柔と耕作(松田)の新婚日記 8日目 (午後編第3部)

               文書量(文字数)が膨大になった為、9分割で表記します。







      二人は玉緒を探しながら台所へ向かった。
      玉緒は台所で片付けしていた。

      柔「あ、おかあさん、あたしがやったのに~。」

      玉緒「あなたは疲れてるんだから良いわよ。」

      柔「おかあさんの方が疲れてそうだけど。」

      玉緒「私はお話してただけで何もしてませんよ?」

      柔「準備とかしてたんじゃないの?」

      玉緒「耕作さんのご両親にお手伝いして貰ったし、富士子さんとご両親にもお手つだい
          して貰いましたからね、私は余りやってない事になるかな?」

      柔「そうだったのね、富士子さんにお礼を言わないといけないな。」

      柔「あ、そうだ、晩御飯って作るの?」

      玉緒「作っても良かったけど、おとうさんが人数が多いから、また仕出しにしとけって。」

      玉緒「だから、引き取りに来た時に頼んでるから心配しなくて良いわよ。」

      柔「そうだったのね。」

      柔「あ、そう言えば、鴨田さんと邦子さんの姿が見えなかったけど、どうしたのかな?」

      玉緒「あの二人なら、あなた達が上に居る間にタクシーを呼んで会社に
          送って貰ったわよ。」

      耕作「あ、すみません、そうだったんですね。」

      玉緒「今日撮影したものを編集に回さないといけないとか言ってたわね。」

      柔「お二人ともお仕事に熱心なんだね~。」

      耕作「早めにしておかないと、他の社にも渡さないといけないからね。」

      耕作「特にビデオはダビングする前に編集しないといけないから。」

      柔「あ、そうなんだ、さすが、詳しいね~。」

      柔「ところで居間に残ってる方達はどうしてるの?」

      玉緒「皆さん、起きてテレビを見たり雑談してるんじゃないかしら?」

      玉緒「伊東ご夫妻は耕作さんのご両親とお話が弾んでる様だったわね。」

      柔「富士子さんの結婚と記憶が重なって思い出話とかしてるのかな?」

      玉緒「そうじゃないかしら?どちらかと言えば耕作さんのご両親が伊東ご夫妻に
          色々尋ねてた様な気がするわ。」

      耕作「お嫁さんを送り出す親としての気持でも聞いてるのでしょうか?」

      玉緒「そうだと思いますよ、私に聞いてくれれば何でも正直にお話するのにね。」

      柔「おかあさんもお話好きだからね。」

      玉緒「そうそう、富士子さんを含めた三葉の子達とジョディー達も一緒になって
          お話してたわよ。」

      柔「何を話してるんだろう?」

      耕作「君の短大時代の事でも聞いてるんじゃないのかな?」

      柔「何だか恥ずかしいな~、あの頃の事を聞かれてるなんて。」

      耕作「柔道部の創設の経緯とか富士子さんが話してたからじゃない?」

      柔「あ、それで興味を持ったって事?」

      耕作「そうだと思うよ。」

      玉緒「さあさあ、お話の続きは上でなさい、晩御飯の用意が出来たら呼ぶから。」

      柔「うん、分かった~。」

      耕作「それじゃ、上で休憩してます。」

      玉緒「そうなさい。」

      二人はポットカップ持って2階へ上がって行った。



      上に上がり部屋に入るとポットとカップを机の上に置いてベッドに寄り添って座った。

      耕作「鴨田達の事を忘れてたよ。」

      柔「あたしも姿が見えないのは分かってたけど、余り気に留めて無かったな~、
        悪い事しちゃった。」

      耕作「披露宴の部分は撮影してたのは知ってたんだけどね。」

      柔「その後、あたし達は出ちゃったしね。」

      柔「ちゃんと楽しんでくれてたかな?」

      耕作「出る少し前に見た時は編集長と一緒に飲みながら話してたのは確認したよ。」

      柔「それなら良かった~、お仕事だけやってた訳じゃ無かったのね。」

      耕作「そうだね、編集長も慰労のつもりで残したって言ってたしね。」

      柔「明日から、また、鴨田さんにはお世話になるから、向こうに行ったら柔道の練習を
        撮影する時以外は、のんびりして貰いたいな。」

      耕作「そうする様に仕向けないといけないね。」

      耕作「まあ、何も無い所だから部屋でのんびりする位しか無いけど。」

      柔「どちらかと言えば、その方が休養になるんじゃない?」

      耕作「そうだね、一日中ダラダラする訳じゃ無いから良いかも知れない。」

      柔「うん、柔道には撮影で同行して貰う訳だしね。」

      耕作「それに御飯は柔の手料理だしね?」

      柔「あ~、プレッシャー掛けないで~。」

      耕作「何も心配する必要は無いよ?普段通りに作れば良いだけなんだから。」

      柔「そうは言ってもね~、やっぱり気は使うよ?」

      耕作「大丈夫だって、いつもの君のままで良いんだから。」

      柔「そうなのかな~?」

      耕作「ここでやってた様にすれば良いだけだよ。」

      柔「うん、分かった~、あなたの言う通りにするね。」

      耕作「そうしてね。」

      柔「そう言えば、あなたの母校って男子校なの?」

      耕作「何でそう思ったんだい?」

      柔「別に他意は無いよ?何となくそうなのかな~って。」

      耕作「昔の俺が女っ気無かったからとかじゃ無いよね?」

      柔「ううん、そんな事思って無いよ?」

      耕作「ご期待に添えなくて残念だけど共学だったから。」

      柔「別に期待なんかしてないも~ん。」

      柔「共学だったのね~、じゃあ、柔道部に女の子居るかな?」

      耕作「どうだろう、俺達の時は女の子の部員は全然居なかったけど。」

      耕作「君が出てきた事で女の子の部員も居るかもしれないよ?」

      柔「あたしが出てきたって?」

      耕作「君の名前が世界的に有名になったから、自分もやってみようかなって思う女の子も
          増えてるかもよ?」

      柔「そうなのかな?」

      耕作「三葉を見れば分かると思うけどね~。」

      柔「あ、そうだった、あの四人も半分無理やりでは有ったけど柔道初心者だったね。」

      耕作「そう言う事だよ、初心者でもやれば出来るって事を実証したんだから。」

      耕作「それは滋悟朗さんの功績も有るけど、君の功績の方が大きいと思う。」

      柔「あたしの功績って?」

      耕作「やる気にさせるのが上手かったじゃない?それと教え方も。」

      柔「教え方は、あなたにアドバイスして貰ったからだよ?」

      柔「だから、あなたの功績でも有ると思うのよね~。」

      耕作「君に出来る事が有るって言っただけなんだけどね。」

      柔「あたしにとっては目から鱗?だったから。」

      耕作「まあ、何にしても、行ってからしか分からない事だし。」

      柔「それもそうか、今から考えても仕方ないね。」

      耕作「そう言う事だよ。」

      柔「あ、そうだ。」

      耕作「どうしたの?」

      柔「あなたの部屋って二人で眠れるのかな?」

      耕作「広くは無いけど二人で眠れるよ?」

      柔「そうなのね~、良かった~。」

      耕作「ただし、ベッドは無いから。」

      柔「え~、ベッド無いの~?」

      耕作「その代わり、布団が一式だけなら有るけど。」

      柔「それって、もしかして。」

      耕作「君は喜ぶだろうね~。」

      柔「えへへ、一緒のお布団~。」

      耕作「やっぱり、喜んでるし。」

      柔「あなたは嬉しくないの?」

      耕作「いや、当然、嬉しいに決まってるじゃない?」

      柔「あなたも嬉しいのね~、良かった~。」

      柔「お風呂とかはどうなってるの?」

      耕作「民宿だからね~、入れてもせいぜい二人かな?」

      柔「うふふ、二人は入れるのね~。」

      耕作「何を考えてるかは分かってるよ?」

      柔「だって~、それ位の楽しみがないと~。」

      耕作「楽しみなんだね。」

      柔「あ~、あなただって嬉しそうにしてたじゃないの~。」

      耕作「それは否定しないよ、実際、素の君を見られるから。」

      柔「もう~、や~だ~、あなたって、エッチね~。」

      耕作「お約束なの?」

      柔「うん、そうだよ。」

      柔「あたしもあなたの素の姿を見られるからね~。」

      柔「お相子?」

      耕作「そう言うのもお相子なんだ。」

      柔「うん、どちら・も、だからね~。」

      耕作「なるほど、そう言う事なんだ。」

      柔「あなたのご実家から学校までは遠いの?」

      耕作「近くは無いかな?タクシーでワンメーターってところだよ。」

      柔「大凡、3キロ位なのね、歩くと遠いな。」

      耕作「行くとしたらタクシーにしないと、歩いてると後ろに行列が出来ると思うよ。」

      柔「何で?」

      耕作「有名人の君と外国の人が四人だよ?田舎でそう言うのは滅多に見る事が出来ないから
          皆、物珍しくて付いて回ると思うんだよね~。」

      柔「それは困るな~、余り周りに知れ渡ると、あなたのご実家に迷惑を掛けちゃうから。」

      耕作「君らしいね、自分の事より俺の実家の事を心配するんだから。」

      柔「それはそうよ~、お世話になってる訳だから、迷惑は掛けられないよ?」

      耕作「確かにそうだね、でも、お世話になってるって言う割には君自身がお世話する側な様な
          気がするんだけど。」

      柔「実際そうだけどね、その為に行く訳なんだから。」

      耕作「前から言ってるけど、無理だけはしないでよ?」

      柔「うん、あなたに心配掛けたく無いから、何か有る前に必ず、あなたに相談するよ。」

      耕作「そうして貰うと、俺も安心出来る。」

      耕作「ところでミニツアーの券とか有るのかな?」

      柔「そう言うのは無いよ?JRの切符と宿泊券かな?有るとしたら。」

      耕作「さすが、詳しいね、それで、それっていつ貰えるの?」

      柔「直ぐにでも貰えるはずだけど、取りに行かないといけないかな?」

      耕作「明後日出発だから、明日取りに行かないといけないけど、時間有るかな?」

      柔「社員予約なので、その場での清算じゃ無いと思うから、貰うだけで良いと思うよ。」

      柔「だから、時間は余り掛からないはず。」

      耕作「問題はいつ取りに行くかか。」

      柔「試合が終わってからで良いんじゃない?」

      耕作「君は疲れてるでしょう?終わってからだと。」

      柔「動けない程に疲れる事は無いと思うから大丈夫だよ。」

      耕作「それでも、君には余り負担を掛けたくないな~。」

      柔「ありがとう~、あなた、あたしを心配してくれて。」

      柔「大丈夫よ、行き帰りはタクシーなんだから。」

      耕作「俺としては終わったら休ませたいんだよね、君を。」

      柔「あなたを一人で行かせる訳にはいかないもの、あたしも一緒に行くよ。」

      耕作「分かった、そこまで言うなら一緒に行こう、ただし、帰ったら直ぐに横になるんだよ。」

      柔「うん、約束するね、帰宅したら直ぐに寝るって。」

      耕作「そうしてね。」

      柔「一応、今日電話で確認しておこうか?」

      耕作「そうだね、行って無かったら目も当てられないから。」

      柔「羽衣課長に直接頼んでるから、それは無いと思うけど、念の為に確認するね。」

      柔「今から、掛けてみるから。」

      耕作「分かった、行こうか。」

      二人は立ち上がると階下へ下りて行った。



      下りてきた二人は電話の所へ行くと柔が支店に電話を掛けた。

      柔「もしもし、羽衣課長はいらっしゃいますか?柔です。」

      柔「はい、待ってます。」

      柔「今、呼びに行ってる、あ、来た。」

      柔「はい、柔です、お仕事中申し訳ありません、例のミニツアーの件なんですけど。」

      柔「あ、そうです、それの受け取りを明日にしようと思っているんですけど構いませんか?」

      柔「え?わざわざ、そこまでされなくて構いませんから。」

      柔「あ、はい、そうなんですね、分かりました。」

      柔「え?今からですか?明日でも良いんですけど。」

      柔「分かりました、お待ちしています、お手数をお掛けして申し訳ありません。」

      柔「はい、それでは失礼します。」

      柔は受話器を置いた。

      耕作「持ってくるんだね、ここに。」

      柔「うん、羽衣課長自ら持ってくるんだって。」

      耕作「何でわざわざ来るのかな?」

      柔「社長から、そう言う趣旨で連絡が入ったんだって。」

      耕作「そう言えば、聞かれてたよね予約の事。」

      柔「うん、あたしが費用の事で固辞したからかな?」

      耕作「それも全く関係無いとは思わないけど、あの社長ならそうすると、
          今なら確信出来るよ。」

      柔「そうよね、あたしに自由行動を与えて下さった位だもんね。」

      耕作「うん、君と同席した時に話を聞いてたら、普通に出来る事じゃ無いと思ったからね。」

      柔「羽衣課長に申し訳ないと思ってる。」

      耕作「君がそこまで気を回す必要は無いけど、君の性格からすると当然だね、そう思うのは。」

      柔「復帰したらお仕事と柔道で頑張って恩を返さないといけないよね。」

      耕作「そうだね、君に出来る事で恩を返せば良いと思うよ。」

      耕作「それで、直ぐに来るの?」

      柔「今から出るって言ってた。」

      耕作「なるほど、それなら上じゃ無くて下で待とうか。」

      柔「うん、その方が良いね、上だと来たかどうか分かり難いから。」

      耕作「じゃあ、台所で待とうか。」

      柔「そうしましょう。」

      二人は台所へ向かった。



      玉緒「あら、どうしたの?」

      柔「会社の人が明後日から行くのに必要な切符とかを今から持ってくるの。」

      柔「だから、上じゃ無くて、下で待とうって、それでここに来たの。」

      玉緒「まあ、そうなのね、上がって貰った方が良いかしら?」

      柔「あ、業務中だし、渡したら直ぐ帰るみたいだから、そこまでしなくて良いかな?」

      玉緒「そう言う事なら、あなた達に任かせおきますね。」

      柔「うん、あたし達でお迎えするから。」

      玉緒「柔、ちょっと手伝って頂戴。」

      柔「何するの?」

      玉緒「これを居間に持って行くから。」

      柔「御茶菓子?」

      玉緒「そうよ、まだ晩御飯まで時間が有るし、手持無沙汰には出来ないから。」

      柔「そうだね、あなた、ちょっと行ってくるね。」

      耕作「分かった、ここで待ってるから。」

      玉緒と柔は居間にお茶菓子を持って行った。



      一人残った耕作は色々考えを巡らせた。

      耕作「(そうか、10人以上居たんだった、あれでも足りない位かもしれない。)」

      耕作「(だから滋悟朗さんが仕出しを頼めって言ったんだ。)」

      耕作「(昨日の人数でも出前を頼んだ位だし、当然と言えば当然か。)」

      耕作「(しかし、柔も気配りとか他の人の心配とか良く出来る様になったな~。)」

      耕作「(向こうでの生活のお陰なのかな?道場に行ってたのも良かったのかも。)」

      耕作「(それにしても遅いな~、皆に捉まったか?)」

      耕作「(まあ、捉まらなくても、自分から話し掛けてそうだな。)」

      耕作「(柔が向こうに来て密着取材を言い渡されてから、常に一緒に居たんだよな~。)」

      耕作「(こうして少しでも離れてみると柔の存在を大きく感じる。)」

      耕作「(柔が会社に復帰したら、この思いはもっと強くなるんだろう。)」

      耕作「(その時、俺はその思いに耐えられるだろうか。)」

      耕作「(俺がそう思う位だから、柔の思いはもっと大きそうな気がする。)」

      耕作「(柔はそれに耐えられるだろうか。)」

      耕作「(そう言えば、会社に復帰した後の話をしている時に、柔道の時だけでも一緒に
          居る事が出来るからとか言ってたな。)」

      耕作「(柔も俺と同じ様に一緒に居られなくなる時間を寂しく思ってるという事なのか。)」

      耕作「(柔が会社に復帰したからと言って、俺の密着取材が無くなる訳じゃないんだよな。)」

      耕作「(どうするかな~、一応、編集長と社長と柔に話してみるかな?)」

      耕作「(万一、上手くいったとしても周囲には迷惑を掛けない様にしないといけないか。)」

      耕作「(どいう形を取れば周囲に迷惑を掛けずに出来るか考えないと。)」

      柔「あなた?」

      耕作「わっ、びっくりした~。」

      柔「何か考え事してたの?」

      耕作「うん、少しね、これからの事とか考えてた。」

      柔「そうだったのね、深刻そうな顔をしてたから気になったよ?」

      柔「あたしが傍まで来たのにも気が付かなかったし。」

      耕作「あ、今直ぐどうとかじゃ無いから気にしなくて良いからね。」

      柔「あなた~?」

      耕作「何かな?」

      柔「隠し事。」

      耕作「あ、そうだったね、分かった、君には先に話しておくから。」

      耕作「君が会社に復帰した後、午前中は俺も会社で仕事になるかもって言ったよね?」

      柔「うん、そう言ってたね。」

      耕作「その時、君が午後からは柔道の時だけでも一緒に居られるって言うのも言ってたよね?」

      柔「うん、だから嬉しいって言ったよ。」

      耕作「それでね、君がそう言ったのは一緒に居る時間が減って寂しいんじゃないかと思ったんだ。」

      柔「そうだよ~、一緒に居る時間が減って寂しいと思ったから、ああ言ったの。」

      耕作「そこで、考えたんだよ。」

      柔「何を考えたの?」

      耕作「俺の密着取材が無くなる訳じゃないから、何とかして取材名目で君の会社に
          居る事が出来ないかって。」

      柔「え~、それは無理でしょう?柔道とは関係無いよ?あたしの業務中は。」

      耕作「そうなんだけどね、君の日常生活の取材って言う名目で出来ないかと思ったんだ。」

      柔「なるほど、日常生活なら柔道は関係ないか。」

      耕作「勿論、業務の秘密的な事は一切書かないけど、それ以外に関してかな?」

      柔「業務の秘密的な事って言うのは顧客情報と業務内容になるね。」

      耕作「そうなるんだね、書くとしたら、君がどういう風に仕事をしてるかとか、仕事をする上で
          どう考えて行動してるかって言う事を書く事になるよ。」

      柔「それなら、あたしの行動とか考えだけだから良いと思うよ。」

      耕作「問題は・・。」

      柔「編集長さんがどう言うかと社長がそれに対してどう返答するかだね?」

      耕作「さすが、俺の奥さんだね~、その通りだよ。」

      柔「えへ、褒められちゃった~。」

      耕作「後、周りに迷惑を掛けない様にするにはどうすれば良いかかな?」

      柔「その事は社長に考えて貰うしかないんじゃないの?」

      耕作「そうなんだけど、一応、こちらの案を提示しないと考えようが無いと思うんだよね。」

      柔「じゃあ、あたしの会社で取り扱ってるサービス名を出せば宣伝になるから
        その部分は社長も認めてくれるんじゃないかな?」

      柔「勿論、それを載せるに当たっては編集長の了解を貰わないといけないけど。」

      耕作「あ~、君がやってる仕事の内容として、そのサービス名を書くって事なんだね。」

      柔「うん、そうだよ。」

      耕作「書き方としてはそれで決まりかな?」

      耕作「後はどうすれば周囲の迷惑にならない様に出来るかだね。」

      柔「社外の人に対して社内に席を設ける訳にもいかないよね~。」

      耕作「それは当然の事だね。」

      柔「これって結構大事になる様な事じゃ無いの?」

      耕作「うん、会社二つを巻き込む形にはなるよね。」

      柔「それじゃ、あたし達だけで色々考えても仕方が無いよね?」

      耕作「そうなるかな?」

      柔「いっそ、正直に話してみたら?社長と編集長に。」

      耕作「どう言う風に?」

      柔「取材対象から一時でも離れると真面な記事が書けませんって。」

      耕作「なるほど、直球勝負する訳だね?」

      柔「うん、そう言う事になるね。」

      耕作「分かった、ダメ元で話してみるよ、まず編集長に。」

      耕作「編集長からGOサインが出たら社長に話してみる。」

      柔「そうだね、それでどうなるか次第ね、その後の事は。」

      耕作「取敢えず、君の取材が出来るかどうかが決まってから、後の事は
          相談するって事で良いかな?」

      柔「それで良いと思うよ。」

      柔「あ、車が着た。」

      耕作「羽衣さんかな?」

      柔「そうだと思うよ。」

      耕作「玄関に行ってようか。」

      柔「うん、そうだね。」

      二人は玄関へ向かった。
      暫くすると羽衣課長が玄関に入って来た。

      羽衣「お邪魔します、鶴亀トラベルの羽衣と申します。」

      柔「羽衣課長、お手数をお掛けしてます。」

      羽衣「おっ、出迎えてくれてたのか。」

      耕作「羽衣さん、わざわざ、すみませんでした。」

      羽衣「いや、気にしなくて良いよ。」

      羽衣「社長に言われたからじゃなくて、自分もこうするつもりだったから。」

      羽衣「明日が試合なのはテレビの番組を見て知ってるから。」

      羽衣「だから、今日持ってきた方が良いと思っていたんだ。」

      柔「そうだったんですか、でも、やっぱり、お手を煩わせた事には変わり有りませんから。」

      羽衣「柔さんは、アメリカに行ってから結構変わったね、勿論、良い方にだよ。」

      柔「そうですか?自分では余り変わった気がして無いんですけど。」

      羽衣「柔さん、それは君が自然と出来てるから気が付かないだけなんだよ?」

      柔「そうなんですね。」

      羽衣「おっといけない、これを渡しておかないと。」

      羽衣は柔にJRの乗車券と宿泊券を渡した。

      羽衣「その宿泊券だけど、まだ実物は松田さんのご両親には見せて無いんだ、良かったら
          見せておいて欲しい、今後行く方にも同じ物を渡すから、そう伝えておいてくれ。」

      羽衣「それとご両親がこちらに来ているので連絡が取れなかったから、それも伝えて欲しい。」

      羽衣「今後は予約が入った時点で連絡する様にしているから。」

      柔「分かりました、必ず伝えますので。」

      羽衣「後、その乗車券だけど指定席にしようと思ったんだが、始発なので自由席でも
          良いと判断して自由席にしてあるから、その分少し安くなってる。」

      柔「ご配慮ありがとうございます、自由席の方が七名なので席を近くにし易いです。」

      羽衣「それじゃ、タクシーを待たせているので、これで失礼するよ。」

      羽衣「会社への復帰、心待ちにしているから、それと新婚旅行を満喫してきて欲しい。」

      柔「今日は、わざわざ、ありがとうございました。」

      柔「はい、十分に楽しんでくるつもりです。」

      柔「失礼します、お元気で。」

      羽衣は二人に手を振ると玄関を出て行った。
      二人も羽衣の姿が見えなくなるまで手を振って見送った。

      柔「慌しくさせちゃったな~、申し訳ないね。」

      耕作「そうだね、でも、お顔を拝見している限り仕事の方も上手くいってそうだったね。」

      柔「うん、あたしもそう感じてた。」

      耕作「それじゃ、上に上がろうか。」

      柔「うん、そうね。」

      二人は上に上がって行った。