柔と耕作(松田)の新婚日記 16日目 (夜編第1部)
文書量(文字数)が膨大な為、一日を8分割で表記しています
部屋に入り荷物を置いて土産だけを持つと下へ下りて行った。
台所を通りかかると玉緒が晩御飯を作っていた。
柔「あたしも手伝おうか?」
玉緒「今日は良いわよ、それよりおとうさんにご挨拶してきなさい。」
柔「うん、分かった、行ってくるね。」
柔と耕作が居間へ行くと滋悟朗はテレビを見ていた。
柔「おじいちゃん、帰ったよ~。」
耕作「ただいま戻って来ました。」
滋悟朗「お~、無事に帰ってきおったか~。」
柔「これ、お土産ね~。」
滋悟朗「すまんの~、こりゃまた、仰山買うてきてからに。」
柔「食べ切れなかったら他所に分けても良いんだよ?」
滋悟朗「食べ切れんとは言うとらんぢゃろう?」
柔「そう言うと思った、少しずつ食べてね。」
滋悟朗「そうするつもりぢゃわ。」
滋悟朗「ところで向こうでも練習はしとったんぢゃろうな?」
柔「勿論だよ、高校の柔道部の部員達を教えながらだったけど。」
滋悟朗「ほう、向こうでも教えておったんか。」
柔「そうだよ。」
滋悟朗「松ちゃんよ、柔の教え方はどうぢゃった?」
耕作「はい、柔道になってなかった物がちゃんとした柔道に変りましたよ。」
滋悟朗「そうか、それなら将来はここの道場にも人を呼べそうぢゃのう。」
耕作「極端な言い方かもしれませんけど、柔道好きで少しでも齧った者なら
入れても大丈夫かと思います。」
滋悟朗「それ程教え方が上手いという事ぢゃな?」
耕作「はい、そう受け取って頂いて構わないかと。」
滋悟朗「分かった、詳しい話は晩飯の時にでも聞くとするかの~。」
滋悟朗「晩飯まで上で休んどって良いぞ。」
柔「じゃあ、また後で下りてくるね。」
耕作「一旦上に上がります。」
柔と耕作は2階へ向かう途中台所に寄った。
柔「おかあさん、おじいちゃんに挨拶してきたから手伝おうか?」
玉緒「あなた達は今日はゆっくりしてて良いわよ、出来たら呼ぶから。」
柔「ごめんね、じゃあ、上に上がってるから。」
耕作「すみません、失礼します。」
柔はポットとカップを持つと耕作と一緒に2階へ上がった。
部屋に入ると耕作はベッドに座り、柔はコーヒーを淹れて耕作に渡しながら寄り添って座った。
柔「お疲れ様でした、コーヒー飲んで寛いでね。」
耕作「ありがとね、君も疲れただろう?」
柔「そこまでは無いかな?」
耕作「ここでこうしてると、やっぱり落ち着くね。」
柔「そうだね、あなたにとっても、もうここが実家になってるね。」
耕作「うん、俺もそう思うよ。」
柔「あ~、会社と富士子さんに電話するのすっかり忘れてた~。」
耕作「あ、そうだった、俺もすっかり忘れてたよ。」
耕作「今からでも電話してみる?」
柔「そうね、会社は良いとして富士子さんにはしておかないといけないね。」
耕作「そうした方が良いね、じゃあ、一緒に行こうか?」
柔「いえ、あたしだけ行ってくるから、あなたはここで休んでて良いよ。」
耕作「分かった、じゃ、そうするよ。」
耕作「忘れてて、ごめんよ。」
柔「ううん、気にしないでね?行ってくるね。」
耕作「いってらっしゃい。」
柔は下へ下りて行った。
耕作「(失敗したな~、電話する事自体をすっかり忘れてた)。」
耕作「(柔は、ああ言ってくれたけど悪い事したな。)」
耕作「(何かで埋め合わせしてあげないとな~。)」
耕作「(何かするにしても明日以降か。)」
耕作「(柔も明日以降に備えさせないといけないしな~。)」
耕作「(そう言えば晩御飯前に練習するとか言ってたけど・・。)」
耕作「(どうするつもりなんだろう?何も言わなかったけど。)」
耕作「(戻ってきたら聞いてみるか。)」
階段から足音が聞こえて来た。
耕作「(戻ってきたかな?)」
ドアが開いて柔が入ってきた。
柔「終わったよ~。」
耕作「お疲れ様だね、どっちも終わったの?」
柔「うん、会社には明日行く事を伝えて、富士子さんにもお話したから。」
柔「会社の方は羽衣課長は終日居るから何時でも良いって言われたよ。」
耕作「それは良かったね、時間切られると慌しくなるしね。」
柔「富士子さんの方も来る前に電話くれたら何時でも良いって。」
耕作「富士子さんは午後からの練習しか無いからかな?」
柔「そうだと思うよ。」
柔「じゃあ、少しだけ体を動かしてくるね。」
耕作「俺も一緒に行っても良いかい?」
柔「良いよ、その方があたしは嬉しいもん。」
耕作「そのまま行くの?」
柔「まさか~、ウェアに着替えるから。」
耕作「俺がじゃないよね?」
柔「え?あなたが着替えさせてくれるの?」
耕作「いやいや、何時もそうだけど、確認しただけで何で俺が着替えさせる事になるんだい?」
柔「あなたがそうしたいのかな~って思ったからだよ?」
耕作「君は前も同じ事言ってたけど、自分で着替えるならそれで良いよ。」
柔「ちぇ~、良いもん、自分で着替えるから。」
耕作「その方が早く着替えられるでしょう?」
柔「そうなんだけどね。」
柔「それじゃ、着替えるね~。」
柔はウェアを出すと耕作に背中を向けて脱ぎだした。
耕作「何でそっち向くの?」
柔「そっち向いて着替えても良いの?」
耕作「いや、そのままそっち向きで着替えて良いよ。」
耕作「どうせまたブラして無いんだろうし。」
柔「凄~い、良く分かったね?」
耕作「それは君が俺に背中向けた時点で直ぐ分かったよ。」
柔は着ている服を脱いだ。
耕作「ほら~、やっぱり着けて無いし~。」
柔「えへ、そっち向いても良い?」
耕作「駄目~、早く着替えなさい。」
柔「何だ~、少し位見たいのかと思ったのに~。」
耕作「ほらほら、話してると時間が無くなるよ。」
柔「は~い。」
柔はウェアの上下を着た。
柔「準備OK~、行こう?」
耕作「何でスポブラしなかったの?」
柔「今からする分は激しい動きしないつもりだから。」
柔「それと、ちょっと確認したい事も有るしね。」
耕作「何か分からないけど、君がそう言うならそのままでも良いか。」
耕作「それで晩御飯まで時間有るの?」
柔「うん、さっき、おかあさんに後どれ位か聞いて来たから大丈夫だよ。」
耕作「分かった、じゃあ、行こうか。」
柔「は~い。」
耕作はカメラを持つと柔と一緒に道場へ向かった。
柔「写真撮るの?」
耕作「分からないけど一応は持っておいた方が良いかと思ったから。」
柔「そうなのね。」
柔は道場に入る前に一礼をすると奥の方へ進んだ。
耕作は入り口から柔を見ていた。
柔は柔軟から簡単なトレーニングをして受け身をすると次は以前の様に正座して目を瞑った。
耕作「(確かに、柔が言ってた様に激しい動きの分はしなかったな。)」
耕作「(上下運動のも何でか知らないけど数回して辞めてるし。)」
耕作「(最後のは以前やってた自分の体の異常個所のチャックだったっけ?)」
耕作「(あの状態でどうやって自分の体をチャックしてるんだろう。)」
耕作「(聞いても柔自身には分からないかもしれないな。)」
耕作「(感覚的なモノの様な気がするから。)」
柔が目を明けて立ち上がると耕作の元へ来た。
柔「終わったよ~。」
耕作「相変わらず、速いね。」
柔「そうだった?良かった~。」
耕作「風呂はどうする?」
柔「一緒に入ってくれるの?」
耕作「いや、それはまたの機会で。」
柔「うふ、冗談なのに真面目に答えるんだから~。」
柔「でも、またの機会って事は今晩以降に期待して良いのかな~?」
耕作「そう思って貰って良いよ。」
柔「わ~い、もし期待を裏切ったら~。」
耕作「心配しなくて良いから、で、今からどうするの?」
柔「全然汗かいて無いから今は良いかな?」
耕作「あれだけ動いて汗かいて無いって凄いね。」
柔「殆ど動いて無いよ?トレーニングも簡易でやったし。」
耕作「そう言えば、ジョディー達との試合でも殆ど汗かいて無かったね。」
柔「あの時も余り動かなかったしね。」
耕作「確かに、皆は君を動かそうとしてたけど、どうやったの?」
柔「直線的な動きをさせない様にしてたよ。」
耕作「どう言う事?」
柔「あたしを中心にして円を描く様に誘導してたの。」
耕作「それは自分の意志でやってたって事だよね?」
柔「うん、そうだよ、体は勝手に反応してるみたいだったけど。」
耕作「道理で殆ど動いて無い様に見えたはずだ。」
耕作「さすがに俺もそれは気が付かなかった。」
耕作「滋悟朗さん辺りは分かってたのかな?」
柔「多分、分かってたと思うよ。」
柔「ジョディーの時だけかな?直線で動いたのって。」
耕作「あ~、そうだったね、でも、あれも往復してただけじゃなかった?」
柔「そうだね、押された分を押し返しただけだったかな?」
耕作「あ、そろそろ戻って着替えないといけないよね?」
柔「着替えなくても良いけど、戻ろうか。」
耕作「分かった、じゃあ、戻ろう。」
柔と耕作は道場から出たが、出る時には柔は一礼していた、それから柔達は2階へ向かった。
柔達は2階へ向かい上に上がって部屋に入ると耕作はカメラを机の上に置きベッドに座った。
柔「コーヒーは?」
耕作「頂こうかな?」
柔「分かった~。」
柔はコーヒーを淹れて耕作に渡しながら寄り添って座った。
柔「原稿は晩御飯の後に書くの?」
耕作「今から書いて呼ばれたら中途半端になるから後で書くよ。」
柔「それもそうか。」
耕作「ところで体に異常は無かったの?」
柔「あは、覚えてたのね、大丈夫、どこも可笑しく感じたとこは無かったよ。」
耕作「やっぱり、感覚で把握してたんだ。」
柔「そうだよ~、前からそうやってたしね。」
耕作「ところで明日の朝からは普通の練習に戻るんだよね?」
柔「うん、道場で何時ものをするかな?」
耕作「ちょっと聞きたいんだけど良いかな?」
柔「何時から今みたいな運動が出来なくなるかね?」
耕作「そうだけど、良く分かったね。」
柔「あなた?以心伝心・・だよ?」
耕作「そうだった、それで何時からなの?」
柔「今の運動を続けられるのは今週中までかな?」
柔「来週以降は受け身は止めないと駄目っぽい。」
柔「それと運動量も減らさないといけないかな。」
耕作「そうなんだ、でも、君はどこでそう言う知識を?」
柔「富士子さんと一緒に産婦人科に行ってた時に一緒に聞いてたから。」
耕作「なるほど、相変わらずの記憶力だね。」
柔「さっきの続きだけど4週目から16週目までは軽めの運動だけね。」
柔「それ以降は少し運動量は増やしても良いみたい。」
柔「だけど、飛んだり跳ねたりは以ての外。」
柔「後は転倒しない様に気を付けないといけないんだって。」
耕作「そうすると、やっぱり2階だと不安だね。」
柔「その辺りも含めて確定した時点で家族会議かな?」
耕作「そうするしかないか。」
柔「一番簡単なのは、あなたには辛いかもだけど、あたしとおかあさんが一緒の部屋かな?」
耕作「いや、俺の辛い事なんか良いから君自身の事だけ考えて良いよ。」
耕作「それに別の家に住む訳じゃ無いんだしね。」
柔「あなたがそう言うならその方向でお話してみるね。」
柔「問題はおとうさんが帰って来た時かな~。」
耕作「それはまだ先の事だから、その時が来そうになってで良いんじゃない?」
柔「そうだね、その時にまたお話すれば良いか。」
柔「このお話が無駄にならない様に祈っておかないと・・。」
耕作「それは俺も祈ってるから。」
柔「あなたの祈りは効果絶大だからお願いね~。」
耕作「勿論さ、安心してて良いよ。」
柔「そろそろ下りてみようか?」
耕作「そうだね。」
柔と耕作は下に下りると台所へ向かった。
柔達が台所へ行くと玉緒は晩御飯の用意が終わっていた。
玉緒「あら、今から呼びに行こうかと思ってたのに。」
柔「丁度良かったんだね。」
玉緒「そうね、じゃあ、運ぶのを手伝って貰いましょうか。」
柔「その前に、おかあさん?」
玉緒「何?もしかして、来なかったの?」
柔「うふ、うん、そうなの。」
玉緒「分かったわ、でも、まだおとうさんには内緒よ。」
柔「勿論だよ、確定するまでは教えないって決めてるから。」
玉緒「同じ事を考えてたのね、それで良いわよ。」
耕作「(やっぱり、この2人も似てるな~、同じ事を考えてるし。)」
柔「じゃあ、持って行きましょうか~、あなたもお願いね~。」
耕作「ああ、分かった。」
柔達3人は銘々料理他を持つと居間へ向かった。
玉緒「おとうさん、お待たせしました。」
滋悟朗「おお、待っておったぞ、早速食べようかの~。」
柔達3人は持ってきた料理を座卓の上に並べると銘々の場所に座った。
4人「いただきます。」
滋悟朗「柔よ、向こうはどうであった?」
柔「お母様もお父様も良くしてくれたよ。」
柔「あたしも色々とお手伝いしたけどね。」
滋悟朗「そうか、喜んどったか?」
柔「うん、凄く喜んでくれてた。」
柔「あちらのお母様からおじいちゃんとおかあさんに今後ともよろしくお願いしますって。」
玉緒「まあ、そうでしたか、今度お電話でも掛けてみようかしら?」
柔「そうしたらきっと喜ぶと思うよ。」
柔「その時はあたしもお話させてね。」
滋悟朗「松っちゃんのご両親は律儀な方ぢゃからのう、礼は尽くさんとな。」
滋悟朗「ところで柔よ?」
柔「何?おじいちゃん。」
滋悟朗「赤子の方はどうなんぢゃ?」
柔「まだ分からないよ~、ハッキリしたらおじいちゃんには必ず言うよ。」
柔「あんまりせっついたりすると出来ないって言われてるから。」
柔「それまでは待っててね。」
滋悟朗「そうなんぢゃな、分かった、お前から聞くのを楽しみに待っとるとするかの~。」
玉緒「柔?向こうではどうだったの?」
柔「さっきも言った様に色々お手伝いしたり、お料理も習ったりしてたから楽しかったよ。」
玉緒「まあ、お料理も習ったのね、今度教えて頂戴?」
柔「うん、教えるね。」
滋悟朗「松ちゃん、向こうへは新婚旅行という事ぢゃったがその辺りはどうなんぢゃ?」
耕作「はい、柔も言いましたけど、それ以外に色々周ったりもしましたから、
それなりに新婚旅行としても満喫してきました。」
滋悟朗「そうか、それは良かったの~。」
滋悟朗「あ、そうぢゃった、柔、明々後日の午前中は予定を空け取ってくれんか?」
柔「何か有るの?」
滋悟朗「ほれ、虎滋朗が頼んどった業者がお前の意見を聞きたいと言うてな。」
柔「あ~、ここに来てくれるんだ。」
滋悟朗「そう言うことぢゃ。」
柔「うん、分かった予定に入れとくね。」
滋悟朗「儂から頼みぢゃが、余りハイカラな物にはせんでくれ。」
柔「その辺りは分かってるつもりだよ、道場に合わせる様な外観にして貰うから。」
滋悟朗「さすがは儂の孫ぢゃな、良う分かっとるの~。」
玉緒「お食事はもうよろしいですか?」
滋悟朗「そうぢゃな、良かろう。」
4人「ごちそうさまでした。」
滋悟朗「柔に松ちゃん、今日はゆっくりするんぢゃぞ。」
柔「うん、そうする~。」
耕作「はい、その様にします。」
柔「おかあさん、片付け手伝うよ。」
玉緒「そう?じゃあ、お願いしようかしら。」
玉緒「おとうさん?もう少ししたらお風呂をどうぞ。」
滋悟朗「分かった、そうするかの~。」
柔達3人は食器等を持って台所へ向かった。
台所に着くと柔と玉緒は片付けを始めた。
柔「あなた?そこに座って待っててね。」
耕作「分かった、そうするよ。」
柔は手を休めてお茶を入れると耕作に渡した。
耕作「ありがとね。」
柔「直ぐ終わるから、待っててね。」
耕作「慌てなくて良いからね。」
柔「は~い。」
柔はまた片付けに戻った。
玉緒「耕作さん?柔は向こうではどうでしたか?」
耕作「はい、良くやってたと思います。」
耕作「両親、特にお袋が喜んでいました。」
玉緒「そうでしたか、ちゃんと出来てたみたいね?柔?」
柔「うん、さっき言ったのもだけどお掃除とお洗濯も手伝ったよ。」
玉緒「まあ、そうだったのね、頑張ったわね。」
柔「うふふ、喜んで貰えて嬉しかったよ。」
玉緒「それが一番何よりですよ。」
玉緒「ところで耕作さんの事を何故主人って呼ぶ様にしたの?」
柔「う~ん、特に理由は無いんだけど~、主人のお友達とお話してる時に、つい、
そう呼んじゃって、それをそのまま他の人にも使っちゃったのかな?」
玉緒「耕作さんはそれで構わないんですか?」
耕作「はい、柔のしたい様にして貰って構わないので。」
玉緒「耕作さんがそう言うなら柔の好きな様に呼んでも構わないけど。」
耕作「キョンキョン、ご存知ですか?」
玉緒「はい、今日子さんですよね?」
耕作「はい、そうです、彼女も最初は違和感有ると言ってましたけど、途中からは
気にしなくなってたみたいです。」
玉緒「そうでしたか、私もそのうち慣れるかしら?」
玉緒「あ、そうそう、今日子さんにカメラを頼んだのを連絡するの忘れててごめんなさいね。」
耕作「いえ、手元に届いたので気にしないで下さい。」
柔「おかあさん?キョンキョンが家に来たのは何時なの?」
玉緒「あなた達が出発した翌々日の午後に訪ねていらっしゃったの。」
柔「そうだったんだね。」
玉緒「それで『これから耕作さんの実家まで行くんですけど何か伝言有ります』かって。」
玉緒「だからカメラを持って行って貰う様にお頼みしたのよ。」
柔「なるほど、でも、どうやってツアーの事を知ったんだろう?」
耕作「それは明後日会うから、その時に聞けば良いんじゃない?」
柔「あ、そうだね、じゃあ、そうする。」
柔「良し、終わった~。」
玉緒「お手伝い、ありがとうね。」
玉緒「それじゃあ、お風呂に入るまではゆっくりしてなさい。」
柔「うん、そうするね~。」
柔「あなた?お待たせ~、上に行こう~。」
耕作「分かった、じゃあ、玉緒さん、失礼します。」
柔と耕作は2階に上がった。
2階の部屋に入ると耕作はベッドに座り、柔はコーヒーを淹れて耕作に渡し寄り添って座った。
柔「はい、確定する様祈りを込めたコーヒーだよ~。」
耕作「何のかな~?ありがとね。」
柔「もう~、分かってるくせに~。」
耕作「今週何も無かったら確率は上がるの?」
柔「そうだね、まあ、2週間後を楽しみにしてて?」
耕作「分かった、もう聞かない事にするよ。」
柔「そうしてくれると助かるよ。」
耕作「練習量を落とすと、それだけ体力、筋力が衰えるよね?」
柔「そうだね、でも仕方ないよ。」
耕作「それはそうなんだけど、そうならない為に補える様な運動って何か無いのかな?」
柔「筋力の方は何とかなりそうだけど、体力はね~。」
柔「維持出来てたとしても、出産で使い切ってしまいそうな気がする。」
耕作「さすがに使い切るは無いと思うけど、かなり衰えそうだよね。」
柔「使い切るは言い過ぎだったね。」
柔「富士子さんを見てたけど、やっぱり、出産後はかなり衰えてた気はするよ。」
耕作「うん、それは俺も感じてた。」
耕作「それなのに俺は富士子さんに酷い事をお願いしたって思うよ。」
柔「あたしを復帰させる為にでしょう?」
耕作「そうなんだけどね。」
耕作「今の君の話を聞くと結構無茶をさせたな~って。」
柔「でも、富士子さんも納得尽くでやってたから、あなたを恨んだりしてないと思うよ。」
耕作「それが分かってるから余計に辛いんだ。」
柔は耕作を抱き締めた。
耕作「急にどうしたの?」
柔「あなたがそう思うと逆に富士子さんが辛くなるんだよ?」
耕作「あっ、確かに、君の言う通りだね。」
耕作「悪かった、今後はそう言う事は思わない様にするよ。」
柔「分かってくれて、ありがとう。」
柔「あたしは富士子さんに感謝してる、その時の事も含めてね。」
柔「それって間接的だけど、あなたにも感謝してる事になるの。」
柔「だから、自分を責めるのだけは止めてね?」
耕作「うん、君の言う通りだと思う。」
耕作「さっきも言った様に二度とそう思わないから、安心してね。」
耕作は思わず柔の頭を撫でていた。
耕作「また、君に助けられたね。」
柔「ううん、助けたんじゃないよ、あなたに気付かせただけだから。」
柔「あなたはあたしの為にした事で悩んでたのね。」
柔「あたしが柔道を再開した事と富士子さんに負担を掛けた事。」
柔「どちらもあなたがやった事だよね。」
柔「あたしが柔道を再開した事は事実だけど、富士子さんへ負担を掛けたって言うのは
あなたの思い込み。」
柔「でも、富士子さんは実際には負担とは思って無かった。」
柔「もう分かるよね?あたしが言いたい事は。」
耕作「うん、君が言う様に事実だけが本当の事だね。」
耕作「そうか、俺の思い込みだよな~。」
柔「あたしも思い込みが激しいってあなたが言ってたけど、あなたも同じなんだね。」
柔「どっちもだね。」
耕作「ふふ、そうだね、ほんとに似てるよ俺達って。」
柔「あっ。」
耕作「お願いね。」
柔「うふ、うん、淹れるね。」
柔は抱擁を解くと耕作からカップを受け取りコーヒーを淹れて渡しながら寄り添って座った。
柔「はい、感謝の気持ちが篭ったコーヒーだよ。」
耕作「ありがとね、その気持ちを噛み締め乍ら飲むよ。」
耕作「しかし、君ってほんとに良く分からない子だって思うよ。」
柔「何で?」
耕作「今みたいな考えがすんなり出て来るんだから。」
柔「ふっと思い浮かんだ事を言っただけなんだけどね~。」
耕作「その方が凄いと思うよ、考えずに今の事が出てくるのが。」
柔「あ、富士子さんが負担に思って無かったて言うのはほんとだよ?」
耕作「本人がそう言ってたの?」
柔「ううん、言われて無いけど、あたしが復帰して初めて再開した時に富士子さん
嬉し涙を流してたから、そう思ったの。」
耕作「なるほど・・、あ~、土手を走ってた時の事だね?」
柔「そうなの。」
柔「それで、その時にさやかさんと闘う事になっても平気なのかって聞かれたの。」
耕作「富士子さんから?」
柔「うん、でも、あたしはまだその時悩んでたんだろうね、即答出来なかったから。」
柔「でも、あなたの為に柔道を続けるんだって言う気持ちが強かったから、
以前みたいに逃げる様な事はしなかったよ。」
耕作「そうか~、そう思ってくれてたんだね~。」
柔「その気持ちは今の方がもっと強くなってるけどね。」
耕作「君がそう思ってくれてるだけで俺は満足だよ。」
柔「あなた~。」
柔は耕作を見上げると目を瞑った、それに応える様に耕作は柔の両頬を手で
そっと包むと優しく長めのキスをした。
柔「うふ、催促したみたいになっちゃったね。」
耕作「いや、俺もそうしたいって思ってから。」
柔「以心伝心、一心同体だね~。」
耕作「そうだね。」
柔「ね~、あなた?」
耕作「勿論だよ。」
柔「何も言ってないのに良く分かったね?」
耕作「たった今君が言ったじゃない?」
柔「そうだったね~。」
柔「でも、一緒に入るだけにしようね~。」
耕作「でも、洗いっこはするんでしょう?」
柔「それはね~、あなたもその方が良いでしょう?」
耕作「そこも一心同体だよ。」
柔「うふふ、そうだね~。」
玉緒「あなた達~、お風呂に入りなさ~い。」
柔「あ、は~い、分かった~、ありがとう~。」
柔「じゃあ、入ろうか?」
耕作「分かった、行こう。」
柔と耕作は風呂に入る用意をするとポットとカップを持って下に下りて行った。