柔と耕作(松田)の新婚日記 3日目 (夜編第1部)
文書量(文字数)が膨大な為、一日を8分割で表記しています。
二人は階下へ下りて行き台所へ向かった。
柔「持って行くの手伝うね。」
耕作「俺も手伝います。」
玉緒「お願いしますね。」
三人は居間へ食事を運んだ。
滋悟朗「お~、帰っておったか。」
虎滋朗「お帰り、二人とも。」
三人は座卓の上に料理を並べていった。
柔「おじいちゃん、印鑑屋の誠三さんがよろしくって言ってたよ。」
滋悟朗「ほ~、あそこへ行ったんじゃな。」
柔「おとうさんにも写真屋さんの息子さんの幸作さんからよろしくって言ってた。」
滋悟朗「お~、写真屋の幸ちゃんか、元気にしてたか?」
柔「うん、もう立派に写真屋のご主人って感じだったよ。」
柔「そうそう、結婚式の記念撮影を頼んできたから六日後にはここに来るからね。」
虎滋朗「久しぶりに会えるのか、お互い年を取ったからな~。」
玉緒「さあ、さあ、食べましょうか?」
滋悟朗「お~、そうぢゃの~。」
五人「いただきます。」
柔「明後日までは午前中も予定が詰まってるね。」
耕作「そうだね、明後日以降は未定だけど、また何か出て来そうだね。」
滋悟朗「明日で晴れて松田 柔ぢゃな?」
柔「おじいちゃん?それ、お昼も言わなかった?」
滋悟朗「そうぢゃったかの~?」
柔「まさか、ボケて来たんじゃ?」
滋悟朗「な、何を言うとるんぢゃ、儂ゃ、まだボケとらんわい。」
虎滋朗「明日もマスコミに大勢囲まれるんだな。」
柔「うん、そのはずだよ。」
玉緒「耕作さんを頼りなさいね。」
柔「うん、傍に居るだけで安心出来るから大丈夫だよ、おかあさん。」
虎滋朗「ところで、柔、12月の国内大会は様子を見る為に辞退した方が良いな。」
柔「あ、そうか、おじいちゃんどうしよう?」
滋悟朗「うむ、虎滋朗の言う通りぢゃな、万一、妊娠しとったらいかんからの、
玉緒さんはどう考えるかの?」
玉緒「柔は、あ、食事中だけどすみませんね、予定日はいつなの?」
柔「出産の?」
耕作「まだ、妊娠してるかどうか分からないのに、出産予定日は無いんじゃない?」
柔「あ、そうだね、あ、あっちの予定日ね?」
玉緒「もう、びっくりしましたよ?そうそっちの方ね。」
柔「おかあさん、ごめんね~。」
柔「えっとね~、再来週初め位かな?」
玉緒「って事は、その時に来るか来ないかで分かりそうね。」
柔「あ、それ富士子さんが言ってた。」
玉緒「そうだったのね、来なかったら確定かな?」
滋悟朗「男にはさっぱり分からん会話ぢゃのう~。」
虎滋朗「そうですね。」
耕作「何となく分かります。」
柔「さすが、あなただね?」
玉緒「と言う事は、虎滋朗さんが言ってた様に12月の試合は止めた方が良いですね。」
柔「あ~~~、再来週初めだと・・。」
玉緒「柔?急にどうしたの?」
耕作「あ、そうか、そうだね。」
玉緒「耕作さんもどうしたの?」
柔「新婚旅行中になるかも。」
玉緒「あ~、そういう事ね、じゃあ、何日かずらす?」
柔「あ、でも、良いかな?そこまで酷くなった事無いから。」
玉緒「あなたが大丈夫と思ったら、そのままの予定で良いですよ。」
柔「耕作さんには申し訳ないけど、それでも良い?」
耕作「2週間の我慢に比べたら何て事無いよ?」
柔「あ、そうだね、じゃあ、予定通りで良いかな?」
耕作「メインは、それじゃないからね?」
滋悟朗「さっぱり何の事やら、分からんわ。」
虎滋朗「私は何となく分かった気がします。」
柔「おとうさん達、お替わりは?」
滋悟朗「頼もうかの~。」
虎滋朗「うむ、頼むぞ。」
耕作「お願いね。」
柔は三人にお替わりを渡していった。
滋悟朗「済まんの~。」
虎滋朗「済まんな。」
耕作「ありがとうね。」
柔「うふふ、三人共面白い~。」
玉緒「相変わらずのマイペースなのね、あなたは。」
柔「そうかな~?」
耕作「こうじゃないと、柔さんじゃないですよ。」
滋悟朗「そうぢゃの~。」
虎滋朗「うむ、それでこそ、お前だな。」
柔「三人で納得しないの~。」
耕作「柔さん?前に。」
柔「あ、そうだったね。」
滋悟朗「お主達は、いつもそうぢゃのう~。」
虎滋朗「これで分かるとは、感心するな。」
玉緒「そうですわね、良くこれだけで分かる様になったものです。」
耕作「滋悟朗さん、柔さんの明日の朝の練習ですけど。」
滋悟朗「無理そうなら休んでも構わんぞ。」
耕作「あ、いえ、今日の西海大の様子を見る限りでは大丈夫かと思います、
本人もやる気みたいですから。」
耕作「ただ、柔さんには無理そうならペースダウンする様に言っていますので。」
滋悟朗「松ちゃん、もう、柔の事はお主に任すとしよう。」
虎滋朗「その通りだと思います、おとうさん、この二人に任せていれば間違いなさそうだから。」
滋悟朗「柔よ、もう既にそうしておるぢゃろうが、松ちゃんの言う事を
良く聞いて行動するんぢゃぞ。」
柔「うん、もう、そうしてるよ、耕作さんに必ず聞いてからしてる。」
虎滋朗「本当に耕作君と一緒になれて良かったな、柔。」
柔「うん、あたしもそう思うよ。」
柔「耕作さんはあたしには無くてはならない存在そのものだから、
傍に居るだけで落ち着けるし。」
玉緒「本当にあなたは幸せ者ですよ?こういう方と巡り合えて。」
柔「うん、あたしもそうだって思うよ、耕作さんと巡り合えただけで幸せなんだって思ってる。」
玉緒「この家族の中で、この子の事を一番理解してるのは、耕作さん以外
居ないと思うわね~。」
滋悟朗「そうぢゃの~、儂らでもここまで分っておるかどうか。」
虎滋朗「私も柔道に関しては分かるが、内面は全然だからな。」
柔「うふふ、あなた?こう言われてるけど?」
耕作「何だか、気恥しいです、そこまで言われると。」
滋悟朗「ほ~、たまげたの~、名前呼びから、あなたになっとる。」
虎滋朗「そう言えば、そう呼んでるな。」
玉緒「もう、誰が何と言おうが、本当の夫婦ですものね。」
柔「あ~、そこは、ほら、明日入籍もするからね?」
滋悟朗「しかし、お主達のお陰で猪熊家も更に明るくなって儂ゃ~嬉しいぞ。」
虎滋朗「そうです、この二人が居るだけで賑やかになる。」
玉緒「そうですわよ~?もう猪熊家には無くてはならない二人ですから。」
柔「あ~、もう~、恥ずかしいよ?」
耕作「そうだね。」
耕作「あ、明日ですけど、13時位に俺の両親が結納を持って来るそうなんです。」
玉緒「あら、わざわざ?」
耕作「家も古風な考えなものですから。」
滋悟朗「わざわざ、来られるなら、失礼の無い様にせんといかんな。」
耕作「あ、そこまで気を遣わなくても構いませんから。」
虎滋朗「まあ、丁寧なおもてなし位はせんとな。」
玉緒「そうですわね。」
柔「それでね、駅の傍とかに泊まる所が有ったら紹介して欲しいんだけど。」
玉緒「そうですわね、ここって言っても、ジョディーさんも来るから無理ですしね。」
玉緒「分かりました、私がご紹介しますから。」
耕作「すみません、よろしくお願いします。」
玉緒「ところで、もう、お替わりはよろしいですか?」
滋悟朗「話しながらゆっくり食べたせいか、お腹一杯ぢゃな。」
虎滋朗「私もそうだな~。」
耕作「俺は腹八分で止めておきます。」
玉緒「それでは、お食事はここまでと言う事で。」
五人「ごちそうさまでした。」
柔「あ、今日はお風呂は後で良いから、おとうさん達から入ってね。」
滋悟朗「そうか、じゃあ、虎滋朗、お前から入って構わんぞ。」
虎滋朗「それでは、そうさせて頂きます。」
柔「あなた?台所まで持って行こう?」
耕作「そうだね。」
玉緒「すみませんね~。」
三人は台所へ食器を運んで行った。
柔「今日は手伝いするからね?おかあさん。」
玉緒「旦那様を放っておいて良いの?」
柔「耕作さんとは向こうでも話して、おかあさん孝行をするって決めてきたから、
分かってくれるんだよ。」
玉緒「まあ、まあ、そうだったのね、耕作さん、済みませんね、柔を少しの間、借りますから。」
耕作「いえ、今も柔さんが言った様に孝行を優先するって話し合って決めてますから。」
玉緒「じゃあ、終わるまでそこで寛いでて下さいな。」
耕作「はい、そうさせて貰います。」
柔「はい、あなた、お茶、熱いから気を付けてね。」
耕作「ありがとうね、でも、久しぶりだね、家事するの見るの。」
柔「そうだね、後片付けはしなかったからね。」
玉緒「耕作さんは柔が家事する姿をずっと見てたんですの?」
耕作「はい、料理、掃除、洗濯、後片付け、全部見てました。」
玉緒「そうだったんですね、道理で何も言わずに柔に任せたんですね。」
耕作「そうですね、柔さんには向こうでもしたい様にしてて構わない
からって言いましたから。」
玉緒「なるほど、それでこの子があなたを信頼してる理由が分かりました。」
玉緒「あなたがそう言ったと言う事は、この子から見ると自分は信頼されてるんだと
思ったから、自分もって思ったんだと思いますよ。」
柔「おかあさん、良く分かるね~、その通りだよ。」
玉緒「私は、料理、掃除、洗濯、後片付けのやり方は教えましたけど。」
玉緒「その後は口を出さなかったのに、自ら進んで、やってくれてましたからね。」
玉緒「あなたの考えてる事とかは分かっていますから。」
耕作「失礼ですけど、もしかして玉緒さんは柔さんに自立心を芽生えさせようと
してたんじゃないですか?」
玉緒「そうですよ、この子には自分で何でも出来る様になって欲しくて、
そうやってきましたから。」
柔「あなたの言ってた事は当たってたんだね。」
柔「より一層孝行しなくちゃいけないね。」
耕作「そうだね、そうしないといけないね。」
玉緒「本当に、あなた達って、そういう事まで話し合ってたのね。」
柔「うん、あたしの家族の事、あたしの事、耕作さんの事、色々沢山、お話したの、
それで色々考えてたから。」
玉緒「本当に、あなた達はお似合いの夫婦ですよ。」
玉緒「私もそういう二人を見る事が出来て、それだけでも私に対しての
孝行になってますから。」
柔「あは、それも耕作さんとの話で出たよ。」
玉緒「本当に色々と話をしてたんですね。」
柔「うん、柔道をしてる時以外はずっとお話してたんだ。」
玉緒「だからなのね、ここが賑やかになったのは、あなた達が上に居る時は
以前と同じで静かですからね。」
柔「あはは、そうなんだ、でも、食事の時間とか良く話すよね~。」
玉緒「あなた達に釣られて、あの寡黙な虎滋朗さんまで話していますからね。」
耕作「全て、柔さんのお陰だと思ってます。」
玉緒「そうですわね、この子のお陰ですね。」
玉緒「でも、この子がこうしているのは、あなたのお陰だと、私は思っていますよ。」
耕作「はい、それは否定しません。」
耕作「柔さんが柔さんらしくある為にどうすれば良いかだけを考えてきましたから。」
玉緒「本当に心から感謝します、耕作さん、この子をそこまで思いやって
くれているんですから。」
耕作「俺は柔さんと一緒になれるだけで幸せなんです。」
柔「あたしも耕作さんと一緒になるだけで幸せなの。」
耕作「つまり、二人は幸せになる為に一緒になるんだって結論に達して、
今こうしてる訳なんです。」
玉緒「本当にあなた達はお互いの考えとかを良く話し合ってたんですね。」
耕作「後、柔さんがここで良く話してるのは、俺との話でお互いを良く理解出来たので
同じ事をしようとしてるからなんです。」
耕作「話す事でお互いをより理解出来るなら、話した方が良いって実際に
分かったからなんですよ。」
玉緒「そうだったんですね、柔の成長は向こうに行ったお陰だったんですね、
耕作さんの元へ行かせて正解でした。」
柔「おかあさん、聞きたい事が有るんだけど良いかな?」
玉緒「何ですの?聞きたい事って。」
柔「昨日、みんなであたし達の気持ちを楽にしようとしたのは話し合ってした事なの?」
玉緒「あなたはそんな事まで分る様になってたのね。」
柔「でも、理由が分からないの。」
玉緒「あなた達、以心伝心を披露してたでしょう?」
柔「そうだったね。」
玉緒「それを見ていた、おとうさんと虎滋朗さんがこの子達なら大丈夫だと思って、
そう仕向けたんです。」
柔「なるほど、信頼してくれてたんだ、あたし達を。」
玉緒「そういう事になりますね。」
玉緒「形式的な事より実質的な事の方が大切だって、私達の時に分かっていましたから。」
柔「え?おかあさん達もそうだったの?」
玉緒「今のあなたなら話しても大丈夫だと思ったから打明けたんです。」
玉緒「私を認めてくれた、カネコさんのお陰なんですけどね。」
玉緒「それが有ったから、おとうさんもあなた達の結婚を何も言わずに
認めたんですから。」
柔「なるほど、そういうことだったんだ、道理で。」
柔「おかあさん、ありがとう、大切な事を話してくれて。」
玉緒「先程までの話を聞いている限り、あなた達は私達よりしっかりした夫婦なんだって
思いましたから。」
玉緒「そういうあなた達に育てられる子供は、きっと幸せに育つはずですからね、
期待していますよ、柔。」
玉緒「勿論、それには耕作さんの助けも必要ですから、よろしくお願いしますね、耕作さん。」
耕作「はい、その為でもある、結婚ですので。」
柔「うん、分かったよ、おかあさん、立派に育ててみせるから、期待しててね。」
玉緒「もう片付けも終わりましたから、あなた達は上で休んでて下さいね。」
柔「うん、お話してくれてありがとう、おかあさん。」
耕作「はい、お言葉に甘えて、そうさせて貰います。」
二人は玉緒に会釈して2階の部屋に戻った。
耕作はベッドに座った。
柔「明日、あなたのお母様とお父様に会えるんだね、楽しみ。」
耕作「親父には一度会ってるけど、その時は知らなかったから初めて会うようなもんだし。」
柔「お母様には電話でお話しただけだし。」
耕作「そうだね、まあ、両親とも君の顔は知ってるけど。」
柔「それにしても、今日は色々な事が分かった日になったね。」
耕作「そうだね、みんなの思いが良く分かった日だったね。」
柔「コーヒー入れるね。」
耕作「お願いね。」
柔はコーヒーを2杯入れると片方を耕作に渡した。
柔「みんなの思いが篭ったコーヒーだよ。」
耕作「良く味わって飲むね、ありがとうね。」
柔は耕作に寄り添って座った。
柔「後十数日前後位で結果が分かるのね。」
耕作「もしそうなったら、来年の主な試合は全部欠場になるね。」
柔「家族との約束が大事だからね。」
耕作「そうだね、この三日間で虎滋朗さんを含めて猪熊家は結束が深まった気がしたよ。」
柔「うん、あたしもそう思った、おとうさんも良く話す様になったし何より、
あたしの事を先に言いだしたのはおとうさんだったから。」
耕作「そうだったね、俺は驚いていたんだけどね、あの虎滋朗さんがってね。」
耕作「でも、それってやっぱり君の事を大事に思ってる証しなんだよね。」
柔「うん、あたし感激しちゃったもん、あ~、おとうさんがあたしの為に、
言ってくれてるんだって。」
耕作「その割には相変わらずボケをかましてたけど。」
柔「えへ、思わず、ああ、聞いちゃったの~。」
耕作「それでこそ、柔さんだから。」
柔「褒められてるの?」
耕作「前も言ったと思うけど、勿論、褒めてるんだよ?」
柔「わ~い、嬉しいな~。」
耕作「明日の10時はどう対応しようかな?」
柔「代表者質問とかにしたら?」
耕作「君はほんとに驚く様な案をさり気なく出すよね。」
柔「あ、今のダメだった?」
耕作「ううん、驚く様な良い案を出すって思った。」
柔「どの程度の質問まで答える?」
耕作「まあ、同居の件を聞かれたら、婚約発表した時点からって言えば良いと思うよ。」
柔「そうだね、他には?」
耕作「会見で出た質問には会見で答えた通りですって言うしかないかな?」
柔「結婚式の件はエブリーから近々発表がありますで良い?」
耕作「そうだね、それで良いと思う。」
柔「新婚旅行はどうしよう?」
耕作「それは国内某所ですで良いと思うよ。」
柔「また、あたしに質問が集中するんだろうな~。」
耕作「まあ、それは仕方ないかな?俺じゃ記事にし難いだろうし。」
柔「時間はどの位にする?」
耕作「区役所に迷惑が掛かるので10分程度で良いと思うよ。」
柔「そうだね、それ位で良いかも。」
玉緒「柔も、耕作さんもお風呂に入りなさい~。」
柔「あ、は~い。」
柔「じゃあ、耕作さんが先にどうぞ。」
耕作「うん、そうするね。」