柔と耕作(松田)の新婚日記 4日目 (午前編第1部)
文書量(文字数)が膨大な為、一日を8分割で表記しています。
帰国四日目。 柔と耕作の長い長い一日(四日目) (結婚式まで後四日)
耕作は階段を上がってくる足音で目が覚めた。
耕作「(柔さんかな?)」
ドアが開く音がした。
耕作「柔さん?」
柔「あ、起こしちゃった?ごめんね、あなた。」
耕作「ううん、今、目が覚めた所だよ。」
柔は近付いてきてベッドに座った。
耕作が上体を起こした時に柔がキスをしてきた。
柔「おはよう~。」
耕作「おはよう~。」
柔「コーヒー入れようか?」
耕作「うん、頂こうかな。」
柔はコーヒーを入れると耕作に渡してベッドに座った。
柔「あなたの思い遣りが沢山入ってるコーヒーだよ。」
耕作「ありがとうね、君の思い遣りも入ってるよ?」
耕作は寄り添う様にベッドに座りなおした。
柔「ね~、あなた?」
耕作「何だい?柔さん。」
柔「今日はあなたのお父様とお母様がいらっしゃるけど練習お休みした方が良いかな?」
耕作「いや、大丈夫だよ、親父もお袋も分かってくれてると思うから、
いつも通りにしてて良いからね。」
柔「うん、分かった、あなたがそういうなら、そうするね。」
耕作「ところで、朝の練習はどうだったの?」
柔「もう、殆ど影響が無かったから普段通りにやったよ。」
耕作「そうなんだ、良かったね、元に戻って。」
柔「うん、昨日はごめんね、あなたに応えられなかった。」
耕作「気にしないで良いよ、俺もそのつもりじゃなかったから。」
柔「そうなの?我慢してたんじゃないの?」
耕作「俺だって毎日、その事ばかり考えてる訳じゃ無いよ?」
柔「そうだよね、あたしも同じかな?」
耕作「俺と君は同じ事を思っているんだって、以前も言ったよね?」
耕作「だから、そうなる時は自然に同じ思いになった時だけだよ。」
柔「今は?」
耕作「君も今はそんな事は思っていないよね?」
柔「うん、やっぱり同じ思いなんだね。」
耕作「柔さん?」
柔「な~に~?あなた。」
耕作「今夜は良いかな?って思ったでしょう?」
柔「うふふ、同じ事を思ってたのね、良いよ、また一緒にお風呂に入る事から始めようね。」
耕作「そうだね、まあ、でもまだ時間は有るから、その時にそういう気持ちのままか
どうかは分からないけど。」
柔「そうだね、その時に今の思いが有ったらしようね。」
耕作「うん、そうだね。」
柔「今日は婚姻届けを出しに行くだけかな?」
耕作「うん、会社に寄ってその足で出しに行くだけだね。」
柔「後は練習だけか、他に何かあったかな?」
耕作「特には無かったと思うけど。」
柔「それじゃ、お昼を食べ終わったら、ここに上がらなくて耕作さんの
ご両親を一緒に出迎えようか?」
耕作「うん、そうしよう、そこで挨拶すれば良いね。」
柔「うん、そうする、あたしもご挨拶はしたいから。」
耕作「そろそろ朝の仕度じゃないの?」
柔「もう少し時間は有るかな?」
柔は耕作の肩に頭を預けて来た。
耕作は柔の頭を撫でていた。
柔「うふ、ありがとう、そうされると落ち着ける。」
耕作「頭を洗ったんだね、シャンプーの香りがする。」
柔「汗かいたままじゃ悪いしね。」
耕作「以前から思っていたんだけど。」
柔「何を思ってたの?」
耕作「君の髪の毛ってさらさらなんだな~って。」
柔「そうなの?」
耕作「うん、髪の毛の間に指を入れるとすって入るからね。」
柔「ふ~ん、あたしは余り感じなかったな~。」
耕作「君の閃きと一緒で、それが君にとって当たり前だからだよ。」
柔「あ、そうだよね、あたしが当たり前って思ってる事は、あたしは余り感じなかったからね。」
耕作「また、そういうのを気付いたら話してあげるね。」
柔「うん、お願いね。」
柔「あたしじゃ感じられない事も、あなたなら感じる事が出来るのって結構有ったから。」
柔「そろそろ下に降りようか?」
耕作「そうだね、じゃあ、着替えるね。」
柔「あたしがやろうか?」
耕作「じゃあ、取り合えず、着るからボタンだけ留めてね。」
柔「うん、そうするね。」
耕作は寝間着を脱ぐとズボンを穿いてシャツを羽織った。
柔はそのシャツのボタンを一つ一つ留めていった。
柔「はい、あなた、終わったよ~。」
耕作「器用に留めていくね、早かった。」
柔「指が小さいからかも?」
耕作「そうだね、でも、料理も器用にしてたから。」
柔「料理はね~、もうかなり慣れて来てるから。」
耕作「なるほどね、そうだよね、小さい頃からしてた訳だし。」
柔「それじゃ、そろそろ下りようか。」
耕作「そうだね。」
二人は階下へ下りて行くと、柔は台所に耕作は洗面所に向かった。
柔「(おかあさん、まだみたいね。)」
柔はご飯のスイッチを入れて味噌汁を作り始めた。
そこへ玉緒がやって来た。
玉緒「あら、もう作っていたのね。」
柔「おかあさん、おはよう~。」
玉緒「おはよう~、早かったのね。」
柔「あたしも今来て作り始めた所だよ。」
玉緒「そうなのね、じゃあ、私はおかずを作りますね。」
柔「うん、お願い~、もう少しでお味噌汁も出来るから。」
耕作が洗面所から台所に来た。
耕作「おはようございます。」
玉緒「おはようございます。」
耕作はテーブルの椅子に座ると二人の様子を見ていた。
柔「はい、あなた、熱いから気を付けてね。」
耕作「お茶、ありがとうね。」
耕作「(柔さん、更に女性っぽくなってる。)」
耕作「(体全体に丸みを帯びてるからかな?)」
耕作「(でも、体重は増えていないんだよね、女の人の体って不思議だな。)」
柔「出来たよ~、あなた運ぶの手伝ってね。」
耕作「うん、分かったよ。」
玉緒達三人は料理を居間に運んだ。
滋悟朗「三人共、おはようさん。」
虎滋朗「おはよう、いつも済まないな。」
耕作「おはようございます。」
柔「おはよう~。」
玉緒「おはようございます。」
三人は座卓に料理を並べていった。
そして、それぞれの場所に座った。
耕作と柔は寄り添って座った。
玉緒「それじゃ、食べましょうか。」
五人「いただきます。」
滋悟朗「今日はいよいよ入籍ぢゃな?」
柔「うん、10時に区役所に行ってくるんだ。」
虎滋朗「そうか、マスコミ対応は耕作さんに頼る事だ。」
柔「うん、そのつもりだよ、おとうさん。」
耕作「柔さんでも十分に対応は可能ですよ、この前の会見でそれが分かりましたから。」
虎滋朗「ああ、そうだったな、耕作君、柔をサポートしてくれたまえ。」
耕作「はい、そのつもりです。」
玉緒「もう、二人に任せておけば間違いないですよ。」
虎滋朗「そうだったな、頑張って来いよ。」
滋悟朗「そういう事ぢゃな、二人なら何とかするぢゃろう。」
柔「うん、頑張ってくるね。」
耕作「お任せ下さい。」
柔「三人とも、お替わりは?」
耕作「お願いね。」
虎滋朗「済まん、頼む。」
滋悟朗「済まんの~。」
柔はお替わりを三人に渡していった。
耕作「ありがとうね。」
虎滋朗「済まない。」
滋悟朗「済まんの~。」
柔「おじいちゃん、さっきと同じ事言ってる。」
滋悟朗「な、何を言うとるんぢゃ、感謝の気持ちはあるんぢゃぞ?」
柔「分かってるよ?おじいちゃん。」
玉緒、柔「うふふ。」
三人「ははは。」
耕作「(ほんとに良い家族になって来たな、良かったね柔さん。)」
玉緒「二人は会社に行ってから、区役所に行くのよね?」
柔「うん、そうだよ、保証人の署名と捺印を貰ってから行くの。」
玉緒「そうなのね、気をつけていってらっしゃい。」
耕作「出掛ける前に上で準備してきます。」
五人「ごちそうさまでした。」
虎滋朗「気をつけて行って来いよ。」
滋悟朗「二人とも心して行って来い。」
耕作、柔「はい、行ってきます。」
柔「おかあさん、ごめんね。」
玉緒「良いのよ、あなた達は用意なさい、私が片付けは済ませるから。」
柔「うん、分かった~、上に上がるね。」
耕作と柔は食器を持って台所へ行くと2階の部屋に上がった。
耕作はベッドに座った。
柔「入れるね。」
耕作「また、小技で来たな。」
柔「あはは。」
柔「はい、家族みんなの心が篭ったコーヒーだよ。」
耕作「ありがとうね、その心を感じながら飲むね。」
柔は耕作に寄り添って座った。
柔「8時過ぎには出掛けないといけないね。」
耕作「そうだね、その前に着替えないとだけど。」
柔「あ、そうだった、今から着替えるね。」
柔は外出着を選んで、派手じゃ無い物に着替えた。
耕作「今日は大人しめのにしたんだね。」
柔「うん、その方が良いかなって思ったから。」
耕作「その割には下着は派手だった様な・・。」
柔「隠れたお洒落は常識だよ?」
耕作「そういうものなんだ、覚えておかないと。」
柔「でも、普通のショーツだと下はラインが出るのよね~。」
耕作「ラインって?」
柔「こうすると分かるかな?」
柔はスカートをピタッとなる様に抑え付けた。
耕作「あ~、そういう事なんだね。」
耕作「でも、ラインってどれでも出るんじゃないの?」
柔「出ない物もあるんだけどね。」
耕作「そうなんだ、柔さんはそういうのは買わないの?」
柔「買っても良いけど、あなたは反対しそうだから。」
耕作「何で?」
柔「あなた?」
耕作「何だい?柔さん。」
柔「前に言ったTバックって見た事ある?」
耕作「見た事無いけど、聞いた事は有るね。」
柔「なるほど、見た事は無いんだね。」
耕作「うん、どんな形してるの?俺が反対するって言うのは何で?」
柔「言っても良いのかな。」
耕作「言わないと分からないよ?」
柔「Tの字って分かるよね?」
耕作「うん、分かるよ?」
柔「バックって分かるよね?」
耕作「うん、後ろって言う意味だよね?」
柔「後ろから見た形で、その名前にしてるみたいなの。」
耕作「ちょっと、待った、後ろから見た形がTだとするとお尻はほぼ
丸見えなんじゃないの?」
柔「そうなるね、おじいちゃんが以前褌みたいだって言ってたけど、
良い得て妙だって思った。」
耕作「それを柔さんが穿くのは反対かな?」
柔「ほらね、やっぱり反対でしょう?」
耕作「そうだね、そういうのを穿く柔さんって想像が出来ないし。」
柔「あなた?」
耕作「何だい?柔さん。」
柔「あたしが穿くのを想像出来ないって何で?」
耕作「あ、ごめん、穿いてる姿を俺が想像するのが出来ないってって言い直すよ。」
柔「あんまり変わって無い様な気がするけど。」
耕作「だって、お尻が丸見えだ何て恥ずかしくないの?」
柔「あなたの前なら何も恥ずかしくは無いよ?」
耕作「でも、それを穿いて外に出る訳じゃない?」
柔「そうだね、部屋の中限定って訳じゃ無いからね。」
柔「それに下着だしね、上にはスカート穿くから、心配しないで。」
耕作「それはそうだけど、やっぱり不安だな~。」
柔「じゃあ、質問。」
耕作「何だい?」
柔「あなたはあたしが下着のラインを見せる様な格好でも平気なのかな?」
耕作「う、それは・・嫌かも?」
柔「じゃあ、下着のラインが見えないTバック穿いたら?」
耕作「見事な論法だ。」
柔「どうなの?」
耕作「そう言われると反対出来ないな。」
柔「じゃあ、あたしが買っても反対じゃないよね?」
耕作「分かった、買いたいんだね?」
柔「うん、どういうのか買ってみたいかな?」
耕作「じゃあ、区役所の帰りにでも買いに行くかい?」
柔「良いの?」
耕作「そこまで言われたら、良いって言うしかないからね。」
柔「多分だけど、かなり刺激的だと思う。」
耕作「じゃあ、お風呂上がりに穿いてみるってのはどうかな?」
柔「うん、そうするね。」
耕作「じゃあ、今夜にでもそうしてみようか。」
柔「うん、あなたの言う通りにするね。」
耕作「そろそろ出掛けようか。」
柔「うん、そうだね~。」
柔は階下へ向かおうとした。
耕作「ほら~、やっぱり忘れてる。」
柔「出掛けの儀式?」
耕作「机の上の物だよ?」
柔「あ~、大変、それを忘れたら何しに行くか分からなくなるよね?」
耕作「それでこそ柔さんだね?」
柔「もう~、あなたったら~。」
柔「お礼にこれを。」
柔は耕作の前に立つと見上げて、そっと目を瞑った。
耕作はそれに応える様に頬に手を添えると長めのキスをした。
耕作「ふふ、ありがとうね。」
柔「うふふ、行こうか?」
耕作「他に忘れ物は・・。」
柔「あなた?何でカメラを持ってるの?」
耕作「あ、いつもの習慣で持ってた。」
柔「取材を受ける側が持ってたら可笑しいね。」
耕作「そうだね、じゃあ、置いていくね。」
二人は階下へ降りて行き玄関へ向かった。
柔「行ってきま~す。」
耕作「出掛けてきます。」
玉緒「行ってらっしゃい、気を付けるのよ。」
二人は玄関から出ると木戸を潜って外へ出た。
柔「やっぱり、誰も居ないね。」
耕作「そうだね、マスコミ連中は10時からの事で頭が一杯じゃないのかな?」
二人は表通りに出るとタクシーを拾い耕作の会社へ向かった。
会社の前でタクシーを降りるとビルへ入り上に上がって編集部のドアを開けて中へ入った。
耕作「おはようございます。」
柔「おはようございます。」
編集長「おぉ~、待っていたぞ、少し早めに来たんだな。」
耕作「はい、余裕を持って来ました。」
編集長「それじゃ、早速、書こうか。」
耕作「お願いします。」
柔はバッグから婚姻届けを取り出し編集長に渡した。
柔「どうぞ、よろしくお願いします。」
編集長「分かりました、直ぐに書き上げますよ。」
編集長は証人の欄に自分の名前を書き印鑑を押した。
編集長「鴨田~、次はお前の番だぞ。」
鴨田「はい、分かったっす。」
鴨田も同じ様に名前を書き印鑑を押した。
耕作「これで準備完了しました。」
編集長「鴨田、済まんが二人を区役所まで送ってくれ。」
鴨田「はい、了解っす。」
編集長「お前も撮影してくるんだぞ、二人は勿論、マスコミの方も写して来いよ。」
鴨田「はい。」
耕作「編集長、また鴨田を14時にお借りしても構いませんか?」
編集長「分かった、鴨田、そっちの方も頼んだぞ。」
鴨田「はい、14時っすね、了解っす。」
耕作「編集長、これが昨日の分の原稿です、お願いします。」
編集長「おぉ、そうか、ちょっと見せて貰うぞ。」
編集長は原稿に目を通した。
編集長「これは面白いな、今までと違う柔さんを上手く表している、表題を
見るだけで記事の内容を読みたくなるな。」
耕作は柔と顔を見合わせた。
耕作「柔もそう言ってました。」
編集長「ほぉ~、柔さんは編集の才能も有りそうだね。」
柔「いえ~、あたしのは率直な感想ですから。」
編集長「いやいや、その率直な感想も編集には大事なんですよ。」
柔「そうなんですか?」
編集長「自分の直感を大事にしないと、こういう仕事は務まりませんからね。」
柔「そうなんですね~。」
耕作「それじゃあ、そろそろ出かけてきます。」
編集長「松田君、柔さんをしっかりとサポートしてくれよ。」
耕作「勿論です、お任せ下さい。」
二人は鴨田と一緒に編集部を後にした。
鴨田「車を会社の前まで持って来ますから、少し待って下さい。」
柔「うん、待ってます。」
耕作「慌てなくても時間は有るからな。」
鴨田「了解っす。」
鴨田は車を取りに行った。
柔「いよいよなんだね。」
耕作「そうだね、時間に余裕が有るから、区役所の中で少し待機になるかもしれないね。」
柔「10時になったら表に出るんでしょう?」
耕作「そうだよ、時間きっかりに出ないとマスコミが慌てるからね。」
鴨田「お待たせしました、行きましょうか?」
耕作「済まないな、じゃあ、区役所までお願いするよ。」
鴨田の車は区役所目指して発車した。
耕作「鴨田、撮影の方も上手くやってくれよ。」
鴨田「ばっちりっす、任せて下さい。」
柔「鴨田さん、いつもすみません。」
鴨田「いえ、この位、お安い御用っす。」
鴨田の車は区役所の駐車場に到着した。