お断り:文章量(文字数)が多くなりましたので1日を今回は6分割してお届けします。
渡米十四日。 耕作と柔の長い長い一日(十日目・最終日)
耕作はハッと気が付く様に目覚めた。
耕作 「(今日も静かだな。)」
耕作はベッドの上を見た、柔の姿は無かった。
耕作 「(早く起き過ぎたかな?)」
耕作は時計を見た。
耕作 「(6時半か、まだ帰ってくる時間じゃないな。)」
耕作 「(起きて待つか、それともこのまま横になって待つか、どうするかな?)」
耕作 「(一日延びたとはいえ、帰国する事に変わりはないんだよな。)」
耕作 「(暫くは寂しくなるな、帰って来ても誰も居ない部屋じゃな~。)」
耕作 「(柔さんが帰ったら、写真貼って、我慢するしかないか。)」
耕作 「(あ~、早く日本に帰りたいな~。)」
耕作 「(あの笑顔が暫く見られなくなると思うと胸が苦しくなるな。)」
外で足音が聞こえてきた。
耕作 「(柔さん、帰って来たかな?)」
玄関のドアが開く音がした。
玄関から中に入ってくる足音がしている。
足音がベッドに近づいてきた。
柔が覗き込んできた。
耕作 「おはよう~、柔さん。」
柔は一瞬驚いた様な顔をしたが、直ぐに、にこやかに笑っていた。
柔 「耕作さん、おはよう~。」
柔 「今、起きたの?」
耕作 「少し前に起きて考え事をしてた。」
柔 「どんな事を考えてたの?」
耕作 「言うと君が帰国したくなくなる様な事だから言わない。」
柔 「うん、言わなくて良いよ、今の言葉で思ってた事の内容が分かったから。」
耕作 「帰りたくないって言わないでよ?」
柔 「約束は出来ないよ?素直が一番って言ったのは耕作さんなんだから。」
耕作 「そうだったね、柔さんの思う様にして良いとも言ったから。」
柔 「耕作さんは寝てても良いよ?」
耕作 「目が覚めたから起きようかな?」
柔 「じゃあ、コーヒー入れてこようか?」
耕作 「そうだね、お願いね、このままここに座ってるから。」
柔 「は~い、分かった~。」
柔はキッチンに行くとコーヒーを入れて耕作の元にやって来て渡した。
柔 「はい、耕作さんの早起き記念のコーヒーをどうぞ。」
耕作 「確かに記録は更新してるね、噛み締めながら飲むね。」
柔 「じゃあ、シャワー浴びてくるね。」
耕作 「うん、ゆっくりで良いからね。」
柔 「は~い。」
柔は着替えを持って風呂場に行った。
耕作 「俺も顔を洗ってくるよ。」
柔 「うん、行ってきてね。」
耕作は洗面所へ行って顔を洗い歯を磨くとベッドに戻った。
耕作 「もう脱いだ~?」
柔 「もう~、耕作さんのエッチ~。」
耕作 「ははは、挨拶みたいだね?」
柔 「そうかも?うふふ。」
シャワーの流れる音がしてきた。
耕作 「柔さん?」
柔 「な~に~?耕作さん。」
耕作 「シャワーの音を聞くと昨日の事を思い出したよ。」
柔 「どんな事を?」
耕作 「柔さんがシャワーを使ってた姿を思い出した。」
柔 「もう~、耕作さんってば~。」
耕作 「セクシーだったよ?」
柔 「ほんと~?」
耕作 「うん、きれいだった。」
柔 「嬉しいな~。」
耕作 「今思い出してもモデルさん並みのスタイルだったね。」
柔 「そんなに褒めても、何も出ないよ?」
耕作 「いやいや、俺は事実を言ってるだけだから。」
柔 「本物のモデルさんに怒られるよ?」
耕作 「いやいやいや、そこいらのモデルは裸足で逃げ出すほどの
スタイルだって、容姿端麗って言うのがピッタリだよ。」
柔 「耕作さん?」
耕作 「何だい?柔さん。」
柔 「朝から良くそんな歯が浮く様な事ばかり言えるね?」
耕作 「ほんとの事だから誰に聞いてもそう言うよ?」
柔 「ほんとかな~?誰にって言うのは言い過ぎだと思うけど。」
耕作 「まあ、確かに誰にって言うのは言い過ぎだった。」
柔 「そろそろ出るね~。」
耕作 「うん、早く君が見たいから出て来てね~。」
柔 「うふ、あたしも同じ~。」
柔が風呂場から出てきた。
耕作 「それ、新しい服なの?」
柔 「うん、そうだよ、どうかな?」
耕作 「相変わらず、可愛く着こなすね~。」
柔 「うふ、ありがとう~。」
柔 「朝食の仕度するね。」
耕作 「少し早くない?」
柔 「耕作さんの会社に行って、買い物をして、帰ったら電話しないと
いけないから、時間に余裕が持てる様に、早めの方が良いかと
思ったんだけど。」
耕作 「なるほど、昨日のフィルムも現像しないといけなかったね。」
柔 「うん、それも有ったし。」
耕作 「午後からは結構時間が余るね。」
柔 「そうだね~、どうするかはまだ考えてないけど。」
柔 「耕作さん、コーヒーは?」
耕作 「うん、貰おうかな?」
柔 「じゃあ、コーヒー入れたら朝食の仕度するね。」
耕作「うん、ゆっくりで良いから。」
柔 「うん、そうする~。」
柔は耕作からカップを受け取るとキッチンに行きコーヒーを
入れて耕作の元に来るとそれを渡した。
柔 「はい、幸運な奇跡を期待したコーヒーだよ。」
耕作 「うん?幸運な奇跡って何?」
耕作 「あ、ありがとうね。」
柔 「何でだろう?その言葉が浮かんだの。」
耕作 「そうなんだ、そういう事、今まで有ったの?」
柔 「う~ん、有った様な無かった様な、分かんない。」
耕作 「ははは、そんなもんだよね。」
柔 「じゃあ、仕度してくるね。」
耕作 「うん。」
柔はキッチンに行くと朝食の仕度を始めた。
耕作 「(いつもは7時過ぎてから仕度してたけど、今日は7時前からか。)」
耕作 「(柔さん、何か感じてるんだろうか?)」
柔 「耕作さん、何か考え事してるの?」
耕作 「どうして分かったの?」
柔 「ううん、何となくそう思っただけなんだけど。」
耕作 「柔さんの行動パターンが時間的に早くなってるな~って思ってた。」
柔 「そうなの?」
耕作 「うん、今までより少しだけど早くなってる気がするんだ。」
柔 「そうなんだ、気にしなかったな。」
耕作 「そう言えば、昨夜、電話するって言ってた航空会社も夕方前にしてたよね?」
柔 「うん、今のうちにって思い付いただけなの。」
柔 「出来たよ~、持って行くね~。」
耕作 「じゃあ、テーブルに着くね。」
耕作がテーブルに着くと同時に柔が朝食をテーブルに並べていった。
全部並べ終わったら、柔は耕作の隣に座った。
柔 「どうぞ~、食べよう~。」
耕作 「うん、頂こうかな~。」
耕作、柔 「いただきま~す。」
耕作 「今日は簡単に纏めたね。」
柔 「うん、残り物で作っちゃったからね。」
耕作 「柔さんがここに来た時のメニューだね。」
柔 「耕作さん、よく覚えてたね~。」
耕作 「あ、それで卵焼きが無いんだね。」
柔 「うん、やっぱり、卵、卵じゃね~、可笑しいし。」
耕作 「その辺りまで良く考えて作れるよね、さすがだね。」
柔 「うふ、まあ、残り物だし、お昼と夜はちゃんと作るから。」
耕作 「柔さんだから心配はしてないよ。」
柔 「ふふふ、ありがとう~。」
耕作 「今日も美味しく楽しく頂きました。」
柔 「もう、良かったの?」
耕作 「今朝は一膳にしておくよ。」
柔 「うん、分かった~。」
耕作、柔 「ごちそうさま~。」
柔 「お粗末様でした。」
柔 「コーヒーは?」
耕作 「いただくね。」
柔 「うん、入れたら、片付け、お洗濯、お掃除まで済ませるね。」
耕作 「そんなに慌てなくてもいいのに。」
柔 「大丈夫、慣れてるから。」
耕作 「最近よく使うね、その言い方。」
柔 「何となくだけどね。」
柔は食器を持ってキッチンに行くとコーヒーを入れて戻ってきた。
柔 「はい、あたし達に幸運が訪れる様に祈りを込めたコーヒーをどうぞ。」
耕作 「また長いね今度のは、でも祈りながら飲むね。」
柔 「じゃあ、済ませてくるね。」
耕作 「ゆっくりで良いから、慌てないで。」
柔 「うん、マイペースでするから。」
柔はキッチンに行くと鼻歌交じりで片付け始めた。
突然、電話が鳴った。
耕作 「あ、俺が出るから、柔さんはそのまま続けてて。」
柔 「うん、分かった~。」
耕作は電話の所へ急いだ。
受話器を上げて話し始めた。
耕作 「もしもし、松田です。」
耕作 「おはようございます。」
耕作 「こんな早くからどういった要件なんですか?」
耕作 「あ、はい、今日は早めに行きます。」
耕作 「はい?あ、そちらでですね。」
耕作 「はい、出来るだけ早く行きますから。」
耕作 「それでは、失礼します。」
耕作は受話器を置いた。
柔 「耕作さん、会社からだったの?」
耕作 「良く分かるね?」
柔 「今の話し方だと、誰でもそう思うよ?」
耕作 「確かに、そうだね。」
柔 「どういうお話だったの?」
耕作 「詳しくは聞けなかった、会社で話すからって。」
柔 「ふ~ん、どんな事なんだろう?」
耕作 「だから、出来るだけ早めに来てくれって。」
柔 「朝食、早く食べてて良かったね。」
耕作 「うん、柔さんのお陰だね。」
柔 「片付け終了~、柔、次の任務に移ります。」
耕作 「お疲れ様~、任務の無事遂行を祈る、以上。」
耕作、柔 「ははは、おかしいね~。」
耕作 「良くそう言う言葉知ってるね。」
柔 「耕作さんこそ良く知ってるね~。」
柔は洗濯をしながら掃除を始めた。
耕作「俺は記者だから分かるけど、柔さんはそういうん
じゃないのに良く知ってると思うよ?」
柔 「一般を含めた柔道大会だとそういう関係の方も来るから。」
柔 「そこで耳にしてたのが残ってたのかも?」
耕作 「なるほど、相変わらずの記憶力だ。」
柔は掃除を終わらせると洗濯物を干していった。
耕作 「今日もこの光景が見れるとは思わなかったな。」
柔 「きれいでしょう?色とりどりで。」
耕作 「中には派手目のも有るけど使ってたの?」
柔 「うふふ、内緒だよ。」
耕作 「柔さんの、ケチ~。」
柔 「あたしの真似しないでよ~。」
耕作 「ははは、一度、言ってみたかったから。」
柔 「あはは、可笑しいね~。」
柔 「柔、無事に任務を完了いたしました、以上。」
耕作 「ご苦労、原隊へ復帰し指示があるまで待機せよ、以上。」
耕作、柔 「ははは、可笑しい~。」
柔 「あはは、耕作さん、乗り過ぎ~。」
耕作 「ははは、柔さんが最初に言いだしたんだよ?」
柔 「あ~、そうだった。」
柔 「耕作さん、会社は何時に行くの?」
耕作 「出来る限り早くって言ったから、もう出かけても良いかも。」
柔 「まあ、大変急いで着替えないと。」
耕作 「ここで?」
柔 「うん。」
耕作 「分かったよ、見慣れたから平気だ~い。」
柔 「あはは、もう~耕作さんったら~、笑わせないでよ~。」
柔は外出着を選んで着替え始めた。
耕作は見ていたが、余りの早さに面食らっていた。
耕作 「はやっ、そんなにも早く着替えられるんだ。」
柔 「ワンピだと上からストンだから。」
耕作 「あ、そうか、だよね~。」
柔 「耕作さん、出掛けるよ、早くしなさい。」
耕作 「はい、って、まるで、おかあさんだね。」
柔 「忘れ物は無いよね?」
耕作 「あ、カメラ。」
柔 「ほらほら、ちゃんと準備してないから、そうなるのよ?」
耕作 「まんま、母親と息子の会話だな。」
柔 「ほら~、早くしないと~。」
耕作 「別に時間を切られてる訳じゃ無いんだから、あ、柔さん先に。」
柔 「あ、そうだった、じゃあ、いつもの場所で。」
柔は駆ける様に出て行った。
耕作 「あ~、出掛けの儀式しないまま、行っちゃったよ。」
耕作 「何で、あんなに慌ててるんだろう?」
耕作 「ま、良いか、そろそろ行かないと、また、急かされるな。」
耕作も柔を追う様に部屋を後にした。
耕作 「ごめん、待った~?」
柔 「遅いよ~、耕作さん、早く行くよ!」
耕作 「柔さん、そんなに急がなくても。」
柔 「上司を待たせるのはいけないと思うけど?」
耕作 「まあ、そうなんだけど。」
柔 「分かったら、ちゃっちゃと歩く。」
耕作 「ほんと、柔さん、母親みたいだね?」
柔 「ふふふ、何だって~。」
耕作 「柔さん、怖いから睨まないで?」
柔 「こんなきれいな母親なら自慢出来るでしょう?」
耕作 「自分で言うかね、そこで。」
柔 「いつも、言ってるのは誰かな~?」
耕作 「はい、俺です。」
耕作 「こういう会話は外では余りしない方が良いんじゃ?」
柔 「あ、そうだね、でも急がないと。」
やがて会社の近くまで来ていた。
耕作 「それじゃ、行ってくるね。」
耕作 「今日はかなり時間が掛かりそうだから、長くなりそうだったら、
買い物に行ってて良いから。」
柔 「うん、分かった~、でも、そこまで掛からない気がする。」
耕作 「じゃあ、後で。」
柔 「うん、後でね~。」
耕作は会社のビルに走って行った、途中、振り返り柔に手を振って
ビルの中に入って行った。
柔はいつものベンチで手を振って耕作がビルに入るまで見送った。
柔 「(昨日の耕作さん、予想はしてたけど逞しかったな~。)」
柔 「(明日、帰らないといけなんだよね、分かってはいるけど、
やっぱり、寂しいな。)」
柔 「(耕作さん、一人で大丈夫かな?来た時の事考えると心配。)」
柔 「(あたしも帰ったらおかあさんに相談しないと。)」
柔 「(耕作さん、遅いな~、写真の事もあるけど、お話しって
言うのも気になる、どんな事なんだろう?)」
柔 「(まあ、余り、思い悩んでも仕方ないか、なる様にしか
ならないんだし、分かってから考えよう~っと。)」
柔 「(しかし、ほんとに、遅いな~。)」
柔は耕作の声に我に返った。
耕作 「柔さ~ん、長く待たせて、ごめんね~。」
耕作は笑顔で柔の元に駆けてきた。
耕作 「柔さん、ほんと、ごめんね。」
柔 「ううん、色々考え事してたし、待つのも・・。」
耕作 「そうだったね、楽しみって言ってたね。」
柔 「うふふ、取り合えず、ここに座ってね。」
耕作 「ありがとうね、話が長くなっちゃって。」
耕作は柔に寄り添う様に隣に座った。
耕作 「ほんとはここで話したいんだけど、外部に漏れると
大変な事になりそうだから、帰ってから言うね。」
柔 「うん、あたしはそれでも構わないから。」
柔 「あたしの気のせいかもしれないけど、耕作さん、
何だか嬉しそうにしてない?」
耕作 「その事も含めて、帰ったら必ず話すからね。」
柔 「それで、写真の方は?」
耕作 「柔さん、ごめん。」
耕作 「写真どころじゃなくなったから、慌ててここに戻る方を
選んじゃった、ほんとにごめん。」
柔 「え~~、楽しみにしてたのに~。」
耕作 「この埋め合わせは絶対するから、ごめんね。」
柔 「耕作さんがそこまで言うなら、あたしも我慢する。」
耕作 「それより、買い物はどうする?」
柔 「耕作さんのお話の方が気になるから一度帰ろう?」
耕作 「うん、俺も早く帰って、柔さんに話したいって思ってた。」
柔 「もう、落ち着いた?」
耕作 「久しぶりに走ったけど、もう大丈夫だから帰ろうか。」
柔 「うん、そうしましょう~。」
二人は足早に公園を後にした。
柔 「お話しって、どんな事なの?重要な部分は良いから話せる?」
耕作 「えっとね、話せるのは俺の出張が決まったって事だけかな、
詳しい内容は帰ってからじゃないと話せないんだ。」
柔 「出張なんだ、耕作さんが喜ぶような出張か~、どこなんだろう。」
柔 「耕作さん?」
耕作 「うん?何だい?柔さん。」
柔 「さっきよりも凄く嬉しそうにしてる様に見えるのは、
あたしの気のせいなのかな?」
耕作 「あ、ごめん、その理由も帰って話を聞いたら分かるから。」
柔 「そろそろね、じゃあ、あたし先に戻ってる。」
耕作 「うん、直ぐに戻るから、待ってて。」
柔 「また後でね~。」
耕作 「うん、後でね。」
柔は先に耕作の部屋に戻って行った。
耕作は少し間を置いて部屋に戻った。
耕作 「ただいま~、柔さん。」
柔 「お帰り~、耕作さん。」
柔 「コーヒー入れてるよ、ベッドのテーブルに置いてる。」
耕作 「ありがとうね、じゃあ、ベッドに座ろうか。」
柔 「着替えてないけど、良いかな。」
耕作 「着替えは後でも出来るし、早く話聞かせたいから。」
柔 「うん、どんなお話か楽しみ、耕作さんが喜んでるから。」
二人はベッドに寄り添う様に並んで座った。
柔は頭を耕作の肩に預けた。
柔 「耕作さん、お話ってどんな事なの?」
耕作 「柔さん、聞いて驚かないでよ?」
柔 「内容に寄るけど、出張は分かってるけど、どこへなの?」
耕作 「柔さ~ん、喜んで~。」
柔 「いや、だから、どこへかを先に聞きたいんだけど。」
耕作 「あ、ごめん、しかし、内容を聞いたらそこまで冷静でいられるかな~?」
柔 「いや、前置きは良いから、どこへなのかを先にね?」
耕作 「柔さん?」
柔 「はい、なに?耕作さん。」
耕作 「俺ね。」
柔 「うん。」
耕作 「俺達ね?」
柔 「うん、良いから早く行き先をね。」
柔 「うん?俺達って?どういう事?」
耕作 「一緒に日本に帰れるんだよ~~~。」
柔 「ほぉ~、一緒にね~、って、どういう事?」
耕作 「だ・か・ら、俺と・柔さんは・一緒に・日本に・帰る事が・
出来るの、分かった?」
柔 「何で?」
耕作 「もう~~、柔さん~~、俺の・出張先が・日本なの、分かった?」
柔 「・・、どうして?」
耕作 「あ~、も~、俺の記事の評判が良かったみたいで、
柔さんの密着取材を日本でも続けてくれって。」
耕作 「それで日本と米国で同時に記事にして載せるから、柔さんの
帰国に合わせて日本に行く様に辞令を貰ったの。」
柔 「そうなんだ、でも、辞令だと出張じゃなくて帰国命令じゃないの?」
耕作 「柔さん、君って意外と冷静なんだね?」
柔 「うん、一緒に帰るのは分かったけど、出張だと一時帰国でしょう?
でも、辞令だと完全に日本に復帰になる訳じゃない?」
柔 「そこがはっきりしないと喜んで良いのか判断出来ないからなんだけど。」
耕作 「なるほど、その冷静さが柔道の強さの秘密なんだね?」
柔 「そういうのは後で良いからね?どっちなの?」
耕作 「済まない、俺が取り乱してた、正確には完全に日本復帰だ、
辞令に帰国命令と書いてあった。」
柔 「なるほど、完全に日本に戻れる訳ね?」
耕作 「うん、そういう事になるんだ、柔さん。」
柔「・・、わ~い、耕作さんと一緒に日本に帰れる~、嬉しいな~。」
耕作 「そのテンションの切り替えの早さ、これも柔道の強さの秘密なんだね?」
柔 「えへ、ね~、じゃあ、お昼から練習じゃなくて帰国準備しよう~?」
耕作 「そうだね~、でも明日の飛行機が空いてるかを先に確認しないと。」
柔 「それは今あたしがするね。」
柔は電話の所へ行くと直ぐに連絡していた。
昨日連絡していたので、直ぐに追加予約を入れてくれた。
柔 「耕作さ~ん、席取れたよ~。」
耕作 「さすが、旅行代理店勤務だね?」
柔 「えっへん、伊達に店頭で案内してたんじゃないよ?」
耕作 「うん、うん、君があの会社に入って良かったって初めて思った。」
耕作、柔 「あ・・。」
耕作、柔 「向こうでの・・。」
耕作 「どうしよう・・。」
柔 「耕作さん、任せて?今日、あたしの実家に電話を
掛けるって事を忘れたの?」
耕作 「あ、そうだったね、でも、今日の明日って出来るのかな?」
柔 「不動産屋を介する訳じゃ無いんだし、あくまでも個人契約だから
大丈夫なんじゃない?契約書とか無いけど。」
柔 「そ・れ・に・ね?」
耕作 「そうだよね、近い将来は他人じゃなくなるんだよね~。」
柔 「そうだもんね~。」
耕作 「あ~、でも、今朝のコーヒーのお陰かな?」
柔 「どうなのかな?」
耕作 「取り合えず、ビールは昼間からじゃまずいのでコーヒーで乾杯しようか?」
柔 「うん、直ぐ入れてくる~。」
柔はカップを受け取ると自分の分も合わせてコーヒーを入れると
耕作の元に戻って来て寄り添って座った。
柔 「はい、日本復帰のお祝いコーヒーだよ~~。」
耕作 「ははは、ありがとうね、じゃあ、乾杯しよう~。」
耕作、柔 「日本復帰を祝って、かんぱ~い。」
耕作 「柔さん、ありがとうね、君の祈りが通じたのかも?」
柔 「耕作さんも祈りながら飲んでたからかもよ?」
耕作 「この後どうしよう、電話を掛ける事と帰国準備は決まってるけど。」
耕作、柔 「ジョディーに・・。」
耕作 「お昼から電話してみようか?」
柔 「そうだね、その方が時間的に余裕があるから。」
耕作 「そう言えば、その時間的余裕って、柔さん朝から言ってたよね?」
耕作 「柔さん、もしかしてこういう事も予想してた?」
柔 「予想してたら、さっきのあんな反応じゃないと思うけど。」
耕作 「そうだよね?でも、何か感じてたんじゃないかって思ってたんだよね、
朝食を作る時からそうだったから。」
柔 「う~ん、どうなんだろう?あたし自身はそういう事感じて
無かった気がするんだけど。」
柔 「ただ、あたしが明日帰国だから時間に余裕を持たないと、とは思ってた。」
耕作 「なるほど、石橋を叩いて渡るか、もしく転ばぬ先の杖か、
これも柔道に繋がる様な事だな。」
柔 「そこまで深く考えてないよ?」
耕作 「買い物を先に行くかい?」
柔 「そうだね、その方が、以下略。」
耕作 「その略は分かったよ。」
柔 「じゃあ、着替えて無くて良かった~。」
耕作 「先見の明か、これも、以下略。」
柔 「あたしもそれ分かった~。」
耕作 「行こうか、でも、その前に、さっき忘れてたから。」
耕作は柔の頬を両手で優しく支えると顔を上に向けた、
柔はそっと目を閉じ、二人は長めのキスをした。
柔 「うふ、ありがとう~。」
耕作 「柔さん、キスの時の表情、最高だよ。」
柔 「もう~、耕作さんったら~、見ないで?」
耕作 「え~、凄く魅力的な表情をしてるのを見ないなんて出来ないよ?」
柔 「今度カメラで撮って貰おうかな?」
耕作 「そして、俺のお宝の仲間に。」
柔「 今までのもそうしてるの?」
耕作 「うん、大事に仕舞ってる。」
柔 「でも、これからは本人がずっと一緒に居るから必要ないよね~。」
耕作 「そうだね~。」
耕作 「そろそろ出掛けようか?」
柔 「そうだね、じゃあ、いつもの場所へ。」
耕作 「直ぐに行くから。」
柔 「うん、後でね~。」
耕作 「後でね~。」
柔は耕作を何度も振り返りながら出て行った。
耕作は少し間を置いて部屋を後にした。