柔と耕作(松田)の新婚日記 3日目 (午前編第2部)

            文書量(文字数)が膨大な為、一日を8分割で表記しています。




      耕作「今ね、君を見てて思った、凄く凛々しく見えるよ?」

      柔「そうなの?どう違うのかな?」

      耕作「何て言うか、今だけを見てるんじゃなくて、先を見据えて物事を
          判断してる様に思う、だから凛々しく見えてるって。」

      柔「そうかもしれないね、向こうに居る時もそれ以前も余り先の事
        までは考えて無かった。」

      柔「でも、今はこれから先の事を以前よりも考えてる気がする。」

      耕作「なるほど、だからかも?」

      柔「何がだからなの?」

      耕作「君の後進の指導とか、そういうのをしてきた事が、今の君の考えを
          作ったんじゃないかって思った。」

      柔「なるほど、後進の指導って今を見てたら出来ないもんね。」

      耕作「これからの柔道界を担う人を育てる事は広義で言えば虎滋朗さんや
          滋悟朗さんが望んでた事なのかも。」

      耕作「その二人は狭義で君を育てたがっているけど、柔道の発展を
          望んでいるなら当然広義の方も見据えてるはず。」

      柔「そうだよね、柔道は二人居て初めて成り立つ競技なんだから、
        他の人にも強くなって貰わないと衰退するよね。」

      耕作「それは複数の人でする競技全般に言える事だね。」

      耕作「やっぱり、競技は観客が居て成り立ってるから、観客に見放されたら
          終わりなんだって思う。」

      耕作「と言う事は、観客が見て面白いとか見てて魅力が有るとか
          そういうのが無いとその競技は衰退するよね。」

      耕作「その事を考えると相手も同等かそれ以上の実力を持っていないと、
          そういう試合なんか出来る訳無いから、相手を作ると言う意味でも
          競技人口は増えないといけないよね。」

      柔「だから、あたしがやってる後進の指導はその一端を担ってるって
        事になるのかな?」

      耕作「そうだね、柔さんも君と同等に近い子を見つけたじゃない?」

      耕作「ああいう小さな道場にもそういう子が居るって事は他にも
          居るんじゃないかって思うんだよね。」

      耕作「君は小さな頃から英才教育を施された、君が見つけた子も君と同じ年齢から
          そうされていたら、君の強敵として現れていたかもしれないんだよね。」

      柔「出来る限り早い段階でそういう人を見出す為にも競技人口が
        多い方が可能性が高くなるんだね?」

      耕作「まったくその通りだと思うよ、君の考えは正しいよ。」

      耕作「その為にも頂点に立つ人は他の人を凌駕出来る人じゃないとダメなんだよ。」

      耕作「頂点の入れ替わりが激しいと目標にし難くて競技を続ける意欲を削がれるから。」

      柔「だから、あたしにその目標になる人になれって事?」

      耕作「いや、既に君はなってるんだ、ジョディーも言ってただろう?
          君に勝てる相手は現時点では誰も居ないって。」

      耕作「以前、君が世界にデビューした時に皆、君と闘いたくて
          大会に出てた事は覚えてるよね、今もそうだけど。」

      耕作「そうでなくてはならない人はどの競技にも必要なんだよね。」

      耕作「君が初めて泊まった時に貼ってあったポスターは全員が、
          これは日本限定だけど、そうだったんだよね。」

      耕作「あ、山下さんは世界でも通用した人だけどね?」

      柔「なるほどね、自分の事だけを考えて行動するのはもう終わりで
        他の人の事まで考えて行動しないといけないんだね。」

      耕作「うん、そうだね、俺と一緒になって、一つの目標、これが君の最終目標
          だとは思わないけど、これで安心しちゃいけ無いって事なんだ、君には
          二人の思いが込められている。」

      柔「あなたが言ってた、あたしが柔道を極めるって事なんだね?」

      耕作「うん、そうだね、もし君がダメなら俺達の子供がそれを
          受け継ぐ事になると思う。」

      耕作「そうさせない為には、何としても君に柔道を極めて貰わないと
          いけないって事になるんだ。」

      柔「あたしは今でこそ柔道をやってて良かったって思ってるけど
        以前はそう思っていなかったのよね。」

      柔「そういう思いを自分の子供にはさせない為にも、あたしが
        頑張らないといけないって事なんだね?」

      耕作「そうだね、その為にも。」

      耕作「君の柔道はまだ限界じゃないから、それが可能だって俺は思ってるんだ。」

      柔「そうだね、あたしもまだまだだって自分でも思ってるから
        今以上になる可能性を秘めてるんだね?」

      耕作「うん、そういう事だね。」

      柔「で、何でこんな話になったんだっけ?」

      耕作「君が先を見据えた行動をしてるって事からかな?」

      柔「あ、・・。」

      耕作「コーヒーかい?」

      柔「うん、そうだよ、ちょっと立ってみる。」

      耕作「無理するなよ?」

      柔「出来るかどうか、やってみる。」

      柔は立ち上がるとそろそろと歩いた。

      耕作「どう?上手く歩ける?」

      柔「もう少しな気がする、まだ何か挟まった感覚が残ってるけど
        後少ししたら無くなると思うよ。」

      耕作「そうなんだ、でも無理はしないで。」

      柔「うん、でも、これって、あなたのが大きいからじゃないの?」

      耕作「さっきの話からするとえらく次元が違う話だね。」

      柔「うふふ、これも、あたし、さっきのも、あたしだよ?」

      柔はコーヒーを入れると耕作に渡して、寄り添う様にストンと座った。

      耕作「まだ、股に力を入れ辛いみたいだね。」

      柔「だ~れのせいかな~?」

      耕作「はい、俺のせいです。」

      柔「って言うか、まだ中に残ってる感覚が有るんだよね。」

      耕作「一晩中そのままにしてたのが良くなかったのかな?」

      柔「あなたのがおっきしたままだったからじゃないの?」

      耕作「一気に下ネタになって来たね?」

      柔「これ、午前中までにちゃんと歩ける様になるのかが心配。」

      耕作「無理そうだったら、俺の分だけでも取って来ても良いけど?」

      柔「や~だ~、一緒に、行く~の~。」

      耕作「それ2回目の時も言ってなかった?」

      柔「その行くじゃないからね?」

      耕作「相変わらずの切り替えの早さですな、見事としか言い様が無い。」

      柔「だって~、一緒に行きたいんだも~ん。」

      耕作「相変わらず、可愛い言い方だね~。」

      柔「うふ、ありがとう~。」

      耕作「そろそろ6時半か、あと少しで玉緒さんも起きてくるよね?」

      柔「もうね~、全員で聞き耳立ててたの知ってるんだから~。」

      耕作「え?そうなの?」

      柔「え?知らなかったの?」

      耕作「全然、気が付かなかった。」

      柔「じゃあ、何であそこに手紙とか有ったのかな~?」

      耕作「そう言われればそうだよね。」

      柔「そこまで上がってきてたんだよ?三人共。」

      耕作「え?え~~、それほんとなの?」

      柔「階段の軋む音がしてたもん。」

      耕作「相変わらずのお見事な聴力ですな。」

      柔「今朝会ったら顔を見てみると良いよ?絶対ににやけてるから。」

      耕作「しかし、君ってそれが分かってて、あんな表情してたなんて
         或る意味凄いよね?」

      柔「邪魔しないなら良いかなって思ってたから。」

      耕作「いや、邪魔はしないでしょう?あそこまで煽ってて。」

      柔「ぜ~ったい、おじいちゃんが言いだしたんだと思うよ?」

      耕作「うん、それは俺も否定はしない。」

      柔「ところで、その椅子に置いてあるタオルケットどうするの?」

      耕作「記念に取って置く?」

      柔「それも良いわね~って言うと思う?」

      耕作「はい、思いませんです。」

      柔「洗濯物入れに入れておかないといけないけど、あたしが洗濯しようかな?」

      耕作「玉緒さんに任せておけば良いんじゃない?」

      柔「そうだね、おかあさんなら分かってそうだから。」

      耕作「ところで、いい加減下着着けない?裸のままじゃいざって時に動けないから。」

      柔「そうしようか。」

      耕作は立ち上がった。

      耕作「どう?上手く歩けそう?」

      柔が立ち上がったが、まだふらふらしていた。

      柔「もう少しだと思うんだけど。」

      耕作「下着だけでも着けておこうか。」

      耕作はパンツを穿きシャツを着た。
      柔は上手く穿けない感じだった。
      耕作「俺が穿かせてあげようか?」

      柔「お願いしても良いかな?」

      耕作「うん、良いよ。」

      耕作は柔にショーツを穿かせた。

      柔「ありがとう~、上は大丈夫だから。」

      柔はスポブラを付けた。

      耕作「何でそれなの?」

      柔「着けるのが楽だから。」

      耕作「それならいっそ、全部スポブラで良いんじゃないの?」

      柔「一応、普通のはお洒落用には持っておきたいかなって。」

      耕作「しっかり、女の子だね?」

      柔「もう、子じゃないかもだけど?」

      耕作「子でも良いんじゃない?柔さんなら。」

      柔「背が低いからかな?」

      耕作「若く見られるのは良いんじゃないのかな?」

      柔「そうだよね、制服も着れるし体操着も。」

      耕作「まだ、あれ着るつもりなんだね?君は。」

      柔「だって、あなたが喜んでくれそうだから。」

      耕作「まあ、否定はしないけど。」

      柔「普段着も着とこうか?」

      耕作「そうだね、その方が直ぐ動けるしね。」

      耕作はいつのも服を着た。

      柔は悩んでいたが良く着ている服にしたが上手く着れないでいた。

      耕作「着せてあげるね。」

      柔「うふ、ありがとう~。」

      耕作は何とか柔に服を着せた。

      柔「ありがとう~、コーヒー入れるね。」

      耕作「お願いね。」

      耕作はベッドの端に座った。

      柔はコーヒーを2杯入れて片方を渡すと、寄り添って座った。

      柔「どうぞ、二人が一つになった記念のコーヒーだよ。」

      耕作「ありがとうね、感激を思い出しながら頂くね。」

      柔「感触って言うかと思った。」

      耕作「これこれ、もう少しでコーヒー吹き出しそうになったよ?」

      柔「そう言えば、OLになって耕作さんを訪ねて寛いでいる時に
         「あたし泊まっちゃおうかな?」って言ったらコーヒーを盛大
        に吹いてたね。」

      耕作「あれは、前話したね、あれから何年になるのかな?」

      柔「2年位じゃない?」

      耕作「まだ、その位なんだね。」

      柔「入社して暫くした時だから、その位だね。」

      耕作「柔さん、どう?まだ違和感は有るだろうけど大丈夫?」

      柔「走ったりはまだ出来そうに無いかな?」

      耕作「普通には歩けそう?」

      柔「ゆっくりなら大丈夫だけど、早足は無理そう。」

      耕作「会社は一緒に来るかい?」

      柔「うん、行きたいな~。」

      耕作「様子を見てからでも良いけど。」

      柔「どの道、あなたの会社まではタクシーになるから大丈夫だと思うよ?」

      耕作「それもそうだね。」

      柔「原稿は出来てるの?」

      耕作「あ、・・やばい、出来てない。」

      柔「だよね~、昨日から今に至るまでずっと一緒だったからそんな暇なかったよね?」

      耕作「今から書き上げるから。」

      柔「椅子の上にはタオルケットが載ってるよ?」

      耕作「今から洗濯物入れに入れてくるね。」

      柔「ごめんね~、あたしがこんなんで。」

      耕作「それは、さっきも言ったじゃない?」

      柔「あ、そうだったね、お願いね~。」

      耕作はタオルケットを持って階下に行き風呂場に置いてある
      洗濯物入れに入れると上に他の洗濯物を置いた。
      そしてまた2階の部屋に戻った。

      柔「お帰り~、あなた。」

      耕作「ただいま~、柔さん。」

      柔「机の上にコーヒー入れておいたよ。」

      耕作「ありがとうね。」

      耕作は椅子に座ると、原稿を書き始めた。

      耕作「柔さん?眠くなったら寝てて良いからね?」

      柔「ううん、あたしなら大丈夫だよ。」

      耕作「無理しないで良いからね?」

      柔「うん、心配してくれてありがとう~。」

      耕作はまた原稿の続きを書き始めた。
      暫く書いていると後ろに気配を感じて振り返った。
      柔が立って原稿を見ている様だった。

 
      耕作「立ち上がって大丈夫かい?」

      柔「うん、平気だよ、中々早く書き上げるんだね。」

      耕作「まあね、最初に頭の中で考えて一気に書き上げる
          やり方で書いてるから、早く感じるのかも?」

      柔「今までのも、そうやって書いてたの?」

      耕作「そうだね、写真を見てると、書きたい事が頭に浮かんでくるんだ。」

      柔「それって凄くない?」

      耕作「どうなのかな?多分、柔さんの事を考えてるから、
         そういう文章が思い浮かぶのかもね。」

      柔「今もそうやって、あたしの事を考えてたの?」

      耕作「うん、昨日の練習光景を思い出してた。」

      柔「今読んでたら、まんまの光景じゃなくて、あたしが
        何を考えてとか書いてるんだね。」

      耕作「以前も話したけど、俺の強みは君の考えてる事が、今だと
         ハッキリ分かるから一層詳しく書けるかな。」

      柔「なるほど、あ、ごめんね、続けて良いから。」

      耕作「うん、あと少しで書きあがるから。」

      柔は耕作の両肩に手を置いて後ろから見ていた。

      耕作「良し、出来上がった~。」

      柔「お疲れ様、あなた。」

      耕作「ありがとう~、君が肩に手を置いてくれたお陰でより強く君を
          感じられて中々良い記事になった。」

      柔「そうだね、思いが篭ってるって気がした。」

      耕作「ベッドに横になろうか?」

      柔「そうだね。」

      二人は寄り添う様にベッドに横になった。
      耕作は柔の頭を柔は耕作の胸を撫でていた。

      柔「安らぐね~。」

      耕作「うん、そうだね。」

      柔「もう、おかあさん起きてそう。」

      耕作「もう直ぐ7時か、滋悟朗さんも虎滋朗さんも起きてそうだね。」

      柔「そうだね、練習してそう。」

      耕作「そう言えば、虎滋朗さんも練習してるの?」

      柔「うん、してるはずだよ?」

      耕作「君も練習したそうだね。」

      柔「うふ、やっぱり、あなたには隠し事出来ないね。」

      耕作「スポブラ着けてたしね?」

      柔「ほんとの意味を知ってたのね?」

      耕作「うん、分かってた。」

      柔「そうだ、昨日の朝、会社に出かける前に、あなた、笑ってたでしょう?
        あれは何でなの?」

      耕作「あ~、君の慌てぶりが余りに可笑しかったから。」

      柔「確かに、あたしはあたふたしてたもんね。」

      耕作「うん、でも凄く可愛かったよ?」

      柔「うふ、ありがとう~。」

      柔「あ、それと何でバイク売っちゃったの~?」

      耕作「あ~、置いてても仕方なかったのも有るけど、アメリカだと
         移動距離が長いって言ったよね?」

      柔「うん、そう言ってたね。」

      耕作「それも有ったから持って行くのも面倒だったし、それなら売って
          旅費の足しにしようって考えたからなんだ。」

      柔「勿体なかったね?」

      耕作「仕方ないよ、俺もこんなに早く戻れるって思って無かったしね。」

      柔「うふふ、あたしのお陰かな?」

      耕作「うん、そう思うよ、君が来なかったら、まだ、向こうに残ってたと思う、
         君が来てくれてほんとに良かった。」

      柔「こっちに戻ったけど、またバイク買うの?」

      耕作「車だとこっちは移動が面倒なんだよね、特に朝夕は。」

      耕作「買うとしたら君が言う様にバイクになるかな?」

      耕作「でも、子供が出来ると車が良いんだよね。」

      柔「もう少し待ってみる?買うの。」

      耕作「そうだね、今の所、出社しなくて良いから待てるしね。」

      柔「そう言えば密着取材だけど、あたしが妊娠、産休に
        なったら、どうなるのかな?」

      耕作「出産日記とか出しても良いけどね?」

      柔「え~、妊婦姿を新聞に出すの?」

      耕作「いや、そうなったら、コラムって言う記事だけの欄になるから
          写真は無いよ、安心してね。」

      柔「あ~、良かった~、キスシーンだけにして欲しい。」

      耕作「そうだね、君の妊婦姿か~、想像出来ないよね。」

      柔「耕作さんのお宝に入れても良いよ?」

      耕作「スクラップブックに入れておこうか?」

      柔「え~、あれって柔道関係じゃないの?」

      耕作「ふふふ。」

      柔「あ~、向こうの写真とかでスクラップブック作ってるんでしょう?そうなんだ。」

      耕作「読まれてしまったか、さすが柔君だね。」

      柔「ふふふ、あたしの読みは外れないんだよ?耕作君?」

      耕作、柔「あはは、可笑しいね~。」

      柔「今日は朝ご飯遅い気がするけど、おかあさん起きてるのかな?」

      耕作「そうだね、今7時半だよね?」

      階段で足音がした。

      柔「誰か上がって来たね。」

      耕作「玉緒さんかな?」

      ノックの音と伴に声がした。

      玉緒「柔?耕作さん?起きてますか?」

      二人は起き上がりベッドに座った。

      柔「うん、起きてるよ~。」

      玉緒「入るけど、良いかしら?」

      柔「うん、良いよ?」

      ドアが開いて玉緒がお盆に朝食を載せて持って来た。

      玉緒「おはよう~、二人共。」

      柔「おかあさん、おはよう~。」

      耕作「おはようございます。」

      玉緒「おめでとう、晴れて夫婦になったのね。」

      柔「おかあさん、ありがとう~。」

      耕作「ありがとうございます。」

      玉緒「今朝はここで朝食を食べて良いわよ。」

      柔「でも、ここ机しかないよ?」

      玉緒「あなた達がコーヒーを作ってるのは知ってたから
          サンドイッチを作って持って来たのよ。」

      柔「ありがとう~、おかあさん。」

      耕作「ありがとうございます。」

      玉緒「顔を合わせるのは気恥しいだろうと思ってね?」

      柔「うん、そうかも。」

      耕作「お気遣い感謝します。」

      玉緒「数週間後が楽しみだわね?」

      柔「やだ~、おかあさんまで~。」

      玉緒「でも、あなたは覚悟は出来てたって言ってたから大丈夫ね。」

      柔「うん、楽しみにしてる。」

      玉緒「耕作さんも楽しみにしてるんでしょう?」

      耕作「はい、どうなるか、まだ、分かりませんけど。」

      玉緒「それじゃ、ゆっくりしてて良いから。」

      柔「おかあさん、ありがとう~。」

      玉緒「それじゃ、後で。」

      柔「うん、後でね。」

      耕作「はい、後程。」

      玉緒は階下に下りて行った。

      柔「こういう事だったんだね。」

      耕作「そうだね、凄い気配りだよね。」

      柔「うん、さすが、おかあさんだ。」

      柔「コーヒー入れるね。」

      耕作「うん、お願いね。」

      柔はお盆をベッドの上に置いた、そこにはサンドイッチが二人分皿に載せて置いてあった。
      柔はコーヒーを2杯入れると片方を耕作に渡して、
      お盆を挟んでベッドに座った。

      柔「食べようか?」

      耕作「そうだね。」

      二人はサンドイッチを食べた。

      柔「おかあさんのサンドイッチって久しぶりな気がする。」

      耕作「そうなの?」

      柔「うん、うちは基本、和食だから。」

      耕作「そうだったね。」

      耕作「でも、これ美味しいよ?」

      耕作「柔さんが飛行機の中で言ってた様に、パンの耳は落としてないんだね。」

      柔「うん、そうだね。」

      柔「この方が美味しく食べられるから、味も二通り有る感じに出来るからね?」

      耕作「そうか、耳に味が付いてるって言ってたね。」

      柔「うん、その通りだね。」

      耕作「でも、量が多くない?」

      柔「うふ、運動した後だからかもよ~?」

      耕作「運動なんて・・。」

      耕作「あ、そういう事なんだ。」

      柔「まあ、あたしは動かなかったけどね。」

      耕作「そうだったよね。」

      柔「ね~、耕作さん?」

      耕作「二人で勉強しようね?」

      柔「先に言われちゃった・・。」

      耕作「でも、慣れて来てからが良いと思うよ?」

      柔「へ~、そうなんだね。」

      耕作「ちなみに、俺は他の何て知らないからね?」

      耕作「だから二人でって言ったの。」

      柔「おじいちゃんのビデオ借りてみる?」

      耕作「いや、滋悟朗さんに借りると後々まで何言われるか分かったもんじゃないと思うよ?」

      柔「だよね~、あたしもそう思った。」

      耕作「何時に行こうか?」

      柔「耕作さんの会社?」

      耕作「うん。」

      柔「9時位に出れば良いんじゃないの?」

      耕作「なら、まだ時間はかなりあるね。」

      柔「そうだね、でも何するかな?」

      耕作「何かしたい事ある?」

      柔「思い付かないね。」

      耕作「横になって話でもしてようか?」

      柔「それで良いかもね。」

      耕作「これ下に持って降りなくて良いのかな?」

      柔「出掛ける少し前に台所に持って行って、あたしが片付けするから良いよ。」

      耕作「そうだね、でもまだ残ってる。」

      柔「またお腹空いた時に食べれば良いんじゃない?」

      耕作「そうするしかないか。」

      柔「もう食べないの?」

      耕作「柔さんは?」

      柔「あたしは、もう良いかな?」

      耕作「俺も今は良いかも。」

      柔「じゃあ、机の上に置いておくね。」

      耕作「柔さん、まだ、歩き難い?」

      柔「まだ、ちょっと歩き難いかな。」

      柔はカップとお盆を机の上に置くとベッドに横になった。
      耕作は柔の横に寝ると抱き寄せた。
      耕作は柔の頭を撫でて、柔は耕作の胸を撫でていた。

      柔「昨夜の、あなたとても素敵だったね。」

      耕作「そういう、柔さんだって、凄く可愛かったよ。」

      耕作、柔「ふふふ。」

      柔「幸せを実感出来る、心に余裕が出来たせいかな?」

      耕作「そうだね、二人の間で、ほんとの意味で隠し事が無くなったからかも。」

      耕作「君の家族に感謝しないといけないね。」

      柔「うん、後押ししてくれたからね、全員で。」

      耕作「俺、あれで凄く気持ちが楽になったよ。」

      柔「あたしもそう思った。」

      耕作「俺も親父とお袋には孝行しないといけないな~。」

      柔「あら?もう孝行してるじゃない?」

      耕作「あ、そうだよね、君っていう素晴らしいお嫁さんを娶れるんだからね。」

      柔「お役に立てて光栄至極に存じます。」

      耕作「好きだね?その言い回しが。」

      柔「言葉に趣が有るんだよね、昔の言い回しは。」

      耕作「その若さでそういう事が言えるなんて素晴らしいね。」

      柔「うふふ、柔道してる時点で古風でも有るんだけどね?」

      耕作「でも、お洒落には人一倍気を配ってるよ?」

      柔「多分、それも高校以前の反動でそうなっちゃったかも?」

      耕作「そうか~、お洒落とは無縁の世界に居たんだね。」

      柔「うん、でも、その時はそれが当たり前だったんだよね。」

      耕作「前も言ったけど、そのお陰で俺達は出会えた、そして今ではお互いを
          理解出来るまでになった。」

      柔「そうだね~、こうしてるのが当たり前になったのよね~。」

      柔「婚約届いつだそうか?」

      耕作「明日の午前中に出しに行かない?」

      柔「結納も届くしね、そうしようか。」

      耕作「今日会社に行った時に事情を話しておいて、明日会社に行って
          証人の署名、捺印を貰って、その足で。」