柔と耕作(松田)の新婚日記 2日目 (午前編第2部)

            文書量(文字数)が膨大な為、一日を6分割で表記しています。




      二人は2階に上がって行った。

      部屋に入って柔はコーヒーを2杯入れると片方を耕作に渡した。
      二人は寄り添ってベッドに座った。

      耕作「例のリストを玉緒さんに渡さないといけないね。」

      柔「そうだね、出る時に渡そうか。」

      耕作「うん、そうしよう。」

      柔「まだ時間あるね、何かする?」

      耕作「柔さんはしたい事とかある?」

      柔「少し横になりたいけど良い?」

      耕作「早起きして練習してるから、少し寝ても良いよ?」

      柔「眠りそうだったら寝るね。」

      耕作と柔は寄り添う様に横になった。
      耕作は柔の頭を撫でていた。

      柔「うふ、落ち着くな~。」

      耕作「そう言えば、今朝、虎滋朗さんと話したね。」

      柔「うん、話してみて、耕作さんが言ってた事は当たってたって言ったけど、
        話さなかったら今も分からないままだった。」

      耕作「そうだね、俺達も向こうでよく話し合ったから、今、こうしてる訳だから、
          話す事は重要だと思う。」

      柔「そうだよね、だから今、あたし達は以心伝心なんだよね。」

      耕作「良く話す事でお互いを理解出来たからだね。」

      柔「これから少しずつでも話していけば、おとうさんの考えも理解出来る様になるよね?」

      耕作「うん、その通りだと俺も思う。」

      耕作「機会がある毎に話せば良いよ、一度に多くは無理だろうから、
          今朝みたいな感じで良いと思う。」

      柔「そうだね、結婚式まではこっちに居るんだから。」

      耕作「しかし、昨日三人がお風呂の事で話してたなんて思いもしなかった。」

      柔「あたし達を思って話してくれてたみたい。」

      耕作「玉緒さんも言ってたけど、少しずつ慣れていけば良いと思う。」

      柔「うん、二人共、って言うか、あたしが何も知らないしね。」

      耕作「でもね?」

      柔「な~に~?」

      耕作「向こうでの君の誘惑の仕方は何も知らないとは、普通なら思えないよ?
          俺は君から聞いたから分かったけど。」

      柔「あたしなりに考えて、耕作さんに喜んで貰いたい一心でやってたんだけど、
        やっぱり普通じゃ無かったんだね?」

      耕作「やってる事は普通の事なんだけど、そのやり方を君が何も参考にして
          いないって事が普通じゃ出来ないんだ。」

      柔「そうなの?あたししか出来ない事なのかな?」

      耕作「多分だけど、君の閃きの凄さも関係してるかもしれないね。」

      柔「なるほど、確かに耕作さんに言われるまでは、あたしにそういう閃きが
        有るなんて思って無かった。」

      耕作「無意識でやってたからだろうね。」

      耕作「無意識でやってる事は、やってる本人には分かり難いから。」

      柔「どうしてそんな事が出来る様になったのか、あたしも思い当たる事が無いんだよね~。」

      耕作「これも、俺の推測でしかないんだけど、小さい頃から柔道の練習を毎日繰り返し
          やってた事が関係してるんじゃないかな?」

      耕作「滋悟朗さんが言ってたけど、柔さんの柔道は頭で考えてする柔道じゃ無くて、
          体が勝手に反応する柔道なんだって。」

      柔「確かに、こうすればこうなるとか、対蹠的にやってた記憶は、あたしの中には無いかも?」

      耕作「典型的なのは、山田さんに腕絡みを仕掛けられた時と、さやかさんの
          左の内股を透かした時だね。」

      耕作「滋悟朗さんは体が勝手に動いているだけと言ってたし。」

      耕作「さやか戦を解説してた犀籐さんが、頭より体が先に反応してるって言ってた。」

      柔「確かに、そのどちらも、こう来たから、こうしたって覚えは無かったな~。」

      耕作「柔道で頭を使ってない分、君の頭には余裕が生まれる、そこに閃きが
          生まれた理由があるかもしれないね。」

      柔「いまいち分かり難いかな?」

      耕作「こう言えば分かるかな?頭が勝手に判断してるって。」

      耕作「君が考えるより先に、頭がその答えを出してるんだと思う。」

      柔「それって凄くない?」

      耕作「だから、俺は何度も凄いって言ってたんだ。」

      柔「あ、そう言えば、向こうで何度も言ってたね。」

      耕作「そこに君の柔道の、以下略。」

      柔「耕作さん?普通、そこで略すかな~?」

      耕作「あ~、ごめん、この埋め合わせは、以下略。」

      柔「うふふ、これで4つ目だよ~?」

      耕作「柔さん、ほんと記憶力も良いね~。」

      柔「忘れたなんて言わせないんだから~。」

      耕作「あ、そう言えば、一度だけ、君が言った事・・。」

      柔「うふふ、そう、あたしは耕作さんの言った事はって言ってたのを思い出したみたいね?」

      耕作「そうだったね、でも、あれは何で言わなかったの?」

      柔「あの事を聞いた時の耕作さんの表情を見てたら、嫌そうにはしてなかったけど、
        どうしよう?って顔をしてたから。」

      柔「それで止めておこうって思ったから、言わなかったんだよ?」

      耕作「柔さんって、表情で相手が・・。」

      柔「うふふ、向こうでの事を思い出したのね?」

      耕作「うん、そう言えば何も言わないのに、先に話したりやって貰った事があるな~って。」

      耕作「それは、勿論、今みたいに以心伝心になる以前から発揮されてた気がする。」

      柔「う~ん、あたしは感じたままに動いてただけな気がするけど。」

      耕作「もしかして、柔さんって動物的な勘みたいなものを持ってるんじゃないのかな?」

      柔「え~、あたし動物なの~?」

      耕作「いやいや、動物的だよ?」

      柔「何だ、動物かと思った。」

      耕作「猫には似てるけどね?」

      柔「それなら、可愛いから良いよ。」

      耕作「柔さんも可愛いからね。」

      柔「うふ、嬉しいな~。」

      耕作「ところでまだ眠くならないの?」

      柔「もしかして・・。」

      耕作「何がもしかしてなの?」

      柔「あたしが寝てる隙に・・。」

      耕作「寝てる隙に何?」

      柔「あたしにムフフな事しようと?」

      耕作「どうして、君はそう思うのかな?」

      柔「あたしが喜ぶから。」

      耕作「寝てたら喜んでるかどうか、分からないよ?」

      柔「あ、そうか、そうだね。」

      耕作「寝ないの?」

      柔「寝かせたいの?」

      耕作「もう~、君って子は~。」

      柔「きゃ~、耕作さんに怒られる~。」

      耕作「柔さん?」

      柔「な~に~?耕作さん。」

      耕作「君、もしかして遊んでる?」

      柔「あら・・何で分かったの?」

      耕作「さっきからニコニコしてるから。」

      柔「やっぱり、耕作さんには隠し事出来ないね。」

      耕作「まあ、君が喜んでるから良いけど。」

      柔「ほんとに怒ったの?」

      耕作「ううん、可愛いな~って思った。」

      柔「ほんと~?」

      耕作「うん、見てたら面白いし。」

      柔「あ~ん、耕作さんに弄ばれた~。」

      耕作「これこれ、人聞きの悪い事言わないの。」

      柔「え?どうして?」

      耕作「遊ぶと弄ぶじゃ大きく意味が違ってくるんだけど?」

      柔「そうなの?」

      耕作「遊ぶは文字通り、普通に遊ぶって事だけど、弄ぶだと俺が柔さんに酷い事を
          してる様に取られるから。」

      柔「酷い事って?」

      耕作「言って良いのか、悩むな。」

      柔「何で~?教えてよ~。」

      耕作「君が嫌がる事をしてるって言った方が分かり易いかな?」

      柔「耕作さん、そんな事して無いよ?あたしに。」

      耕作「君が弄ばれたって言ったんだよ?」

      柔「あ、そういう事なんだね、ごめんね~、言葉を間違えちゃった。」

      耕作「君、わざとやってないよね?」

      柔「え?ううん、違うよ?・・うん、そうだよ?」

      耕作「その動揺の仕方は・・わざとだね?」

      柔「耕作さん、ごめんね~、わざとしてた。」

      耕作「柔さんは、ほんとに不思議な子だね。」

      柔「嫌な子なの?」

      耕作「違うよ?可愛過ぎてね~、こうしたい。」

      耕作は柔の頭をクシャクシャとして撫でた。

      柔「猫を撫でてるみたい。」

      耕作「うん、そうかもね。」

      柔「ね~、耕作さん?」

      耕作「何だい?柔さん。」

      柔「オナニーってどういう事?」

      耕作「また、唐突に変な事を聞くんだね。」

      柔「ね~、どういう事なの?」

      耕作「君はその言葉をどこで聞いたの?」

      柔「あ、これも掃除した時に見た本の表題に書いてあったよ?」

      耕作「君は本の表題の一部分しか覚えないみたいだね?」

      柔「一部分しか覚えてないのはいけないの?」

      耕作「前後の文脈を見れば、自ずとその言葉の意味が分かるはずなんだよね。」

      耕作「君が一部分しか覚えてないから、そういう疑問が出てくると思うんだ。」

      柔「今度から全部覚える様にするね。」

      耕作「あ、そこまでしなくて良いからね。」

      柔「でも、耕作さん、今、全部覚えて無いからって言ったよ。」

      耕作「そういう本の表題を覚える必要が無いって言う意味でね。」

      柔「でも、耕作さん、持ってたじゃない?」

      耕作「まあ、借りてたんだけど。」

      柔「借りた物でも、持ってた事には変わりないと思うよ?」

      耕作「まあ、そうだね。」

      柔「耕作さんが興味ある物はあたしも知りたいの~。」

      耕作「柔さん、あの本がどう言う本か知ってたよね?」

      柔「うん、アダルト本だよね?」

      耕作「どういう事の為の本かも知ってるよね?」

      柔「うん、男の人を喜ばせる為の本だよね。」

      耕作「それを君が知ってどうするのかな~って。」

      柔「耕作さんにしてあげるの~。」

      耕作「やっぱり、そこに行きつくんだね。」

      柔「ダメなの?」

      耕作「ダ~メ、絶対にダ~メ。」

      柔「どうしてダメなの~?」

      耕作「俺が君の家族に怒られるから。」

      柔「何で、あたしの家族に耕作さんが怒られないといけないの?」

      耕作「普通の子がする事じゃ無いから。」

      柔「あたしは普通の子じゃないって、耕作さん言ったよね?」

      耕作「普通でも意味合いが違うんだよ?」

      柔「え?普通って一種類しかないんじゃないの?」

      耕作「普通って言っても、何に対して普通なのかって言う事だから、その何って
          言うのに種類が沢山あるんだ。」

      柔「え?そうだったんだ、あたし一種類しか無いと思ってた。」

      耕作「これで少し賢くなったね?」

      柔「えへ、褒められちゃった~。」

      柔「で、オナニーって何?」

      耕作「忘れてなかったんだね、質問。」

      柔「偉いでしょう?」

      耕作「そういうのは偉いとは言わないと思うんだけど。」

      柔「え?偉くないの?」

      耕作「偉いって言うのは、人として、立派で優れている事なの。」

      柔「でも、質問を忘れて無かったよ?」

      耕作「確かに、覚えてた事は優れてるけど、その言葉を聞こうとするのは
          立派じゃないと思うよ?」

      柔「何かいけない事なの?」

      耕作「そうだね~、夫婦でそれすると、してない方は不幸になるかな?」

      柔「そうなんだ、じゃあ、知らなくて良いよ。」

      耕作「うん、その方が俺達が不幸にならなくて良いからね。」

      柔「うん、そうだよね、不幸になりたくないもんね。」

      耕作「さっきから延々話してるね?俺達って。」

      柔「うん、楽しいね~。」

      耕作「君が楽しんでるなら良いかな?」

      柔「耕作さんとお話してると楽しいよ?」

      耕作「うん、俺も君が喜ぶ姿を見れるから。」

      柔「最初に何話してこうなったのかな?」

      耕作「多分、最初の話と今の話は全然関連性が無いと思う。」

      柔「そうなんだ。」

      耕作「俺達の会話って人が聞いてると笑える内容みたいだから。」

      柔「そう言えば、帰りの飛行機のCAの人も笑ってたね?」

      耕作「うん、爆笑って言っても良い位に笑ってたね。」

      柔「お金貰えなかったね?」

      耕作「何でそこでお金を貰う話になるの?」

      柔「だってあの人、あたし達を漫才師って言ってたから。」

      耕作「まあ、確かに漫才師は人からお金を貰って面白い話をする人達なんだけど、
          俺達は普通の人だから。」

      柔「確かに、そうだよね。」

      耕作「柔さんが柔道を止めたら漫才師でもする?」

      柔「え~、何でそうなるの?」

      耕作「いや、君はボケの才能が有るから。」

      柔「あたしボケてるつもりは無いんだけど?」

      耕作「うん、だから才能って言ったんだよ?」

      柔「才能って?」

      耕作「才能って言うのは、物事を巧みになしうる生まれつきの能力っていう事なの、
          柔道もそうである様にね。」

      柔「つまり、あたしは無意識でボケてるって事?」

      耕作「そうだよ?良く分かってるじゃない?」

      柔「え~、そうだったんだ~、もう話ししない。」

      耕作「君は極端だよね?丁度良いって言う言葉が無いのかな?」

      柔「だって~、耕作さんと話してると、あたしがボケてるって思われるの嫌だもん。」

      耕作「柔さん?」

      柔「な~に~?耕作さん。」

      耕作「君のボケは可愛いんだから良いんだよ?」

      柔「ほんと~?可愛いの?」

      耕作「うん、もうね~、最高に可愛いよ?」

      柔「わ~い、嬉しいな~。」

      耕作「落ちも付いた所で、そろそろ会社に行く?」

      柔「落ちが付くって、まんま、漫才じゃないの?」

      耕作「そうだね、漫才そのものだね。」

      柔「あたし達の会話ってやっぱり、漫才だったんだ。」

      耕作「うん、他の人から見たらね?」

      柔「柔道を止めた時の職業を考えなくて良いね?」

      耕作「君が柔道を止めるって、この先相当年を取らないと無いと思うけどね。」

      柔「だよね~、まだまだ、若いからね。」

      耕作「君はね?」

      柔「え?耕作さんは年寄りなの?」

      耕作「こらこら、人を老人扱いする気なの?」

      柔「ううん、耕作さんは若いよ?」

      耕作「君はどこを見てそう言ってるのかな?」

      柔「あ、分かっちゃった?」

      耕作「視線を下に落とせば誰でも分かるって。」

      柔「ごめんね~、無意識に見ちゃった。」

      耕作「君の頭の中を一度見てみたくなった。」

      柔「頭の中を見られたら死んでるよ?」

      耕作「ほんとにしないよ?そんな事は。」

      柔「でも、今、耕作さんは見たいって。」

      耕作「見てみたいって言ったんだけど。」

      柔「どう違うの?」

      耕作「同じ意味なんだけど、俺のはあくまで希望だけで実際にしようとかは無いから。」

      柔「そうなのね、あ~、良かった、頭を解剖されるかと思った。」

      耕作「えっと、頭を解剖しても生理学的な事しか分からないから。」

      柔「生理学的って?」

      耕作「脳の構造だけしか分からないって意味ね?」

      柔「そうか、考えとか、思いは分からないって事なんだね?」

      耕作「ほんと、君は不思議な子だね?」

      柔「何で?」

      耕作「言葉の意味を分からなくて聞いた後に、それ以上の事をいとも簡単に言うから。」

      柔「どういう事?」

      耕作「今の会話を思い出してごらん?」

      柔「う~ん、あ、そうだね、確かに、回答っぽい事言ってるね。」

      耕作「でしょう?って、時間が無くなるからそろそろ行かないと。」

      柔「あ~、大変、急いで行こう?」

      耕作「良い時間潰しにはなったけど。」

      柔「早く、行こう~?」

      耕作「君は普段着で行くつもりなのかな?」

      柔「あ~、着替えてない~、急いで着替えないと。」

      耕作「これだもんね、ここで着替えるんでしょう?」

      柔「うん、耕作さんも早く着替えないと。」

      耕作「俺、向こうでもそのまま行ってたの忘れたの?」

      柔「あ~、そうだった、あたしだけ着替えしてたんだった。」

      耕作「タクシーで行くから、慌てなくて良いよ?」

      柔「耕作さんバイクは?」

      耕作「向こうに長く居るつもりだったから、売って旅費の足しにしちゃった。」

      柔「え~、何で売っちゃったの~?」

      耕作「その事は会社が終わってからゆっくり話そうか?」

      柔「そうだね、早く着替えないと。」

      耕作「ふふふ。」

      柔「耕作さん、何で笑ってるの?」

      耕作「その事も会社が、以下略。」

      柔「あ~、何着て行こう~。」

      耕作「どうせ制服に着替えるんでしょう?」

      柔「あ、そうだった、じゃあ、・・昨日のはダメか。」

      耕作「キュロットで良いんじゃない、もしくはワンピとか。」

      柔「ワンピにする~。」

      柔はあたふたと下着姿になるとワンピを着た。

      耕作「今日はちゃんと下着の上下着けてたんだね?」

      柔「着けない方が良かった?」

      耕作「いやいや、会社に行くのにノーブラ、ノーパンはまずいでしょう?」

      柔「そうだよね?椅子に座ったら見えちゃうよね?」

      耕作「柔さん?」

      柔「な~に~?耕作さん。」

      耕作「君はまた延々と話を続けるつもりじゃないよね?」

      柔「あ~、時間が~。」

      耕作「喋ってないで体を動かす。」

      柔「あ、はい、そうだね。」

      二人は急いで階下に下りた。

      耕作、柔「行ってきま~す。」

      玉緒「行ってらっしゃい、気を付けてね。」

      柔が木戸から先に出て、周囲を確認した後、耕作を呼び出した。
      二人は表通りに出てタクシーを拾うと鶴亀トラベル・保町支店へ急いだ。