、」

      富士子「監督に柔さんの練習が終わった事を伝えてきますね。」

      柔「ごめんね~、富士子さん。」

      富士子は祐天寺の所へ行った。

      耕作「それでどうだった?」

      柔「トレーニングとかの事?」

      耕作「うん、変えてみてどんな感じ?」

      柔「う~ん、今一ピンとこないかな?」

      耕作「そうだろうね、今迄のやり方に慣れてるから暫くは仕方ないかもね。」

      柔「そうだね~、慣れるしかないか~。」

      富士子と祐天寺が柔達の所へやって来た。

      祐天寺「柔さん、どう言う風にしましょうか?」

      柔「富士子さん?あなたならどう言う風にしたら良いと思う?」

      富士子「え~、いきなり私に振るんですか?」

      柔「だって今日のメインは富士子さんだからね?」

      富士子「あ、そうでした、ちょっと待って下さい・・。」

      富士子「そうですね~、一組だけに苦手な技を使って乱取りをやって貰い、残りの人達には、
           それを見て貰って自分達の参考にして貰うのが良いかなって。」

      柔「じゃあ、それでやってみようか。」

      柔「監督そう言う事なので一組を選んで下さい。」

      柔「後の方達は、それを見て自分達の参考になる点が有るか判断して貰うという事で。」

      祐天寺「分かりました、それでは一組を選んできます。」

      祐天寺は部員達の所へ行くと中央に全員を集めて、柔の話の内容を説明した後に
      部員達の中から一組を選び出した。

      柔「さあ、富士子さん行きましょうか。」

      富士子「はい、柔さん、よろしくお願いします。」

      柔「あなた、行ってくるね。」

      耕作「ああ、2人とも頑張って。」

      柔「はい!」

      富士子「頑張ります!」

      耕作「鴨田、ここからは富士子さんを撮ってくれ。」

      鴨田「了解っす。」

      鴨田は富士子が何かする度に撮影しようと構えた。

      柔と富士子は祐天寺が選んだ部員2人に話を聞くとその部員達に乱取りを始めさせた。
      暫く乱取りをさせていると富士子が柔に話し掛けて何か話していた。

      富士子は柔との話が終わると乱取りをしている2人を中止させて改善点を説明してる様だった。
      一通り説明が終わると、また乱取りを再開させた。

      耕作「(ふむ、俺が言った通りにしてるって事か。)」

      耕作「(改善点は上手くいってるみたいだ。)」

      耕作「(富士子さんの説明の仕方が分かり易かったのか。)」

      今度は柔が富士子に話し掛けていた。
      その話が終わるとまた乱取りを中止して再び改善点を説明して、
      それが終わると再度乱取りを開始させた。

      耕作「(ほ~、改善点を更に改善させてるのか。)」

      耕作「(どうも柔の納得いく様になってなかったみたいだな。)」

      再び、柔が富士子に話し掛けて話し込んでいた。
      富士子と柔の話が終わると富士子は乱取りを終わらせ皆を集めて今行われた内容を
      分かり易く身振り手振りで説明していた。

      耕作「(あのやり方、柔とそっくりだな。)」

      耕作「(うん?これで終わりの訳無いよな?)」

      富士子が一通り説明し終わって、柔が皆に話し掛けると何人かが挙手していた。
      柔が富士子に話し掛けると富士子は挙手した中から2人を選んで乱取りを始めさせた。

      耕作「(今のはどう言う事なんだろう?)」

      耕作「(これは俺にも分からないな、後で柔に聞いてみるか。)」

      また、富士子と柔が話して、それが終わると先程と同様に乱取りを中止させて
      改善点を教えてるみたいだった。
      教え終わると再度乱取りをさせ始めた。

      耕作「(今のはさっきと同じと思うんだが、何が違うんだろう。)」

      耕作「(そうか、分かった。)」

      耕作「(参考になったかどうかを聞いて、参考になって無い人が挙手したのか。)」

      耕作「(その中から選んで、また同様の事をやってるのか。)」

      柔と富士子が話し始めて話し終わると乱取りを終了させ、また皆を集めて説明を始めた。
      説明が終わると今度は富士子が皆に何かを聞くと再び何人かが挙手した。
      富士子は再びその中から2人を選んで乱取りを開始させた。

      耕作「(なるほど、今度は柔は口出ししなかったのか。)」

      耕作「(富士子さんに任せてみたんだな。)」

      今度は富士子が柔と話さずに乱取りを中止させて改善点を分かり易く説明していた。

      耕作「(富士子さんにも分かる改善点だったのかな?)」

      耕作「(それとも敢えて柔は何も言わなかったのか。)」

      富士子は説明し終えると再度乱取りを始めさせた。

      耕作「(ふむ、富士子さんの指摘と改善の説明で上手く改善されてるな。)」

      暫くして富士子は乱取りを終わらせて、再度皆を集めて内容の説明を始めた。
      説明が終わると富士子は皆に確認を取ったがまだ数名挙手した。
      すると柔がその挙手した人達に何かを聞き始めて聞き終わるとそれに対しての説明を始めた。
      柔は説明し終わって挙手した人達に何か聞いていたが納得したのか皆首を縦に振っていた。

      柔は富士子に話し掛けて富士子は祐天寺に話すと祐天寺が部員達を整列させて話し掛けると
      部員達は柔と富士子に一礼して柔と富士子も部員達に一礼すると監督が締めの挨拶を始めた
      時点で柔と富士子が耕作の元に戻って来た。

      耕作「鴨田、お疲れさん、ありがとな。」

      鴨田「松田さん、柔さんと富士子さんのツーショットも撮れてるっす。」

      耕作「さすがだな、鴨田。」

      鴨田「バッチリっすよ。」

      柔「終わったよ~。」

      富士子「何とか終わる事が出来ました。」

      耕作「2人ともお疲れ様だったね。」

      耕作「富士子さん、途中から一人でも上手く指摘と改善させてたね。」

      富士子「何とか出来たって感じですよ?」

      柔「富士子さん、そんな事は無かったよ、ちゃんと両方とも出来てたから。」

      富士子「柔さんにそう言われると安心するな~。」

      耕作「しかし、上手い方法を考えたね、あれって柔が考えたの?」

      柔「ううん、富士子さんが考えた方法だよ。」

      耕作「へ~、富士子さん、どうしてああいう方法にしたの?」

      富士子「それはですね、私が楽したかったからかな?」

      耕作「まあ、そうだろうけど、あのやり方は効率が良いと思ったよ。」

      柔「うふふ、あなたもそう思ってたんだね。」

      耕作「君もそう思ってたのか。」

      柔「疑問点が有る人を選び直してを繰り返して、その人数が最小になるまでやらせて、
        最後はその少ない人数に説明するだけって言うのは効率的に良いからね。」

      耕作「それを富士子さんが考え付いたのは素晴しいと思うね~。」

      富士子「いえいえ、私なんてまだまだですよ。」

      祐天寺がやって来た。

      祐天寺「柔さんも富士子君もお疲れ様でした。」

      柔「監督もお疲れ様です。」

      富士子「監督、任せて頂いてありがとうございます。」

      祐天寺「富士子君、中々のもんだったよ。」

      祐天寺「最初は少し不安だったが途中からはちゃんと出来てたと思うよ。」

      富士子「監督にそう仰って頂けるとやって良かったって思います。」

      祐天寺「しかし、柔さんも良く富士子君に任せてくれたと思いますよ。」

      柔「それはですね、富士子さんがあたしにお話してくれてた事が徐々に的を得た内容に
        なっていったので、途中から任せても大丈夫と確信したからなんですよ。」

      祐天寺「そうでしたか。」

      祐天寺「富士子君、柔さんもこう言ってるので自信を持って良いと思うぞ。」

      富士子「はい、明日からも頑張ります。」

      富士子「柔さん、ありがとう~。」

      柔「そんな~、富士子さんの実力だよ?」

      富士子「柔さんと松田さんが教えてくれたお陰ですって。」

      祐天寺「それでは、私はこれで戻ります、また明日お願いします。」

      柔「はい、ありがとうございます。」

      柔「また、明日お邪魔します、今日はこれで失礼します。」

      祐天寺「お疲れ様でした、失礼させて頂きます。」

      柔「お疲れ様でした。」

      富士子「監督、お疲れ様でした。」

      祐天寺は監督室に戻って行った。

      柔「富士子さん、明日からは完全に一人でも大丈夫そうだね。」

      富士子「え~、いきなりそれは無理ですよ~。」

      柔「聞かれたらちゃんと答えるから心配しなくて良いよ。」

      富士子「あ~、良かった~、もう何も教えてくれないかと思ってしまいましたよ~。」

      耕作「富士子さん?柔の言う様にちゃんと出来るから。」

      富士子「そうなんでしょうけど、やっぱり心細いのは有りますよ?」

      耕作「最後の方なんか一人でちゃんと出来てたんだから、少しは自信を持とうね。」

      耕作「監督もそう言ってたでしょう?」

      富士子「そうなのかな~?」

      柔「富士子さんなら出来る、大丈夫だよ、主人も言ってる様に自信を持つ事だよ。」

      富士子「2人からそう言われると少し自信が出てきた気がするかも~。」

      柔「そうそう、その心意気で明日から頑張ろうね。」

      耕作「部員の皆も着替えるみたいだから一緒に着替えてきたら?」

      柔「そうだね、皆と少しお話しないとね。」

      柔「富士子さん、行こう?」

      富士子「分かったわ、じゃあ、着替えてきます。」

      柔「あなた、着替えてくるね。」

      耕作「ああ、皆としっかり話してきて良いから。」

      柔「分かった~、行ってくる~。」

      富士子「行ってきます。」

      耕作「行ってらっしゃい。」

      柔と富士子は部員達が更衣室に向かうのに合わせて一緒に入って行った。

      耕作「(何とか初日は独り立ち一歩手前まで来たか。)」

      耕作「(明日以降が正念場かな?)」

      耕作「(でも、早い段階で独り立ち出来そうな気がする。)」

      耕作「(今の状態で行けば柔が言ってた様に土曜までで終わりそうだな。)」

      耕作「(富士子さんもリズム感が有るからタイミングの取り方とか分かり易いんだろうな。)」

      耕作「(部員達とも前回までの事も有ってか信頼関係は構築されてるな。)」

      耕作「(柔は皆と話をしないとって言ってたけど今後の事かな?)」

      耕作「(柔がここに来るのは今週で終わらないって事も伝えてるのかも。)」

      耕作「(でも、一番は今後は富士子さんが指導に当たるって事だろうな。)」

      暫くすると柔と富士子が部員達と談笑しながら更衣室から出て来た。

      部員達「柔さん、富士子さん、また明日もお願いします。」

      部員達「お先に失礼しま~す。」

      柔「お疲れ様でした~、こちらこそね~、また明日~。」

      富士子「皆、ありがとう~、御疲れ様でした、また明日ね~。」

      部員達は柔と富士子に会釈すると帰っていった。
      柔と富士子が耕作達の元に戻って来た。

      耕作「お帰り~。」

      柔「お待たせ~。」

      富士子「お待たせしました。」

      耕作「有意義な話し合いが出来たみたいだね。」

      柔「そうね~、皆が納得してくれたのが良かったよ~。」

      富士子「私も説明が分かり易かったって言われて嬉しかったです。」

      耕作「そうなんだ、明日以降も続けないといけないね。」

      富士子「はい、そう思います。」

      柔「良い感じに肩の力が抜けてて良かったよ、富士子さん。」

      富士子「柔さんに聞いてた事が分かり易かったから。」

      富士子「それで、私も気負わなくて済んだと思うわ。」

      耕作「明日の練習方法とかはもう皆には話してるの?」

      柔「うふふ、それはね~。」

      富士子「聞いて下さいよ~、松田さ~ん。」

      耕作「うん?どうしたの?」

      富士子「柔さんったら、『それは宿題だよ~』って。」

      耕作「え?柔?富士子さんに練習方法も考えさせる様にしたの?」

      柔「今日の練習方法は富士子さんが考えたから大丈夫だと思ったんだけどな~。」

      耕作「何をするかは皆にも話したんでしょう?」

      柔「は~い。」

      富士子「寝技だそうです。」

      耕作「え~、富士子さんの苦手な項目じゃない?」

      柔「苦手だからこそ、自分ならこうすれば分かり易いって思うんじゃないかな?」

      富士子「え~っと、柔さん?私、寝技の種類って殆ど知らないんですよ?」

      柔「大丈夫、基本を押さえてれば。」

      富士子「その基本も殆ど知らないんですけど?」

      柔「それはちゃんと教えるから心配しなくて良いよ。」

      富士子「お願いしま~す、柔さんだけが頼りなの~。」

      柔「富士子さん、ヒントだけ出すね。」

      富士子「はい、どんなヒントなんですか?」

      柔「寝技を練習するにはどうすれば良いか、これを考えてみてね。」

      耕作「花園君と相談しても良いんだよね?」

      柔「勿論、相談しても良いよ。」

      耕作「柔?俺もヒント出して良い?」

      柔「うん、良いよ~。」

      耕作「富士子さん、柔が今までで一番進歩した点が何か考えてみたら直ぐ分かるよ。」

      富士子「柔さんが一番進歩した点ですか~。」

      富士子「・・・、あ~、分かった~。」

      耕作「それを考慮しながら考えれば良いと思うよ。」

      柔「あなた~、随分甘々なヒントを出すのね~。」

      富士子「え?今のが甘々なヒントなの?」

      柔「そうだよ~、相当甘々なヒントだよ~。」

      富士子「帰ったら早速考えてみるね。」

      柔「そうしてね~。」

      柔達が道場から出る際に柔と富士子は道場に一礼して出た。

      柔「それじゃ、また明日ね~。」

      富士子「うん、待ってるから~。」

      富士子は帰っていった。

      耕作「鴨田、会社まで頼むよ。」

      鴨田「了解っす。」

      柔達は駐車場へ行くと車に乗って耕作の会社へ向かった。