柔と耕作(松田)の新婚日記 4日目 (午前編第2部)

            文書量(文字数)が膨大な為、一日を8分割で表記しています。





      案の定、時間が早い為、マスコミは、まだどこも来ていなかった。

      耕作「鴨田、玄関正面から一枚は絶対に撮っておいてくれよ、
          区役所の名前も入る構図で頼んだ。」

      鴨田「任せて下さいっす、ばっちり撮りますから。」

      耕作「あ、それと、マスコミ連中に質問は代表者を数名に決めてからと
          お願いしておいてくれないか?」

      鴨田「分かったっす。」

      耕作「柔さん、それじゃあ、手続きを済まそうか。」

      柔「うん、それじゃ、鴨田さん行ってきます。」

      鴨田「二人とも頑張って!行ってらっしゃい。」

      まだ、人もまばらだったが、二人の姿を見止めると祝辞を言われた。
      二人はそれに応える様に会釈した。
      二人が区役所の中に入ると拍手が沸き起こった。

      区役所職員一同「ご結婚、おめでとうございます。」

      二人は窓口前で職員全員に対して深々と一礼した。

      婚姻届けの窓口へ行って、手続きを済ませた。

      職員「おめでとうございます、これで晴れてご夫婦ですね。」

      耕作「ありがとうございます。」

      柔「ご丁寧に、どうもありがとうございます。」

      二人は次に抄本を発行する為に窓口へ行った。

      職員「おめでとうございます、名前とかの変更用ですね?少々お待ち下さい。」

      柔「ありがとうございます、よろしくお願いします。」

      耕作「ありがとうございます。」

      暫く待つと抄本を渡された。

      耕作「これはそのバッグに入れてた方が良いね。」

      柔「うん、そうするね。」

      耕作は近くの職員に話しかけた。

      耕作「済みません、10時までこの中で待ちたいのですがどこかに
          そう言った場所は有りますか?」

      職員「南館の1階にレストランがありますので、そちらをご利用されると
          良いかと思います。」

      柔「ご丁寧にどうもありがとうございます。」

      二人はレストランへ向かった。

      店員A「いらっしゃいませ~、あっ、おめでとうございます。」

      耕作「ありがとうございます、もう営業されていますか?」

      店員A「はい、どうぞ、お入り下さい。」

      柔「失礼します。」

      二人は窓から外が見える場所に座った。

      店員A「ご注文はいかがしますか?」

      耕作「コーヒー二つお願いします。」

      店員A「はい、畏まりました、少々お待ち下さい。」

      柔「よろしくお願いします。」

      店員A「ご丁寧にどうも、直ぐお持ちしますから。」

      耕作「ここなら少し時間が潰せるね。」

      柔「そうだね、こういう場所が有って良かったね。」

      耕作「うん、何も無かったらロビーのソファーとかでしか待てないからね。」

      柔「でも、まだ30分以上あるよ?」

      耕作「柔さん?30分って俺達に長いと思うかい?」

      柔「うふふ、お話してたら、あっという間かな?」

      耕作「だよね。」

      柔「ね~、店員さん達、こっち見てるよ?」

      耕作「それはそうだろうね、今、この二人を見て何も感じない人は居ないと思うけど。」

      柔「いつまで、この状態は続くのかな?」

      耕作「そうだね~、暫くはこういう状態になるだろうね。」

      柔「慣れるしかないのかな~。」

      耕作「そのうちに慣れるさ。」

      柔「そうだよね、向こうでもそうだったんだし。」

      耕作「柔さん?緊張はしてないよね?」

      柔「まだ、大丈夫かな?でも出る時は緊張するかも?」

      耕作「そこは、ほら、試合開始前の雰囲気だと思えば。」

      柔「あ、そうだよね、あの状態と同じって思えば良いのか。」

      耕作「うん、そうすれば少しは緊張しなくて済むかも。」

      店員B「お待たせしました。」

      店員は二人の前にコーヒーを置いていった。

      店員B「おめでとうございます、これからも頑張って下さい。」

      柔「ありがとうございます。」

      耕作「どうも、ありがとうございます。」

      店員B「また他にご注文が有れば、お呼び下さい。」

      柔「はい、その時はよろしくお願いします。」

      店員は所定の場所に戻って行った。

      耕作「美味しいね、このコーヒー。」

      柔「そうだね~、インスタントじゃないからかな?」

      耕作「うん、多分、そうだと思う、でも。」

      柔「でも?」

      耕作「君の愛情は入って無いけどね?」

      柔「うふふ、そうだね。」

      耕作「そろそろ外が騒がしくなってきたね。」

      柔「うん、マスコミが集まって来始めたのかな?」

      耕作「そうだと思う、場所取り合戦が始まってるよ、きっと。」

      柔「場所取りって、決まってる訳じゃ無いんだ。」

      耕作「こう言う突発的な物は決まってないと思う。」

      耕作「この前の会見ではある程度は決めていたとは思うけど。」

      柔「アンテナが付いた車も来てるよ?」

      耕作「TVの中継車両だね、生放送でもするのかな?」

      柔「え?また生放送なの?」

      耕作「時間的にTV番組はそういうのが多いから。」

      柔「そういうのって?」

      耕作「芸能・スポーツ関係の放送かな?」

      柔「まあ、スポーツはそうだけど。」

      耕作「もう、二人共芸能人扱いかもよ?」

      柔「漫才師の?」

      耕作「何で、そこで漫才師なの?」

      柔「この前のCAの人が言ってたから。」

      耕作「確かに、そう言ってたけど、俺は新聞記者で柔さんは柔道家なんだから。」

      柔「その肩書を持った漫才師?」

      耕作「だから、それから離れよう?」

      柔「え?あたしと別れるの?」

      耕作「いやいや、漫才師って話題からは離れようって事だよ?」

      柔「あ~、びっくりした~、入籍を済ませたばかりで離婚になるかと思った。」

      店員「あはは。」

      耕作「ほら~、また笑われたじゃない?」

      柔「え?あたしのせいなの?」

      耕作「違うと思ってるの?柔さんは。」

      柔「何か変な事言った?あたし。」

      耕作「君が入籍して直ぐ離婚て言うからじゃないの?」

      柔「でも、あたしはそう思ったんだもん。」

      耕作「君がそう思っても口に出したら変だと思うよ?」

      柔「そうなのかな?勘違いを口に出したらいけないの?」

      耕作「柔さんは勘違いって分かってるんだね?」

      柔「ちゃんと説明を聞いたから、あなたに。」

      耕作「あ、その時点って意味ね。」

      柔「そうだよ?勘違いが分かってて言う人なんて居ないと思うけど。」

      耕作「君はわざと言いそうだけどね?」

      柔「あ~、少し酷くない?」

      耕作「少しなんだね?」

      柔「うん、そうだよ。」

      耕作「何で少しなの?」

      柔「まあ、たまに言ってたから、わざと。」

      耕作「自分でも分かってるんだね?」

      柔「それはね~、わざと言ったのは分かってるよ?」

      耕作「なるほど、そうだね、確かに。」

      柔「時間は大丈夫なの?」

      耕作「あと少し時間は有るね。」

      柔「きっかり10時じゃないといけないのは何で?」

      耕作「放送の構成の関係かな?」

      柔「どういう事?」

      耕作「この時間はこの内容で放送しますっていう事なの。」

      柔「あ~、そういう事なのね。」

      柔「しかし、そこまでこっちで考えないといけない物なの?」

      耕作「そうしておかないと、収拾が就かなくなるから。」

      柔「何で?」

      耕作「我先に放送しようとするから。」

      柔「やっぱり、阿保の集まりなんだね?」

      耕作「し~~~、聞こえるよ?」

      柔「あ、いけない、いけない、でも、纏め役とか居ないの?」

      耕作「以前、君の実家前で起きた事を思い出してごらん?」

      柔「・・・、あ、確かに、我先にインタビューしてたね。」

      耕作「でしょう?ああならない様にって思ったんだよ。」

      柔「さすが、あなたね、そこまで考えてるんだもん。」

      耕作「いや、それ程でも無いけど。」

      柔「そろそろ時間じゃないの?」

      耕作「やばい、急ごうか。」

      二人は慌てて会計を済ませた。

      店員「お二人とも頑張って下さい。」

      柔「はい、ありがとうございます、頑張ります。」

      耕作「柔さん?急がないと?」

      柔「あ、そうだったね、じゃあ、失礼します。」

      二人は玄関に来た。

      耕作「じゃあ、出るよ。」

      柔「あ~、緊張してきた。」

      耕作「大丈夫、俺が傍に居るから。」

      柔「うん、そうだね、行こうか?」

      二人が玄関前に出てゆっくり歩いて報道陣の所へ向かった。
      カメラとTVカメラが一斉に二人の姿を撮りだした。
      二人は報道陣の前まで来た。

      耕作、柔「本日はお忙しい中、お集まり下さいましてありがとうございます。」

      マスコミ一同「おめでとうございます。」

      TTV「それでは代表者を選出していますので今からご質問致します、まずは私からです。」

      耕作、柔「はい、よろしくお願いします。」

      TTV「お二人に入籍の感想をお伺いしたいのですが。」

      柔「晴れて夫婦になれた喜びを幸せに感じています。」

      耕作「夫と妻と言う関係になれて感慨深く幸せに感じています。」

      HNK「全国の視聴者に一言、お二人にお願いします。」

      柔「皆様に支えられてここまで来ました、ほんとにありがとうございます。」

      耕作「今後も皆様の支えを感じつつ暮らしていきたいと思います、ありがとうございます。」

      ATV「これからのご予定をお伺いしたいのですが、柔さん、お願いします。」

      柔「近々、結婚式、披露宴、新婚旅行と言う予定になっています。」

      MTV「結婚式の日取りと場所は既に決まっているのでしょうか?柔さん、お願いします。」

      柔「その件と披露宴に関しては近々、日刊エブリーより発表が有ると思いますので

        少々お待ち下さい。」

      XTV「新婚旅行の行き先は決まっていますか?柔さん、お願いします。」

      柔「具体的な場所はご容赦下さい、でも行先は国内で決定済みです。」

      CBB「最後に、全世界の、方々に、メッセージを、お願いします。」

      柔「これを機に柔道に邁進してまいりますので、応援よろしくお願いします。」

      耕作「インタビューはこれで終了しますが、撮影はもう少し構いませんので

          ご自由に撮影して下さい。」

      放置新聞「済みません、この前の会見みたいに締めくくって頂けませんか?」

      柔「少々お待ち下さい。」

      マスコミ一同「はい、お待ちます。」

      二人は耳打ちした。

      柔「あなた?この前の締めくくりって、まさか、あれなの?」

      耕作「うん、そう思うよ、どうする?君が嫌なら断るけど。」

      柔「もう一回してるから、二回も同じだ思うよ。」

      耕作「じゃあ、それで返答してね。」

      柔「うん、分かった~。」

      柔「お待たせしました、今から行いますのでよろしくお願いします。」

      マスコミ一同「おぉ~、お願いします。」

      二人は向き合うと、柔が耕作を見上げて、そっと目を瞑った。
      耕作は柔の頬を両手で優しく触れると、長めのキスをした。
      その瞬間フラッシュが光って一斉に撮影が始まった。
      TVはその様子を映しだしていた。

      マスコミ一同「どうも、ありがとうございました、お疲れ様でした。」

      柔、耕作「本日はお忙しい中、お集まり下さって、ありがとうございました。」

      マスコミ各社は慌ただしく撤収し始めた。

      耕作「終わったね、後は結婚式だけだね。」

      柔「あっという間だったね。」

      柔「区役所の責任者の方に挨拶しなくて良いかな?」

      耕作「さすが、柔さんだね、行こうか。」

      二人はまた区役所の中に入って行った。
      するとまた一斉に拍手が起こった。
      責任者が歩み寄ってきた。

      責任者「長い時間、お疲れ様でした、おめでとうございます。」

      耕作、柔「ありがとうございます。」

      柔「長い時間、表を騒がしくして申し訳ありませんでした。」

      責任者「いえいえ、仕方がないですから、でもこれで一段落ですね。」

      柔「はい、今日はほんとにありがとうございました。」

      耕作「それでは、これで失礼します。」

      責任者「また御用の際はお待ちしていますので、お気軽においで下さい。」

      二人は区役所職員全員に対して深々と一礼すると区役所を後にした。

      柔「やっと帰れるね。」

      耕作「あれ?買い物は行かないの?」

      柔「あ、忘れてた、行っても良いの?」

      耕作「勿論だよ?鴨田には先に戻って貰うから。」

      柔「あ、そうだね。」

      鴨田「お疲れ様でした、送りますよ。」

      耕作「鴨田、済まない、社の方に戻って良いから。」

      鴨田「え?送らなくて良いんすか?」

      耕作「うん、少し買い物して帰るから、良いよ。」

      鴨田「分かりました、それじゃ、また。」

      柔「鴨田さん、お疲れ様でした、またです。」

      耕作「直ぐに写真は現像、焼き付けして編集長に渡しておけよ、鴨田、ありがとうな、
          気を付けて戻れよ。」

      鴨田「了解っす、気を付けて戻ります。」

      鴨田は車の所へ向かった。

      耕作「さて、行こうか?柔さん。」

      柔「うん、行こう~。」

      二人は歩いてショッピングプラザへ向かった。
      途中、会う人、会う人に祝辞を言われたので,その度に会釈をした。

      柔「ここなら有りそうだから、見てくるね。」

      耕作「うん、さすがに俺はいけないからね。」

      柔「三着しか買わないから直ぐ戻ってくるから。」

      耕作「え?それだけで良いの?」

      柔「余り多く有っても、どういうのか分からないから、最初は少な目にしておいた方が
        良いかなって。」

      耕作「なるほど、いってらっしゃい。」

      柔「うん、いってくるね。」

      柔は中に入って探し回っていた。
      一角に止まると、手に取りながら品定めをして三着選ぶと会計を済ませて出て来た。

      柔「あなた、お待たせ~。」

      耕作「それじゃあ、一度家に戻ろうか?」

      柔「うん、そうだね~。」

      二人はタクシーを拾うと実家へ向かった。