柔と耕作(松田)の新婚日記 7日目 (午前編第2部)
文書量(文字数)が膨大になった為、8分割で表記します。
二人は日刊エブリー前でタクシーを降りるとビルに入り上に上がって編集部を目指した。
耕作がドアを開け柔を入れるとその後に続いた。
耕作「おはようございます、編集長、原稿をお持ちしました。」
柔「おはようございます。」
編集長「おぉ~、おはよう~、今日も早いな。」
編集長「相変わらず、業務を遂行中って訳だな?」
耕作「そう言う事です。」
柔「あなた、これ。」
柔は耕作に原稿を渡すと、耕作はそれを編集長に渡した。
編集長「どれどれ、少し見させてもらうぞ。」
編集長は原稿に目を通した。
編集長「相変わらず、柔さんの練習方法に変化が見られるようだな。」
柔「以前もお話ししましたけど、変えられる様なら変えていこうと思っています。」
編集長「柔さんは向上心がお有りなんですね。」
柔「ありがとうございます。」
柔「それで記事の方はどんな感じでしょうか?」
編集長「これはこれは、柔さんの奥様チェックですか?」
柔「うふふ、そう言う訳じゃ無いですけど。」
編集長「中々良く書けてるし、読み手の事を第一に考えた構成になってますよ。」
耕作「編集長、それ、柔もそう言ってました。」
編集長「そうだったんですか~、やっぱり柔さんには編集としての能力も
お有りなんですね。」
編集長「そう言う事なら、松田君の書く記事に不安は無いですな。」
編集長「編集が傍に居る様なものだから。」
柔「そんな事は無いですよ~。」
編集長「いやいや、私と同じ感性を持っているのなら、立派に編集の役目も
なさっていますので。」
柔「ありがとうございます。」
耕作「編集長、明日よろしくお願いします。」
編集長「おぉ~、そうだったな、10時からだったよな?」
柔「はい、その時間から始めますので、少し前においで頂ければ。」
編集長「柔さん、分かりました、少し前に行く様にしますので。」
柔「お待ち申し上げます。」
耕作「それでは、これで失礼します。」
柔「失礼します。」
編集長「気を付けて帰るんだぞ。」
耕作「はい、承知しています。」
二人は編集部を後にするとビルの外へ出た。
耕作「柔編集殿、この後は如何致しましょうか?」
柔「もう~、あなたまで~。」
耕作、柔「あはは。」
耕作「まあ、冗談では無くて編集長のお墨付きも貰ったから、これからは
君の意見を聞いて書く様にするよ。」
柔「ううん、それはしなくても良いよ、あなたのお仕事の領分に入るのは
いけない事だと思ってるから。」
耕作「なるほど、そう思ってるなら、今のままで感想だけ聞くようにするね。」
柔「うん、それで良いと思うよ。」
耕作「富士子さんの所へは電話をして行くかい?それともそのまま行く?」
柔「昨日、富士子さんにはお話してるから、そのまま行こうか。」
耕作「それもそうだね、じゃ、そのまま行こう。」
二人はタクシーを拾うと富士子宅へ向かった。
富士子宅近くでタクシーを降りた二人は富士子のアパートへ向かった。
柔「昨日言ってた事からお話すれば良いかな?」
耕作「何だったっけ?」
柔「もう~、あなたったら~、新婚旅行先があなたのご実家って事だよ?」
耕作「あ、そうだったね。」
耕作「それで良いんじゃないかな?」
柔「うん、そうするね。」
二人は富士子のアパートに着くと玄関の呼び鈴を鳴らした。
富士子「は~い、柔さん?」
柔「うん、そうだよ~。」
玄関のドアが開いて笑顔の富士子が出迎えた。
富士子「待ってたわよ、ささ、中に入って~。」
柔「失礼します。」
耕作「お邪魔します。」
富士子「花園さんはフクちゃん連れて外出してるから。」
柔「あら、そうなんだ~。」
耕作「まさか、気を利かして外してるとかじゃないよね?」
富士子「ううん、違うわよ?買い物がてら連れて行ってるだけだから。」
柔「それなら良かった、あたし達が来たから出て行ったんじゃないのね。」
富士子「立ち話もなんだから、奥へどうぞ~。」
二人は居間に案内されて座卓の傍に並んで座った。
富士子「少し待ってね、今直ぐお茶入れるから。」
柔「そんな気を使わなくて良いのに~。」
富士子「い~え、そう言う訳には行かないわ。」
富士子はお茶を入れて持ってきた。
富士子「どうぞ。」
柔「ありがとう~。」
耕作「いつも悪いね。」
富士子は座卓を挟んで柔達の前に座った。
柔「昨日お話してた新婚旅行の件だけど。」
富士子「あ、そうだったわね、松田さんの実家だったよね?」
柔「うん、耕作さんのご実家は民宿をしてるから、そこのお手伝いと、あたしが
耕作さんの育った場所を見たいってのも有ってそこにしたの。」
富士子「そうなのね、でも、柔さんらしいね、そういう場所を選ぶところが。」
柔「そうかな?海外に行くと日数ばかり掛かって現地での滞在に余り余裕が持てないのは
知ってたから、最初から国内にとは決めてたんだけどね。」
富士子「そう言う事って、やっぱり代理店勤務してると良いよね~。」
柔「まあ、お客様の手前、それは言えないんだけどね。」
富士子「だよね、営業妨害になっちゃうからね。」
柔「あはは、そうなのよ~、あたしと他の人の感覚の違いも有るんだろうけど、
滞在先でゆっくりしたいていうのは、あたしの中には有るかな~。」
富士子「それはそうよ~、行き帰りの日数より滞在日数が少ないのは有り得ないもの。」
柔「超格安だと無い事も無いんだけどね?」
富士子「そうなの?そういうのどういう人が行くんだろう?」
柔「自分では中々行けない様な遠い場所とかになるかな?そういうのは。」
柔「後は行くだけで良いっていう方も。」
富士子「そういう方も居るのね~。」
富士子「新婚旅行の日数はどの位になるの?」
柔「あなた?日数って決めてたっけ?」
耕作「あ、そう言えばいつまでとか決めて無かったね。」
富士子「え~~~、そんなアバウトで良いの~?」
耕作「いや~、ほら、帰りをいつとかにすると時間を区切られてる様な
気持ちになるじゃない?」
柔「あ~、確かにいつまでとかにしてると、それまでの予定を決めておかないと
いけなくなるよね。」
耕作「折角行くんだから、のんびりしたいって言うのも有るし。」
柔「あたしはお手伝いと柔道の練習だけどね?メインは、その合間に向こうを
色々案内して貰うけど。」
富士子「え~~~、新婚旅行に行ってまで柔道の練習をするの?」
柔「うん、そうだよ?可笑しいかな?」
富士子「いやいや、新婚旅行でそう言うのをするのって普通じゃ無いよ?」
柔「あ、やっぱりそうだよね~、でも、あたし達は普通じゃ無いって二人とも
分かってるから良いんじゃないかな?」
富士子「とても新婚旅行だとは思えないわね~、それだと。」
耕作「柔がその方が良いって言ったから、そうしたんだけどね。」
柔「そうなの、あたしからそうしてってお願いしたんだよ。」
富士子「まあ、柔さん達がそう言うなら、私がとやかく言う事もないわね~。」
柔「でも、あたしが会社から頂いてる自由行動許可が3週間だから来週末には
戻ってこないといけないかな?」
富士子「柔さん?それ初耳。」
柔「あ、そうだった、富士子さんには言って無かったね。」
柔「えっとね、鶴亀の社長があたし達が婚約したのも有るから、3週間の
自由行動許可を貰ったんだよ。」
柔「ただ年休とか結婚したって言うのを合わせたら実質は、あたし自身の休暇を半分は
使った様なもんだとは思ってる。」
耕作「柔?そうなの、それって。」
柔「確認した訳じゃ無いから、そうとは言えないかもだけど、それ以前に2週間も
お休み貰ってたからね。」
柔「これ以上、あたしだけ優遇されると他の人達に影響するから、例え、あたしの休暇を
使って無かったとしても、あたしの方からお願いしてそうして貰うつもり。」
富士子「柔さん、やっぱり、あなたって素敵ね~、そう言う事が言えるんだもの。」
耕作「君がそう考えてるなら、俺は反対はしないから、自分の思う様にして良いよ。」
富士子「松田さんも素敵ね~、そうやって柔さんをフォローするとこが。」
柔「でしょう?そう言う素敵な耕作さんと一緒に慣れたって事だけで、あたしは幸せなの。」
富士子「本当にお似合いの夫婦だわ~、あなた達って。」
柔「ありがとう~、富士子さん。」
耕作「照れるな、そう言われると。」
富士子「い~え、これは誰が見てもそう思う事だわ、私にとっても自慢の夫婦だわ。」
柔「ところで、富士子さん?」
富士子「何?柔さん。」
柔「出産と育児について聞きたいんだけど良い?」
富士子「あ~、その事ね、良いけど人によって違うから余り参考にならないかも?」
柔「そうなの?」
富士子「うん、特に出産は完全に人によって違うから。」
柔「へ~、そうなんだね~。」
富士子「私から言える事は、松田さん?」
耕作「何だい?富士子さん。」
富士子「柔さんの出産の時は何を措いても絶対に立ち会って下さいね。」
耕作「うん、勿論そうするつもりだよ。」
富士子「ご主人を信頼してればしてるほど一緒に居る時の安心感が違うから。」
富士子「柔さん達を見てると信頼は強固なものだと思うの、だからこそ必ず
立ち会った方が柔さんの出産も楽になると思いますよ。」
耕作「うん、分かった、必ずそうするって誓うよ。」
富士子「後は子育てか、でも、柔さん達はフクちゃんで経験済みだから
大丈夫じゃないかな?」
富士子「それに柔さん達はご実家でしょう?」
柔「うん、そうなるね。」
富士子「それなら柔さんのおかあさんがちゃんとしてくれると思うから、
そこも大丈夫だと思うわよ。」
柔「そうなのね、でも、聞いて良かったって思う。」
柔「あたしが不安に思ってた事が払拭されたもの。」
富士子「それなら良かったわ、安心して良いと思うわよ。」
富士子「そう言えば今日はジョディーさん達四人が来るのよね?」
柔「うん、マルソーさんとテレシコワさんは午前中の便で、ジョディー達は午後一番位に
実家の方に直接来るみたい。」
富士子「マルソーさん達はどうするの?」
耕作「俺達で迎えに行って実家に行く途中で食事をして、それからかな?
実家に行くのは。」
富士子「そうだったのね、花園さんには話して無いけど、私達も行っても良いかしら?」
柔「あたしは構わないけど、あなたは?」
耕作「ああ、俺もそれで良いと思うよ、歓迎が多い方が喜ぶかもしれないから。」
富士子「柔さんって必ず松田さんに伺うのね。」
柔「うん、あたし達はこうするって決めてるから、何でもそうするの。」
富士子「私、柔道の用意をして行くから柔さんの実家までお邪魔しても良いかしら?」
柔「あたしは大歓迎だけど、あなたは?」
耕作「そうだね、俺の両親にも紹介したいから、そうしてくれると逆に嬉しいかも。」
富士子「あ~、そう言えばこちらに来てるって言ってたね~。」
耕作「今日は、もう既に実家の方には来てるはずだから会えるよ。」
富士子「そうなんだ、お会いするのが楽しみだわ~。」
柔「富士子さんは、あたし達にとっては大事な恩人だから是非紹介したいと思ってるのよ。」
富士子「私が?柔さん達の?恩人なの?」
柔「あたしと耕作さんがこうなれたのも富士子さんがハッパを掛けてくれたのも有るけど。」
柔「何より、あたしを柔道に引き留めてくれたお陰で、あたし達の今が有ると言っても
過言じゃ無いと思ってるのよ。」
耕作「柔の言う通り、富士子さんが居なかったら、柔はとうに柔道を止めてたって思うんだよ。」
耕作「三葉の時もしかり、その後の時もしかり、富士子さんの存在があってこそ今の柔が
居ると言っても可笑しくないんだよ。」
富士子「私は柔道をしてる時の柔さんが大好きだったから止めてほしくなくて、
その一心でああいう風にやってただけなんですけどね。」
柔「それが、あたしにとっては救いになってたんだよ。」
耕作「富士子さんと言う存在が有ったから柔もすんなりと柔道に戻ってこれたとも
思っているんだ。」
富士子「そうだったんだ、私って意外と大事な事をしてたのね~。」
柔「そうだよ~、富士子さんには感謝してもしたり無いって思っているんだよ。」
花園「いらっしゃい、柔さんに松田さん。」
富士子「あ、お帰りなさい、花園さん。」
柔「お邪魔してます。」
耕作「お邪魔してるよ、留守中にごめんよ。」
花園「いえいえ、お二人が来ると富士子さんも喜ぶから逆にありがたいです。」
富士子「花園さん、今日は午後も空いてる?」
花園「あ~、今日は一日休み貰ってるから大丈夫だよ。」
富士子「もう少ししたら柔さん達がマルソーさん達を空港まで迎えに行くんだけど
一緒に行こうと思ってるの、どうですか?」
花園「そうなんだ、俺は構わないよ。」
富士子「それなら一緒に行きましょう、その後、柔さんの実家にも行くけど良いよね?」
花園「フクちゃんも一緒だけど、それで構わないなら良いと思うよ。」
柔「花園君、それで構わないから行きましょう。」
花園「柔さん達が構わないなら行きますよ。」
富士子「これで決まりだわ、もう少ししたら出掛けましょう。」
耕作「富士子さん、実家から帰る時だけのタクシー代だけで良いからね。」
富士子「そんな、悪いですよ、そこまでして貰うのは。」
柔「富士子さん?恩人にそんな事はさせられないからね?」
富士子「そうなのね、分かりました。」
花園「恩人?富士子さんが?柔さん達の?」
柔「あ、あたしが今もこうやって柔道してるのは富士子さんのお陰って事なの。」
花園「あ~、三葉の時の~。」
柔「まあ、その後もなんだけどね。」
花園「一時期柔道から離れてた、あの時の事も?」
柔「うん、そういのを含めて、あたしが今こうしているのは富士子さんのお陰って言う意味なの。」
花園「なるほど、そう言われれば。」
耕作「そろそろ行こうか、余裕が無いと途中で何か有った時に対処出来ないから、」
富士子「そうよね、花園さん、私、柔さんの実家から直接西海大に行くから。」
花園「おう、そう言う事か、任せとけ。」
柔「じゃあ、2台で行かないといけないね。」
耕作「そうだね、富士子さん、タクシー呼んでもらえない?」
富士子「はい、分かりました。」
富士子はタクシーを2台手配した。
柔「行先は成田空港だからね。」
富士子「うん、分かったわ。」
富士子「直ぐ来るみたいだから、外で待ってましょうか。」
柔「うん、分かった~。」
四人はアパートを出ると、その近くで待つ事にした。
暫くするとタクシーが2台着て、それぞれに分乗すると成田空港へ向かった。