柔と耕作(松田)米国滞在日記 (12日目午前編前編)
      お断り:文書量(文字数)が多くなりましたので1日を今回は4分割してお届けします。






      渡米十二日目。 耕作と柔の長い長い一日(七日目)


      耕作は穏やかに目覚めた。
      耕作はぼんやりした頭で柔の感触を感じていた。

      耕作 「(うん?柔さん、俺に抱き付いたまま?)」

      耕作 「(あれ?ランニングは、お休みなのかな?)」

      耕作は横を見た、そこには部屋着姿で耕作に抱き付いて
      静かに寝息を立てている柔の顔があった。
      耕作はこの状況を推測した。

      耕作 「(ランニングが終わって横になってたら寝てしまったのかな?)」

      耕作 「(もしそうなら、今起こすのはかわいそうだな。)」

      耕作 「(まあ、俺達には今は時間とかあまり関係ないから良いかな。)」

      耕作 「(ジョディーが帰ってから色々とお互いの思いを話したけど、
            まだまだ、二人の思いは色々と有りそうかな。)」

      そんな事を考えていると、柔の体がぴくっと動いた。

      耕作 「(起きたのかな?)」

      耕作は下を見て動揺した。

      耕作 「(う、俺の手・・柔さんの胸に当たってたのか。)」

      耕作 「(やばい、このままだと、かといって動かす訳にもいかない。)」

      耕作 「(でも、当たってるのは手の甲だから大丈夫かな?)」

      耕作 「(いかん、当たってると分かってしまった今は柔さんの胸の感触が
            直に伝わってくる気がしてきた。)」

      耕作 「(落ち着け、落ち着け、胸には触っていないと思うんだ、耕作。)」

      耕作は柔の顔を再び見て驚いた。
      柔が目を明けてじっと耕作を見つめていた。

      耕作 「や、やあ、おはよう~、柔さん。」

      柔 「うふ、おはよう~、こ・う・さ・く・さ・ん。」

      耕作 「い、今、起きたの?」

      柔 「うん、さっきね、耕作さんが手を動かした時に目が覚めたよ。」

      耕作 「俺、手を動かしたの?」

      柔 「うん、胸に当たってる手をね?うふふ。」

      耕作 「ごめん、当たってるって知らなかったんだ、ほ、ほんとだよ?」

      柔 「分かってるよ、わざとじゃないのは。」

      耕作 「そ、それなら良かった。」

      柔 「こ・う・さ・く・さ・ん?」

      耕作 「な、何かな?柔さん。」

      柔 「何で、そんなに動揺してるの?」

      耕作 「い、いや、ほら、手が胸に当たってるから。」

      柔 「耕作さん?あたしはあなたにとって何かな~?」

      耕作 「俺のお嫁さんになる人だよ。」

      柔 「そうだよね~、それなら、わざとじゃないのに胸に触れた位で
         動揺して欲しくないな~。」

      耕作 「それはそうだけど。」

      柔 「耕作さんはあたしに嫌な思いをさせたくないって思ったのよね?」

      耕作 「うん、その通り、柔さんに嫌な思いはさせたくないから。」

      柔 「あたし、前にも言ったはずだけど、覚えてる?」

      耕作 「うん、覚えてる、聞いたのは最近だしね。」

      柔 「じゃあ、動揺して欲しく無いっていう、あたしの気持ちも分かって
         くれるよね?耕作さんなら。」

      耕作 「うん、分かってるつもり。」

      柔 「耕作さん、起きてそのままベッドの上に座ってね?」

      耕作 「うん、分かった。」

      二人は起き上がってベッドの上に間近に座り向き合った。

      柔 「じゃあ、左手を出してね?」

      耕作 「へ?何をするつもり?」

      柔 「動揺しなくなる御呪いだよ?」

      耕作 「ほんとに?」

      柔 「あたしを信じてるんだよね?耕作さんは。」

      耕作 「うん、信じてるよ。」

      耕作は左手を前に出した。
      柔は両手で耕作の左手の掌を取ると左胸の膨らみにそっと当てて上から押さえた。

      耕作 「ち、ちょっと、柔さん?」

      柔 「御呪いだよ?耕作さん。」

      耕作 「これが御呪いなの?」

      柔 「うん、耕作さん、何か感じる?」

      耕作 「うん、柔さんの動悸が伝わってくる。」

      柔 「うふ、そうね、そして左手は耕作さんの心臓に近い方の手。」

      耕作 「なるほど、そういう事なんだね。」

      柔 「うん、今、愛し合えないから、これで代わりにしようかなって。」

      耕作 「柔さんはロマンティストでもあるんだね。」

      柔 「これで、あたしと耕作さんは繋がってるんだって感じられるから。」

      柔 「耕作さん、どうかな?御呪い効いたかな?」

      耕作 「うん、そうだね、こういう触れ方だと俺も動揺しないね。」

      柔 「でしょう?これなら出来るよね?」

      耕作 「そうだね、柔さんの思いをより強く感じられるから、これからも
           たまにで良いから、こうしてくれる?」

      柔 「勿論、耕作さんが言えばいつでも、まあ、外は無理だけど、するよ?」

      耕作 「そうだね、今は外では無理だね。」

      柔 「今は・・と、結婚したら外でも良いと。」

      耕作 「そうだね、結婚したら・・って、こら~、出来ないって。」

      柔 「あはは、しないよ、冗談だよ?」

      柔 「あ、そうだった。」

      柔は耕作に抱き付いてキスをした。
      耕作も柔を優しく抱きしめて応じた。

      柔 「もう少しで忘れるとこだった。」

      耕作 「目覚めのキス?」

      柔 「うん。」

      耕作 「あっ・・。」

      柔 「時間は大丈夫だよ?」

      耕作 「今何時?」

      柔 「まだ7時前だけど?」

      耕作 「あ~、良かった~、って柔さん何時からランニングしてたの?」

      柔 「うん?5時からやってたけど?」

      耕作 「あれ?昨日までは7時前に帰って来てたよね?」

      柔 「耕作さん、何で今日、あたしが早くからランニングしたか分かる?」

      耕作 「う~ん・・・あ、そうか、今日試合が有るからでしょう?」

      柔 「さすがは耕作さん、その通りだよ。」

      耕作 「柔さんこそさすがだよ、試合に備えてそうするのは。」

      耕作 「でも、何で寝てたの?」

      柔 「耕作さんなら分かると思うんだけどな~。」

      耕作 「何で寝てたのか、か・・。」

      柔 「分からないの?」

      耕作 「ちょっと、待ってね・・、もしかして・・。」

      耕作 「疲れた体を癒す為に俺に抱き付いてたとか?」

      柔 「半分正解かな?」

      耕作「半分か・・残りの半分は・・。」

      柔 「降参かな?」

      耕作 「俺の寝顔を見てた、まさかね~、違うよね?」

      柔 「凄~い、良く分かったね。」

      耕作 「え?そうだったの?でも、何で?」

      柔 「何でかな~?」

      耕作 「え~、それも俺が当てるの?」

      柔 「うん、考えてみてね?」

      耕作 「う~ん・・、さすがにこれは無理かも。」

      柔 「それはね?」

      耕作 「うん。」

      柔 「耕作さんの寝顔が素敵だったからだよ?」

      耕作 「うそ?ほんとに?」

      柔 「うん、愛おしくなったの、寝顔を見てたら。」

      耕作 「俺が柔さんの寝顔を見て、そう思うなら分かるけど。」

      柔 「耕作さん、自分に自信を持ってね?寝顔も素敵だったよ?」

      耕作 「そうだったんだ、まあ、自分では見れないけど。」

      柔 「だから、あたしが寝てた時、あたしの顔が耕作さんの顔の横にあったでしょう?」

      耕作「あ、そう言えばそうだね、いつもは胸に顔を埋めてたよね。」

      柔 「うん、そうだったよね。」

      耕作 「なるほどね、あ、そろそろ起きようか?」

      柔 「うん、それじゃ、朝食を作るから、顔を洗ってきてね、耕作さん。」

      耕作 「まさか、朝食の準備も終わってるの?」

      柔 「うん、当然だよ?」

      耕作 「そこで平然と当然って言うのね。」

      柔 「当たり前だよ?あたしを誰だと思ってるのかな?」

      耕作 「世界一の女性柔道家です。」

      柔 「それは表の顔だよ?」

      耕作 「なに~、柔さんは裏の顔も持ってるのか・・。」

      柔 「うん、持ってるよ?何と思う?」

      耕作 「またクイズか・・。」

      柔 「正解した方には漏れなく、あたしを差し上げます。」

      耕作 「漏れなくって、柔さんは一人しか居ないじゃない?」

      柔 「だって、回答者も一人じゃない?」

      耕作 「真似するな~。」

      柔 「あはは、で、何と思うの?」

      耕作 「く・・、参りました。」

      柔 「よろしい、それでは、説明しよう。」

      耕作 「どこかで聞いた様なフレーズだな・・。」

      柔 「あたしは耕作さんの何でしたか?」

      耕作 「今直ぐにでもなれる俺のお嫁さん候補(確定)だね。」

      柔 「それでも分からないかな?」

      耕作 「あ~~、なるほどね~、今は表に出せないからか。」

      柔 「良く分かりました、では、ご褒美を。」

      耕作 「はい、それまで!柔さん。」

      柔 「う、柔道用語で来たか、仕方ないな。」

      耕作 「ふふふ、勝ったな。」

      柔 「あはは、可笑しいね~。」

      耕作 「いい加減、顔を洗ってくるね。」

      柔 「ごめんね~、あたしのおバカな戯れに付き合わせて。」

      耕作 「いや、楽しいから良いよ。」

      柔 「じゃあ、あたしは朝食を仕上げてくる。」

      柔はエプロンを着けるとキッチンに行って朝食の仕上げを始めた。
      耕作が洗面所から戻ると既に朝食がテーブルに並んでいた。

      耕作 「おぉ~、まるで旅館の朝食だ~。」

      柔 「お気に召しましたでしょうか、お客様。」

      耕作 「柔さん・・、そこまで乗らなくても良いから。」

      柔 「耕作さんが旅館て言ったから。」

      耕作 「確かに言ったけどね。」

      耕作 「ホウレン草のお浸し、生卵?、卵焼き、鯖の切り身を焼いたの?
           後、これは何だろう?もずく?定番のお味噌汁、中身は何だ?」

      柔 「ご説明痛み入ります。」

      耕作 「柔さんって、そういう言葉良く覚えてるよね?」

      柔 「おじいちゃんが、以下略。」

      耕作 「略すな~。」

      柔 「あはは、もう分ってるって思ったから。」

      耕作 「味噌汁の中身は何?」

      柔 「当てたらご褒美にあたしを、以下略。」

      耕作 「その略は分からないかな?」

      柔 「それも当てたら更にあたしの、以下略。」

      耕作 「や・わ・ら・さ・ん?」

      柔 「な~に?耕作さん。」

      耕作 「それやってると無限に問題が出来てこない?」

      柔 「あはは、まあ、無限じゃないけどね?」

      耕作 「参った。」

      柔 「お団子みたいなの入ってるでしょう?」

      耕作 「あ、ほんとだ、あ、分かった。」

      柔 「それで当たってると思うよ。」

      柔 「それじゃ、・・。」

      耕作 「それまで!」

      柔 「くそ~、それを言われると体が止まってしまう。」

      耕作 「こらこら、女の子がそんな事言わないの、おまけに食事中だよ?」

      柔 「は~い、分かった~。」

      耕作 「って言うか、いい加減、食べよう?冷めてしまうから。」

      柔 「は~い、分かった~。」

      耕作 「同じ事を言わないの。」

      柔 「は~い・・。」

      耕作 「それまで!」

      柔 「あはは、食べようね~。」

      耕作、柔 「いただきま~す。」

      耕作 「今日の卵焼き、これ何が入ってるの?小魚みたいだけど。」

      柔 「白魚だよ?」

      耕作 「へ~、そんなのあるんだ。」

      柔 「食感が少し違うでしょう?」

      耕作 「うん、味も砂糖じゃなくて塩味?かな?」

      柔 「さすがよね~、耕作さん。」

      耕作 「昨日のはベーコンが入ってたけど、こっちは和食に合うね。」

      柔 「でしょう?あたしだけが作ってる訳じゃ無いけどね。」

      耕作 「そうだよね~、でも美味しいから合格~。」

      柔 「わ~い、また増えた~。」

      柔 「耕作さん、お替りは?」

      耕作 「今日はこれ位にしておくよ。」

      柔 「うん、分かった~、おかずでお腹膨れるし、これだと。」

      耕作 「今日も楽しく美味しく頂きました。」

      耕作、柔 「ごちそうさま~。」

      柔 「お粗末様でした。」

      柔 「じゃあ、片付けるから、耕作さんはソファーで寛いでて~。」

      柔 「コーヒー入れて持って行くね。」

      耕作 「うん、そうするね。」

      柔は食器をキッチンに持って行き、コーヒーを入れると耕作の元に持って行き手渡した。

      柔 「どうぞ、あたしの胸の感触が溶け込んでるコーヒーをどうぞ。」

      耕作 「そ、そう来ましたか、柔さん。」

      耕作 「ありがとうね、感触を思い出しながら飲むね。」

      柔 「いや~ん、耕作さんのエッチ~。」

      耕作 「柔さんが先に言ったんだよ?」

      柔 「うふふ、感想は後で聞くね?」

      柔 「片付け済ませてくるね~。」

      耕作 「うん、いつも済まないね~。」

      柔はキッチンに行き鼻歌交じりで片付け始めた。

      耕作 「(胸の感触か、軟らかかったな~、そして温かかった。)」

      柔 「耕作さん?」

      耕作 「何だい?柔さん。」

      柔 「何か考え事してるの?」

      耕作 「相変わらず、鋭いね?」

      柔 「何かは、あたしにも分かる気がするけどね。」

      耕作 「同じ事を考えてるからね、最近は。」

      柔 「片付け終了~。」

      耕作 「お疲れ様~。」

      柔 「このままお洗濯とお掃除をするね。」

      耕作 「休まなくても良いの?」

      柔 「ジョディーが来たら出来なくなるから済ませておかないとね?」

      耕作 「それもそうだね、無理しないでね。」

      柔 「大丈夫、慣れてるから~。」

      柔は洗濯をしながら掃除を始めた。
      洗濯が終わったので洗濯物を干していった。
      その後、掃除の残りも済ませていた。

      柔 「全部終了~。」

      耕作 「柔さん、お疲れ様~。」

      耕作 「やっぱり、柔さんは手際が良いね~。」

      柔 「ありがとう~、少し休むね。」

      柔 「その前に、耕作さん、コーヒーは?」

      耕作 「お願いね~。」

      柔は耕作からカップを受け取るとキッチンへ行きコーヒーを入れて
      耕作の元に来て手渡した。

      柔 「お待たせ~、あたしの胸に残る耕作さんの手の感触が入ったコーヒーだよ~。」

      耕作 「ははは、えらく長いね。」

      柔は耕作の膝に座ると体を預ける様にして抱き付いた。
      耕作はそれを支える様に柔を優しく抱き寄せた。
      柔は耕作の胸に頭を預けた。

      柔 「耕作さん?」

      耕作 「胸の感触の感想かい?」

      柔 「うん、どうだった?」

      耕作 「軟らかくて温かかったよ。」

      柔 「そうなんだ、あたしが自分で触った時とは違うのね。」

      耕作 「自分でも触るの?」

      柔 「お風呂で体を洗う時は触るよ?」

      耕作 「あ、それもそうだね。」

      耕作 「そう言えば、何でブラしてなかったの?」

      柔 「うふふ。」

      耕作 「その笑いも気になるね?」

      柔 「だって寝てる時はその方が耕作さんも喜んでたでしょう?」

      耕作 「まあ、そうなんだけど、ありがとうね。」

      柔 「耕作さん?」

      耕作 「何だい?柔さん。」

      柔 「耕作さんの手の感触が今でも残ってる気がするの。」

      耕作 「そうなの?」

      柔 「うん、耕作さんと一緒に居る様な感じ。」

      耕作 「俺も掌に残ってる感触で柔さんと一緒に居る様に感じる。」

      柔 「二人とも同じ様な気持ちになってるね。」

      耕作 「そうだね、この気持ち忘れない様にしないとね。」

      柔 「うん、そうだね。」

      二人はお互いを見つめて抱き合うと長めのキスをした。

      耕作 「しかし、起きてからずっと喋りっぱなしなのは気のせいかな?」

      柔 「ううん、気のせいじゃないと思うよ?」

      耕作 「ほんと、柔さんと話してると次から次に話題が変わるよね~。」

      柔 「思い付きだけどね?」

      耕作 「それはある種の才能だね。」

      柔 「でも、これって、耕作さん限定だと思う、他の人だとここまで長く
         お喋り出来ないもん、あたし。」

      耕作 「うん、それは柔さんのマスコミへの対応を見てると分かる。」

      耕作 「柔さんがマスコミと話す時って相槌を打つか、一文節で
           終わる事しか話してないからね。」

      柔 「そうなのよ~、耕作さん、何とかして~。」

      耕作 「じゃあ、さ~・・。」

      柔 「却下。」

      耕作 「え~、まだ、何も言ってないじゃない?」

      柔 「どうせ、相手を俺だって思えばって事でしょう?」

      耕作 「相変わらず、鋭いね、君は。」

      柔 「その位は分かるよ?」

      耕作 「う~ん、どうすれば柔さんが他の人と長く話せるか、か~。」

      柔 「まあ、そんなに切羽詰まった事じゃないんだけどね?」

      耕作 「でも、また大会とかあるじゃない?」

      柔 「そうなのよね~、今までの大会で真面に最後まで残ってたのって
         余り無いのよね、おじいちゃんのせいで。」

      耕作 「そう言えばそうだったね、最初の時は花園君達の為に俺が
           カブ号で連れて行っちゃったしね。」

      柔 「それは、あたしが無理にお願いしたんだから、耕作さんのせいじゃないよ?」

      耕作 「それはね~、柔さんにあんな顔でお願いされたら宇宙の果てまで
           でも連れて行きたくなるから。」

      柔 「あはは、耕作さん、大袈裟だよ?それ。」

      耕作 「それ位、俺には魅力的だったって事なんだ。」

      柔 「何も出ないよ?」

      耕作 「いや、君の微笑みが出てる。」

      柔 「あはは、昨日もそれに似た事言ってたね。」

      耕作 「実際に出てるからね?」

      柔 「まあ、そうなんだけどね。」

      耕作 「やっぱり血筋なのかな?柔さんの話が苦手なのは。」

      柔 「でも、おじいちゃんとおかあさんはそんな事は無いと思うんだけどな~。」

      耕作 「虎滋朗さんのかな?」

      柔 「おとうさんの?そっか、耕作さんはおとうさんとは話してるんだったよね。」

      柔 「やっぱり、話が苦手そうだった?」

      耕作 「それ程苦手とは思わなかったけど、長くは話さなくて言いたい事を
           言うと、俺が聞くまで何も話さなかった記憶はあるかな?」

      耕作 「でも、君の事を話す時は結構長く話してたかな?」

      柔 「そうなんだ、良いな~、耕作さんが羨ましいな~。」

      耕作 「大丈夫だよ?そのうち日本にも戻って来るって思うから、
           まあ、結婚式には出てくれるんじゃないかな?」

      柔 「そうだよね、きっと出てくれるよね。」

      耕作 「結婚式って言えば、披露宴はどんな風にしたいと思ってる?柔さんは。」

      柔 「そうね~、やっぱり身内と親しい人だけでしたいかな?」

      耕作 「そうだよね、国民栄誉賞とかに興味ない柔さんだから、
           盛大なのは嫌いだろうし。」

      柔 「あたしの家族、友人位かな?耕作さんはご両親と新聞記者仲間位かな?
         他に誰か思い当たる?」

      耕作 「本阿弥ご夫妻は呼ぶと大変な事になるだろうからね。」

      柔 「あ~、あの二人は止めておきましょうか、って言うか、呼んでも来ないと思う。」

      耕作 「まあ、理由は俺にも分かるけど。」

      柔 「後、柔道関係者も呼びたくないし。」

      耕作 「それは何でなの?」

      柔 「食事が大変な事になるから。」

      耕作 「なるほど、凄く説得力がある理由だね。」

      柔 「場所はあたしの実家でもさっきの人数なら何とかなるかな?」

      耕作 「そうだね、バルセロナの選考対象の大会後にやったし。」

      柔 「ただ・・。」

      耕作 「うん?まだ何かあるの?」

      柔 「おじいちゃんがね~。」

      耕作 「そうか、俺達の思惑以外の人を呼んじゃいそうだね。」

      柔 「そうなのよね~、余り関係ない人を呼ばないと良いんだけど。」

      耕作 「まあ、その位は良いんじゃない?滋悟朗さん、そう言うの好きだから。」

      柔 「うふふ。」

      耕作 「どうしたの?柔さん。」

      柔 「何だか、こんな話してると結婚への実感が湧いてきた。」

      耕作 「そうだね~、あと少しの辛抱だ。」

      柔 「うん、早く帰って来てね?耕作さん。」

      耕作 「勿論、そのつもりだよ、可愛いお嫁さんが待ってるんだから。」

      柔 「耕作さん、何も出ないよ?」

      耕作 「柔さん、顔がにやけてるよ?」

      柔 「あは、ばれちゃった?」

      耕作 「それにしてもジョディー遅いね。」

      柔 「昨日、あたし達が見せつけてたからかな~?」

      耕作 「それは無いとは思いたいんだけど。」

      柔 「そうか、分かった~。」

      耕作 「何が分かったの?」

      柔 「ほら、今日はあたしと試合するから試合が終わるまでは一緒に居たくないのかも?」

      柔 「以前もあたしと対戦する時は一緒に居る事が無かったから、実家での時以外は。」

      耕作 「それなら電話位してくれれば良いのに。」

      柔 「でも、ジョディーは、あ、そうか、この前電話してきたから
         ここの電話番号は知ってるね?」

      耕作 「うん、そうなると、もう直ぐ電話が着そうだ。」

      突如、電話のベルが鳴り響いた。

      耕作、柔 「ジョディーだ、きっと。」

      耕作 「俺が出るね。」

      柔 「うん、お願い。」

      耕作は電話の所に行って受話器を上げた。

      耕作 「もしもし、松田です。」

      ジョディー 「グッド・モーニング、松田。」

      耕作 「おはよう~、ジョディー。」

      ジョディー 「松田?今日、試合するから、道場で、会おうって、柔、伝えてくれだわさ。」

      耕作 「やっぱりね、そう思ってたんだ、俺も柔さんも。」

      ジョディー 「そうか、分かってただか。」

      耕作 「柔さんもその辺りは分かってたみたいだから安心して良いよ。」

      ジョディー 「松田?柔、伝えてくれよ、良い試合、しようって。」

      耕作 「うん、必ず伝えておくから。」

      ジョディー 「柔、道場で、フィフティーンで、良いか、聞いてくれよ。」

      耕作 「うん、ちょっと待ってて。」

      耕作は受話器を手で押さえて柔に聞いた。

      耕作 「ジョディーが道場で15時に待ち合わせで良いか聞いてるけど、
           柔さんはそれでも良いかい?」

      柔 「うん、それで良いってジョディーに言って。」

      耕作 「分かった、そう言うね。」

      耕作は受話器から手を放した。

      耕作 「待たせて、ごめん。」

      耕作 「ジョディ-、柔さんもその時間で良いって言ってるから。」

      ジョディー 「分かっただわさ、じゃあ、道場前で。」

      耕作 「OK、道場前で会おうか。」

      耕作は受話器を置いた。

      耕作 「やっぱりそうだったね。」

      柔 「うん、ジョディーの事は分かってるつもりだから。」

      耕作 「今日も良い試合をしようって、ジョディーが。」

      柔 「勿論そのつもり。」

      耕作 「楽しみだね、柔さん。」

      柔 「うん、とても楽しみにしてる。」

      柔 「そうなると、耕作さんの会社に行かないと。」

      耕作 「そうだね、後、買い物も。」

      柔 「そうね、ジョディーも晩御飯は食べるでしょうから、その分多めに
         買わないといけないし。」

      柔 「それじゃ、着替えるね。」

      耕作 「うん、時間は有るから。」

      柔 「うん、分かってる。」

      柔は外出着と下着をもって風呂場に行った。
      柔は着替え終わると風呂場から出て来て、耕作の元に歩み寄った。

      耕作 「それ、どこかで見た記憶がある。」

      柔 「どこでだったか、思い出せる?耕作さん。」

      耕作 「あ~、さっき言った選考会後の祝勝会で着てた服だね?」

      柔 「良く思い出せました。」

      柔は耕作に抱き付いてキスをした。
      耕作も柔を優しく抱き寄せてそれに応じた。

      耕作 「それも似合ってて可愛いね。」

      柔 「うふ、ありがとう~。」

      耕作 「それじゃあ、そろそろ出掛けようか。」

      柔 「うん。」

      耕作と柔はいつもの様に別々に部屋を出て行った。