柔と耕作(松田)の新婚日記 14日目 (午前編第2部)
文書量(文字数)が膨大な為、一日を12分割で表記しています。
*文章追加(日課の書き忘れ)
耕作が風呂場に寄って顔を洗う間柔は外で待っていた。
厨房に着くと耕作の母が声を掛けてきた。
耕作母「おはよう、もう、用意は出来とるからの。」
柔「おはようございます。」
柔「そうなんですね、ありがとうございます、分かりました。」
耕作「おはよう~。」
耕作父「おはよう、わしらで持って行くから。」
柔「すみません、じゃあ、あたしはお茶を持って行きます。」
柔はポットとカップを厨房のテーブルに置き、代わりに別なポットと急須と
複数の湯呑を持って耕作と一緒に食堂へ行った。
柔は食堂でお茶を注いで湯呑を食卓に並べると耕作と並んで座ると、
耕作の両親は直ぐに来て料理を食卓に並べて柔達の向かいに座った。
耕作母「今朝はこれ位にしたからの、味わって食べなっせ。」
柔「結構な品数ですね、どれも美味しそうです。」
4人「いただきます。」
柔「お母様、これとても美味しいです。」
耕作母「そうか、柔さんに気に入ってもろうて良かった。」
柔「お昼、手伝う時に作り方を教えて下さい。」
耕作母「分かった、教えようかの。」
柔「よろしくお願いします。」
柔「それと今日は主人と一緒にお風呂掃除しますから。」
耕作父「ほう、耕作がか、頼んだぞ。」
耕作「何もせん訳にはいかんからな、柔にだけさせられんし。」
耕作母「まあ、頑張れ、柔さんを助ける事は良い事だわ。」
耕作父「ところで、耕作、柔さんとは上手くいっとるか?」
耕作「心配せんで良いよ、上手くいってるから。」
柔が耕作に小声で耳打ちした。
柔「お父様は何の事を仰ってるの?」
耕作も柔に小声で耳打ちした。
耕作「部屋に帰って話そうか?ここじゃあれなんで。」
柔がまた小声で耕作に耳打ちした。
柔「うん、分かった、そうする。」
耕作母「何をコソコソ話しとるんじゃ?」
耕作「部屋に帰ってどうするかって話しただけだから。」
耕作母「そうか、相変わらず、仲が良いのう。」
耕作母「そうそう、空港に行く時間言うの忘れとったな。」
耕作「そうだった、時間聞いて無かった、何時に空港に行けば良いんだ?」
耕作母「11時に飛行機が着く言うとったな。」
耕作「分かった、じゃあ、その頃に着く様にここを出るから。」
耕作母「頼んだからの。」
柔「お母様?その時間だとお昼のお手伝いが少し遅れそうなんですけど。」
耕作母「そうじゃな、少しお昼をずらすとするかな。」
耕作母「着いて直ぐ食べるのも大変じゃろう。」
柔「それが良いと思います。」
柔「じゃあ、お客様には車の中で、あたしからお話しておきますから。」
耕作母「すまんな、そうしてくれると助かる。」
耕作母「食べ終わったみたいだの、片付けるとするか。」
柔「厨房までお持ちします。」
耕作母「何時もすまんな。」
4人「ごちそうさまでした。」
柔達はそれぞれ食器類を持って厨房に行き食器類を流しに置いた。
柔「それじゃ、お母様、すみませんけど、お願いします。」
耕作母「気にせんで良いからの、2人はゆっくりしとけ。」
柔「はい、そうさせて貰います。」
柔はポットにお湯を足してカップと一緒に持って耕作と部屋に戻った。
部屋に着くと耕作は座布団に座り、柔はコーヒーを淹れて耕作に渡して寄り添って座った。
柔「2人の愛が詰まったコーヒーだよ~。」
耕作「ふふ、ありがとね。」
柔「ね~、あなた?さっきのお父様のお話、もしかしてあたし達の夜の事なの?」
耕作「相変わらず、鋭いね、その通りだよ。」
柔「心配して下さってるのね。」
耕作「まあ、そうなんだけど、余計なお世話だと思わない?」
柔「そんな事言っちゃ駄目だよ?」
柔「お父様達にしてみれば初孫が出来るかどうか心配されてるんだし。」
耕作「それは分かってるけどさ、俺達をもっと信用して欲しいって思ったんだ。」
耕作「2人でちゃんと話し合ってしてるのにって思ったから。」
柔「そうだね、ごめんね。」
耕作「いや、君が謝る必要なんて無いよ。」
柔「ううん、あなたがそこまで考えてるのに、あたしの考えが至らなかったから。」
耕作「止めよう?俺達がちゃんとしてれば良いんだから。」
柔「そうだね、今迄もこれからもちゃんと2人で話し合っていくんだもんね。」
耕作「そうしていこうって2人で決めたんだし。」
柔「だよね、後は運を天に任せるだけだね。」
耕作「そうそう、さっき話した様に、なる様にしかならないって思ってれば良いよ。」
柔「うん、勿論、そう思ってるから。」
耕作「柔道の話でもしようか?」
柔「どんなお話するの?」
耕作「そうだな~、あっ、そうだ、三浦って今日、明日で何とかなりそうなの?」
柔「あ~、それなら考えが有るから、多分、それでいけるかな?」
耕作「どうするの?」
柔「あたしと先生の役割を交代するだけだよ?」
耕作「え?三浦に指摘させるつもり?」
柔「うん、そうしないと何時までも、あたしに頼りきりになるじゃない?」
耕作「なるほど、一理有るね。」
柔「昨日だけで指摘する箇所は全部やって見せてるから。」
耕作「全部って、そんなに指摘してた?」
柔「あなたなら分かってると思うんだけど、指摘する箇所ってどこかな?」
耕作「また、問題か~。」
柔「大丈夫だって、あなたは分かってるから。」
耕作「う~ん・・・、そうか、手と足それと腰だ。」
柔「さすが、あたしのパートナーだね。」
耕作「普通に考えれば誰でも分かりそうだよ?」
柔「そう、難しく考えない限り直ぐに分かる事なの。」
耕作「攻守で使う部分がどこかって考えれば分かる事だから。」
柔「うん、あなたの言う通りだよ。」
柔「ただ、受け身と寝技とは少々違うけど。」
耕作「そうだね。」
柔「先生に今日やって貰って、それに気付けば合格かな?」
耕作「それで合格で良いの?」
柔「それで良いと思うよ、その箇所を注視するだけで良いんだから。」
耕作「確かに、そこだけ見てたら、どこがどう違うとか普通なら気付くね。」
柔「うん、そうなの。」
柔「先生はあたしの昨日の一本背負いを説明して貰う事で速さの重要性を理解してくれると思うよ。」
耕作「だから三浦に話させるのか、そこまで考えてたんだ。」
柔「そうだよ、速さに関しては昨日も説明したから。」
耕作「あ~、スピードをパワーに変えるって、あれの事だね。」
柔「うん、それで、さっき言った様に速さの重要性を完全に理解してくれるよ。」
耕作「なるほど、三浦の件はそれで良いか。」
耕作「部員達はどうなの?」
柔「それも、今日の本格的なトレーニングを見せた後の説明で理解してくれたら問題は無くなるかな。」
耕作「他には無いの?」
柔「柔道の正しい投げ方のマスター方法は教えたし、修正箇所は先生が今後指摘していくでしょう?」
柔「基礎練習は教えたから、後はそれを本格的なトレーニングに変えていって、その重要性を
理解しさえすれば完璧じゃないかな?」
耕作「確かに、でも、速さは?」
柔「やだな~、あなたは良く分かってるじゃない?」
耕作「・・・、あ、トレーニングと打込みの速さを上げて行けば良いのか。」
柔「その通りだね~。」
耕作「寝技は?」
柔「それは技の種類が多過ぎて今日、明日じゃ無理かな~。」
柔「一言で寝技って言うけど、基本的には抑え込み技、関節技、絞め技有るしね。」
耕作「確かに、でも、良く使いそうな寝技は教えるんでしょう?」
柔「どうしようかな~。」
柔「あたしと女子部員で形をやって見せて、要領を教えるやり方でしようかな?」
耕作「さっき言ってた様に君の相手は女子部員なんだね。」
柔「そうだよ、寝技だから余計に男子部員とはしないもん。」
耕作「まあ、実際に形を見せるから理解し易いか。」
柔「勿論、寝技も早さが重要だって言うのは教えるけどね。」
耕作「確かに、回り込むとか、腕を取りにいくとかでは重要か。」
耕作「そこまで教えれば、全部の寝技を教えなくても大丈夫そうだ。」
柔「どうやるかは見てのお楽しみって事で。」
耕作「君のお手並み楽しみにしてるよ。」
耕作「ちょっと聞いても良い?」
柔「うん、何を聞きたいの?。」
耕作「今、話した寝技以外の事は最初から考えてたの?」
柔「ふふふ、あたしを誰だと思ってるんだね?耕作君?」
耕作「ふふ、俺の愛しい奥さんだよ、柔君。」
柔「や~ん、そうなんだけど~、他の事を言って欲しかったな~。」
耕作「ふふふ、分かってるって、柔道家でしょう?それも2階級で世界一の。」
耕作「更に言えば、現在、君に勝てる相手が居ない最強の柔道家だよね?」
柔「うふふ、そこまでは言い過ぎと思うけど、正解~。」
柔「あなたの言う通り、最初見た時に一からやり直しさせないと駄目って思ってたの。」
柔「本来の柔道って呼べる代物じゃ無かったから。」
耕作「うは、そこまでの惨状だったんだ。」
柔「惨状って程では無いけど、あのままじゃ、部じゃなくて愛好会程度だもん。」
耕作「もしかして、三葉の時と同じ感じ?」
柔「あ~、そこはまだこっちの方が遥かにましかな?」
柔「曲がりなりにも柔道の形だけはしてるから。」
耕作「君が言ってた一度見ればどういう柔道なのか分かるってのが発揮された訳なんだ。」
柔「そこまで大層な事じゃ無いけど。」
柔「まあ、一番いけなかったのは先生なんだよね。」
耕作「あ~、そう言えば、部員に任せた部分が多かったって佐藤が言ってたな。」
柔「そうなの、余り指導して無かったみたい。」
柔「あたしが来た事で一番困ったのは先生じゃないかな?」
耕作「何で?」
柔「今迄やってこなかった事以上の事をやらないといけなくなったから。」
耕作「なるほど、三浦の負担が増えたって事なのか。」
柔「あたしが高校に行く事を許可した時点で、それはもう決まってた様なものだったのよ。」
耕作「でも、これであの柔道部も変わる事が出来るんだ。」
柔「今よりは良くなるでしょうね、ただ、継続出来るかは先生次第だと思うの。」
柔「先生のやる気が持続出来るかに掛かってるのよね~。」
耕作「まあ、喫茶店での話だとやる気は出てた感じだけど。」
柔「あたしがここを離れても、それが維持出来るかって事かな?」
耕作「なるほど、佐藤に監視でもさせるか。」
柔「ね~、あなた?」
耕作「うん?監視とか駄目だった?」
柔「違うの、あなたが佐藤さんと連絡を継続出来るなら、あたしからのメッセージを
月に1回程度伝えるだけでも違ってくると思うよ。」
耕作「なるほど、離れてても見てますよ的な?」
柔「うん、そうすれば、先生も気が抜けないでしょうし。」
耕作「三浦も大変だな。」
柔「そうなんです、指導者とは大変なんです。」
耕作「どう大変なの?」
柔「教える人に対して責任を持たないといけないから。」
柔「それって、先生って言う立場でも同じだと思うんだけど違う?」
耕作「そう言われれば、確かに同じだね。」
柔「無責任にする位なら、止めて欲しいって思うよね。」
耕作「もしかして、君って三浦をそう言う目で見てた?」
柔「高校に行って部員達を見た時点ではそう思ってたかな?」
耕作「そうか、だから、君は三浦と部員達に真剣にする様に言ったんだ。」
柔「そうなの、でも、先生は自分がするべき事を覚えようとしてたから、任せてみようって
考えを改めて、今は熱心に先生に教えてるの。」
耕作「やっぱり、そうか、君が先生に部員達を注意させてるのも、それが有るからなんだ。」
柔「うん、あなたは分かってたみたいね。」
柔「先生には部員達にきちんと責任を持って貰いたいから。」
柔「あたしがここにずっと居られない以上、あたしの代わりを先生にやって貰わないと。」
耕作「富士子さんもそう言う考えでコーチにしようって思ってたんだ。」
柔「そう言う事なの、あたしの代わりにってね。」
柔「勿論、富士子さん自身の将来も考えてだけど。」
柔「後、アメリカでもそうだったよ?マイケルにはあたしの考えを伝えたから。」
耕作「なるほど、君が教えた所には指導者になれる様に教えた人が必ず居るんだ。」
柔「あたしが直接教えて指導者になって貰って、それを弟子に伝えて指導者になって貰って、
それを繰り返す事で、あたしの教えが広まれば良いなって思ってる。」
耕作「君はやっぱり策士だよ、そこまで考えてるんだから。」
耕作「それと、そう言う風にやってる時点で、以前も同じ事を言ったけど、
君は滋悟朗さんも虎滋朗さんも遥かに超えてると思う。」
柔「まあ、おじいちゃんとおとうさんとではあたしは考え方が違うから、
超える超えないって事は余り関係無いんだけどね。」
耕作「なるほど、確かにそうだ、2人は君を高みに上らせる為だけに、ここまで
やってきたみたいなもんだから。」
柔「おじいちゃんもおとうさんも今も一流選手しか教える気ないみたいだし、
あたしが他の選手を教える事には何も言わないと思うよ。」
耕作「そうだろうね、滋悟朗さんは俺達に任せるって言ってたし。」
耕作「こう言う事も含めてだったのかも。」
柔「そこまで考えてたかは分からないけど、可能性は有るね。」
耕作「しかし、ここに来て一番の成果は君の考えを良く知る事が出来た事だよ。」
柔「え~、あたしはてっきり昨夜の事かと思ってたのに~。」
耕作「これこれ、茶化さないの。」
柔「えへへ、だって、そんな事言われると恥ずかしいじゃない?」
柔「あなたの意見を取り入れて、あたしの考えを基に行動してるだけなんだから。」
柔「覚えてる?あたしに教えてみればって言ったのは、あなただよ?」
耕作「あ~、確かにアメリカの道場でそんな事を言ったね。」
柔「だからこそ、あなたには知ってて貰いたかったかな?」
柔「あなたはあたしにとっての最高のパートナーだから。」
耕作「それは俺も同じだよ?君は俺にとって最高のパートナーだよ。」
柔「うふ、あなた~。」
柔は耕作の方を見上げて見詰めると目を瞑った。
耕作はそれに応えて片手を頬に添えると長めのキスをした。
柔「よし、儀式終了~。」
耕作「何だか、その言い方だと形式的にやってる感じがして嫌かも。」
柔「あ~、ごめんね~、とても素敵なキスだったよ。」
耕作「ふふふ、素直な君が大好きだよ。」
柔「あたしも寛容なあなたが大好き~。」
耕作、柔「ふふふ。」
柔「あ~。」
耕作「コーヒーなら良いよ、そろそろ洗濯と掃除でしょう?」
柔「あは、何でも見透かされちゃうね。」
耕作「それは君も同じでしょう?」
柔「うふ、以心伝心だしね~。」
耕作「もう洗濯と掃除に行く?」
柔「まだ、時間有るから、もう少しお話しましょう?」
耕作「分かった、その辺りの時間配分は君が分かってるから任せた。」
耕作「とは言ったものの、何を話そうか?」
柔「そうね~、何か有るかな?」
柔「あ、そうそう、今日来る方って、あたしの知り合いだそうだけど、
どこか案内とかした方が良いのかな?」
耕作「そうだね、聞いてみて行きたいって言ったら案内する事にしようか。」
耕作「とは言っても、ここって神社仏閣位しか無いんだよね。」
耕作「後は記念館か博物館かな?」
耕作「そう言う場所に君だったら行きたいって思う?」
柔「う~ん、あたしは特に行きたいとか思わないかな~。」
耕作「そうだろうね、今日来る人も同じ反応しそう。」
柔「それにしても誰なんだろう?」
耕作「会社関係じゃ無いのは確かだよね?」
柔「うん、会社の知り合いって羽衣課長か社長しか居ないかな?」
耕作「柔道部員は?」
柔「余り良く知らないのよね~、今迄はおじいちゃんが指導してたから。」
耕作「あ、そうか、今度から君がする事になったんだった。」
柔「とすると、後は・・、富士子さん達は絶対に違うだろうし。」
耕作「富士子さんなら羽衣さんも知ってるから名前出してるはずだね。」
柔「だよね~、まさか・・、さやかさんとかじゃないよね?」
耕作「いやいや、彼女は絶対来ないでしょう?」
柔「うん、絶対来ないと思う、いまだに敵意剥き出しだし。」
柔「ほんとに誰なんだろう?」
耕作「大学の知り合いとかは?」
柔「親しい人は、あの4人位しか居ないよ?」
耕作「その中でも特に親しいのは?」
柔「よくお話してたのはキョンキョンとナンダさん位かな?」
耕作「ひょっとするとその2人じゃない?」
柔「キョンキョンは分からないけどナンダさんは無理じゃないかな?」
耕作「どうしてなの?」
柔「ナンダさん、長い休みは取り難いと思うよ?」
耕作「あ、そうか、警察官だったね。」
柔「でも、やっぱり、キョンキョンも難しいかも?」
耕作「じゃあ、一体誰なんだ?」
柔「分かんな~い。」
耕作「だろうね、俺もさっぱりだし。」
耕作「いずれにしても、迎えに行けば分かるから、そこまで深く考えなくても良いんじゃない?」
柔「まあ、そうだよね、無駄話になっちゃったね。」
耕作「丸っきり無駄って訳じゃ無かったよ。」
柔「ありがとう、そう言って貰うと助かるわ。」
耕作「そろそろ洗濯と掃除に行こうか?」
柔「そうだね~、まずは洗濯だけど、これはそんなに時間掛からないから、
あなただけ男湯に行っててくれない?」
耕作「一緒に行こうか?」
柔「洗濯機に洗濯物と洗剤を入れてスイッチを押すだけだから。」
耕作「なるほど、じゃあ、男湯に行って待ってるから。」
柔「先に浸かってて良いよ?」
耕作「え?掃除でしょう?」
柔「うふふ、冗談だよ~。」
耕作「危うく本気にするところだった。」
柔「あたしはそれでも構わないけどな~。」
耕作「これこれ、朝から誘わないの。」
柔「な~んだ~、残念。」
耕作「そう言う所は向こうに居た時から変わらないね。」
柔「うふふ、あなたも変わって無いよ。」
柔「じゃあ、洗濯機回してくるね。」
耕作「うん、男湯で待ってるから。」
柔は洗濯物を持って洗濯場へ向かった。
耕作「さてと、男湯に行って待ってるか。」
耕作は男湯に向かった。
男湯の脱衣所に入った耕作は考え込んだ。
耕作「(以前と変わってて何がどこに有るかさっぱり分からないな。)」
耕作「(柔が来るまで待つしか無いか。)」
耕作「(しかし、実の息子よりも柔の方がしっかりした実の娘みたいだ。)」
柔「あなた~、お待たせ~。」
耕作「早かったね。」
柔「どうしてそんなとこに立ってぼ~っとしてたの?」
耕作「いや、恥ずかしい話だけど、どこに何が有るか分からないんだ。」
柔「な~んだ、そうだったのね。」
柔「でも、脱衣籠を出して裏返して軽く叩く位はやったよね?」
耕作「え?そんな事をするの?」
柔「え~、何をするかも知らなかったの?」
耕作「面目ない、俺って手伝いは全然しなかったんだ。」
柔「そうだったんだ、知らなかった。」
柔「じゃあ、あなたは今言った事をやってて?あたしはお掃除道具取って来るから。」
耕作「分かった、やっておくよ。」
柔は掃除道具を取りに行った。
耕作は柔に言われた通りに次々と脱衣籠を裏返して軽く叩いて元に戻していった。
耕作「(柔の方が民宿の女将さんみたいだな。)」
耕作「(よし、ここは終わった、次は何するんだろう?)」
柔「は~い、持ってきたよ~。」
耕作「掃除機は分かるけど、デッキブラシ?何に使うの?」
柔「これでお風呂場の床を磨くの、滑りを取る為ね。」
耕作「なるほど、そうしないと滑って危ないからか。」
柔「そうだよ、あたしは洗い場の鏡とか磨くから。」
耕作「君って良く知ってるね。」
柔「家ではお風呂場の掃除もしてたからね?」
耕作「あ~、そうだったね、だからか。」
柔「さあ、始めましょう~。」
耕作「分かった、床磨きするよ。」
耕作は風呂場の床をデッキブラシで磨き始めた。
柔は洗い場の鏡と蛇口周りをスポンジで手際良く次々と磨いていった。
耕作「手際が良いね。」
柔「うふふ、慣れてるからだよ~。」
柔「じゃあ、あなたはここをホースを使って全部流してて、あたしは脱衣所に掃除機を掛けてくるから。」
耕作「ああ、やっておくよ。」
耕作はホースを蛇口に繋いで床から洗い場の周辺を流していった。
柔はその間に脱衣所に掃除機を掛けて、その後、鏡と洗面台を拭き上げていった。
柔「あなた~?終わった~?」
耕作「こっちは終わったよ。」
柔「じゃあ、ホースとデッキブラシをこっちに持ってきて~。」
耕作「分かった、そっちに持って行くから。」
耕作はホースを蛇口から外し水を良く抜いた後丸めるとデッキブラシを持って脱衣所に持って行った。
柔「お疲れ様でした、次は女湯だから。」
耕作「これで終わりなの?」
柔「うん、今回はね。」
耕作「他にもする事が有るんだ。」
柔「そうだよ~、湯船のお湯を抜いて中を床と同じ様に磨くの。」
耕作「今日はしなくて良いんだ。」
柔「そうみたい、お客様の数次第でやる日を決めてるんだって。」
耕作「そうなんだ、全然知らなかった。」
柔「仕方ないよ、ここを継ぐつもり無いんだし。」
耕作「まあ、そうなんだけど、君の方が良く知ってる事が驚きだ。」
柔「だって、お掃除はどこも同じ様にするんだから、広いか狭いかの違いだけだよ。」
耕作「言われてみれば、確かにそうだ。」
柔「じゃあ、女湯の方をしようか?」
耕作「俺が女湯に入っても良いの?」
柔「やだな~、誰も入って無いから良いんだよ?」
柔「女湯って言ったって、ここと大して変わらない造りだから。」
柔「どうしたの?恥ずかしい?」
耕作「女湯って聞いただけで恥ずかしいかな?」
柔「うふふ、何を想像してるのかな~?」
耕作「いや、特に何かを想像してる訳じゃ無いけど、女湯って響きに躊躇してしまうんだ。」
柔「何言ってるの~、早く行きましょう?」
耕作「分かった、行くよ。」
耕作は柔の後ろに付いて女湯の脱衣所に入って行った。
柔「さっきと同じ感じでお願いしても良い?」
耕作「ここの籠から?」
柔「あ、じゃなくて、お風呂場の床磨きだよ。」
耕作「分かった、じゃあ、それやってくる。」
耕作は風呂場に入って床を磨き始めた。
柔は脱衣籠を逆さまにして軽く叩いていき全部を終わらせると床に掃除機を掛けた。
それが終わると風呂場に入ってスポンジで洗い場の鏡と蛇口周りを磨いていった。
耕作「早、もう脱衣所終わったんだ。」
柔「慣れてるからね~。」
柔「終わったら、さっきみたいにホースで流してね。」
耕作「分かった、じゃあ、今から流すから。」
柔は脱衣所に行くとそこの鏡も磨き洗面台をきれいに拭いていった。
耕作「終わったよ。」
柔「じゃあ、ホースとデッキブラシ持って来てね。」
耕作はホースとデッキブラシを持って脱衣所に戻ってきた。
耕作「こっちは念入りにするんだ。」
柔「だって、今日はお客様がお見えになるんだから。」
耕作「何で今日のお客様が女の子だって分かってるの?」
柔「あたし、男の人の知り合いって殆ど居ないもん。」
耕作「そうだった、俺を含めて数人だね。」
柔「よし、全部終了~、じゃあ、お掃除道具直してくる、ここで待ってて。」
耕作「入り口で待ってても良いよね?」
柔「あ、そうだね、中じゃなくて良いのか。」
柔「じゃあ、行ってくるね~。」
柔は掃除道具を直しに行った。
耕作は女湯の入り口に出て柔を待った。
耕作「(柔はこういう場所の女将さんにも向いてそうだな。)」
耕作「(それにしても、慣れてるとはいえ、手際が良いな~。)」
耕作「(改めて、凄い子だと実感した。)」
柔「お待たせ~、じゃあ、洗濯場に行こうか?」
耕作「お帰り、そうだね。」
2人は洗濯場へ向かった。
洗濯場に着いた柔は洗濯機の中から洗濯物を出して籠に入れた。
柔「じゃあ、干すの手伝ってね?」
耕作「ああ、良いよ。」
柔は耕作に洗濯物を一つ渡した。
耕作はそれを物干しに掛けようとした。
柔「あ~、そのまま掛けたら駄目だよ?」
耕作「え?そのままじゃ駄目なの?」
柔「そのまま掛けたら皺になるの。」
柔「掛ける前に広げて軽く振ってね。」
耕作「こうかい?」
耕作は洗濯物を広げると軽く振った。
柔「ちょっと違うかな?」
柔「バシッバシッって感じで振ってね。」
耕作「あ~、最後に力を入れるんだ。」
柔「そうそう、そうすれば皺が伸びるから。」
耕作「分かった。」
耕作は柔に渡された洗濯物を柔に言われた様にして次々に干していった。
柔「これ、あなたが干してみる?」
柔は自分のブラとショーツを耕作に見せた。
耕作「まだ、少し恥ずかしいかな?」
柔「え~、昨夜脱がしてたじゃな~い。」
耕作「し~~、大きな声で言わないで。」
柔「あは、そうだった、でも、誰も居ないよ?」
耕作「そうだけどさ、もし誰かに聞かれたら、君も恥ずかしいんじゃない?」
柔「それもそうか、で、干すの?干さないの?」
耕作「干すよ、これはそのまま掛ければ良いんだよね?」
柔「うん、それはそのままで良いから。」
耕作は柔にブラとショーツを渡されて、それを干した。
耕作「そうか、君が動き難くなったら、こう言う事もしなくちゃいけないんだった。」
柔「うふふ、そうだね~、その時はお願いね~、あなた~。」
柔「は~い、これで終わり~、お疲れ様でした~。」
耕作「結構、慌しいね~。」
柔「まあ、まだ、他にする事も有るけど、今はこれ位で良いかな。」
耕作「まだ、他にもする事が有るのか、大変だ~。」
柔「じゃあ、部屋に戻りましょうか。」
耕作「そうだね。」
2人は部屋に戻って行った。