柔と耕作(松田)の新婚日記 14日目 (午前編第3部)
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部屋に戻ると耕作は崩れ落ちる様にして座布団に座った。
柔はコーヒーを淹れて耕作に渡しながら寄り添って座った。
柔「はい、お疲れ様でした、コーヒーどうぞ~。」
耕作「ありがとね。」
柔「そんなに疲れちゃった?」
耕作「何せ初めてだったから要領が分からなくて力を入れ過ぎたかも。」
柔「そっか~、初めてなら、仕方ないよ、慣れないとそうなるから。」
耕作「改めて、君の凄さを認識したよ。」
柔「まあ、あたしは小さい頃からやってたから慣れちゃってるしね。」
耕作「玉緒さんに感謝だね。」
柔「そうだね~、小さい頃はそんな事は思わなかったけど、こうなると感謝しかないよ。」
柔「ね~、あたしの子供達も同じ様にさせようか?」
耕作「良いと思うよ、自分で出来る事はさせて。」
耕作「ただ、子供達が自発的に出来る様に誘導はしないといけないかもね。」
柔「そうだね~、いやいやしても子供達の為にならないのは分かってる。」
柔「男の子だったら、あなたお願いね~、女の子はあたしがするから。」
耕作「2人で一緒にしても良いんじゃない?場面場面で交代するとか。」
柔「そっか、それでも良っか。」
柔「まあ、2人以上になったら分担するしか無いけど。」
耕作「だね、2人以上なら君が言う様にしても良いよ。」
柔「うふふ、こういう会話するとほんとに夫婦なんだって思うね。」
耕作「そうだね、まあ、実際に夫婦なんだけど。」
柔「ね~、あなた?膝枕しようか?」
耕作「良いの?君も疲れてるでしょう?」
柔「あたしは大丈夫だよ。」
柔「お手伝のご褒美としてだけど、どうかな?」
耕作「なるほど、じゃあ、お言葉に甘えようかな。」
耕作が立ち上がってカップを机の上に置きに行く間に柔は女の子座りをした。
耕作は横になりながら柔の太腿に頭を載せた。
柔「うふふ、また、あたしの方に顔を向けてるし。」
耕作「折角だから、君を見ていたいしね。」
柔は耕作の髪の毛をすく様にして頭を撫でた。
柔「あなた?汗かいて無い?」
耕作「あ~、ちょっと張り切り過ぎたかも。」
耕作「君はかいて無いみたいだね。」
柔「まあ、慣れてるから力加減も分かってるしね。」
耕作「お客の部屋の掃除は親父かお袋がやってるのかな?」
柔「そうみたい、ジョディー達が帰った時もそうだったよ。」
耕作「それを考えると、俺にはやっぱりここは無理なんだって思った。」
柔「お風呂場だけで疲れちゃったから?」
耕作「うん、他もってなると絶対に無理だって思うよ。」
柔「無理だって思ってるなら、今のお仕事をそのまま続ければ良いじゃない?」
柔「あたしはあなたの今のお仕事は天職だって思ってるの。」
柔「あなたが記者だったお陰であたしはあなたと出会えた訳だし、ずっと続けて欲しいな。」
耕作「そうだね、俺もそう思ってる、君と出会えたのが一番だよ。」
耕作「それまでの俺は碌な取材しかしてなかった。」
耕作「でも、初めて君を見た時、運命みたいなものを感じてた。」
耕作「俺はこの子が超一流になるまで見届けるんだって、そう心に誓ったんだ。」
柔「なるほど、だから、あんなに熱心にあたしに付き纏ってたんだね。」
耕作「あの時はほんとにごめんよ。」
耕作「俺は自分の事ばかり考えて君の事まで思いやる事が出来なかった。」
耕作「でも、君と湘南に行った後、こんな強引な事ばかりしてちゃ駄目だって反省した。」
柔「何で、そこでそう思ったの?」
耕作「君が帰る時、凄く悲しげな表情をしてたのを見たからかな?」
柔「あ~、あれね、あなたには既に分かってた事でしょうけど。」
柔「あの時はあの人に憧れを抱いてたから、さやかさんとあの人が一緒なのを見て
ショックを受けて、そう言う表情をしてたんだと思う。」
耕作「君が言う様に、俺にもそれは分かってたから無理に会わせた事を後悔してた。」
耕作「だから、さっき言った様に強引な事は止めようって思ったんだ。」
柔「あなた?もうこのお話は止めとこう?もう終わった事なんだし。」
柔「あなたのその時の気持ちが聞けて嬉しかったよ。」
耕作「そうだね、何にしても、君に出会えてほんとに良かった。」
柔「あたしも、今となっては、あなたに見付けて貰ってほんとに良かったって思ってるから。」
柔「こうして、あなたと一緒になる事が出来たんだしね。」
耕作「俺も同じ気持ちだよ。」
柔「あなた?上を向いてくれない?」
耕作「ああ、そうか、分かった。」
耕作が上を向くと柔がキスをした。
柔「うふ、お互いの気持ちを確認したから。」
耕作「ふふ、そう思ってた。」
耕作「君の一言で話しておかなくちゃって思って。」
柔「うん、分かってる、ありがとう、あなたの気持ちを聞かせてくれて。」
柔「今のお話を聞いて思ったんだけど。」
柔「まだ、お互いの気持ちって全部はお話して無いみたいだね。」
柔「これから機会が有る毎にお話すれば良いよね?今みたいに。」
耕作「そうだね、何か切っ掛けが有った時に話せば良いと思うよ。」
柔「今思えば、あたしも素直じゃ無かったな~、思い込みが激しかったのも有るけど。」
耕作「それは俺も同じさ、俺の場合は君に俺の気持ちを悟られまいとしてだけど。」
耕作「俺が大人の対応が出来る様に変わってれば違ってたかな?」
柔「ううん、あなたはあの時のまま、今も変わって無いと思うよ。」
耕作「そうかな?どう言う所がなの?」
柔「うふふ、あたしに一途で一生懸命な所が、だよ?」
耕作「ふふ、そう言われれば、確かに、君の事しか見てなかった。」
耕作「勿論、今もそうだけど。」
柔「あたしもあなたと同じ、あなたしか見てないよ。」
柔「でも、子供が出来るとそっちになっちゃうかも、その時は許してね?」
耕作「それは仕方ないと思うよ、俺も子供に心を奪われるだろうから。」
柔「あ~、浮気だ~、あたし、捨てられちゃうんだ~。」
耕作「いやいや、子供に浮気とか無いでしょう?」
柔「うふふ、そうだよね、お互いに子供中心になるだけだね。」
耕作「もしそうなっても君の事は大事に思うつもりだよ。」
柔「うん、あたしもそう思う様に心掛けるから。」
柔「でも、あなたに負担掛けちゃう事になるんだよね。」
耕作「何言ってるの?それは覚悟の上だよ?俺はその為にも一緒になったんだから。」
耕作「君に柔道に専念して貰いたいから、前も言ったと思うけど。」
柔「うん、ハッキリ覚えてるよ。」
柔「今、あたしが言った事は、あなたに感謝を忘れない為なの。」
耕作「なるほど、そう考える所は君らしいね。」
柔「まだ時間有るから、少し寝たら?疲れたでしょう?」
耕作「君も寝るかい?」
柔「ううん、あたしは平気だから。」
耕作「じゃあ、少しだけ。」
柔「うん、ゆっくり寝てね。」
柔は耕作の頭を撫で続けた。
耕作は目を瞑ってそれを楽しむ様にして微笑んでいたが直ぐに眠ってしまった。
柔「あなた、無理させてごめんね。」
柔「そんなあなたが大好きだよ。」
柔は耕作の手を取ると自分の太腿の上にそっと載せて自分の掌を耕作の掌の上に被せた。
柔「うふふ、こんな事しても起きないなんて、やっぱり疲れてたんだね。」
柔「(それにしても、昨夜のあなたは優しくて凄く逞しかったよ。)」
柔「(また、惚れ直しちゃった、愛してるよ。)」
柔「(あれだけ愛して貰ってるんだから、必ず出来る様に祈っておこう。)」
柔「(明日来なかった時はその後の事も色々と考えておかないといけないかな。)」
柔「(富士子さんの時に色々知ったけど、あたしには初めての体験になるのよね。)」
柔「(富士子さんも初めてだったけど、どんな気持ちだったのかな?)」
柔「(あたしに『来ないの』って言った時の富士子さんは凄く不安そうだった。)」
柔「(でも、生むと決めてからの富士子さんは凄く逞しく思えた。)」
柔「(その辺りの心境の変化も聞いてみたい。)」
柔「(帰ったら富士子さんに聞いてみよう。)」
柔「(あたしが『来ないの』って言ったら富士子さん喜んでくれるかな?)」
柔「(でも、まずは、おかあさんに最初に言っておかないといけないか。)」
柔「(確定するまでは、おじいちゃんやおとうさんには内緒にして貰わないと。)」
柔「(帰った次の日は富士子さんの家を訪問しようかしら?)」
柔「(その時に来てない事を伝えて、富士子さんの気持ちを聞いてみよう。)」
柔「(しかし、お腹の中に赤ちゃんが居るって言うのはどんな感じなんだろう?)」
柔「(時々動くって言うのだけは聞いたけど、それ以外は聞いて無いのよね。)
柔「(これも富士子さんに聞いてみるか。)」
柔「(出産の時のお話はしなくても良いな。)」
柔「(立ち会ったから辛そうにしてたのだけは分かってる。)」
柔「(子育てに関しても聞かなくても良いか、あたしもフクちゃんの時手伝ってたから。)」
柔「(それにおかあさんもあなたも手伝ってくれるだろうし。)」
柔「(でも、余り頼り過ぎない様にもしなくちゃいけないな。)」
耕作が薄目を明けた。
柔「あなた?起きたの?」
耕作「うん、目が覚めた。」
柔「うふ、おはよう~、良く寝てたよ。」
耕作「おはよう~、君は結局寝なかったの?」
柔「うん、考え事してた。」
耕作「あれ?俺って手をそこに置いて寝たっけ?」
柔「ううん、あたしが置いたの、目が覚めるかなって思ったけど起きなかったよ。」
耕作「そうだったんだ。」
柔「やっぱり疲れてたんだって思った。」
耕作「なるほど、全然気が付かなかったよ。」
耕作「ところで何を考えてたの?」
柔「えっとね、明日来なかった時どうするかとか。」
柔「富士子さんに色々と聞いてみたい事とかかな?」
柔「後は、おかあさんに来てない事を話して、おじいちゃんとおとうさんには
言わないでおいて貰う事だよ。」
耕作「滋悟朗さんと虎滋朗さんに内緒にするのは何で?」
柔「あ、確定するまではって事ね。」
耕作「あ~、糠喜びさせない為なんだ。」
柔「うん、がっかりさせたくないしね、もし出来て無かった時に。」
耕作「富士子さんに聞きたい事ってどういった事なの?」
柔「主に富士子さんの気持ちかな?来なかった時とかお腹に赤ちゃんが居た時とかの。」
耕作「確かに、それは富士子さんじゃ無いと聞けない事だね。」
耕作「やっぱり、少し不安?」
柔「ううん、そんな事は無いよ。」
柔「出来てたら嬉しいし、それに対しての心構えを事前に知っておきたいから。」
耕作「そうか、俺も花園君に心構えを聞いておくかな?」
柔「うふふ、あなたは聞かなくても大丈夫だよ。」
耕作「何で?」
柔「だって、あなたと花園君では状況が違うじゃない?」
耕作「そう言えばそうだね。」
柔「あなたはド~ンと構えてて良いのよ。」
耕作「そのつもりなんだけど、いざとなったらオロオロしそう。」
柔「あなた?」
耕作「何だい?」
柔「あたしの事、腫れ物を扱う様にはしないでね?」
耕作「どう言う事?」
柔「あれするな、これするなって言わないでねって事なの。」
耕作「あ~、言いそうだ。」
柔「この前もお話したけど、適度な運動は必要なんだから。」
柔「だから、あなたも産婦人科に同行してって言ったの。」
柔「お医者様からお話を伺えば、あなたも納得するでしょうし。」
耕作「それで一緒に行こうって言ってたんだ。」
柔「うん、あなたにも知って貰ってた方が良い事とか有るから。」
耕作「分かったよ、検診には必ず同行するから。」
柔「お願いね。」
柔「あっ、そろそろ行く時間じゃない?」
耕作「おっと、そうだった、慌てる時間じゃ無いけど。」
耕作は起き上がって座布団に座ると柔は耕作にキスをした。
耕作「あ~、目覚めのキスありがとね。」
柔「コーヒー飲む時間有るかな?」
耕作「うん、それ位なら大丈夫だよ。」
柔は立ち上がってコーヒーを淹れて耕作に渡しながら寄り添って座った。
柔「はい、明日来ない事を祈りながら入れたコーヒーだよ~。」
耕作「ふふ、ありがとね、じゃあ、俺も祈りながら飲むよ。」
柔「うふふ、あなたの祈りは絶大だから期待しとこう~っと。」
耕作「そうなの?」
柔「ほら、あなたの同行取材が許可された日の朝も同じ事有ったじゃない?」
耕作「あ~、確かに、あの時も祈りながら飲んでたんだった。」
柔「でしょう?だから、ちゃんと祈ってね?」
耕作「勿論だよ、祈りながら飲んでるから。」
耕作「出来てたとして公表出来るのは何時になるんだろう?」
柔「そうだね~、6週目前後で確定だからその後かな?」
耕作「うは、また微妙な時期になるね。」
柔「どうしてなの?」
耕作「国際大会の選考試合前位にならない?その時期だと。」
柔「あ~、確かにそうだけど、あたし達にとっては試合よりもこっち優先だから仕方ないよ。」
柔「第一、その可能性は連盟も考慮しておいてくれないと。」
耕作「6週目前には公表出来ないのかな?」
柔「可能性の段階だったら、再来週でも出来るけど?どうする?」
耕作「それは余りにも不確定過ぎるから止めた方が良いと思うよ。」
耕作「最初に産婦人科に行くのは何週目だった?」
柔「もう~、今朝お話したばかりでじゃない、忘れちゃったの?」
耕作「ごめん、思い出した、4週目だったね、確か。」
柔「ほんとに~、絶対忘れないでよ?」
耕作「分かった、覚えておくよ。」
柔「それで4週目の検診で可能性が有るって言われた段階で公表するの?」
耕作「その方が安全かなって思ったんだ。」
柔「何が安全なの?」
耕作「富士子さんの時を思い出して?」
柔「あ~、あたしが間違われて大騒動になっちゃったんだった。」
耕作「また、同じ様に君が産婦人科に行ってる所を見られたらって思ったんだ。」
耕作「4週目以降は毎週行く事になるんでしょう?」
柔「そうだね、4週目、5週目、6週目って行く事になるね。」
耕作「そこのどこかで見られる可能性は否定出来ないんだから
柔「そっか~、じゃあ、4週目の検診を午前中に行って午後に公表って感じ?」
耕作「午前の検診で可能性有りだったら、まずは連盟に報告してから午後か翌朝に公表かな?」
柔「午後じゃなくても良いのね、それで公表ってどういう形でするの?」
耕作「そうだね~、号外を出すほどの事でも無いし。」
耕作「翌日の新聞の最終面にでも載せて貰うか。」
柔「ね~、そうなったら、また会見しないといけないのかな?」
耕作「今回は要望が有ったらで良いと思うよ。」
柔「有ったらって、絶対に有るでしょう?『今のお気持ちは?』とか聞かれると思うよ。」
耕作「まあ、そうなんだけど、こっちから開きますって言わない方が良いかなって。」
柔「何で?」
耕作「どう言えば良いかな?」
柔「やる事やってたんだ的に思われるのが嫌なの?」
耕作「ほら~、また、そういう事言う~。」
柔「あは、ついね、で、どうなの?」
耕作「おめでたい事には違いないけど、結婚と違って興味が有る人と無い人が
極端に分かれる話題なんだ、おめでたって言うのは。」
耕作「第一、出来ましたじゃ生まれるまで時間が掛かり過ぎなのも有るし。」
耕作「それに実際に生まれた時の方がインパクトが強いからね。」
柔「そうなんだ、さすが記者だね、あたしにはそういうの分かんないや。」
耕作「まあ、そういう事だから、要望が有ってで良いと思うよ。」
柔「分かったわ、その辺りはあなたにお任せする。」
耕作「会見しないで済ませる為にも紙面に君の今の心境とか載せると良いかも。」
柔「さすが~、そうすれば知りたい事は新聞で分かるよね。」
耕作「うん、それと出産後の柔道に関する事も触れておけば完璧かな?」
柔「あ~ん、あなたってやっぱり最高のパートナーだわ~。」
耕作「変な声出さないの、俺の役割の一つが他のマスコミから君を守る事だから。」
柔「えへへ、つい出しちゃった、そうなのね、あなたに感謝しないと。」
柔「あ~、あなた?時間は?」
耕作「あっ、まだ慌てなくて良い時間だけど、そろそろ出ようか。」
柔「そうだね、お客様を待たせちゃ失格だわ。」
柔「あなた?服はそのままでも良いの?」
耕作「俺はこのままで良いけど、君は?」
柔「あたしもこのままで良いよ。」
耕作「分かった、じゃあ、行こうか。」
柔「は~い。」
柔はポットとカップを持って耕作と一緒に玄関へ向かった。
玄関に行く途中で柔はポットとカップを厨房に置いた。
柔「じゃあ、出掛けましょうか。」
耕作「忘れ物は無いよね?」
柔「うん、一応お財布は持ったから大丈夫。」
2人は玄関から出ると駐車場へ行き車に乗って空港へ向かった。
暫く走り空港に着いて駐車場に車を入れた後、2人は到着ロビーを目指した。
柔「あ~、良かった、まだ飛行機到着して無かった。」
耕作「定刻通りなのかな?」
柔「遅延とかの表示はされて無いから定刻通りだと思うよ。」
耕作「ここで待ってれば良いの?」
柔「うん、ここで良いはず。」
柔「誰が来るのかな~。」
耕作「結局、分からず仕舞いだったね。」
柔「来れば分かるから気にしない気にしない。」
耕作「そういう大らかなとこ好きだよ。」
柔「えへへ、あたしもあなたの事大好き~。」
耕作「何か、周囲の人の注目を集めてる気がするけど気のせいかな?」
柔「確かに、皆があたし達を見て微笑んでるね。」
耕作「さすが、冷静だね、そこまで見てるって。」
柔「あ、飛行機着いたみたい。」
耕作「じゃあ、もう直ぐ出てくるか。」
耕作「ところで君っていつの間に俺の腕を持ってたの?」
柔「え?あ~、ここに入る少し前かな?」
耕作「なるほど、皆が注目してた原因はそれだ。」
柔「それって何が?」
耕作「君が俺の腕を掴んでるからじゃ無いかな?皆が見てたのって。」
柔「これ位で注目されるの?」
耕作「えっと、君がって言うのが重要なんだけど。」
柔「あたしがあなたの腕を掴むと注目されるの?」
耕作「君は有名人なんだから当然そうなるよ?」
柔「あ~、そういう事か、でも、あたしは気にしないよ~。」
柔「あなたの腕を持っていたいんだも~ん。」
耕作「まあ、良いか、君がそう思ってるなら。」
???「柔さ~ん、来ちゃった~。」
柔「あたしを呼んでる?誰だろう?」
耕作「お客様じゃないの?でも、聞き覚えがある声だな。」
???「柔さ~ん、こっち~。」
柔は声のする方に目をやった。
柔「あれ~、キョンキョンじゃないの~、どうしたの~?」
キョンキョンが2人の連れと一緒に柔達の元にやって来た。
キョンキョン「柔さん、来ちゃったよ。」
柔「一体どうしたの?」
キョンキョン「柔さんがここに来てるって聞いたから、どうしても会いたくて来ちゃった。」
柔「どうしてもって、つい最近会ったばかりなのに?」
???「柔さん、初めまして。」
???「柔さん、初めてお目に掛かります。」
柔「あ、ごめんなさい、キョンキョン?この御2人は?」
キョンキョン「あ、すみません、あたしのお友達で柔さんに是非会いたいって言うから
一緒に連れてきたんです。」
???「初めてお目に掛かります、今日子さんの後輩で浅沼 舞と申します。」
???「初めてお目に掛かります、今日子さんの同じく後輩で斎藤 美咲と申します。」
柔「どうも、ご丁寧に、松田 柔と申します、初めまして、よろしくお願いします。」
柔「あたしも今日子さんって呼んだ方が良いかな?」
キョンキョン「いえ、今まで通りで良いですよ。」
舞「柔さんとお呼びしても構いませんか?」
柔「あ、はい、それで構いませんから。」
美咲「あの、柔さん、お願いが有るんですけど。」
柔「どう言った事でしょう?」
美咲「握手して欲しいんです、よろしいですか?」
舞「私もお願いします。」
柔「はい、構いませんよ。」
柔は2人と握手した。
舞「わ~い、柔さんと握手出来ました~。」
美咲「私も~、とても嬉しいです。」
キョンキョン「松田さん?どうしたんですか?キョトンとして。」
耕作「あ、いや、柔のファンなのかなって思ってて。」
舞「きゃ~、呼び捨てにしてるんだ~。」
キョンキョン「こらこら、失礼でしょう?そう言う言い方は。」
耕作「あ、いや、構いませんよ。」
美咲「もしかして、旦那様ですか?」
柔「あ、はい、主人の松田 耕作です。」
美咲「主人ってお呼びしてるんですね。」
耕作「挨拶が遅れました、柔の夫の耕作です、初めまして、よろしくお願いします。」
キョンキョン「あの~、柔さん?ここ人目に付くから場所移動しましょうか?」
柔「あ、そうだね、あなた?車の所に行こう?」
耕作「あ、そうだった、じゃあ、駐車場へ行きましょうか。」
美咲「柔さん、旦那様の事、あなたって呼んでるだ。」
キョンキョン「もう~、しょうがない子達ね~、早く移動しよう?」
美咲、舞「は~い。」
5人はターミナルビルを出ると駐車場へと向かった
柔「ね~、キョンキョン?お友達って言ってたけど、御2人は後輩って言ってたよね?」
キョンキョン「正確には後輩だけど、お友達には違いないんです。」
柔「あ、そう言う事なんだ。」
柔「詳しいお話は車の中でしようか。」
キョンキョン「そうですね。」
5人は駐車場に着くと車に乗り込み耕作の実家へ向かった。
実家に向かう車中では雑談に花を咲かせていた。
柔「キョンキョン?どうしてここに来たの?」
キョンキョン「それは柔さんだけにお話したいから、後で構いませんか?」
柔「分かったわ、じゃあ、後で聞くね。」
柔「後輩って言ってたけど、キョンキョンって保育園に勤めてたよね?」
キョンキョン「そうですよ、そこの後輩です。」
柔「そうなんだ、でも、良くお休み取れたね、それも3人纏めてとか。」
キョンキョン「あ、それはですね、園舎が内装のやり替えで1週間ほど休園になったから、
お休みになっちゃったんです。」
柔「なるほど、それでなのね。」
キョンキョン「柔さん?こちらでも柔道はされてるんですか?」
柔「勿論、主人の母校でやってるよ、今日も午後から行くの。」
キョンキョン「柔さん、今は松田さんの事を主人って呼んでるんですね。」
キョンキョン「以前は耕作さんって呼んでませんでした?」
柔「うん、そう呼んでたんだけど、こっちに来て主人の同級生とお話してたら、
そう呼ぶ様になっちゃったの。」
キョンキョン「そうなんだ、最初聞いた時、あれ?って思いました。」
柔「何でかしらないけど自然と主人て呼んでたよ。」
キョンキョン「あ、そうそう、柔道見に行っても構いませんか?」
柔「あなた?良いよね?」
耕作「ああ、三浦には帰ったら事前に連絡入れておくよ。」
舞「柔さんって旦那様に必ずご相談されてるんですね?」
柔「うん、2人の間では何かするでも必ず話し合って決めようってやってるの。」
美咲「それは良い事ですね、隠し事が無くなりますよね。」
柔「うん、その為でも有るんだけどね、お互いに隠し事は無くしましょうって。」
舞「良いな~、そう言う関係って。」
耕作「そろそろ着くよ、小さな民宿だから驚かないでね。」
キョンキョン「大丈夫です、パンフで見て知ってますから。」
耕作「え?何時の間にそんな物が。」
柔「やだな~、あなたったら~、それが無いとどういう場所か分からないじゃない?」
耕作「あ、それもそうだね。」
舞「すみません、もしよろしかったら年の差を伺っても構いませんか?」
柔「良いよ、えっと、確か7つか8つ差だったと思うけど、あなた?合ってる?」
耕作「そうだよ、それで合ってる。」
舞「年の差が7つか8つって事は生まれ月が結構離れてるんですね。」
耕作「そう言う事になるかな?」
美咲「そうなんですね、それにしてもお友達みたいな話方をされるんですね。」
キョンキョン「交際期間と言って良いかどうか分からないけど、7年の付き合いの末に
結婚したからじゃないかしら?」
舞「7年ですか、結構長い間交際されてたんですね。」
柔「あ、そのお話は着いてからするね、もう直ぐそこだから。」
舞「はい、分かりました。」
耕作の運転する車は耕作の実家に到着した。