柔と耕作(松田)の新婚日記 1日目 (午前編第2部)
文書量(文字数)が膨大な為、一日を9分割で表記しています。
一方2階では。
柔「耕作さん、ごめんね、あなたの役回りを取ってしまって。」
耕作「いや、あの場合は君が話した方が良いと思うよ。」
柔「そうなの?」
耕作「俺が言うより、柔さんが言った方が二人共聞き入れ易いんじゃ
ないかと思ったから。」
柔「あなたがそう言うなら、そうなんだって思う。」
耕作「しかし、さっきも話したけど、良くあれだけ短時間で、あれだけの事を
決められたって思うよ。」
柔「そうだよね~、どうなるかって思ってた事があれよあれよっていう間に
決まっちゃったもんね。」
耕作「普段着で良いからね。」
柔「うん、そうだね、正装してたら変に勘繰られるもんね。」
耕作「ところで、柔さん?」
柔「な~に~?耕作さん。」
耕作「二人共、ここに居るって事は一緒に着替えるつもりなの?」
柔「だって、けじめ、無くなっちゃったし。」
耕作「そうだったね、子供の事も認めて貰ったし。」
柔「さ~、今夜から・・。」
耕作「それまで!」
柔「あ~、それを言われると・・。」
耕作「それは帰って来て、夜になってから考えようか?」
柔「うふふ、そうだね~。」
耕作「柔さん?」
柔「な~に~?耕作さん。」
耕作「さっきから顔が緩みっぱなしだよ?」
柔「だってね~、うふふ。」
耕作「今から行く場所では、止めようね~、その顔は。」
柔「むぅ~~~。」
耕作「久しぶりに見るけど、その顔も可愛いね~。」
柔「もう~、耕作さんったら~。」
耕作「そろそろ着替えようか?」
柔「じゃあ、・・。」
耕作「全部脱がなくて良いから。」
柔「残念、先に言われちゃった・・。」
耕作「けじめは無くなったから、俺がそれを止める理由は無くなった訳だけど、
或る程度は止めないと。」
柔「うん、分かってるよ、そればかり考えてちゃいけないって事は。」
耕作「うん、そういう事だね。」
二人は向き合ってお互いを見ながら着替えた。
耕作「それじゃ、出掛けようか。」
柔「うん、そうしよう~。」
二人は階下へ下りて行った。
柔「おじいちゃん、おかあさん、行ってくるね~。」
耕作「それでは、行ってまいります。」
玉緒「二人共、用心して行くんですよ。」
滋悟朗「松ちゃん、これを持って行け。」
耕作「これは?何ですか?」
滋悟朗「儂のコメントを要約したものぢゃ。」
耕作「滋悟朗さん、感謝します、必ず載せますから。」
滋悟朗「朗報を待っておるぞ、心して行ってこい。」
耕作、柔「はい!」
二人はタクシーを拾うと日刊エブリーに向かった。
会社の手前でタクシーを降りて徒歩で耕作の会社に向かった。
二人が歩いていると、あちらこちらで二人を見ては、話をしている人達が見掛けられた。
耕作「俺はそんな事は無いと思うけど、やはり、柔さんは有名人なんだって思うよ。」
柔「そうなんだよね~、もう下火になってるかと思ってたんだけど。」
柔「ところで、耕作さん、何でカメラ持ってるの?」
耕作「万一にでもマスコミ関係者に見られた時の対策かな?」
柔「なるほど、さすがだね。」
耕作「後、もし、時間が許せば例の写真を現像しようかと思ってたから。」
柔「あたしも早く見たいな~。」
耕作「さあ、着いたよ。」
柔「緊張してきたね。」
耕作「君でも緊張するんだね?」
柔「耕作さん、それって酷くない?」
耕作「ごめん、ごめん、君でもって言う言い方は無かったね。」
柔「分かればよろしい。」
耕作「編集部に入るよ。」
柔「どんとこ~い。」
耕作「うん、それでこそ、柔さんだね。」
柔「うふふ。」
耕作は編集部のドアを開けた。
耕作「松田 耕作、只今戻りました。」
編集部内から歓声が上がった。
編集長「良く戻って来たな、松田君~。」
編集長「しかし、何故、猪熊さんが一緒なんだ?」
耕作「その理由は直ぐ分りますから。」
鴨田「あれ?松田さん、出社は明日って言ってなかったすか?」
邦子「耕作~、柔ちゃ~ん、お帰り~。」
耕作「松田 耕作、重大発表を持ってきました。」
編集長「何だ、その重大発表ってのは。」
鴨田「松田さん、まさか・・・。」
邦子「まさか?・・・。」
耕作と柔は編集部一同に深々と一礼した。
耕作「俺、こと、松田 耕作は本日、正式に猪熊 柔さんと婚約した事を
ここに発表します。」
編集長は驚いて後ろに転んだ。
他の編集部員も同様に驚いて転んでいた。
鴨田「松田さん、あ~あ~、とうとう言っちゃったすね。」
邦子「きゃ~~、耕作~、柔ちゃ~ん、おめでとう~。」
他の編集部員も口々に祝辞を言っていた。
柔「皆さん、よろしくお願いします。」
柔「邦子さんのお陰だよ~。」
柔「鴨田さん、ありがとう~。」
編集長「ま、松田君?そ、それ、ほ、本当の事だよな?」
耕作「はい、ほんとの事で間違いありません。」
柔「編集長さん、その節は色々とご迷惑をお掛けしました。」
編集長「二人共、おめでとう~。」
耕作、柔「ありがとうございます。」
耕作「付きましては、本日の号外としてこの事を出して頂きたいと思い、
ここに一緒に赴きました。」
柔「あたしからもお願いします。」
編集長「え?号外をうちでか?良いのか?」
柔「あたしからお願いしたんです。」
耕作「この様に本人の了解も取り付けていますので、是非。」
編集長「おい、印刷部署に至急連絡だ~。」
編集長「わが社の総力を挙げて直ぐに発行するんだ。」
耕作「後、これもお願いなんですが。」
編集長「何だ、言ってみろ。」
耕作「我が社主催で今日の午後に婚約会見を開いて欲しいのです。」
柔「あたしからもお願いします。」
編集長「おい、どこかに会場が有るか大至急電話で確認しろ~。」
編集長「会場の収容人数は500人規模の場所を確保するんだ~。」
耕作「編集長?」
編集長「今度はどんな驚く様な事を言うんだ、お前は。」
耕作「俺達の今後の取材はうちの社の独占という事にして欲しいんです。」
編集長「ま、松田君、君は何て良い奴なんだ~。」
編集長「鴨田に加賀君、写真は撮ったか?」
鴨田、邦子「はい、今撮りました。」
編集長「直ぐに現像、焼き付けして持って来い~。」
鴨田、邦子「あ、はい~。」
耕作「今、お願いした事も号外に載せて下さい。」
編集長「おい、構成~、今の聞いたな、直ぐにそれも載せるんだ。」
構成担当「はい、分かりました~。」
耕作「どの位で出来ますか?」
編集長「何としても午後一番には出す様にする。」
耕作「ここに俺が纏めた原稿もあります、それと滋悟朗さんのコメントを
要約した物もありますから。」
編集長 「さすがだ~、松田君、済まない、それが有れば更に早く出せるぞ~。」
編集長 「おい、構成~、これを記事に組み込め~。」
構成担当は原稿を受けった。
構成担当「はい、大至急、記事に組み入れます。」
耕作「よろしくお願いします。」
柔「あたしからもお願いします。」
編集長「君達は、応接スペースで待機しててくれ。」
耕作、柔「はい、分かりました。」
二人は応接スペースへ移動した。
柔「耕作さん?」
耕作「あ~、あの原稿の事だね?」
柔「うん、いつ書いたの?」
耕作「記事を出すのは決まってたでしょう?」
柔「明後日って言ってたね?」
耕作「その分の記事を向こうに居た時に書いてたんだ。」
柔「用意周到っていう事なんだね?」
耕作「うん、そういう事だね。」
柔「ところで、ここに湯沸し室ってないの。」
耕作「ほら、あそこがそうだよ。」
耕作「何をするの?」
柔「いえ、誰もそういう事をする段じゃないと思うから、あたしが何か
飲み物を作って持ってこようかと。」
耕作「君は相変わらず、マイペースなんだね?」
柔「うふふ、じゃあ、入れてくるね?」
耕作「お願いね。」
耕作はソファーに座った。
暫くすると柔は二人分のコーヒーを入れて持って来た。
柔「どうぞ、大騒動になった編集部記念のコーヒーだよ。」
耕作「ははは、俺達のせいなんだけどね、味わって飲もうか。」
柔は耕作に寄り添ってソファーに座った。
耕作「ここまで大騒動になるとは思わなかった。」
柔「でも、ここだけだから。」
耕作「号外が出たら、ここだけじゃ済まないだろうけど。」
柔「そうだね~、下手したら日本中がそうなるね?」
耕作「下手しなくても、そうなるよ?」
柔「あたし達ってお騒がせな人なのかな?」
耕作「まあ、君はそうなるかな?」
柔「え~、あたしだけなの?ずるくない?それって。」
耕作「心配しなくても、俺もそうなるさ、いずれね。」
柔「それなら良いかな?」
耕作「暫くは、周辺が慌ただしくなると思うけど大丈夫かい?」
柔「耕作さんが傍に居れば、何も怖くないよ?」
耕作「うん、今日はそれで良いけど、明日以降がね?」
柔「あ~、会社に行った時の事?」
耕作「そうだよ、君の会社でも大騒ぎになるはずだから。」
柔「多分、大丈夫じゃないかな?」
耕作「いや、社内の人は大丈夫だろうけど、お客さんが大勢押し掛ける事に
なるかもしれないよ?」
柔「それも大丈夫かな?あの道場前の人数には及ばないだろうから。」
耕作「なるほど、あそこでの経験が役に立つ訳だね?」
柔「うん、あそこで経験してきた事は無駄じゃなかったんだね。」
耕作「そうだね、いっそ、この際だから、君の婚約か結婚記念で何かツアーでも
企画したら良いんじゃない?」
柔「あ、それ良いね、会社でそれを提案してみる~。」
耕作「そうなれば、羽衣さんも晴れて課長に昇進出来るかも?」
柔「だね、そうなれば、ご迷惑を掛けた恩返しにもなるよね?」
耕作「うん、そうなれば良いね。」
柔「ツアーの行き先は耕作さんの実家でも良いかも?」
耕作「え~、余り大人数は泊まれないよ?」
柔「小規模のはそれにして、大規模なのは別に考えるから。」
耕作「なるほど、それなら良いかも。」
柔「今、あたしが一番心配してるのは、耕作さんがマスコミ各社から
批判を受けるかもしれないって事なんだけど、大丈夫?」
耕作「それ位の覚悟が無ければ、君に結婚は申し込んでないさ。」
耕作「多分だけど、俺を批判したら、その会社は記事を載せる事が
出来なくなるかも知れないって考えるだろうから、おいそれと
は批判は、出来ないんじゃないかな?。」
柔「そうかもしれないね、なら、大丈夫だね。」
耕作「柔さん、午後の会見は大丈夫?」
柔「それこそ、耕作さんが隣に居るから、大丈夫だよ?」
耕作「会見頑張ろうね。」
柔「うん。」
耕作「時間が有りそうだから、さっきのカメラの分、現像と焼き付けしてくる。」
柔「うん、楽しみに待ってるよ。」
耕作は暗室に向かった。
柔「(耕作さん、更に頼りがいがある様になったな~。)」
柔「(家での事も耕作さんは、あたしに任せてくれてたし。)」
柔「(やっぱり、耕作さんって素敵だな。)」
耕作「柔さん、お待たせ。」
柔「お帰り~、耕作さん、どうだった?」
耕作「うん、きれいに撮れてた。」
柔「帰ったら見ようね~。」
耕作「そうだね、一緒に見よう。」
編集長「二人共、待たせたね。」
耕作「どうですか?」
編集長「今、号外の編集中だ、出来次第推敲して、直ぐに印刷に回せば、
午前中には出せそうだ。」
編集長「後、会見の会場は今探させているが大丈夫だろう。」
耕作「編集長、会見の時間ですが、余り長くは。」
編集長「1時間位で良いんじゃないか?途中で打ち切るって手も有るから
大丈夫かと思う。」
耕作「それ位なら、何とかいけると思います。」
編集長「猪熊さん、いや、柔さんと呼んでも構わないかな?」
柔「はい、編集長さんには、かなりお世話になりましたから。」
編集長「柔さん、良く松田君との結婚を決意してくれたね、本当にありがとう。」
柔「いえ、あたしこそ、耕作さんがプロポーズしてくれて感謝している位ですから。」
編集長「私も松田君の事は息子みたいに思っていたから、我が事の様に
嬉しく思っているんだ。」
耕作「え?そうだったんですか?」
編集長「当たり前だ、俺の部下は全員、息子だと思ってるぞ?」
耕作「ありがとうございます。」
編集長「中でも、お前が一番の孝行息子だがな。」
編集長「会見の事は分かり次第、知らせるが、時間は15時位で構わないか?」
耕作「はい、それで構いません、号外から余り時間を措かない方が
良いと思いますので。」
編集長「分かった、それで調整する様にしておく、ところでそれまで君たちは
どうするつもりなんだ。」
耕作 「少し挨拶回りをしたいと思っています。」
耕作「号外が出る前に是非知らせたい人が居ますので。」
編集長「花園夫妻の事だな?」
柔「良くお分かりですね?」
編集長「あの二人が柔さんと深い関係なのは知っていたから直ぐに、分かりましたよ。」
耕作「それでは、今から行ってきます。」
耕作「1時間おきに連絡は入れますから。」
編集長「くれぐれも用心して行ってくれ。」
耕作「はい、分かりました。」
柔「それでは、また、後程、お邪魔します。」
編集長「うん、気を付けて。」
耕作、柔「はい、行ってきます。」
二人は編集部を後にした。
耕作「連絡を入れてみるかい?」
柔「そうだね、居なかったら行っても意味無いしね。」
耕作「あそこの電話ボックスからしてみようか?」
柔「何だか懐かしい場所だね?」
耕作「そうだね、思い出すね。」
柔「じゃあ、連絡を入れてみるね。」
耕作「うん、お願いね。」
柔は富士子宅に電話を掛けた。
柔「今、呼び出し中~。」
柔「あ、出た。」
柔「もしもし、猪熊です。」
柔「うん、昨日帰国したよ。」
柔「うん、それで今二人とも居るの?」
柔「そうなんだ、じゃあ、今からお邪魔しても良いかな?大丈夫?」
柔「うん、分かった、直ぐに行くね、ちなみに松田さんも一緒に伺うから。」
柔「うん、詳しい事はそっちに行って話すから。」
柔「それじゃ、また後でね。」
柔は受話器を置いた。
耕作「今のは富士子さん?」
柔「うん、今二人とも居るんだって。」
耕作「じゃあ、直ぐに行かないとね。」
柔「うん、行こう?」
耕作「うん。」
二人はタクシーを拾うと富士子宅へ向かった。
タクシーが富士子宅近くに到着すると、そこで降りた。
二人は富士子宅の玄関に着くと呼び鈴を押した。
富士子「はい、お待ち下さい。」
玄関のドアが開き、富士子が笑顔で立っていた。
耕作、柔「お邪魔します。」
富士子「猪熊さん、松田さん、よく来てくれたわね。」
富士子「ささ、入って入って。」
耕作、柔「失礼します。」
富士子「花園さん、松田さんと猪熊さんが来てくれたわよ。」
花園「お~、松田さん、猪熊、よく来てくれたね。」
富士子「ささ、ここに座って、今、お茶を入れるから。」
二人は居間の座卓に並んで座った。
富士子「お待たせ~。」
花園が二人の前に座ると、富士子は耕作と柔にお茶を差し出して花園の隣に座った。
柔「フクちゃんは?」
富士子「さっき、やっと寝たばかり。」
柔「道理で静かだと思った。」
富士子「それはさて置いて、二人共、お帰りなさい。」
耕作、柔「ただいま~。」
柔「って言っても帰ったのは昨日だけどね?」
富士子「猪熊さん?首尾は上場だったみたいね?」
柔「え?何の事?」
富士子「もう~、松田さんとの事だよ?」
富士子「向こうで無事に会えたみたいで、良かったわね~。」
柔「富士子さん?花園君?その事でお話があるの。」
富士子「どんな話なの?」
柔は富士子達に左手の薬指に光る指輪を見せた。
柔「あたしと耕作さんは婚約して近々結婚するの。」
富士子「え?え~~、本当なの?」
花園「猪熊?本当なんだな?」
柔「うん、ほんとだよ?今日の号外で、あたし達の婚約の事が
耕作さんの会社から発表されるの。」
耕作「ほんとの事なんだ、だから、号外が出る前に君達に知らせて
おかないとって思ってこうして来たんだ。」
富士子「おめでとう~、猪熊さん、松田さん。」
花園「おめでとう、猪熊。」
花園「松田さん、おめでとうございます。」
耕作、柔「二人共、ありがとう~。」
富士子「まさか、アメリカに行って、そこまで話が進むなんて思って無かったわ。」
柔「うん、あたしもそう思ってた、でも、行って直ぐに耕作さんからプロポーズされたの。」
富士子「松田さん?本当なの?」
耕作「うん、来て直ぐ、柔さんと色々話してるうちにそうしないとって思ったんだ。」
花園「松田さん、さすがですね。」
花園「猪熊も良かったな~。」
富士子「松田さん、猪熊さんの事、よろしくお願いします。」
耕作「勿論だよ、これからずっと傍に居て支えていくんだ。」
富士子「猪熊さん、本当に行って良かったね~。」
柔「うん、行って良かった、まさか耕作さんとこうなるとは思ってなかったから
余計に嬉しかった。」
富士子「そう言えば、猪熊さん、松田さんって呼んでないのね?」
柔「婚約したんだし、その呼び方は変だって思ったから向こうでは
ずっと名前で呼んでたんだ~。」
富士子「私達に知らせに来て、号外まで出るって事は滋悟朗先生の
了解も貰ったんだね?」
柔「昨日、貰ったよ、すんなりとね?」
富士子「へ~、そうなんだ、良くすんなりと了解してくれたわね?」
耕作「柔さんが向こうでも柔道の練習をしてたのもあるけど、何より、
彼女の柔道がかなり進歩したからなんだ。」
富士子「本当なの?猪熊さん、ってこの呼び方も変えないといけないよね?」
柔「まだ、入籍した訳じゃ無いから、そのままで良いよ。」
柔「柔道に関してはジョディーからもそう言われたんだけど、あたし自身は
余りそう言う実感は無いんだ。」
耕作「まあ、本人には分かり辛い事だからね。」
富士子「結婚式の日取りとかはまだなんでしょう?」
柔「うん、まだ、そこまで細かくは決まってないよ。」
耕作「まずは、公式に婚約を発表して猪熊家に迷惑がかから無い様にして
から決めようと思ったんだ。」
富士子「なるほど、そういう事なのね。」
柔「日取りはまだだけど、場所は、あたしの実家でする事になってるから、
決まったら知らせるね。」
耕作「今日来たのはさっきも言ったけど、君達に号外で知られる前に、
必ず知らせないとって思ったからなんだ。」
柔「二人には色々とお世話になってたからね。」
富士子「そうだったのね、知らせてくれてありがとう~。」
富士子「そう言えば、結婚するとして姓とかはどうするの?」
柔「それは今朝の家族会議で松田姓にする事は決まってるよ。」
耕作「後、諸々の事もその時に概ね決めてきた。」
富士子「私達の時と違ってちゃんと手順は踏んでるのね。」
柔「富士子さん達は納得してたから、あれで良かったって、あたしは
今でも思ってるの。」
柔「あたしの実家の前での富士子さんの決意表明は感動したから、あたしも
あんな風に出来ると良いな~って思ってる。」
柔「今日の会見でも、その事を考えながら応答出来ると良いかな?」
富士子「猪熊さん、あなたなら私以上に上手く出来るはずだから。」
耕作「俺も出来る限りサポートをするつもりなんだ。」
柔「これは富士子さん達だけに話す事なんだけど、あたし達は直ぐにでも
子供を作ろうと思ってるの。」
柔「だから、もし出来たら、暫くは柔道を離れる事になるから、あたしが
復帰するまで柔道は続けててね?」
富士子「それは大丈夫よ?以前と違って、あ、ごめんね、猪熊さんが
柔道は止めないって分かってるから。」
富士子、花園「二人の子供か~、早く見てみたいな~。」
柔「ううん、謝らなくても良いよ、あの時と今では全然状況が違うから、
あたしは何があっても柔道を止めないよ。」
柔「それは、耕作さんとの約束でもあるの。」
富士子「猪熊さん達、子供の作り・・。」
耕作「それは聞かない事にしておくよ、富士子さん。」
柔「ごめんね、富士子さん、これは、あたしと耕作さんだけの問題だって、
二人で話して決めた事だから。」
富士子「なるほど、うん、分かったわ、言わないでおくね。」
耕作「済まないね、そう言う訳なんだ。」
花園「今まで話を聞いてたけど、もう既に二人は完全に夫婦だと思った。」
富士子「うん、私も花園さんと同じでそう思ったわ。」
耕作「会う人会う人にそう言われてる気がする。」
柔「そうだね、でも、そう言われるのは悪い気はしないよ。」
富士子「そう言えば、会見って何時からなの?」
柔「確か、今日の15時だったよね?耕作さん。」
耕作「そうだね、余程の事が無い限りはその時間で良いと思う。」
富士子「それじゃあ、余り引き留めるのも悪いわね?」
柔「また、一段落したら会おうね。」
耕作「じゃあ、俺達は一旦、柔さんの実家に戻るよ。」
柔「何か急な用事とかあったら、実家に連絡してね、あたし達はそこに
居ると思うから。」
富士子「うん、分かったわ、それじゃあ、また会いましょうね。」
花園「二人共頑張って下さい。」
耕作、柔「それじゃあ、また、失礼します。」
二人は富士子宅を後にした。
耕作「さっきも言ったけど、一旦戻ろうか?」
柔「そうだね、おじいちゃん達にも報告しないとだから。」
耕作「うん、それが一番大事だからね。」
二人はまたタクシーを拾うと柔の実家まで戻った。