柔と耕作(松田)の新婚日記 9日目 (午前編第1部)

               文書量(文字数)が膨大になった為、13分割で表記します。
               11月4日大幅に抜け落ちていた文章を追加





      帰国九日目。 柔と耕作の長い長い一日(九日目) (試合当日)


      耕作は自然に目が覚めた。

      耕作「(柔は走りに行ってるみたいだな。)」

      耕作「(昨日は早く寝たけど、今何時なんだ?)」

      耕作は時計を見て時間を確かめた。

      耕作「(5時前なのか、柔は一体何時に起きたんだろう?)」

      耕作「(今日の試合も気になるが、明日からの事も気になるな~。)」

      耕作「(今日の試合では誰も怪我しない様に祈っておくか。)」

      耕作「(そうしないと、万一、誰かが怪我でもしたら明日からの旅行は取り止めにしないと
           いけなくなるだろうし。)」

      耕作「(杞憂に終わってくれれば良いが。)」

      階段から足音が聞こえてきた。

      耕作「(柔が帰って来たのかな?)」

      耕作は起き上がってベッドに座った。
      ドアを開けて入って来た柔は耕作がベッドに座ってるのを見て驚いた様な表情をした。

      柔「あなた、もう起きてたの?」

      耕作「あ、いや、今起きたところ。」

      柔「あ、もしかして起こしちゃった?」

      耕作「ううん、上がってくる前には起きてたから、気にしなくて良いよ。」

      柔「良かった~、あたしの足音で起きたのかと思っちゃった。」

      耕作「君は何時から走ってたの?」

      柔「時間は余り気にして無かったかな?今から30分位前にはもう走ってたけど。」

      耕作「4時半前から走ってたんだ。」

      柔「多分、その位だと思う。」

      柔「あなた?眠かったら寝ても良いよ?」

      耕作「昨日は早く寝たから、眠くは無いかな?」

      柔「じゃあ・・。」

      耕作「お願いね。」

      柔「うふ、直ぐ入れるね。」

      柔はコーヒーを2杯入れて耕作に片方を渡し寄り添って座った。

      柔「誰も怪我しない様に祈ったコーヒーだよ~。」

      耕作「ふふふ、相変わらず、考える事が同じなんだね、祈りながら頂くね。」

      柔「あは、あなたも考えてたんだ。」

      耕作「そうだよ、もし誰か怪我したら旅行を中止しないといけなくなると思ったから。」

      柔「あ、そうだよね、怪我した人を放ったまま旅行に何て行けないよ。」

      耕作「恐らくだけど、怪我する可能性が有るほどには実力が拮抗して無いから楽観はしてる。」

      柔「あなた、いつもそんな事言ってるね、そんなに違うの?あなたから見て。」

      耕作「贔屓目無しで段違いと言って良い位だと思う。」

      柔「う~ん、あなたの目を疑う訳じゃ無いんだけど、自分ではそこまでなのか分からない。」

      耕作「ジョディーの時の事は覚えてる?」

      柔「うん、覚えてるよ。」

      耕作「その試合の途中からだけど、ジョディーが技を仕掛ける暇が無かったのも覚えてる?」

      柔「え?そうだったの?」

      耕作「君の技を繰り出すスピードが速すぎて避けようとするのが精一杯に見えたんだ。」

      柔「途中から技を仕掛けてこないから可笑しいな~って思ってたけど、そう言う事だったのね。」

      耕作「ジョディーが技を仕掛けようとする前に君が技を仕掛けてたから、
          そうせざるを得なかったんだ。」

      耕作「ジョディーがそのまま技を仕掛けてたら、そこで君に決められてた。」

      耕作「君の駆け引きも以前と比べ物にならないって、ジョディーが言ってたけど、その事を
          指して言ってたんだと思う。」

      柔「なるほど、あなたの話を聞くと納得出来る点が多いね。」

      耕作「君が意識して駆け引きして無いのは、俺は知ってるけど、他の人は知らないから、
          そう言う風に思うんだろうね。」

      柔「あなたの言う通りだよ、あたしは感覚だけで柔道してるのよね~。」

      柔「技を仕掛ける時って言うのはバランスが崩れた状態なの、だからこっちも技を掛け易いの。」

      柔「普通は今だって思うんだろうけど、あたしの場合は既に技を仕掛けてる。」

      耕作「そこが君の強さの秘密なんだよ。」

      耕作「常人だと思考が先で、その後に動作を起こすわけだけど、君の場合は動作が先で
          思考が後から付いていく分、他の人よりも速く技を仕掛ける事が出来るんだ。」

      柔「それで技のスピードが速いって言われてるのね。」

      耕作「そう言う事になるね。」

      耕作「それが滋悟朗さんや虎滋朗さんが言ってる天性の才能って言う事になるんだ。」

      耕作「これだけは練習では絶対に身に付かないものなんだ。」

      耕作「それを5歳の時から発揮してた訳だから、虎滋朗さんも驚いたと思うよ。」

      耕作「君は、それに加えて感覚で相手の次の動作を察知する能力も持ってる、無意識にね。」

      耕作「それも天性の才能なんだ。」

      耕作「君はその二つの能力を身に付けてる稀有な柔道家になるんだよ。」

      耕作「恐らく世界に唯一人だと思う。」

      柔「あたし、そこまで凄いとは自分で思って無いのよね~。」

      耕作「それは、以前も話したけど君にとっては当たり前の事だから分からないのは仕方が無いよ。」

      耕作「因みにテレシコワさんの裏投げも似てるけど、裏投げを仕掛ける時は思考した後に
          仕掛けてるから、どうしても遅くなるんだよね。」

      耕作「遅くなるから、外されたり、更に返し技を仕掛けられたりするんだ。」

      耕作「つまり、テレシコワさんの条件反射的な動作って言うのは技を外す事だけなんだ。」

      耕作「そこが君とテレシコワさんの大きな違いなんだけど分かる?」

      柔「うん、分かるよ、あたしの場合は技を外す事と次に技を仕掛ける事は
        一連の動作になってるって言う事で良いんだよね?」

      耕作「その通り、何故なら君の場合は柔道してる全ての動作が思考の前に行われてるから。」

      耕作「さっきも言ったけど、思考は技を仕掛けた後に付いていくって感じになってる。」

      柔「なるほどね~、でも、あなたって起き抜けで良くそこまで考えられるよね~。」

      耕作「君に関した事だけはね、他は無理。」

      柔「うふふ、そうなんだ~、何だか嬉しくなっちゃう。」

      耕作「何で嬉しくなるの?」

      柔「だって、あなたがあたしの事をそこまで考えてくれてるんだって思ったら嬉しくなるよ?」

      耕作「あ~、そう言う事ね、君の事は常に考えてるよ。」

      柔「あたしだって、あなたの事は常に考えてるんだよ。」

      耕作「つまり、君が以前から言ってる、どちらも、なんだね。」

      柔「うん、そうだよ~。」

      柔「昨日言ったじゃない?あなたとあたしに関する全ての事は、どちらも、何だって。」

      耕作「確かに、言ってたね。」

      柔「あ・・。」

      耕作「うん、入れてね。」

      柔「うふ、直ぐに入れるね。」

      柔は立ち上がって耕作からカップを受け取るとコーヒーを自分の分と合わせて入れて
      片方を耕作に渡した。

      柔「ね~、あなた?」

      耕作「何だい?」

      柔「何か忘れてない?」

      耕作「うん?何かって?」

      柔「もう~、二つ忘れてるよ?」

      耕作「二つも有るの?忘れてる事が。」

      柔は耕作にキスをした。

      耕作「あ、今のが一つなの?もう一つは何だろう?」

      柔「目覚めのキスと~。」

      耕作「・・、分からない、降参、教えて?」

      柔「もう~、前はあんなに不安になってたのに~。」

      耕作「・・・、あ~、原稿書いて無かった~。」

      柔「良く出来ました~。」

      耕作「今から書いても良いかな?」

      柔「大丈夫?起き抜けなのに。」

      耕作「君と柔道談義したから大丈夫だよ。」

      柔「じゃあ、どうぞ、こちらの席へ。」

      耕作は柔に促されて机の椅子に座った。

      耕作「柔?」

      柔「な~に~?あなた。」

      耕作「これバッグに入れておいた方が良いんじゃないの?」

      柔「あ~、出しっぱなしにしてた。」

      柔は昨日置いたままにしていた乗車券と宿泊券を慌ててバッグに入れた。

      柔「あなた、ありがとう~。」

      耕作「お礼を言われるほどじゃ無いとは思うけど。」

      柔「ううん、無くしたら大変な事になってたから。」

      耕作「確かに、でも、これで安心だね。」

      柔「うん、あ、原稿書いてね。」

      耕作「そうするね。」

      柔「また、見てても良いかな?」

      耕作「前も言ったけど、見て貰ってた方が捗るから是非。」

      柔「うふふ、分かった~、見てるね。」

      耕作は原稿を書き始めた。

      柔「今日はどういう風に書くの?」

      耕作「昨日の練習で見せた君の行動に関してかな?」

      柔「そうなんだ。」

      耕作「君に説明された事を書こうかと思ってる。」

      柔「あれは、あたしだけかもしれないのに?」

      耕作「だから、余計に良いんだよ、君の柔道の強さの秘密の一端を
          読者に知らせる事が出来るから。」

      柔「なるほど、そう言う考えで書くんだね。」

      耕作「あの動作の中でも正座して目を瞑ってた時にやってた事は、
          他の人にも出来る事じゃない?」

      柔「そうだね、あれは他の人にもやって貰いたいかも。」

      耕作「うん、それで自己管理出来るようになれば良い事だからね。」

      柔「やっぱり、あなたって目の付け所が違うよね~。」

      柔「読み手の目線で書く事が出来るのもそのお陰なのね。」

      耕作「良し、書き上がったよ。」

      柔「お疲れ様でした。」

      柔「その原稿はいつ持って行くの?」

      耕作「鴨田が試合に来るでしょう?」

      柔「うん、迎えに来るのかな?」

      耕作「そのはずだよ、だから帰る時に預けようかと思ってる。」

      柔「さすがだよね~、そこまで考えてるんだから。」

      耕作「朝御飯が終わったら編集長に連絡しておくよ、鴨田に持たせるって。」

      柔「それが良いね、編集長をやきもきさせなくて済むもんね。」

      耕作「朝御飯の仕度までは、まだかなり時間が有るね、」

      柔「そうだね~、何かする?」

      耕作「するって言ってもね~、また寝る訳にもいかないし。」

      柔「え?え~、今から愛し合うの?」

      耕作「これこれ、普通に寝るだけなのに、何で、君は愛し合う方に話が行くのかな?」

      柔「あれ?違ったの。」

      耕作「第一、君は今日試合が有るのに、俺がそんな事する訳無いでしょう?」

      柔「そうだよね、ごめんね~、勘違いしちゃった~。」

      柔「じゃあ、また何かお話でもしてようか。」

      耕作「そうしようか。」

      二人はベッドに寄り添って座った。

      耕作「そう言えば、さっきの宿泊券を親父達に見せて説明しないといけないんだったね。」

      柔「あ、そうだった、危うく忘れそうだった。」

      耕作「まあ、見せるのは向こうに行ってからで良いと思うよ。」

      柔「じゃあ、そうするね、また、忘れそうだったら声を掛けてね。」

      耕作「忘れそうだったらね。」

      柔「あ~、今、あなた、あたしが絶対に忘れるって思ったでしょう?」

      耕作「何で分かったの?」

      柔「わざわざ、念押しみたいにして言ったからだよ~。」

      耕作「相変わらず、君は言葉に対して敏感だね。」

      耕作「君のそう言う所が可愛いんだけどね。」

      柔「そう言う所って?」

      耕作「うっかり物忘れするところが。」

      柔「どうせ、あたしは天然ですよ~だ。」

      耕作「ふふふ、それが良いんだよ?」

      柔「ほんとに~?」

      耕作「前も話したけど、そのギャップが君の魅力の一つなんだから。」

      柔「何に対してのギャップになるの?」

      耕作「柔道をしてる時とのギャップかな?」

      柔「何で柔道をしてる時とのギャップなの?」

      耕作「柔道ではあれだけ完璧にこなしてるのに、普段の生活では物忘れが多いって
          言うギャップかな?」

      柔「あ~、そう言う事なのね。」

      柔「あたしって、色んなギャップが有るのかな?」

      耕作「そうだよ、だから、君をずっと見てても飽きなんかこないんだ。」

      柔「うふ、これからも、あたしの事を見ててね、あなた。」

      耕作「勿論そうするよ、って言うか、見てると楽しいし嬉しくなるから、必ず見てる。」

      柔「嬉しくなるのは分かるんだけど、楽しいのは何で?」

      耕作「全てがそうじゃ無いけど、たまに、君があたふたしたりするから楽しいんだ。」

      柔「確かに、あたしはあたふたする事が多いかも。」

      耕作「それも、柔道に対してのギャップなんだけどね。」

      柔「なるほど、柔道ではあたふたしてないもんね。」

      耕作「そう言う事だね。」

      耕作「きみが柔道をやってる最中は神経が研ぎ澄まされてるから、日常生活では
          その反動が出てるのかも。」

      柔「それって、柔道を止めたら反動が出ないのよね?物忘れしなくなるの?」

      耕作「あ、いや、物忘れって一般的に性格的な面が有るから、それは無いと思うよ。」

      柔「な~んだ~、柔道止めたら物忘れが直るかと思っちゃったよ~。」

      耕作「わざわざ直さなくて良いよ、折角の可愛さが無くなるよ?」

      柔「え?可愛さが無くなるの?物忘れしなくなったら。」


      耕作「他の人はどうか分からないけど、君の場合はそうかな?」

      柔「じゃあ、今のままでいいや。」

      耕作「だから、前から言ってるじゃない?君は今のままで居てねって。」

      柔「あ~、そう言う意味も込めて言ってたのね。」

      耕作「そうだよ?いつまでも可愛くあって欲しいから言ってたんだから。」

      柔「あなた、ありがとう~、あたしの事を思ってくれてて。」

      柔は耕作に抱き付くとキスをした。
      耕作は思わず抱き締めていた。

      耕作「柔?」

      柔「な~に~?あなた。」

      耕作「君、ま~た、着けて無いね?」

      柔「だって~、この方が楽なんだも~ん。」

      耕作「しょうがないな~。」

      耕作「君のしたい様にして良いって言ったけど、こればかりは他の人も
          家に居る時が有るからね。」

      耕作「もうさ~、全部スポブラにしたら?」

      柔「え~、お洒落出来なくなるよ?それだと。」

      耕作「え~っと、見えない部分のお洒落なんだから別に良いんじゃないの?」

      柔「あなたに見せる時にスポブラでも良いの~?」

      耕作「俺は別に構わないけど、それでも。」

      柔「ほんとに~?」

      耕作「じゃあさ~、今度見に行ってみようか?デザイン的に他にどういうのが有るか。」

      柔「スポブラを見に行くの?」

      耕作「うん、今持ってる分以外にどういうのが有るのか。」

      耕作「もし有ったら君さえ気に入れば買っても良いよ。」

      柔「ほんと~、良いの~?」

      耕作「ノーブラでウロウロされるよりは良いかな?」

      柔「え~、あたしウロウロなんてして無いよ?」

      耕作「でも、風呂場からここまではその格好なんでしょう?」

      柔「うん、そうだよ。」

      耕作「してるじゃない?」

      柔「・・、ごめんなさ~い、してました~。」

      耕作「素直に謝ったし、そんな表情をされたら許さない訳にはいかないな~。」

      柔「あなた、ありがとう~。」

      耕作「外出する時は普通のタイプで家に居る時はスポブラで良いからね。」

      耕作「あ、寝る時はノーブラで良いよ、今迄ずっと、そうしてきてたんだし。」

      柔「今度買うのを柔道用にしても良いのよね?」

      耕作「それは柔が決めて良いよ、ここで着ける分と柔道をする時に付ける分は。」

      柔「ほんと~、どんなのが有るかな~、楽しみ~。」

      耕作「洗い替えの分を含めると3つ買わないといけないね。」

      柔「え~、そんなにいらないよ?」

      耕作「どうして?前はそう言って無かった?」

      柔「だって、ほら、あたし・・。」

      耕作「あ、そうか、1年間は柔道出来なくなるんだったね。」

      柔「まだ、確定じゃ無いけどね。」

      柔「だから、1つ有れば良いよ、今迄の分をここで使う分に回すから。」

      耕作「君がそれで良いなら、俺は構わないから。」

      柔「でも、たまには着けなくても良いでしょう?」

      耕作「うん、たまになら良いよ。」

      耕作「俺が君をより強く感じて欲しくて、そうしてるのは知ってるから。」

      柔「分かってくれてたのね。」

      耕作「前も言ってたしね。」

      柔「そうだったね。」

      柔「そろそろ、下に下りようか?」

      耕作「もう、そんな時間になってたか。」

      柔「まだ、余裕は有るけど、早めに朝ご飯を食べてた方が良いから。」

      耕作「試合が有るから?」

      柔「そうだよ、少なくとも胃の中に食べた物が残ってない状態の方が良いからね。」

      耕作「その通りだけど、いつも7時過ぎには食べて無かった?」

      柔「試合開始は10時だけど、その前に準備運動とか乱取りとかするから、
        もう少し早めの方が良いと思ったの。」

      耕作「という事は7時前には食べ終わってた方が良いのか。」

      柔「そうなるね。」

      耕作「じゃあ、下に下りないといけないけど、君はブラだけは着けてね?」

      柔「え~、やっぱり、着けないといけないの?」

      耕作「どの道、西海大に行く時は着けないとけないでしょう?」

      柔「そうよね~、どうしようかな~。」

      耕作「はい、はい、持ってきなさい、着けてあげるから。」

      柔「わ~い、でも、良く分かったね~。」

      耕作「今、言いながら、俺の事をチラ見してたじゃない?」

      柔「えへ、分かってたのね。」

      柔は着る物を選んで持ってくると耕作に渡した。

      耕作「え?これを着るの?」

      柔「可笑しいかな?」

      耕作「いや、可笑しくは無いけど、スポブラでしょう?これって。」

      柔「あなたがさっき、ここでも着て良いって言ったからなんだけど、ダメなの?」

      耕作「あ~、そう言う事か~、いや、全然構わないよ。」

      柔「それだと向こうに行った時にTシャツに着替えるだけで済むからって思ったの。」

      耕作「なるほど、着替える時間を短くして、その分を練習に充てるつもりなんだ。」

      柔「ううん、練習はいつも通りしかしないよ?」

      耕作「じゃあ、何で着替えるだけで済むって言ったの?」

      柔「その方が楽だから。」

      耕作「え?それだけ?」

      柔「うん、それだけだよ?」

      耕作「でも、何で楽になるの?」

      柔「あなたもあたしに普通のブラを着けたり外したりしてるでしょう?」

      耕作「あ~、そう言う事か~、確かに、あれは面倒だよね。」

      耕作「その分が楽になるって意味だったんだね。」

      柔「うん、そう言う事なの。」

      耕作「じゃあ、着けるから、脱いで。」

      柔「え~、脱がしてくれないの~?」

      耕作「そこから?」

      柔「いつもそうしてくれてたじゃな~い。」

      耕作「もう、仕方の無い子だね~。」

      柔「こんな子は嫌いなの?」

      耕作「ううん、手が掛かる子ほど可愛いから大好きだよ。」

      柔「うふ、あたしも、あなたの事、大好きだよ。」

      耕作「じゃあ、シャツを脱がすね。」

      柔「うん、お願~い。」

      耕作が柔のシャツを脱がすと柔は胸を手で隠した。

      耕作「うん、感心、感心、ちゃんと言い付けを守ってるんだね。」

      柔「そうだよ~、あなたに言われたからね~。」

      耕作「じゃあ、そのまま向こうを向いて手を外してね。」

      柔「は~い、分かった~。」

      柔が耕作に背を向けて手を胸から外し万歳の恰好を取ると耕作はスポブラを
      柔の上から被せる様に着せた。
      柔がスポブラを整えて耕作の方を向くと耕作は柔にシャツを着せた。

      柔「あなた、ありがとう~。」

      耕作「俺もありがとう~って言いたいよ、きれいな背中を拝めたから。」

      柔「やだ~、もう~、あなたってば~。」

      耕作「それもお約束なの?」

      柔「うん、そうだよ~、無反応じゃ寂しいでしょう?」

      耕作「確かに、無反応だとこっちも困惑するね、怒ってるんじゃないかって思ったりするし。」

      柔「あなたにやって貰った事に対して怒った事なんて無かったと思うんだけど。」

      耕作「そう言われてみればそうだね。」

      耕作「それじゃ、下りようか。」

      柔「あなた、着替えなくて良いの?」

      耕作「あ、忘れてた。」

      柔「あは、あたしの事とお話に夢中になり過ぎて忘れてたのね。」

      耕作「そうみたい、直ぐ着替えるから、ちょっと待ってて。」

      柔「は~い、分かった~。」

      耕作は寝間着をズボンとシャツに着替えた。

      柔「あなたと一緒に住む様になって思ってたんだけど、男の人は着替えが楽で良いよね~。」

      耕作「確かに、着替えで面倒な事は無いし。」

      耕作「待たせたね、それじゃ、改めて、下に行こうか。」

      柔「余り待ってなかったけどね、行きましょう。」

      二人はポットとカップを持って階下に下りて行った。

↓ここからが追加した文章

      二人は下に下りると、耕作は洗面所に、柔は台所へ向かった。

      柔「(さて、昨日よりは軽めにしておかないといけないな。)」

      柔はエプロンを着けるといつもの様に味噌汁から作り始めた。
      耕作が洗面所からやって来た。

      柔「あなた、食器出して貰っても良い?」

      耕作「お安い御用さ。」

      耕作は食器を選んでテーブルの上に置いて行った。

      柔「あ、あなた、それ位で良いよ、ありがとう~。」

      耕作「今日は昨日より品数減らすの?」

      柔「ううん、数は同じだけど内容を少し変えるの。」

      耕作「でも、食材見なくてよく決められるね?」

      柔「昨日確かめておいたから大丈夫だよ。」

      耕作「さすが、料理でも抜け目がないね。」

      柔「うふふ、ありがとう~。」

      玉緒「あら、早いのね~、おはよう~。」

      柔「おかあさん、おはよう~。」

      耕作「おはよう~。」

      玉緒「私も何かしましょうか?」

      柔「うん、お願~い。」

      玉緒「じゃあ、お魚焼くわね。」

      柔「は~い、ありがとう~。」

      玉緒「今日の卵焼きは、この前海苔を巻き込んで醤油を入れて作ってた分なのね。」

      柔「うん、そうだよ~、皆が美味しいって言ってたから作ってみたの。」

      玉緒「他にも何か作るの?」

      柔「ホウレン草の御浸しを作ろうかと思ってるんだけど。」

      玉緒「そうなのね、後はお漬物でも良いかしら?」

      柔「そうだね、キュウリと大根と白菜のお漬物を盛り付けて取って食べて貰う様にしようか?」

      玉緒「それが良いわね、個別にすると大変だし。」

      耕作「(料理になると凄いコンビネーションだ、さすが、親子と言うべきか。)」

      虎滋朗「おはよう~。」

      柔「おとうさん、おはよう~。」

      玉緒「おはよう~。」

      耕作「おはよう~。」

      虎滋朗「なあ、玉緒。」

      玉緒「どうかしました?虎滋朗さん。」

      虎滋朗「女性用の更衣室とシャワールームを新しく作ろうかと思っているのだがどうかな?」

      玉緒「良いんじゃありません?柔の事も有るけど、海外から来る方に女性が居たら、その方が
          喜ばれると思いますわよ。」

      柔「おとうさん、それ、ほんとなの?」

      虎滋朗「ああ、本当だよ、玉緒もそう思ってるなら、おとうさんに相談してみるか。」

      虎滋朗「あ、そうそう、もう全員起きて体を動かした後、居間で待ってるぞ。」

      柔「あ、それで、そんな事考えてたんだ。」

      虎滋朗「そうなんだ、毎回、脱衣所で着替えだと大変だろうと思ってな。」

      虎滋朗「シャワーはお前も言ってた事も有るし、必要だろうと思ったからなんだ。」

      柔「そうなんだ、あたしも大賛成だよ。」

      柔「出来たよ~。」

      虎滋朗「そうか、じゃあ、私も手伝おう。」

      耕作「俺も持って行きますから。」

      玉緒「それじゃ、持って行きましょうか。」

      四人は朝御飯を居間へ持って行った。

      滋悟朗「おはようさん、今日もそれぞれの夫婦でとは感心ぢゃのう~。」

      柔「おじいちゃん、皆、おはよう~。」

      耕作「滋悟朗さん、皆、おはよう~。」

      玉緒「おとうさん、皆さん、おはようございます。」

      四人「おはよう、ござい、ます。」

      柔達は朝御飯を座卓の上に手際よく並べて行った後、
      玉緒と虎滋朗、柔と耕作は並んで座った

      玉緒「さあ、頂きましょうか。」

      九人「いただきます。」

      柔「テレシコワさん達、そこに置いて有るのは漬物っていう物で小皿にとって
        お醤油を掛けて食べてね。」

      テレシコワ「分かった、ありがとう。」

      柔「ジョディーは知ってるよね?皆に食べ方を教えてね。」

      ジョディー「勿論、覚えてる、だわさ、教えるだわ。」

      柔「ありがとう~、ジョディー。」

      柔「ね~、ジョディー?」

      ジョディー「どうしたか?柔。」

      柔「今日は一緒にご飯食べてるけど、良かったの?」

      ジョディー「滋悟朗先生、言われただわ、最初、来た時と、同じ事、しなさいって。」

      柔「そうだったのね、おじいちゃん、ありがとう~。」

      滋悟朗「気にせんでええぞ、こやつ、後から食べるとか言い出しおるから、それぢゃ、
           ダメぢゃと言うたんぢゃ、そう言う心構えでは柔を追い抜けんぞ、とな。」

      滋悟朗「普段の生活と柔道は切り離して考える様にせんといかんからのう~。」

      柔「そうだね~、おじいちゃんがお手本を示してたもんね、色々と。」

      滋悟朗「こりゃ、柔、それ以上の事を言うでないぞ。」

      柔「は~い、分かってま~す、おじいちゃんの威厳は損ないませんから~。」

      滋悟朗「こやつ、以前からぢゃったが更に小憎らしくなったもんぢゃ。」

      虎滋朗「おとうさん、ご相談が有るのですが。」

      滋悟朗「何ぢゃ?言うてみい。」

      虎滋朗「道場の前の庭辺りに女性用の更衣室とシャワールームを作りたいと思っているのですが、
           おとうさんはどう思われますか?」

      滋悟朗「虎滋朗よ、儂は道場の事はお主に任せようと、この前も言ったであろう?」

      滋悟朗「それは道場に関する事も含めて言ったつもりなんぢゃ、ぢゃから、それに関しては、
           お主の思う通りにやって構わんぞ。」

      虎滋朗「分かりました、私が戻ってからでは遅すぎるので、ここを発つ前に手配を
           済ませておきたいと思います。」

      滋悟朗「虎滋朗、何か伝手は有るのか?」

      虎滋朗「はい、写真館の幸ちゃんに知り合いでそう言う方がいるみたいなので、そちらで
           手配をしようかと思っています。」

      滋悟朗「そうか、お主もこっちに戻って来た時の事を色々と考えておる様ぢゃのう~。」

      柔「昨日、二人でお話してた時に、今のお話もしたの?おとうさん。」

      虎滋朗「そう、いろいろ話してるうちに、その話題になってな。」

      虎滋朗「柔達が旅行に行っている間に話しておくよ。」

      柔「お父さん、頑張ってね。」

      滋悟朗「あ~、ちょっと、皆、聞いてくれ。」

      柔「な~に?おじいちゃん。」

      ジョディー「滋悟朗先生、何だわ?」

      滋悟朗「今日の試合の対戦順をここで知らせておくぞ。」

      柔「あ、決まったんだ。」

      滋悟朗「そうぢゃ、向こうに行ってからでも良いんぢゃが、ここで言っておいた方が
           何かと心積もり出来るであろうと思うての。」

      テレシコワ「確かに、その方が、落ち着いて、試合、臨める。」

      滋悟朗「そう言う事ぢゃな、では、発表する。」

      滋悟朗「第一試合はマルソー、第二試合はテレシコワ、第三試合はクリスティー、そして、
           最後はジョディー、この順番で試合を進める事にしておるから。」

      マルソー「私、一試合目、頑張る。」

      テレシコワ「柔、良い試合、するぞ。」

      クリスティー「おぉ~、サード、柔、楽しみ。」

      ジョディー「滋悟朗先生、私、最後、大丈夫か?」

      滋悟朗「ジョディーよ、柔の心配はせんでもええぞ、この程度で、ばてる様な柔道は
           教えておらんからのう~。」

      虎滋朗「ジョディー、前回のオリンピックと同じ条件だ、心して掛かれよ。」

      柔は小声で耕作に話し掛けた。

      柔「あなたとあたしの予想が的中したね。」

      耕作「そうだね、これが一番の組み方だと思うよ。」

      柔「普段通りのあたしで臨むから。」

      耕作「それで良いと思うよ。」

      滋悟朗「それでは、食事はこのあたりで良かろう、後は皆、思い思いに試合まで過ごすとええぞ。」

      柔「うん、そうする。」

      マルソー「そうします。」

      クリスティー「アイ、アンダスタンド。」

      テレシコワ「分かった。」

      ジョディー「分かっただわ、滋悟朗先生、少ししたら、道場、使って、良いだか?」

      滋悟朗「おぅ、1時間以上経ってなら構わんぞ。」

      ジョディー「分かっただわさ。」

      全員「ごちそうさまでした。」

      柔「あなた?」

      耕作「うん、分かった。」

      玉緒「柔?私がしようか?」

      柔「ううん、あたしがするよ、おかあさんはお洗濯の方をお願い。」

      玉緒「それじゃ、お願いするわね。」

      柔と耕作は食器を持って台所に行った。
      柔はエプロンを着けると耕作にコーヒーを入れて渡した。
      耕作は受け取りながらテーブルに着いた。

      柔「待っててね、直ぐに終わらせるから。」

      耕作「ありがとうね、急がなくても良いから。」

      柔「うん、普段通りにするよ。」

      耕作「今まで通りのペースでするって事なんだ。」

      柔「そうだよ~、何も変える気なてないもん。」

      耕作「つまりは平常心を持つって事か、さすがは・・以下略。」

      柔「うふふ、それは、分かるよ。」

      柔「さて、終わったよ~、上がろうか?」

      耕作「そうするか、行こう~。」

      耕作は柔にカップを渡すとそれを洗った。

      二人はいつもの様にポットとカップを持って上に上がった。