柔と耕作(松田)の新婚日記 9日目 (午後編第2部)
文書量(文字数)が膨大になった為、13分割で表記します。
柔達を乗せた車列は柔の実家方面に向かっていた。
柔の実家近くのファミレスに差し掛かると鴨田の車を先頭に駐車場に入って行った。
全員が車から降りると鴨田は駐車場に車を停めて柔達の元に戻って来た。
その間に耕作はタクシーの清算を行っていた。
柔「皆、中に入ろうか。」
柔に促される様に全員が建物の中に入った。
店員「何名様でしょうか?」
柔「全部で10人になります。」
店員「10名様ですね、では、こちらの方へ。」
柔達は店員に案内されて窓際の2つのテーブルに案内され、柔達は各々好きな場所に座った。
店員「ご注文がお決まりになりましたら、お呼び下さい。」
柔「はい、分かりました。」
店員は所定の位置に戻って行った。
柔「皆、好きな物を選んでね。」
皆はメニューに目を通すと、それぞれに食べたい物を決めていった。
耕作「鴨田、これを編集長に渡しておいてくれないか。」
耕作は鴨田に原稿を渡した。
鴨田「了解っす、戻ったら必ず渡しますから。」
柔「鴨田さん、お願いします、それと今日はお疲れ様でした。」
鴨田「分かりました、柔さんこそ、お疲れ様でした。」
虎滋朗「耕作君、明日は何時に出て行くのかね。」
耕作「明日は8時過ぎに出て最寄りの駅から大宮駅を目指します。」
虎滋朗「そうか、皆、気を付けて行ってきてくれ。」
耕作「はい、その点には十分注意を払いますので安心して下さい。」
虎滋朗「耕作君、それとここの会計は私が持つから。」
耕作「よろしいのですか?俺が出すつもりだったんですけど。」
虎滋朗「構わんよ、これ位はさせてくれ。」
耕作「はい、分かりました、お願いします。」
虎滋朗「皆、よく頑張ったから、心ゆくまで食べて構わないから。」
ジョディー「そうするだわ、ありがとうだわ。」
テレシコワ「虎滋朗、ありがとう。」
マルソー「虎滋朗先生、ありがとう。」
クリスティー「サンキュウー、虎滋朗。」
鴨田「どうもすみません、ごちそうになります。」
柔「おとうさん、ありがとう~。」
滋悟朗「すまんのう~、虎滋朗。」
柔「皆、食べる物決まった?」
全員が頷いた。
柔は店員に合図を送るとこちらへやって来た。
店員「お決まりになりましたでしょうか?」
柔「はい、数が多いけど、お願いします。」
そう言うと柔は全員分のオーダーを店員に伝えた。
店員は復唱して厨房に伝える為にその場所へ向かった。
柔「ジョディー、沢山食べてね。」
ジョディー「勿論だわさ、沢山、食べるだわ。」
耕作「ジョディー達は俺の実家から柔の実家に一度戻ってから帰国するのかな?」
ジョディー「そうするだわ、荷物、全部、持って、行くと、多くなる、から。」
柔「そうすると家で一泊してからの帰国になるよね?」
ジョディー「そうだわ。」
柔「その方が良いね、連続しての長時間移動は疲れるもんね。」
柔「おかあさん、ジョディー達の事、お願いね。」
玉緒「分かったわ、ジョディーさん達、戻ってゆっくり疲れをとってから帰国なさってね。」
ジョディー「ありがとうだわ、そうさせて、貰うだわ。」
マルソー「ありがとう、ございます。」
テレシコワ「ありがとう。」
クリスティー「サンキュー。」
耕作「柔?ジョディー達の旅行の日程はどうなってる?」
柔「え~っと~、行き帰りで二日、向こうの滞在で二日かな?予定としては。」
柔「だから、三泊四日の日程になるよ。」
耕作「そうか、長くも無く短くも無く、ちょうど良い位の日程だな。」
耕作「ジョディー、帰る時は鴨田も一緒だから心配しなくて良いよ。」
ジョディー「そうだか?助かるだわ。」
耕作「鴨田?駅まではどうやって来るんだ?」
鴨田「大宮駅に直行するっす、新幹線の改札口付近で待ってますから。」
耕作「分かった、じゃあ、そうしてくれ。」
耕作「それと帰る時は実家までの皆の案内役を頼んだぞ。」
鴨田「任せて下さい、無事送り届けますから。」
滋悟朗「何にしても、楽しんでくる事ぢゃな。」
玉緒「とても新婚旅行とは思えませんけどね。」
柔「あたしが望んだ事だから。」
玉緒「そうでしたね、でも、楽しんでくるのよ。」
柔「うん、それなりに楽しんでくるよ。」
そうこうしている内に料理が次々に運ばれてきて、皆は食べ始めた。
全員「いただきます。」
玉緒「柔?さっきも、おとうさん達が言ってた様に戻ったら2階で休んでて良いから。」
柔「うん、そうするね。」
玉緒「ジョディーさん達は居間で寛いでて構わないわよ。」
ジョディー「そうするだわ。」
テレシコワ「分かった。」
マルソー「分かりました。」
クリスティー「OK~。」
虎滋朗「その時で良いから、今日の試合の感想を聞かせてくれないか?」
ジョディー達四人は食べながら頷いていた。
滋悟朗「ところで柔達は向こうにはいつまで滞在するつもりなんぢゃ?」
柔「え~っと、まだ決めて無かったかな?」
玉緒「あら、そうだったの?」
柔「うん、帰る日を決めると、それまでの予定を立てないといけないから決めなかったの。」
虎滋朗「そうは言っても、お前の休暇の日数も有るんじゃないのか?」
柔「そうなんだけど、余裕が有るから大丈夫だよ、おとうさん。」
滋悟朗「三週間ぢゃったかのう~。」
柔「そうだよ、おじいちゃん、今日で八日目だから残りは十三日かな?」
柔「全部使い切るまで向こうに居るつもりは無いから、一週間程度滞在して戻るつもり。」
玉緒「そうなのね、一週間、向こうで孝行してきなさい。」
柔「うん、しっかりと孝行してくるよ。」
耕作「田舎だから、余り表立って手伝いは出来ないけどね。」
柔「あなた?どうしてなの?」
耕作「ほら、嫁さんを扱き使ってるとか噂が広まると不味いから。」
柔「あ、それもそうね、じゃあ、中のお掃除と御飯の仕度位にしておくね。」
柔「おかあさん、エプロンを幾つか持って行くけど良いよね?」
玉緒「構いませんよ、元々、あれは柔の物なんだから。」
柔「あ、そうだった。」
玉緒「急にどうしたの?」
柔「あなた?あれどうする?」
耕作「あ~、買い物の事かい?」
柔「うん、一度戻ってでも良いけど、ここから直接行った方が時間的に良いかなって。」
玉緒「何か買い物に行くの?」
柔「うん、スポーツ用品なんだけどね。」
玉緒「そうね~、明日から旅行に出かけるなら今日買っておいた方が良いわね。」
耕作「君がそれで良いならそうしようか。」
柔「戻って出て来るより良いかな?」
耕作「分かった、じゃあ、そうするか。」
柔「おかあさん、ここを出たら、あたし達買い物に行ってくるね。」
玉緒「分かりました、気を付けて行ってらっしゃいな。」
耕作「あ、そうだ、鴨田、会社まで連れて行ってくれないか?」
鴨田「構わないっすけど。」
柔「あなた?何か用事なの?」
耕作「明日以降の原稿をどうするか確認しておこうかと思ったんだ。」
柔「あ~、それが有ったね。」
耕作「電話でも良かったけど、買い物する場所が近いから、どうせなら直接の方が良いしね。」
柔「そうだね、あ、あなた?例の件もついでに聞いてみたら?」
耕作「ああ、そうするよ、帰ってからでも良いけど早い方が良いし。」
滋悟朗「相変わらずぢゃのう~、何を言っとるのかさっぱりぢゃ。」
柔「うふふ、おじいちゃん、二人で相談してた事だから分からないのは無理ないよ。」
ジョディー「向こう、でも、こう、だっただわ。」
虎滋朗「ほう~、向こうで既にこうだったのか。」
玉緒「それだけ二人は信頼し合ってるって事でしょう。」
柔「前も言ったけど、良くお話した結果だよ。」
玉緒「そうだったわね。」
滋悟朗「皆、食べ終わった様ぢゃのう~。」
柔「皆、もう良いの?」
ジョディー「良いだわ、運動、直後、余り、食べないだわ。」
テレシコワ「そう、言う事だ。」
マルソー「私も、もう、十分、です。」
クリスティー「私、同じ、十分。」
全員「ごちそうさまでした。」
柔「それじゃ、出ましょうか。」
虎滋朗以外の全員は表へ出た。
暫くして虎滋朗が皆の元にやって来た。
柔「おとうさん、ごちそうさまでした、ありがとう~。」
ジョディー「虎滋朗先生、ありがとうだわ。」
テレシコワ「虎滋朗、ごちそうさま。」
マルソー「虎滋朗先生、ありがとう~。」
クリスティー「虎滋朗、先生、ありがとう。」
滋悟朗「虎滋朗、すまんかったな、ごちそうさまぢゃ。」
玉緒「虎滋朗さん、ごちそうさま。」
耕作「虎滋朗さん、ごちそうさま、ありがとう。」
鴨田「虎滋朗さん、ごちそうさまでした、車を出してきます。」
耕作「待ってるから。」
虎滋朗「いや、これ位しないとな。」
柔「じゃあ、おじいちゃん達は戻っててね、あたし達は耕作さんの会社と
買い物に行ってくるから。」
玉緒「いってらっしゃい。」
滋悟朗「慌てんでええからのう~。」
ジョディー「デート、だか?」
柔「ジョディーは~、でも、そうとも言えるかも?」
テレシコワ「デートか、楽しんで、くると、良い。」
柔「もう~、テレシコワさんまで。」
マルソー「柔、嬉しそう。」
柔「それはね~、二人で出掛けるのは嬉しいよ?マルソーさんもそうでしょう?」
マルソー「そうです、二人で、行く事、凄く、嬉しい。」
そこへ鴨田が車を寄せてきた。
柔「じゃあ、行ってくるね。」
耕作「行ってきます。」
玉緒「気を付けてね。」
玉緒「私達は戻りましょうか。」
柔達が駐車場から出て行くのを見送った後、滋悟朗達は家に戻って行った。
柔達は鴨田の車で会社に向かっていた。
耕作「鴨田、写真どの位撮った?」
鴨田「フィルム5本分位は取りました。」
耕作「結構撮ったんだな、その写真、今日中に編集長に渡しておいてくれ。」
鴨田「勿論っす、必ず渡しておきますよ。」
柔「鴨田さん、いつもすみません。」
鴨田「いえ、これも仕事ですから、柔さんは気にしないで下さい。」
柔「鴨田さん、明日は8時半位に着く様にして下さい。」
鴨田「分かりました。」
鴨田「着きました、車を停めて後から行きますから。」
耕作「いつもすまんな、先に行くが原稿をくれないか。」
鴨田「あ、そうっすね、分かりました。」
鴨田は耕作に原稿を渡した。
鴨田「それじゃあ、車を停めてきます。」
鴨田は駐車場に向かった。
耕作「柔、行こうか。」
柔「はい、あなた。」
二人はビルに入ると上に上がって編集部に向かった。
耕作が編集部のドアを開けて柔を先に入れて後から付いて入った。
耕作「編集長、お疲れ様です。」
柔「編集長さん、こんにちは~。」
編集長「こんにちは、いらっしゃい。」
編集長「どうしたんだ?原稿は鴨田に預けると言ってなかったか?」
耕作「そのつもりだったんですが、明日以降の原稿の件を確認したいと思って
直接持ってきました。」
編集長「そうか、わざわざ、すまないな。」
耕作は編集長に原稿を渡した。
編集長「少し見せて貰うぞ。」
耕作「どうぞ。」
編集長は耕作が書いた原稿に目を通した。
編集長「なるほど、柔さんが試合前はこうするというのが良く分かる内容になってるな。」
柔「そうですか、良かったです。」
編集長「柔さんが目を通しているから安心してますよ、念の為に見ただけですから。」
柔「いえ、そんな事はありませんよ。」
編集長「いやいや、柔さんは編集者としての資質を十分に持ってますから。」
編集長「松田君、明日以降の原稿の件だったな。」
耕作「はい、明日から旅行に出かけるので原稿は書けますが届ける手段が無いもので。」
編集長「そうだな、あ、そう言えば鴨田はいつこっちに戻るんだ。」
耕作「4日後には戻る予定になってますが?」
編集長「明日の記事はこれで良いとして、明後日のは結婚式の内容を俺が書いておくとするか。」
編集長「その後の分は鴨田が持ってくるとしても3日空く事になるが、
それは向こうと掛け合ってみよう。」
耕作「連載は休みという事ですか?」
編集長「向こうから戻る時に1日休みが有ったからな、理由を言えば断られる事は無いと思うぞ。」
耕作「郵送しましょうか?そうすれば1日空くだけで済むかと。」
編集長「なるほど、その手も有るな、良し、じゃあそれでお願いしておいても良いか?」
耕作「分かりました、それと今日の分はここで書いてお渡しします。」
編集長「良いのか?用事が有るんじゃないか?」
柔「大丈夫です、急ぐ用事では有りませんから。」
編集長「柔さんがそう言われるなら、頼むとするかな。」
耕作「それじゃ、今から書きますから。」
編集長「柔さんも居るから応接室で書いて構わないぞ。」
耕作「そうします。」
柔「お気遣い感謝します。」
柔「それと厚かましいお願いなんですが給湯室を使って構いませんか?」
編集長「構いませんよ、どうぞお使い下さい。」
柔「ありがとうございます。」
耕作は原稿を書くために応接室に向かい、柔は給湯室に行った。
耕作が原稿を書き始めた頃に柔がコーヒーを入れて持ってきた。
柔「はい、あなた。」
耕作「いつもすまないね。」
柔「うふ、いつもの事だから気にしないで。」
柔はテーブルの上にコーヒーを置くと耕作に寄り添って座った。
柔「今日の試合の内容を書いてるの?」
耕作「試合の内容もだけど、君とジョディー達が話してた事も書こうかと思ってる。」
柔「あなたがはお話してくれた事も書かないと。」
耕作「それは勿論書くよ、解説みたいな感じでね。」
柔「さすがだね。」
柔「あたしの休暇明けの事はこの原稿を渡す時に聞くつもりなの?」
耕作「そうするつもりだよ。」
柔「どう言う反応をするのかな?」
耕作「普通なら頭ごなしに否定されるだろうね。」
柔「それなら、あたしの社会人としての事を書く様にして入社当時からの
経緯とかも書いてみたら?」
柔「そうすれば取材と称して、あたしの居る支店に来る理由にもなりそう。」
柔「その取材の許可を社長から貰えば許可されそうに思うけどどうかな?」
耕作「柔、君は策士だね~、そう言う事を考える事が出来るんだから。」
柔「策士って褒めてるのかな?」
耕作「勿論、褒めてるよ、誰にでも出来る事じゃ無いからね。」
柔「うふ、それなら良いよ、で、どうかな?今のは。」
耕作「君の案で話してみる事にするよ。」
柔「上手くいく様に祈ってるね。」
耕作「話は変わるけど、柔は試合前にああいう風にする様になったのはいつからなの?」
柔「あ~、あれはオリンピック後からやった事だよ。」
耕作「何でやり方を変えたの?」
柔「あなた~?あたしにそう言う質問をする~?」
耕作「あっ、そうだった、思い付きだったんだね。」
柔「良く出来ました~、ご褒美は帰ってからね~。」
耕作「ご褒美ね~、何だろう?」
柔「うふふ、帰ってたからのお楽しみ~。」
柔「こんなお話してても原稿の方はちゃんと書いてるなんて、やっぱり凄いね。」
耕作「そこはね、君の声を聴くだけで捗るから。」
柔「あたしの声って、それだけで捗るものなの?」
耕作「君の声には魔力が潜んでるかもよ?」
柔「え~、あたしって魔女だったの?」
耕作「そう言う意味じゃ無いんだけど?」
柔「えへ、やっぱり違ってた?どういう魔力なの?」
耕作「俺にとっては集中を促す声になるかな?君の声は。」
柔「あ~、それは分かる、あたしにとっても、あなたの声がそうだもの。」
柔「特に試合中に聞くと、あなたの声に集中して他の事は考えられなくなるよ。」
耕作「なるほど、そう言う事だったのか。」
柔「何がそう言う事なの?」
耕作「俺が居ないと君は集中出来なくて無心に成り難いって事じゃないかと思った。」
柔「うん?どう言う事?」
耕作「今、君が言ったでしょう?俺の声に集中して他の事が考えられなくなるって。」
柔「そう言ったね、それで何がそう言う事なの?」
耕作「つまり、俺の声に集中する事で無心に成り易いって事かと。」
柔「あ~、そう言う事なんだ。」
柔「つまり、あたしが無心に成る為には、あなたの声は必要不可欠って事ね。」
耕作「そう言う事になるね。」
柔「今度テープに録音して貰っとこうかな?」
耕作「何を?」
柔「あなたの声をよ~。」
耕作「俺の声を録音してどうするの?」
柔「もう~、あなたが試合に来られない時に聞こうかと思ったの。」
耕作「あ~、そう言う事ね、良いよ声位録音しても。」
柔「ふっふっふ、これで完璧だ。」
耕作「何が完璧何だい?」
柔「写真と声の入った録音テープが有れば、あなたが居ない時でも或る程度は自分に
自信が持てる様になるかなって。」
耕作「まあ、余り使う事は無いと思うけどね、俺は必ず君の試合には付き添うから。」
柔「確かにそうだけどね、急用とかで来られなかった時の為よ。」
耕作「ふむ、転ばぬ先の杖か、用意周到か、無いよりは有った方が良いかも知れないね。」
柔「でしょう?だから、今度、録音しておいてね。」
耕作「分かった、やっておくよ。」
耕作「良し、出来上がった。」
柔「お疲れ様~。」
耕作「じゃあ。編集長に渡してくるよ。」
柔「あたしも一緒に行く~。」
二人は応接室を出て編集長の所へ向かった。
耕作「編集長、出来ました。」
編集長「もう出来たのか、さすがだな、ちょっと見るから。」
耕作が原稿を渡すと編集長は目を通した。
編集長「ほぉ~、こういう会話がされてたのか、内輪話だな。」
柔「内輪話はダメなんですか?」
編集長「いやいや、その逆で他のマスコミが知らない事だから貴重なんですよ。」
柔「そうなんですね、良かった~。」
耕作「編集長、ちょっとお話が。」
編集長「どう言う話なんだ?」
耕作「柔の休暇が明けたら柔の会社の取材をしたいと思ってるんですけど、如何でしょう?」
編集長「何故そうしないといけなんだ?」
耕作「柔が社会人になって今迄に起きた事とかを記事にしたいと思いまして。」
耕作「それと、これから先の会社での出来事も記事にしようかと。」
編集長「なるほど、柔道家以外の面を紹介するという事なんだな。」
耕作「どうでしょうか?」
編集長「通常の記事とは別扱いにするつもりなのか?」
耕作「そのつもりですが、ダメですか?」
編集長「良いんじゃないか?国民栄誉賞も貰ってる訳だし、今ならそう言う記事も読者は
興味が有りそうだしな。」
編集長「鶴亀の社長には俺の方から話して許可を貰っておくよ。」
耕作「え?俺達が言わなくても良いんですか?」
編集長「昨日の結婚式で色々と話したんだ、気が合ってな、それで名刺も交換したよ。」
編集長「そう言う事だから、俺から話した方が先方も了解し易いと思う。」
耕作「編集長、そうして頂いたら大変助かります。」
編集長「な~に、全然知らない仲じゃないんだし、それと記事で鶴亀の名前を出せば
向こうの宣伝にもなる訳じゃないか、断るはずは無いと思うぞ。」
耕作「それ、柔もそう言ってました。」
編集長「そうなのか、柔さんも状況を見極めるのが得意みたいですな。」
柔「ありがとうございます、普通に考えただけなんですけど。」
編集長「さすがは、鶴亀で営業をやってるだけは有りますよ。」
耕作「では、その件お願いします。」
編集長「分かった、君達が旅行に行っている間に話を纏めておくよ。」
柔「あたしからもお願いします。」
編集長「柔さん、任せておいて下さい、必ず首を縦に振らせてみせますから。」
柔「ありがとうございます。」
編集長「そうそう、鴨田も明日から同行するんだったよな。」
耕作「はい、鴨田には伝えてあります。」
編集長「そうか、それなら俺が言わなくても分かってる訳だ、向こうではよろしく頼むよ。」
柔「はい、お任せ下さい。」
編集長「柔さんにがそう言ってくれれば心配しなくて良いですな。」
編集長「この後、どこかへ行くのか?」
耕作「はい、柔の買い物に一緒に行こうかと思ってます。」
編集長「そうか、柔さんをちゃんとエスコートしろよ。」
耕作「勿論そうします。」
柔「それでは、失礼します。」
耕作「編集長、失礼します。」
編集長「気を付けて行ってくるんだぞ。」
柔「はい、ありがとうございます。」
二人は編集長に深々とお辞儀をすると編集部を後にしてビルの外へ出た。
柔「さっきのお話の持って行き方で良かったみたいね。」
耕作「そうだね、さすがは、俺の奥さんだよ。」
柔「えへ、褒めて貰っちゃった~、嬉しいな。」
柔「あなた?良い?」
耕作「あ、そうだね、良いよ。」
耕作が腕を出すと柔は自分の腕を絡ませた。
柔「うふ、嬉しいな~。」
耕作「少し恥ずかしいけどね。」
柔「それは、あたしも同じだよ?でも、嬉しさの方が大きいから。」
耕作「それは俺も同じかな?」
二人は腕を組んでショッピングモールに歩いて行った。