柔と耕作(松田)の新婚日記 4日目 (午後編第1部)
文書量(文字数)が膨大な為、一日を8分割で表記しています。
二人は階下へ下りて行った。
柔「おかあさん、持って行くね。」
玉緒「お願いするわね。」
耕作「俺も手伝います。」
三人は今に食事を運んだ。
滋悟朗「おぉ~、名実共に夫婦になった二人のお出ましぢゃな?」
柔「えへへ、ようやくだけどね。」
虎滋朗「そうだな、出会って7年だからな、だがそれ故に二人の絆は強いと思うぞ。」
耕作「はい、俺もそう思います、長かったからこそだと。」
玉緒「はい、はい、いただきましょうか?」
五人「いただきます。」
滋悟朗「松ちゃんのご両親は13時過ぎに来るんぢゃったな?」
耕作「はい、予定通りなら、その時間には来ると思います。」
柔「おじいちゃんたちは居間に居てね?」
虎滋朗「どうしてなんだ?」
柔「あたしと耕作さんで出迎えるからだよ。」
玉緒「そうなのね、では、私達はここに居ますから、ちゃんと案内してくるのよ?」
柔「うん、ご挨拶を済ませたらお連れするから、待ってて。」
玉緒「お連れしたら、あなた達は上で待ってなさい。」
柔「え~、なんで~。」
耕作「柔?玉緒さんは俺達には、堅苦しい事はさせたくないから、そう言ってるんだよ。」
柔「おかあさん、そうなの?」
玉緒「結納の受け渡しは形式的な物だから、それと挨拶もね、それが終わったら
呼ぶから下りてらっしゃい。」
柔「そうなんだね、うん、分かった~。」
虎滋朗「そうは言っても、ある程度はおもてなしをしないとな。」
玉緒「虎滋朗さん?そこはお任せ下さいな。」
滋悟朗「そうぢゃな、玉緒さんに任せておけば安心ぢゃからな。」
柔「おとうさん達?お替わりは?」
虎滋朗「頼む。」
滋悟朗「頼むぞい。」
耕作「お願いね。」
柔は三人にお替わりを渡していった。
虎滋朗「済まんな。」
滋悟朗「済まん事ぢゃ。」
耕作「ありがとうね。」
柔「何回聞いても面白いな~、三人の言う事は。」
玉緒「柔も良く気が付くわね。」
柔「えへへ、向こうで慣れちゃったから。」
玉緒「なるほど、耕作さんのお陰なのね。」
耕作「いえ、俺は特に何も言わなかったけど、柔が自らやってくれてたお陰ですよ。」
滋悟朗「ほ~、今度は松ちゃんが柔を呼び捨てに変わっとるな。」
虎滋朗「これも名実共に夫婦になった証しかな?」
玉緒「そうですわね、夫と妻になった訳でしょう。」
耕作「柔自らが望んだ事なので。」
滋悟朗「なるほどの~、お互いの望みを叶えるとはさすがぢゃ。」
虎滋朗「玉緒、私達もこうありたい物だな。」
玉緒「それは虎滋朗さん次第ですわよ?」
柔「おとうさん達も既に同じだと、あたしは思うよ。」
虎滋朗「何故、そう思うんだ?」
柔「お互いを気遣ってるもの、今でもそうだけど。」
玉緒「あなたは本当に良く見てるのね。」
柔「これも、向こうでの成果かも?」
耕作「そうかもしれないね、お互いに良く見てたから。」
滋悟朗「そうぢゃたか、儂とカネコと皆同じと言う事ぢゃな。」
柔「はい、おじいちゃん、そこでストップ。」
滋悟朗「何でぢゃ?」
柔「そこから昔話になると30分以上は終わらないから。」
滋悟朗「く、、それを言われると・・。」
玉緒「おとうさんの負けですね。」
五人「ははは。」
玉緒「御飯は、もうよろしいですか?」
滋悟朗「そうぢゃな、良かろう。」
五人「ごちそうさまでした。」
玉緒「それでは、お迎えの準備に取り掛かりましょうか。」
柔「ここ、片付けるね。」
柔と耕作は食器を台所に持って行った。
柔「おかあさんはそっちの準備してて、あたしが片付けするから。」
玉緒「そう?それじゃ、お願するわね。」
柔「は~い。」
柔「耕作さんはそこで寛いでて。」
耕作「うん、そうするよ。」
柔はエプロンを着けて、耕作にお茶を入れた。
柔「はい、これ飲んでて。」
耕作「お茶、ありがとうね。」
柔は鼻歌交じりに片付け始めた。
耕作「その姿、久しぶりに見るね。」
柔「そうだね、こっちでは一人で片付けしなかったしね。」
耕作「そのエプロンって、もしかしてあの時に着てたんじゃない?」
柔「さすがは、あなたね、しっかり覚えていたのね。」
耕作「強烈な印象が有ったからね。」
柔「まあ、ここじゃ出来ないけどね?」
耕作「そうだね、ここですると二人とも怒られるしね。」
玉緒「何をしたら怒られるって言ってるの?」
柔「あ、おかあさん、もう準備は終わったの?」
玉緒「少し配置替えしただけだし、虎滋朗さん達も手伝ってくれましたからね。」
玉緒「さっき言ってた事はどういう事なのかしら?」
耕作と柔はお互いに顔を見合わせて頷いた。
柔は玉緒に耳打ちした。
柔「おかあさん、ごめんね、向こうで水着着てエプロンを着けて家事をしてた事が有ったの。」
玉緒「まあ、あなた達、そういう事もやってたのね。」
柔「あれ?怒らないの?おかあさん。」
玉緒「怒ったりするもんですか、あなた達は今でも節度を持って、お互いに接してるでしょう?」
玉緒「その、あなた達がする事は、私も信じていますから。」
柔「おかあさん!」
柔は玉緒に抱き付いた。
耕作「俺達を信じてくれて、ありがとうございます、玉緒さん。」
玉緒「柔は小さい頃から見てるし、あなたも柔の受験以降ちゃんと見ていましたから、
そう思うんですよ。」
玉緒「あなたは柔にぞっこんでしたからね。」
耕作「そうだったんですか、その頃から気付かれてたんですね。」
玉緒「勿論ですよ、あなたの柔を見る目を見てたら分かります。」
柔「やっぱり、おかあさんには敵わないな~。」
玉緒「柔?あなたもですよ?就職した後に耕作さんの部屋を訪ねてたでしょう?」
柔「え?知ってたの?おかあさん。」
玉緒「勿論ですよ、あなたの事は常に見ていましたから、何を考え、
何を思っているか位分かりますよ。」
玉緒「あなたにあの時、もう少し相手を思いやる心が有ればもっと早く
こうなっていたはずなのよね。」
玉緒「あなたが虎滋朗さんの事を隠してたから、私と余り顔を合わせたくないのも
知っていました。」
玉緒「私が虎滋朗さんの事を言った時のあなたの表情がそれを物語っていましたから。」
玉緒「でも、あなたは耕作さんの元へ行って、その事をしっかりと
身に付けて帰ってきました。」
玉緒「最良のパートナーと一緒にね?」
柔「おかあさん!ごめんね、あたしの独りよがりな考えで黙ってた事が、
その後に長い空白を作ってしまった。」
柔「耕作さんともそうだったし、おかあさんとも。」
柔「でも、今、おかあさんが言った様に、あたしが耕作さんの元に行った事で、
色々と分かってきたの。」
柔「あたしが今まで取ってきた行動が、あたし自らの思いだけで
やってたって事も分かったから。」
柔「だから、帰ってくる時には何でも耕作さんと話し合って決めるんだって、
今後はずっとそうしていくって。」
玉緒「そうですね、その事を忘れない限り、あなた達二人はもう何も恐れる事は
無いと思いますよ。」
耕作「もう俺達は、お互いに何を思って、何を考えてるかも理解出来る様に
なりましたから、大丈夫と思います。」
玉緒「二人とも、本当にお似合いの夫婦ですよ。」
柔「うん、あたしもそう思ってる。」
耕作「玉緒さん、そろそろ来ると思いますので、居間で待っていて下さい。」
玉緒「そうしますね、じゃあ、出迎えの方はお願いします。」
柔「うん、ちゃんとするから、心配しないで。」
玉緒「心配何てしていませんよ、耕作さんと一緒のあなたなら何を任せても、
大丈夫だと分かっていますよ。」
玉緒「それじゃあ、居間で待ってます。」
玉緒は居間へ行った。
耕作「今回も正直に話して正解だったね。」
柔「うん、そうだね、他の事も聞けたしね。」
耕作「そろそろ玄関で待ってようか?」
柔「うん、そうしようね。」
二人は玄関に行くと耕作の両親が来るのを待った。
柔「あ、表で待とうか?入って来ないかもしれないから。」
耕作「そうだね、木戸を潜るのを躊躇いそう。」
二人は玄関を出ると木戸を潜って表で待つ事にした。
柔「あ~、エプロン着けたままだった~。」
耕作「良いよ、その方が家庭的だって思われるから。」
柔「そうかな?でも、あなたがそう言うなら、このままで居るね。」
柔「まだ来ないね。」
耕作「何か手違いでもあったかな?」
柔「でも、お父様はここはご存じのはずよね?」
耕作「そうだね、一度ここまで来てるんだから。」
柔「そう言えば、お父様、何であたしの事を知ってたのかな?」
耕作「それは新聞、TVで君が出てたからじゃないのかな?」
柔「でも、それがあたしだって何で分かったの?」
耕作「あ、それはデート紛いの事をした時に親父が近くで見てたんだよ。」
柔「あ、そういう事なのね。」
タクシーがやって来て二人の傍に止まった。
中から耕作の父親と母親が出て来た。
父親は結納の品を持っていた。
柔「初めまして、松田 柔と申します。」
柔「不束者ですか、よろしくお願いします。」
耕作父「あ、どうもご丁寧に、初めまして耕作の父です。」
耕作母「あら、もう入籍しんさったんだ?あ、初めまして、耕作の母でございます。」
耕作母「柔ちゃん、ほんにめんこいね~、それで柔道しんさっと?」
柔「はい、ありがとうございます、体が小さいのはあたしは余り気にしてないです。」
耕作「二人とも、わざわざ、済まなかった。」
耕作父「気にする事はないぞ、礼儀は尽くさななんねから。」
耕作母「そんだ、ちゃんとこちらから出向かねば礼を欠くからの。」
柔「でも、ほんとにわざわざお越し下さって、申し訳ありません。」
耕作母「そんだら事、当たり前の事をしてるだからな。」
柔「先程は初めましてと言いましたが、お母様とは電話で二度お話しましたし、
お父様とはここでお会いしていました。」
耕作父「そんでしたな、あん時はご無礼な事をしてしもうて。」
柔「そんな、あたしこそ、そう思っていますから。」
耕作母「そんでした、あの後、上手く出来ましたかいな?」
柔「はい、お母様の教え方が丁寧で詳しかったので、耕作さんに
喜んで食べて貰いました。」
耕作母「そんでしたか、そんなら良かった、お教えした甲斐が有ったというもんです。」
耕作母「まあ、まあ、今もエプロンを着けて、ほんに料理が好きなんじゃね。」
耕作「親父もお袋も、柔もその辺にしないと、中で待ってるから。」
柔「あ、いっけない、すみません、中へどうぞ。」
耕作父「おぉ~、そんだったな、じゃあ、入らせて貰います。」
耕作母「そんじゃ、入らせて頂きます。」
耕作と柔は二人を木戸から玄関へ案内した。
柔「あたしの家族が居間で待っていますので、どうぞお入り下さい。」
耕作母「そんじゃ、失礼します。」
耕作父「すみませんな、失礼します。」
耕作と柔は二人を居間へ案内した。
滋悟朗も虎滋朗も玉緒も立って待っていた。
滋悟朗「遠路はるばるお越し下さって、すまん事ぢゃと思うとります。」
虎滋朗「わざわざのお輿、すみません。」
玉緒「良くおいで下さいました。」
玉緒「それじゃ、耕作さん達は2階で待ってて下さい。」
柔「うん、分かった~。」
耕作「はい、後はよろしくお願いします。」
柔「お父様、お母様、後でまた伺います。」
耕作「親父もお袋もまた後でな。」
耕作父「そんじゃ、また後でな。」
耕作母「後で、色々お話を伺います。」
耕作と柔は2階へ上がって行った。
居間では結納の受け渡し、柔と耕作の事での話になった。
柔達は部屋に入ると耕作はベッドに座った。
柔「コーヒー入れるね。」
耕作「あ~、お願ね。」
柔はコーヒーを2杯入れると、寄り添う様に座りながら片方を耕作に渡した。
柔「はい、両家の顔合わせが上手くいった記念のコーヒーだよ。」
耕作「ありがとうね、ほんとに上手くいったね。」
柔「あ母様、あたしが思ってた通り、お優しい方だった。」
耕作「でも、あれで怒ると怖いんだよ?」
柔「そうなの?」
耕作「以前も話したけど、柔の事を諦めようとした時にお袋は真剣に怒ってたからね。」
柔「そうだったんだ、でも、その陰で、あたし達はこうしてる訳なんでしょう?」
耕作「そうだね、あれが無かったら、俺はそのまま秋田に戻って実家を手伝ってたかもね。」
柔「感謝しないとだね?特にお母様には。」
耕作「うん、二人共、俺を後押ししてたからね。」
柔「それなら、尚更、感謝しないとね?」
耕作「でも、柔を奥さんに出来たから、その恩にはかなり報いたと思うよ。」
柔「うふ、そうかもしれないね、でも孝行はしないとね?」
耕作「うん、これから新婚旅行に行った時にね。」
柔「楽しみだな、六日後になるのか、七日後になるのかは分からないけど、
出来るだけ早く行きたいね。」
耕作「うん、俺もそう思ってるよ。」
柔「あ、まさか・・。」
耕作「二人が実質的にも夫婦になってる事を話してるかもしれないって事だよね?」
柔「有りそうなんだよね、特に・・。」
耕作「滋悟朗さんが。」
柔「おじいちゃんが。」
耕作、柔「ふふふ。」
柔「まあ、それでも良いかなって思ってる。」
耕作「俺もそう思った。」
柔「今日はこの後は、晩御飯まで一緒に居るのかな?」
耕作「君の家族が、そうしない訳ないと思うよ。」
柔「だよね~、特におかあさんは絶対にしそうだけど。」
耕作「何で、そう思うの?」
柔「冷蔵庫の中を見たから。」
耕作「なるほど、納得した。」
柔「鯛の尾頭付きが有ったよ?」
耕作「へ~、祝い事好きだしね、特に滋悟朗さんが。」
柔「うん、鯛はおじいちゃんが頼んだと思う。」
耕作「何で?」
柔「富士子さんがユーゴで強化選手に選ばれた時も鯛の尾頭付きと赤飯が出たから。」
耕作「へ~、そんな事が有ったんだね。」
柔「あたしは行くつもりじゃなかったんだけどね、ユーゴには。」
耕作「あ、そうだったんだ、でも、それなら何で行ったの?」
柔「富士子さんの喜ぶ顔を見てたら中々言い出せなくて、そのままずるずると
ユーゴまで行っちゃたの。」
耕作「そうだったのか、でも、それが有ったから、俺への気持ちも認識出来たから、
結局、行って良かったんだよね。」
柔「うん、だから富士子さんには感謝してるの。」
耕作「君は富士子さんには頭が上がらないね。」
柔「うん、足を向けて寝れないよ。」
耕作「もし、妊娠、出産になったら富士子さんに聞くと良いね、玉緒さんでも良いけど。」
柔「出産は富士子さんに聞いた方が良いかも、あ、でも子育ても富士子さんが
良いかな?二人でしてるから。」
耕作「まあ、その時話し易い方で良いんじゃない?」
柔「うん、そうだね、そうすると思う。」
耕作「しかし、下での話長いね。」
柔「色々話してそうね、特に、おかあさんが。」
耕作「そうだね、玉緒さんは話し好きみたいだし、滋悟朗さんもだけど。」
柔「勿論、あたし達もだけど。」
耕作「ははは、そうだよね、今もこうして色々話してるから。」
柔「まだかな?そろそろ鴨田さんが来ちゃうんじゃない?」
耕作「そうだね、まあ、終わってからでも話せるから良いけど。」
鴨田「ごめんくださ~い、お迎えに来ました~。」
柔「あ、来ちゃった。」
柔「あ~、着替えて無かった~。」
耕作「もう、そのままで良いんじゃない?」
柔「あなたが良ければそうするけど、上だけ羽織るね。」
柔は上にジャンパー着ると、バッグに柔道着と他を詰めた。
耕作「挨拶してから、行こうか?」
柔「そうだね。」
二人は階下へ下りて行った。
耕作「鴨田、すまん、少し待ってくれないか。」
鴨田「構わないっすよ。」
耕作「柔、行こうか。」
柔「うん。」
二人は居間に行った。
柔「すみません、今から練習に行くので、2時間程出掛けてきます。」
玉緒「はい、行ってらっしゃい。」
虎滋朗「頑張ってくるんだぞ。」
滋悟朗「感心ぢゃな、気張ってくるんぢゃぞ。」
耕作父「話は聞いとったから、気にせんで行ってきてくだっせ。」
耕作母「耕作?柔さんをしっかり支えてきんさい。」
耕作「うん、勿論だよ。」
柔と耕作は鴨田の待つ玄関へ向かった。
耕作「鴨田、待たせて、すまん、行こうか。」
鴨田「いえいえ、分かたっす。」
二人は玄関に行くと鴨田と一緒に表へ出た。