お断り:文書量(文字数)が多くなりましたので1日を今回は4分割してお届けします。
渡米十五日目。 長い長い飛行機旅 (帰国から結婚許可を貰うまで)
耕作は流れる水の音で目を覚ました。
耕作 「(柔さんは起きてるみたいだな。)」
耕作 「(俺も起きないといけないな。)」
耕作は上体を起こすとベッドに座ってキッチンの方を見た。
柔が早めの朝食の準備をしていた。
耕作「柔さん、おはよう~。」
柔は耕作の声に反応するかの様に手を止めて振り向いた。
柔 「おはよう~、耕作さん、起こしちゃった?」
耕作 「ううん、大丈夫だよ、自分で起きたから。」
柔 「少し待ってて、もう直ぐ終わるから。」
耕作 「うん、慌てなくて良いからね?その間に顔を洗ってくる。」
柔 「うん、そうしてて。」
耕作は洗面所に行くと歯を磨き顔を洗うとベッドに戻ってきた。
そこへ柔がコーヒーを持ってくると耕作に渡しながらキスをした。
耕作 「ありがとうね、コーヒーも目覚めのキスも。」
柔 「うふふ、後少しでお昼の分も出来るから。」
耕作 「機内食が有るから良いんじゃない?」
柔 「足りなかったら困るからね?」
耕作 「なるほど、備えを怠らないとは、さすがだね。」
柔 「残った食材を出来る限り減らしたいってのも有るんだけど。」
耕作 「御見逸れしました、柔さんはもう立派に俺のお嫁さんです。」
柔 「うふふ、ありがとう~。」
耕作は時計を見た、まだ5時少し過ぎだった。
耕作 「柔さんは何時から起きてたの?」
柔 「う~ん、4時頃かな?」
耕作 「眠くないの?」
柔 「少し眠いけど、どうせ飛行機の中では大半寝てるでしょうから。」
耕作 「それもそうだね、眠くなったらいつでも寝て良いからね?」
柔 「うん、多分、そうなりそう?ただ・・。」
耕作 「だよね~、さすがに、それは出来ないからね~。」
柔 「うふふ、以心伝心だね?」
耕作 「だね、でも手位は繋いでも良いかな?毛布で隠してだけど。」
柔 「あたしもそれ考えてた~。」
耕作 「一心同体か~。」
柔 「同体は今は別だけど、もう直ぐだね~。」
耕作 「これこれ、朝っぱらって言うかまだ夜中かな、言わないの。」
柔は顔を紅潮させてこう言った。
柔 「うふふ、耕作さん、また、おっきしてたよ?」
耕作も顔を紅潮させた。
耕作 「何~、またなのか、また見られたのか、不覚だ・・。」
柔 「大丈夫、見てないから、その代わり太腿でそれを感じて
目が覚めちゃったんだけどね?目覚まし代わりになった。」
耕作 「いや、そっちの方が見られるより衝撃だよ?」
柔 「そうなの?」
耕作 「直接、まあ、服を挟んでだけど感じられるのは衝撃だよ?」
柔 「あたしは2回目だけどね?」
耕作 「あ、そうだったね、なら気にしなくても良いのかな?」
柔 「耕作さんも言ってたじゃない?仕方ないんだって。」
耕作 「そんな事言ったっけ?」
柔 「それに似た様な事は言ってたかな?」
柔 「出来たよ~、お待たせ~、さあ、食べよう~。」
耕作 「うん、そっちに行くね、でも、君、朝から元気だね~。」
柔 「うふふ、耕作さんを感じられたからね?」
耕作 「そ、それは言わないで~。」
柔 「うふふ。」
耕作がテーブルに着くと柔は朝食を並べていった。
柔は耕作の隣に座った。
耕作 「残り物で作った割に豪華だね?」
柔 「ここが違うから。」
柔は腕を叩いて見せた。
耕作 「恐れ入りました。」
柔 「うふふ、食べよう~。」
耕作 「うん。」
耕作、柔 「いただきま~す。」
耕作 「美味しいね~、味付けもあっさりしてるし、朝にぴったりだ。」
柔 「お褒めに与かり、光栄至極に存じます。」
耕作 「ふふふ、気に入ったの?その言い方。」
柔 「うん、たまには使おうかなって。」
耕作 「そう言えば、滋悟朗さんはこの状況は知らないんだよね?」
柔 「うん、でも、おじいちゃんも分かってるんじゃないかな?」
耕作 「そうなの?」
柔 「あたしがアメリカに行きたい、って言った時点で或る程度は
分かってたと思う、そして滞在延長で確信したと思うよ?」
柔 「おじいちゃんは策士だから、耕作さんが申し出をする時は
知らない振りをするだろうけど。」
耕作 「何で、そういう風に分かるの?」
柔 「おじいちゃんが、おかあさんから預かってたお金を
あたしに渡してくれたからかな?」
耕作 「それだけで?」
柔 「ううん、渡す時に必要になった時に渡してって、おかあさん
から言われたっていう事を、あたしに言ったからかな?」
耕作 「必要になった時って、俺に会いに行くって事なの?」
柔 「おじいちゃんは直接的には言わなかったけど、
あたしには何となくだけど分かったの。」
耕作 「なるほどね~、猪熊家も以心伝心なんだね?」
柔 「一緒に住んでて同じ事を繰り返してたら分かるよ?」
耕作 「あ~、ここでの俺達みたいにか~。」
柔 「うん、そうだね。」
柔 「どちらも基本は愛情が有ってこそだけどね?」
耕作 「そうだね、それが無いと相手を理解しようとはしないしね。」
柔 「でも、おかあさんには全然敵わないと思う。」
耕作 「そうだよね、ずっと離れてても理解してたみたいだからね。」
柔 「今になってようやくそれが分かってきたのは、全部、
耕作さんのお陰なんだけどね?」
耕作 「そうなのかな?俺は特に柔さんには言ってない様な。」
柔 「耕作さんの言葉の端々にそういうのを感じたのと態度にも
そう感じたからかもね。」
柔 「あ、ごめん~、お替りは?」
耕作 「一杯だけ貰おうかな?」
柔 「は~い、分かった~。」
柔は茶碗を受け取るとキッチンに行き、御飯をよそうと戻って来て耕作に手渡した。
柔 「はい、どうぞ~、」
耕作 「ありがとうね。」
耕作 「今までもそうだったけど、俺達って良く話するよね?」
柔 「話してて楽しいし、面白いからかも?」
耕作 「そうだね、柔さんの切り返しとか、突っ込みとか、話題の
切り替えで話が続くんだよね~。」
柔 「それは耕作さんも同じだと思うんだけどな~。」
耕作 「まあ、そうだね、だから話が長くなるんだよね。」
柔 「うん、その通りだと思うよ。」
耕作 「今朝も楽しく美味しく頂きました。」
耕作、柔 「ごちそうさま~。」
柔 「お粗末様でした。」
柔 「じゃあ・・。」
耕作 「うん、忘れ物が無いか確認しておくね。」
柔 「良く分かったね?」
耕作 「時間が時間だからゆっくりは出来ないし。」
柔 「あたしはキッチンを整理してくるね。」
耕作 「うん、お願いね。」
柔は食器を持って行くと片付け始めた。
耕作は部屋の中を見て回って忘れ物が無いか確認してテーブルに戻ってきた。
耕作 「洗濯物はもうバッグに入れてるの?」
柔 「うん、後は今着てるのを着替えたら入れるだけ~。」
耕作 「相変わらずの手際の良さだね~。」
柔 「整理完了~。」
柔 「じゃあ、着替えようか?」
耕作 「まさか、ここで?」
柔 「うん、これが出来るのも今日までだから。」
耕作 「俺も一緒に?」
柔 「うん、当然じゃない?」
耕作 「じゃあ、着替えようか。」
二人は着替え始めようとしていた。
耕作 「あの~、や・わ・ら・さ・ん?」
柔 「な~に~?こ・う・さ・く・さ・ん。」
耕作 「真似しないの~。」
耕作 「君はどうして俺と向かい合わせなのかな?」
耕作 「それもこんな近くで。」
柔 「うふふ、目に焼き付けておきたいから。」
耕作 「なるほど、帰ったら暫くは出来ないからなんだね?」
柔 「うん、その通りだよ~。」
耕作 「余り時間も無いから着替えようか。」
柔 「うん。」
二人は向かい合わせで着替え始めた、耕作も柔もお互いを見ながら着替えた。
耕作 「これで良いかな?」
柔 「耕作さん、襟が曲がってる。」
耕作 「あっ、ありがとうね~。」
柔は二人の寝間着と服をバッグに詰めた。
柔 「忘れ物は無いかな?」
耕作 「見回したけど、無いかな?」
柔 「あそこのカメラは?」
耕作 「あ~、危なかった、ありがとう~。」
柔 「もう~、耕作さんったら~。」
柔は耕作の前に立つと見上げてそっと目を瞑った。
耕作は柔の頬を両手で優しく包みながら長めのキスをした。
柔 「これで日本に帰るまで我慢出来るかな?」
耕作 「そうだね、じゃあ、二人の新しい生活の為に。」
柔 「日本に向けて出発だね~。」
柔は旅行カバンと手提げバッグを持つと先に出て行った。
耕作はタクシーを手配すると部屋に鍵を掛けて、その鍵をポストから
投げ入れると柔を追いかける様に待ち合わせ場所に向かった。
耕作 「柔さん、お待たせ~。」
柔 「ううん、待たなかったよ。」
耕作 「もう直ぐタクシーが来るはずだから。」
柔 「うん。」
タクシーが来ると二人は乗り込んで空港へと向かった。
暫く走って空港に到着するとロビーに入って行った。
ロビーに入ると柔は耕作を連れてカウンターへ行き予約の確認をして
二人分の搭乗券を受け取り二人分の荷物を預けた。
柔 「これでゲート前に行けば後は乗り込むだけだね。」
耕作 「手荷物はそれだけ?」
柔 「うん、二人のお弁当だけだよ?後お茶も入ってる。」
耕作 「今の時間は6時か、もう直ぐ搭乗手続きが始まるよ。」
柔 「ゲート前に移動しておこうか?」
耕作 「そうだね、その方が良いかな。」
二人は出発ゲートの近くに来ていた。
柔 「あ、いけない。」
耕作 「どうしたの?」
柔は大き目のサングラスをかけた。
耕作 「なるほど、そう言えば観光客も一緒だって言ってたね。」
柔は更にスカーフを頭に巻いた。
耕作 「準備が良いね、備えあれば患い無しか。」
柔 「うふふ、来る時は一人だったから何もしなかったけど。」
耕作 「俺も・・って顔を余り知られていないから良いか。」
柔 「耕作さんがサングラスをかけると怪しいお兄さんになるから。」
耕作 「あ~、最初に直接会った時の事、覚えてたの?」
柔 「うん、胡散臭い人だな~って思ってた。」
柔 「まさか、その人とこうなるなんて思いもしなかったけど。」
耕作 「胡散臭いは・・そう言われればそうかな?」
耕作 「俺もまさかこうなるとは思いもしなかったよ?あの時は。」
耕作 「まだ、君は高校生だったし。」
柔 「あたしは高校の人に憧れてた時期だったかな?」
柔 「まだ、その時は年上が良いとは思って無かった。」
耕作 「俺も高校生は対象外だったし。」
柔 「うふふ、でも縁があったんだよ。」
耕作 「そうだね、あの事件が起こったのが切っ掛けだったんだよね。」
耕作、柔 「あれから7年近く・・長い様で短かった気がする。」
耕作、柔 「この2週間で、その7年近くでも縮められなかった
距離があっという間にゼロになる程縮まった。」
耕作 「それも柔さんがここに来たから。」
柔 「耕作さんがあたしにプロポーズをしてくれたから。」
耕作、柔 「これからも、ずっと愛し続けます。」
二人は周囲を見回して誰も居ないことを確認すると抱き合った。
柔は顔を上げてそっと目を瞑り、耕作は柔の頬に片手をそっと
添えると優しく長めのキスをした。
柔 「誰も居なくて良かった~。」
耕作 「早めに出て来て正解だった。」
その時、搭乗案内のアナウンスが流れた。
耕作 「それじゃあ、新しい俺達の生活に向けて・・。」
柔 「日本へ出発~。」
二人は搭乗ゲートへ行くと手続きを済ませて飛行機の中へ入って行った。