柔と耕作(松田)の新婚日記 1日目 (午前編第3部)
文書量(文字数)が膨大な為、一日を9分割で表記しています。
タクシーを降りると木戸を潜り玄関に入った。
柔「ただいま~、戻ったよ~。」
耕作「ただいま~、戻りました~。」
玉緒「お疲れ様でした、お帰りなさい。」
滋悟朗「お疲れぢゃったの~、して首尾はどうぢゃった。」
玉緒「おとうさん、居間で聞きましょう?」
滋悟朗「おぉ、そうぢゃったな。」
四人は居間に行き座卓を囲んだ。
耕作「号外は午前中に発行配布される予定です。」
柔「婚約会見は15時からなんだって。」
玉緒「そうなんですの?忙しくなりそうですわね。」
滋悟朗「二人共、よ~やってくれた。」
その時電話が鳴った。
玉緒「私が出てきます。」
玉緒は電話を取りに行った。
玉緒「耕作さん、編集長さんからですよ。」
耕作と柔は電話の所へ急いだ。
耕作「玉緒さん、すみません。」
耕作は玉緒から受話器を受け取った。
耕作「もしもし、松田です、代わりました。」
編集長「おお、帰っていたか、号外の件だが、11時半には配布出来る様になった、
婚約会見の件も一緒に掲載したから、安心してくれ。」
耕作「はい、分かりました、それで俺達はどうすれば良いですか?」
編集長「独占取材の件も合わせて掲載しているので、そこにマスコミ連中が
行く事は無いと思うが、用心はしてくれ。」
耕作「はい、俺達は外に出ない様にします。」
編集長「その方が良いだろう、会見場へは鴨田が迎えに行くので
そっちに行ったら一緒に来たまえ。」
耕作「分かりました、その様にします。」
編集長「ここも号外が出たら蜂の巣を突いた様になるだろうから、そちらは連絡が
取り難くなると思うので、定時連絡はしなくて構わないぞ。」
耕作「はい、それでは会見場でお会いしましょう。」
編集長「うむ、じゃあ、会見場で待っているから。」
耕作は受話器を置いた。
柔「編集長さんは何て?」
耕作「居間で話そうか?」
柔「うん、それが良いね。」
二人は居間に戻った。
耕作「号外は11時半に配布されるそうです。」
耕作「後、会見場には同僚の鴨田が迎えに来てくれるので一緒に
行く事になっています。」
柔「いよいよなんだね。」
玉緒「二人とも頑張りなさい。」
滋悟朗「そうなると、TVでも報道されそうぢゃな?」
耕作「号外の事も報道されるでしょうね。」
柔「何で?」
耕作「柔さん、君は国民栄誉賞を貰ってる事を忘れた訳じゃ無いよね?」
柔「うん、あたしがって言うより、おじいちゃんが受け取ったんだけどね?
あたしは会場から出てしまったから。」
耕作「その君の婚約の号外が出たんだから、TVで報道されるのは
当たり前の事なんだよ?」
柔「どうして?」
玉緒「柔?あなたはそういう賞を貰ったんだって、もっと自覚なさい?
あなたは興味無いでしょうけど、世間の人からすると、あなたは
もう有名人なんだから。」
柔「なるほど、そう言われればそうなんだね。」
滋悟朗「こやつは、ほんとに欲というものが無いのが玉に瑕ぢゃな。」
耕作「まあ、それが柔さんの柔さんらしさなんですけどね?」
柔「おかあさん?お洗濯とお掃除は済んでる?まだなら、あたしがするよ?」
滋悟朗「これだからの~、まあ、そうでないとお前ぢゃないわな。」
玉緒「もう全部終わってますよ。」
柔「おかあさん、ごめんね、手伝わないで。」
玉緒「今の、あなたは他にする事が有るでしょう?」
柔「何だろう?」
耕作「会見場に来ていく服とか選んでおかないとね?」
柔「そうなの?」
玉緒「あなたは大事な会見場に普段着で行くつもりなんですか?」
柔「あ、そうだね、じゃあ、耕作さんと相談して決めても良いかな?」
滋悟朗「二人で上に行って相談して決めてくるんぢゃ。」
耕作「済みません、そうさせて貰います。」
二人は2階へ向かった。
柔「耕作さん、ちょっと待てて。」
柔は台所に行くとポットとコーヒーカップを持って来た。
耕作「柔さんは、ほんとにいつも甲斐甲斐しいね。」
柔「えへ、褒められちゃった~。」
耕作「じゃあ、上に行こうか?」
柔「うん。」
二人は2階の柔の部屋に行くと耕作はベッドに座った。
柔はポットとコーヒーカップを机の上に置くとコーヒーを2杯入れた。
そして耕作の右隣に寄り添う様に座りながら、それを渡した。
柔「はい、耕作さん、二人の結婚の発表記念のコーヒーだよ。」
耕作「ありがとうね、じゃあ、また乾杯かな?」
柔「うん、しよう~。」
耕作、柔「発表記念を祝ってかんぱ~い。」
耕作「昨日から乾杯ばかりしてる気がする。」
柔「そうだね、でも、嬉しい事だから良いんじゃない?」
耕作「まあ、そうなんだけどね。」
柔「耕作さん?」
耕作「これだろう?」
耕作は柔に先程焼付けした写真を見せた。
柔「きれいに撮れてるね。」
耕作「柔さん?あの水着の肩ひもを外してたけど、こういう風に写るって
分かって外してたの?」
柔「えへへ、そうだよ?普通に一緒にお風呂に入ってる様に見えるでしょう?」
耕作「やっぱり、君って凄いよね、そこまで考えて行動してるんだから、
俺はこういう風に写るって思って無かった。」
柔「うふふ、今度はほんとに出来るんだよね?」
耕作「まあ、けじめも無くなったし、君が望めは俺は構わないから。」
柔「わ~い、でも、ここじゃ無理だね?」
耕作「さすがに、ここで一緒に入る訳にはいかないからね。」
柔「新婚旅行までお預けか~、まあ、それでも良いかな?」
柔「ところで、耕作さん?」
柔は耕作を見上げるとそっと目を瞑った、耕作はそれに応じる様に
左手で柔の右頬を触りながら、優しく長めのキスをした。
耕作「長い時間お疲れ様、柔さん。」
柔「ううん、あたしより耕作さんの方が疲れてると思う。」
耕作「俺は大丈夫だから、君の為にする事は俺にとっては喜びなんだ。」
柔「耕作さんが喜んでくれる事は、あたしにとっても喜びだよ?」
耕作「そうだね、向こうでもそう言ってたね、君は。」
柔「ね~、耕作さん?」
耕作「何だい?柔さん。」
柔「もう、分かってるよね?」
耕作「うん、君がそっちに座った時点でね?」
二人はカップを机の上に置くと同じ様に座った。
そして向き合う様にベッドに横になった。
柔「今日は着けてるから、少し硬く感じるかも?」
耕作「そうなの?」
柔「実際に確かめてね?」
耕作「良いのかい?」
柔「あたしは前から言ってたよね?」
耕作「そうだったね。」
耕作は左手を柔の左胸の膨らみにそっと当てた。
そして少し押さえる様に力を入れた。
耕作「君の言う通りだね、少し硬い。」
柔「うん、そうだよ。」
耕作「でも、君の動悸は感じる。」
柔「あたしもあなたの手の温もりを感じてる。」
耕作「少し早くなってる。」
柔「うん、あなたを感じてるから。」
二人は暫くお互いを見つめていた。
柔「着ていく服なんだけど、どれが良いと思う?」
耕作「君はどれが良いと思ってるんだい?」
柔「そうだね~、授賞式に来てた服なんかどうかな?」
耕作「そうだね、あれが良いかもね。」
柔「じゃあ、あれにするね。」
柔「耕作さんはどうするの?」
耕作「あ、俺、背広とか持って無かったんだ。」
柔「おかあさんに聞いてみようか?おとうさんのが有るかも?」
耕作「何か、悪い気がするけど、それだと。」
柔「耕作さん?おかあさん、あなたに何て言ってた?」
耕作「ここを実家だと思ってって。」
柔「じゃあ、遠慮するのは可笑しいよね?」
耕作「君の言う通りだね。」
柔「じゃあ、少し待ってて、聞いてくる。」
柔は起き上がると階下へ下りて行った。
耕作も起き上がりベッドに座って待った。
耕作「(やっぱり、親子だな、考える事も似てる。)」
耕作「(会見は心配していないんだが、今夜が心配だな。)」
耕作「(俺がそう考えてるくらいだから、柔さんもきっと同じ事を考えてるんだろうな。)」
耕作「(だから、さっき、あんな事をさせたんだって思う。)」
階段で足音がした。
耕作「(戻って来たな。)」
柔「お待たせ~、これどうかな?」
柔は背広の上下を耕作に見せた。
耕作「良い感じだね、派手過ぎず、地味過ぎない丁度良い感じだ。」
柔「実はね・・。」
耕作「まさか、虎滋朗さんが玉緒さんにプロポーズした時に着てたとか?」
柔「さすが、耕作さん、良く分かったね~。」
耕作「玉緒さんが考えそうな事だって思ったんだ。」
柔「少し妬けるな~。」
耕作「どうして?」
柔「耕作さんもおかあさんの事を良く分かってるんだって思ったらね。」
耕作「あ、いや、俺は君が考えそうな事だって思って言ったんだよ。」
柔「どう言う事?」
耕作「さっき、思ってたんだ、君と玉緒さんは同じ事を考える時が多いんだな~って。」
柔「そうなの?」
耕作「うん、親子だし似てるな~って。」
柔「そう言われてみればそんな気もするね。」
耕作「柔さん?」
柔「な~に~?耕作さん。」
耕作「君がさっき俺にあんな事させたのって、今夜の事を考えてやったんじゃないの?」
柔「え?あ、えっと、うん、その、・・もしかして、あなたも?」
耕作「やっぱりね、そうじゃないかって思ってた。」
柔「おじいちゃんがあんな事言うから意識しちゃって。」
耕作「まあ、俺も同じ事を考えてたから。」
柔「そうだったのね、でも、その時にならないと分からないよね?」
耕作「そうだね、今夜にならないと分からないかな?」
柔「あたしは覚悟は出来てるから、あなたの思う様にして構わないんだよ、
向こうでも言ったしね。」
耕作「そうだったね、それに似た様な事を言ってたね。」
柔「うん、あたしの全てはあなたのものだって言ったから。」
耕作「その事は今夜になって話してみてから決めようか?」
柔「うん、耕作さんがそうするなら、あたしは構わないよ。」
耕作「もう、号外が配布されてる頃だね。」
柔「もう、そんな時間なんだ。」
耕作「さて、どうなる事か。」
柔「なる様にしかならないんじゃない?」
耕作「どれ、着ていく服も決まった事だし、下に下りようか。」
柔「うん、あたしもお昼の用意しないといけないしね。」
二人は居間に行く為に階下に下りて行った。
玉緒「二人とも、早くおいでなさい、ニュースが始まるわよ。」
二人は急いで居間に行くと並んで座ってテレビを見た。
滋悟朗「おぉ~、始まったの~、トップニュース扱いぢゃな?」
玉緒「そうですわね。」
耕作「改めて見ると大それた事をしてる気になるな~。」
柔「そうなの?」
耕作「何か、俺、まるで事件の犯人扱いされてる気になる。」
柔「え~、何で~?耕作さんは悪い事してる訳じゃ無いのに~。」
滋悟朗「まあ、そういう扱いにはなるぢゃろうな。」
玉緒「こういう風な表現になるのですね~。」
柔「え~、これじゃ、耕作さんが可哀想だよ?」
耕作「柔さん、大丈夫だから、こういう事になるのは覚悟していたからね、
君の為ならどんな事にでも耐えるさ。」
柔「でも、耕作さん、これって、あんまりじゃないの?」
耕作「心配いらないから、君さえしっかりしていてくれたら俺には何も
怖いものなんて無いさ。」
柔「うん、分かった~、しっかりしているから、大丈夫だよね?」
耕作「そうだよ、大丈夫だから。」
滋悟朗「それでこそ、儂の見込んだ男ぢゃ。」
玉緒「柔は耕作さんの事を信頼してるんでしょう?」
柔「うん、信頼してるし信じてるよ?」
玉緒「じゃあ、あなたもどっしりと構えなさい。」
柔「うん、分かった、そうするね。」
突然、電話が鳴った。
玉緒「私が出ますから。」
玉緒は電話を取りに行った。
玉緒「おとうさん、源さんからお電話ですよ。」
滋悟朗「早速、掛けてきたようぢゃな。」
滋悟朗は電話の所へ行った。
耕作「これは予想してたとはいえ、今から電話が鳴りっぱなしになりそうだね。」
柔「何で?」
耕作「滋悟朗さんと玉緒さんの知り合いからのお祝いの電話がだよ?」
柔「あ、そうか、もしかすると、あたしにも?」
耕作「そうだね、君の知り合いも掛けてくるかもね?」
耕作「そして、俺の実家も同じ様になってそうだけど。」
柔「そうなんだ、ご迷惑を掛けてしまってるね?」
耕作「やっぱり、柔さんは良い子だね、そういう心配が出来るから。」
柔「うふ、褒められちゃった~。」
耕作は思わず柔の頭を撫でていた。
柔「うふ、撫でられちゃった~。」
電話が鳴る度に、滋悟朗と玉緒が交互に取っている様だった。
耕作「掛かっている間は話し中になるから、居るのが相手に分かってしまって、
また掛けてくるの繰り返しか。」
柔「それって、ずっと続くの?」
耕作「一巡するまでは続くだろうね。」
柔「おかあさん、おじいちゃん、ごめんね。」
耕作「柔さん?」
柔「な~に~?耕作さん。」
耕作「玉緒さんも、滋悟朗さんも分かってるから、心配しないで良いんだからね?」
耕作「それより、君はしないといけない事が有るんじゃない?」
柔「お昼の用意ね?」
耕作「うん、俺も手伝うよ。」
柔「わ~い、耕作さんと一緒に用意だ~。」
耕作「じゃあ、台所に行こうか?」
柔「うん、分かった~。」
二人は台所に行って、お昼の用意を始めた。
柔は調理を始めて、耕作は食器などの用意をしていた。
柔「耕作さん、食器はそれだけで良いよ。」
耕作「後は何かする事あるかな?」
柔「今は無いかな?そこに座ってて良いから。」
耕作はテーブルの椅子に腰かけた。
玉緒が台所にやってきた。
玉緒「あら、柔が用意してくれてたのね。」
柔「うん、耕作さんも手伝ってくれたの。」
玉緒「済みませんね、耕作さん。」
耕作「いえ、俺が出来るのはこの位ですから。」
玉緒「柔?後は私がするから耕作さんと座ってなさい?」
柔「え~、あたしも手伝うよ?」
玉緒「旦那様を放って置いたらダメよ?」
柔「うん、分かった、言う通りにするね。」
耕作「玉緒さん、済みません。」
玉緒「いえ、当然の事だから、気にする必要はありませんわよ。」
柔「はい、耕作さん、お茶どうぞ。」
耕作「あっ、ありがとうね。」
柔は耕作の隣に座った。
柔「おかあさん?おじいちゃんは?」
玉緒「まだ電話の対応してるんじゃないかしら?」
玉緒「用意出来たから、呼んできてくれないかしら?」
柔「あたし、行ってくる~。」