柔と耕作(松田)の新婚日記 16日目 (午後編第2部)

            文書量(文字数)が膨大な為、一日を分割で表記しています




      柔は搭乗券をCAに見せて座席へ案内して貰いそこへ座った。

      柔「今回は前じゃ無かったね。」

      耕作「そうだね、でも君と一緒ならどこでも良いよ。」

      柔「うふふ、あたしもあなたと一緒ならどこでも良いよ~。」

      耕作「さっき、三浦が言った時なんで美咲さん経由って言ったの?」

      柔「あなたなら何でか分かると思うけど?」

      耕作「美咲さんへ連絡させる事で2人の仲をより親密なものにしようとしたの?」

      柔「それも有るけど、もう一つ大事な事が有るの。」

      耕作「それは何だい?」

      柔「あたしに先生から直接連絡すると、美咲さんの事だから無いとは思うけど、
        万が一、嫉妬心が芽生えたりするといけないからね。」

      耕作「なるほど、確かに、そこまで考えておかないといけないね。」

      柔「あたしが原因で2人が分かれたりするのは絶対に嫌だから。」

      耕作「あの2人がそこまで理解してくれたら良いね。」

      柔「先生も美咲さんも分かってくれたから、あたしには何も言わなかったんだと思うよ。」

      耕作「確かに、君に聞き直したりしなかったね。」

      耕作「ところで美咲さんが舞さんの事を君に似てるって言ってたけど。」

      柔「あたしの話し方に似てたからそう言ったんじゃない?」

      耕作「そう言えば、何だか君が話してる感じはしてたよ。」

      柔「まさかとは思うけど、話し方を真似する事で会話を長くしようと思ってるのかな?」

      耕作「いや、話し方を真似した位じゃ君の会話術は真似出来ないと思うよ。」

      柔「会話術って、あたしそんな事してるって思って無いんだけどな~。」

      耕作「これも君の無意識の行動の一つだと思うよ。」

      柔「あたしって、そんなのばっかりだね~。」

      耕作「でも、それが君の良さでも有るんだから。」

      柔「うふふ、褒められてるのかな?」

      耕作「勿論、褒めてるんだよ。」

      柔「えへへ、嬉しいな~。」

      機内アナウンスで離陸する旨が伝えられた。

      柔「飛び立つね。」

      耕作「柔?」

      柔「な~に~?あなた~。」

      耕作「外を見てごらん。」

      柔「何が有るの・・、あ、上の方にキョンキョン達が居るね。」

      柔は窓から皆に手を振った。
      キョンキョン達もそれが分かったのか手を振っていた。
      機体が後ろに押されている間ずっと両者で手を振り合った。

      柔「あ~、反対側になっちゃった~。」

      耕作「それは仕方ないよ。」

      柔「そうだね、まあ、キョンキョン達には東京でまた会えるから良いけど。」

      機体が所定の位置まで移動した。
      エンジン音が激しくなりブレーキロックが外され機体が加速していき離陸を開始した。
      暫く地上を疾走した後機体がふわりと宙へ浮かび上がり上空へ向けて飛び上がった。

      柔「相変わらず、シートに押し付けられる感じがする~。」

      耕作「それだけ加速してるんだろうね。」

      柔「上に居る時間ってどの位なんだろう?」

      耕作「1時間位じゃないのかな?」

      柔「じゃあ、アトランタからよりは遥かにましだね。」

      耕作「それはそうだよ、あの時は半日以上も上に居たから。」

      柔「あたしは半分以上寝てたけどね。」

      耕作「それは俺も同じさ。」

      柔「1時間じゃ寝る暇ないね~。」

      耕作「寝ても良いんだよ?」

      柔「乗り過ごさないかな?」

      耕作「飛行機で乗り過ごしたとか聞いた事無いけど?」

      柔「あは、だよね~、必ず降りないといけなんだもんね。」

      柔「少し寝ようかな?」

      耕作「良いよ、俺も寝るから。」

      柔「え?誰が起こしてくれるの?」

      耕作「心配しなくてもCAが起こしてくれるから。」

      柔「あ、そっか、じゃあ、心配しなくても良いんだね。」

      柔「少し寝るね。」

      耕作「ああ、ゆっくりおやすみ。」

      柔は目を瞑り頭を耕作の肩に預けて暫くすると眠っていた。

      耕作「(話疲れたかな?)」

      耕作「(舞さん達も不思議がってたけど、良く話が続くな。)」

      耕作「(帰って暫くはゆっくり出来ないか。)」

      耕作「(今回の旅行も柔にとっては余り骨休めにはなって無いな~。)」

      耕作「(でも、妊娠が確定したら、その時にゆっくり休んで貰う様にするか。)」

      耕作「(しかし、柔の事だからお腹が大きくなっても柔道に関わろうとするだろうけど。)」

      耕作「(柔は真面目で何事にも一生懸命だけど、猪突猛進型でも有るんだよな~。)」

      耕作「(だからこそ、俺が制御役も務めないといけないんだよな。)」

      耕作「(さてと、俺も少し寝るかな。)」

      耕作も目を瞑り柔の頭に自分の頭を預けているうちに寝入ってしまった。


      耕作は頭が動いて目を覚ました。

      柔「おはよう~。」

      柔「ごめんね~、あなたの頭が載ってたって思わなかったよ。」

      耕作「おはよう。」

      耕作「いや、それは気にしなくて良いよ。」

      耕作「良く眠れたかい?」

      柔「うん、ぐっすり寝てた。」

      耕作「それは良かった、俺もぐっすり寝てたよ。」

      柔「どの位寝てたのかな?」

      耕作「3、40分位じゃない?」

      柔「凄く寝た気分だね~。」

      耕作「じゃあ、間違い無く、ぐっすり眠れたみたいだね。」

      柔「それなら良いな~。」

      柔「後どの位なんだろう?」

      耕作「もうそろそろだと思うよ。」

      機内アナウンスでもう直ぐ到着する旨が知らされた。

      柔「あなたの勘は冴えてるね~。」

      耕作「当てずっぽうで言っただけなんだけど。」

      柔「それでも凄いと思うよ?」

      柔「しかし、やっぱり、早いね~。」

      耕作「行く時も飛行機にすれば良かったかな?」

      柔「ジョディー達も居たから列車で良かったんじゃないかな?」

      耕作「それもそうか、乗った事無いとか言ってた気がするね。」

      柔「皆、多分、あれだけ長い時間列車に乗った事は無かったと思うから。」

      柔「良い経験になったんじゃない?」

      耕作「そうだね、それに景色も楽しんでたみたいだから。」

      柔「ジョディー達無事に着いたかな~。」

      耕作「大丈夫と思うよ、彼女達も飛行機旅は慣れてるだろうし。」

      柔「そうだよね、向こうは移動手段は列車より飛行機だもんね。」

      耕作「そうだね、列車じゃ時間が掛かり過ぎるのも有るけど。」

      柔「外が薄暗くなってるから、下の街の明かりが良く見えるね。」

      耕作「後少しで羽田かな?」

      柔「あ、降り始めた。」

      耕作「そろそろ着きそうだね。」

      柔「回ってるの?」

      耕作「そうだよ、海の方からの侵入のはずだから海上で方向を変えるんだ。」

      柔「さすが、あなただね~、何でも良く知ってるよ。」

      柔「前方に明るい場所が見えて来た。」

      耕作「多分、それが羽田空港だよ。」

      柔「まだ海の上なんだね。」

      耕作「そろそろ接地する筈だよ。」

      柔「滑走路の上に来てるよ。」

      地面が近付いてきた。
      タイヤが接地する衝撃が伝わり、逆噴射の音が激しく響き渡った。
      機体はゆっくりとターミナルビルへ近付いて止まるとボーディング・ブリッジが接続された。

      柔「もう直ぐかな?」

      耕作「そうだと思うよ。」

      CAがアナウンスを始めた。

      CA「長旅大変お疲れ様でした。」

      柔「長く無かったけどね。」

      CA「それでは前の方から順番にお降り下さい。」

      柔「やっぱり前からか。」

      耕作「当たり前だろう?」

      CA「手荷物等、忘れ物が無いか良く確認して下さい。」

      柔「手荷物は無いから確認は良いか。」

      耕作「君はいちいちツッコミを入れないと気が済まないの?」

      柔「そんな事は無いよ?確認の意味で言ってるだけだから。」

      耕作「それなら良いけど。」

      耕作「君が何か言う度にCAの人が吹きそうになってたよ?」

      柔「え~、あたしの所為なの?」

      耕作「君以外話してる人って居ないよ?」

      柔「じゃあ、やっぱりあたしの所為なのか~。」

      耕作「ほら、降りるよ。」

      柔「は~い。」

      柔と耕作は前の方へ移動して搭乗口から外へ出ようとした。

      CA「柔さんですよね?」

      柔「はい、そうです。」

      CA「面白い方なんですね、またのご利用をお待ちしています。」

      柔「あ、いえ、こちらこそ。」

      その場を離れる時後ろで笑い声が聞こえた。
      柔と耕作はターミナルビルへと向かった。

      耕作「ほら、笑われてしまったじゃない?」

      柔「あたしが笑われてたの?」

      耕作「君の他に誰も居なかったよ?」

      柔「あなたも居たじゃない?」

      耕作「いや、俺は何も話して無かったし。」

      柔「あ~、そう言う事言うんだ~。」

      耕作「分かったよ、俺も悪かったって事で良いでしょう?」

      柔「何もあなたが悪いとは言ってないよ?」

      耕作「そうだった、ごめん、君も悪く無いから、荷物を受け取りに行こうか?」

      柔「それなら良いかな?行きましょう~。」

      柔と耕作は荷物を受け取って搭乗出口へ向かった。

      鴨田「松田さ~ん、こっちっすよ~。」

      柔「あれ?何で鴨田さんが居るの?」

      耕作「いや、俺にも分からないけど。」

      柔と耕作は鴨田の待つ所へ行った。

      耕作「鴨田、どうしてここに居るんだ?」

      鴨田「編集長に松田さんは何時帰って来るんだって聞かれたので、今日の17時半ですって
          答えたら迎えに行って来いって言われたっす。」

      耕作「何で時間まで知ってたんだ?」

      鴨田「多分、同じ便じゃないかと思ったからっす。」

      耕作「そうか、でも助かったよ。」

      鴨田「柔さん、荷物持ちますよ。」

      柔「あ、すみません、お願いします。」

      柔達は車寄せの所までやって来た。

      鴨田「それじゃ、車を持ってくるっす。」

      耕作「鴨田、すまんな。」

      鴨田は駐車場へ向かった。

      柔「ビックリした~、何で?って思ったよ~。」

      耕作「ああ、俺も驚いたよ、でも助かったね。」

      柔「そうだよね~、タクシー代がでしょう?」

      耕作「違うよ?」

      柔「あら、違ったの?」

      耕作「ひょっとしたら家まで送って貰えるかもって思ったんだ。」

      柔「さすがにそこまでは迷惑は掛けられないでしょう?」

      耕作「あの編集長がそうしないとは思わないけど。」

      柔「確かに、送って来いって言いそうだよね。」

      鴨田が車に乗ってやって来た。
      柔と耕作は鴨田の車に荷物を積むと後ろに並んで乗った。

      鴨田「柔さんの家で良いんすか?」

      耕作「いや、一旦会社へ寄ってくれないか?原稿を渡したいんだ。」

      鴨田「了解っす。」


      鴨田は会社へ向けて車を走らせた。

      鴨田「ジョディーさん達がよろしく言ってたっす。」

      耕作「すまなかったな、ジョディー達を送って貰って。」

      鴨田「いえ、お安い御用っすよ。」

      柔「鴨田さん、すみませんでした。」

      鴨田「いえ、俺も向こうでゆっくり出来たから助かったすよ。」

      柔「それなら良かったです。」

      鴨田「柔さんの家まで送るので荷物はそのままにしておいて良いんすね?」

      柔「はい、そうして下さい。」

      鴨田「着いたっす、俺はここで待ってるっす。」

      耕作「鴨田、すまんな、直ぐ終わると思うから。」

      柔「あなた?会社へのお土産は?」

      耕作「おっと、いけない忘れるとこだった。」

      耕作は土産を取り出すと柔に渡した。

      柔と耕作は鴨田の車から降りると会社のビルへ入って行った。
      上へ上がって編集部のドアを開け柔を先に入れて耕作も後に続いた。

      耕作「編集長、ただいま戻りました。」

      編集長「おぉ~、戻ったか~。」

      編集長「でも何故ここに来たんだ?」

      耕作「原稿をお渡ししようかと、それと少しお話が有るので。」

      編集長「そうか、それじゃ、まず原稿を見せてくれないか。」

      耕作「これになります。」

      耕作は編集長に原稿を渡した。

      編集長「ちょっと確認させて貰うよ。」

      耕作「はい、どうぞ。」

      編集長「なるほど、同じ練習内容でも昨日届いた記事とはまた違った視点で
           書いてるんだな、良い感じに書けてるぞ。」

      編集長「これに使う写真は先に送ってきた分を使えば良いんだな?」

      耕作「はい、それで大丈夫です。」

      編集長「原稿はこれで良いとして、話とは何だ?」

      耕作「実は、柔の取材の件なんですけど。」

      編集長「ああ、会社へ行くという件か?」

      編集長「その件なら社長には了解は既に貰ってるから安心して良いぞ。」

      耕作「それでですね、柔が言うには毎日来るのは周囲に可笑しく思われないか
          という事なんですけど。」

      編集長「確かに、そう思われなくもないな。」

      耕作「それで柔から提案で何か有る時だけにした方が良いんじゃないかと。」

      編集長「それはどう言う事なんだ?」

      柔「すみません、会社で特別な事が有る時はあたしが主人に伝えるのでその時に
        来て貰うという事なんです。」

      編集長「なるほど、柔さんもその方がよろしいのでしょう?」

      柔「そうですね、周囲に気を遣わないといけませんし。」

      編集長「そうなると柔さんに負担が掛かりますね、柔さんのご提案で構いませんよ。」

      柔「ありがとうございます。」

      耕作「それで、その代わりと言うのは烏滸がましいんですが、柔と自分が出会ってからの
          エピソードを連載物で書こうかと思たんですけど、どうでしょう?」

      編集長「それは柔さんからの提案なんだな?」

      柔「どうしてそれがお分かりになったんですか?」

      編集長「柔さんの了解が無いとそう言う事はかけないでしょうから、最初に柔さんから
           お話が有ったと思ったんですよ。」

      柔「なるほど、確かにそうですね。」

      耕作「どうでしょう?」

      編集長「良いと思うぞ、この前結婚式を挙げたばかりだしな。」

      編集長「話題は旬な内が良いに決まってる。」

      耕作「それでは、許可して頂けますか?」

      編集長「許可と言うか、こっちからお願いしたい位だよ。」

      耕作「ありがとうございます。」

      編集長「明日以降は午後は柔道の取材には行くんだろう?」

      耕作「はい、それは勿論です。」

      編集長「分かった、それは鴨田を行く様に伝えておくよ。」

      耕作「ありがとうございます、よろしくお願いします。」

      編集長「柔さん、旅行はゆっくり出来ましたか?」

      柔「はい、ゆっくりも出来ましたし、充実していました。」

      編集長「それですか、それは良かった。」

      柔「ありがとうございます。」

      編集長「明日からはまた大学での練習ですか?」

      柔「はい、西海大で午後からの練習になります。」

      編集長「旅行疲れも有るでしょうから、余りご無理はなさらぬ様にして下さい。」

      柔「ご配慮ありがとうございます、でも、大丈夫ですので。」

      編集長「そうですか、松田、柔さんをちゃんと支えてあげるんだぞ。」

      耕作「はい、勿論そのつもりです。」

      編集長「それでは帰ってゆっくりお休み下さい。」

      柔「ありがとうございます、そうさせて頂きます。」

      柔「後、これはお土産です、渡すのが遅れてすみません。」

      編集長「これは、わざわざ、すみませんな、ありがたく頂いておきます。」

      柔「こちらが編集長さんの分で、こちらがここの方全員分になります。」

      編集長「全員の分までとは、お心遣い感謝します、柔さん。」

      柔「いえ、何時もあたし達を見守ってくれていらっしゃいますので。」

      耕作「それでは編集長失礼します。」

      編集長「おう、頑張れよ。」

      柔「失礼します。」

      編集長「気を付けてお帰り下さい。」

      柔と耕作は編集部を後にして下に下りると鴨田の待つ車へ向かった。

      耕作「鴨田、待たせたな。」

      鴨田「言われてた通り、早かったっすね。」

      柔と耕作が車に乗ると鴨田は柔の実家へ車を走らせた。

      耕作「鴨田、編集長から改めて話が有ると思うが、また明日から西海大へ行くから。」

      鴨田「了解っす、14時頃の迎えで良いっすね。」

      耕作「ああ、それでお願いするよ。」

      柔「何時もすみません、鴨田さん。」

      鴨田「お安い御用っす、ご心配なく。」


      暫く走って柔の実家の前に到着した。

      鴨田「着いたっす、荷物、中まで運ぶっすよ。」

      柔「鴨田さん、すみません。」

      柔達3人は荷物を持って木戸を潜ると玄関へ入った。

      柔「ただいま~、戻ったよ~。」

      耕作「ただいま戻りました。」

      玉緒が奥から現れた。

      玉緒「お帰りなさい、疲れたでしょう。」

      玉緒「まあ、鴨田さん、送って下さって申し訳有りません。」

      鴨田「いえ、大丈夫っす。」

      鴨田「それじゃ、これで失礼します。」

      耕作「すまなかったな、明日、よろしく頼んどくぞ。」

      鴨田「了解っす。」

      柔「鴨田さん、ありがとうございました。」

      鴨田「いえ、これ位お安い御用っす。」

      鴨田「また、明日お邪魔するっす。」

      鴨田は外へ出て車に乗って帰って行った。

      柔「おじいちゃんは?」

      玉緒「居間に居ますよ。」

      柔「じゃあ、お土産渡してくる。」

      耕作「俺も行くよ。」

      玉緒「あなた達?先に荷物を上に持って行ってからになさい?」

      柔「そうだね、じゃあ、直ぐ下りてくるから。」

      耕作「すみません、上に上がってきます。」

      柔達は荷物を持って2階へ上がった。