お断り:文書量(文字数)が多くなりましたので1日を5分割してお届けします。
渡米十一日目。 耕作と柔の長い長い一日(六日目)
耕作は静寂の中、目を覚ました。
耕作 「(静かだな、柔さんはまだランニングから戻っていないのかな?)」
耕作 「(昨日の事で更に柔さんを支えていかないとって思ったな~。)」
耕作 「(しかし、ここに来た頃を思うと、柔さんは精神的に、ほんとに強くなったって思う。)」
耕作 「(お互いを思いやって、お互いの事を第一に考えて行動する様に
なったのを実感する。)」
そんな事を考えていると不意にドアが開く音がした。
耕作 「(柔さん、ランニングから戻って来たな。)」
耕作 「おはよう~、柔さん。」
耕作は起き上がりながらそう言った。
柔 「あ、耕作さん、起きたの?」
耕作 「うん、今さっき起きたよ。」
柔 「あ、耕作さん、おはよう~。」
耕作は柔に近寄ると軽く抱き締めてキスをした。
柔は驚きながらも軽く抱き付いて応じた。
柔 「目覚めのキス?」
耕作 「うん、そうだよ。」
柔 「耕作さん、あたし、汗かいてるのに~。」
耕作 「そういうのは気にしないよ。」
柔 「耕作さん・・。」
耕作 「今からシャワーなの?」
柔 「一緒に入る?」
耕作 「こらこら、朝から誘惑しないの。」
柔 「あはは、冗談だよ?」
耕作 「柔さん?」
柔 「な~に~?耕作さん。」
耕作 「いや、いいや、答えが分かってる事を聞いてもね。」
柔 「え~、何が聞きたかったの?」
耕作 「しょうがないな~、じゃあ、聞くね?」
柔 「うん、聞いて、聞いて。」
耕作 「本心はどうなの?」
柔 「あ~、それが聞きたかったんだ。」
耕作 「うん、だから答えが分かってるって言ったの。」
柔 「耕作さんには隠し事が出来ないね?」
耕作 「ははは、まあね、もう何度も同じ事を聞いたしね。」
柔 「で、一緒に入る?」
耕作 「こら~、揶揄わないの。」
柔 「あはは、ごめんね~。」
柔 「シャワー浴びてくるね、」
耕作 「うん、後から入るね。」
柔 「え?ほんとに~?」
耕作 「言ってみただけ~。」
柔「むぅ~~~。」
耕作 「ほらまた、そんな膨れっ面しないの。」
耕作 「折角の可愛い顔が台無しになるから。」
柔 「あたし、可愛くないも~ん。」
耕作 「ははは、これも何度も言ったね。」
柔 「あはは、そうね、でも、可愛いって言われると嘘でも嬉しいよ?」
耕作 「もう~、君は、ほんと~にきれいで可愛いんだって。」
柔 「ありがとう~、耕作さん。」
柔 「じゃあ、シャワーを浴びて耕作さんの為に磨きを掛けてくる~。」
耕作 「ははは、浴びてらっしゃい。」
柔 「うん、後から来てね?」
耕作 「まだ言うか~、早く入ってきなさい。」
柔 「あはは、は~い。」
柔はやっとシャワーを浴びに風呂場へと向かった。
耕作 「(朝からこれじゃ、今日のお昼以降は思いやられるな・・。)」
柔 「もうしないよ?ジョディーも来るしね?」
耕作 「(うん、機嫌は良さそうだな。)そうだね、じゃあ、俺は顔を洗ってくるよ。」
耕作が洗面所から戻ると、柔が既に出ていた。
耕作 「その部屋着も可愛いね。」
柔 「えへ、良いでしょう?これ。」
耕作 「うん、とっても似合ってるよ。」
柔 「そう言ってくれると嬉しいよ。」
柔 「コーヒー入れてくるね。」
耕作 「うん、ソファーに座ってるから。」
柔 「は~い。」
柔はキッチンへ行き、コーヒーを入れて耕作の元へ来た。
柔 「はい、二人の未来が入ったコーヒーをどうぞ。」
耕作 「うん、思い描きながら飲むね。」
柔 「朝食の準備をしてくるね。」
柔はエプロンを着けるとキッチンに行って朝食を作り始めた。
耕作 「柔さん?」
柔 「はい?な~に~?」
耕作 「今日は会社で現像するから少し早めに行こうか?」
柔 「うん、写真が楽しみ~。」
耕作 「スーパーにはそのまま行くよね?」
柔 「うん、多めに買うから時間掛かりそうだしね。」
耕作 「荷物持ちは任せてね。」
柔 「頼りにしてるよ?」
耕作 「大船に乗った気持ちで良いよ。」
柔 「ありがとう~。」
柔 「耕作さん?」
耕作 「うん?何?」
柔 「昨日はおとうさんの事、話してくれてとても感謝してます。」
耕作 「うん、今の柔さんになら話しても大丈夫って思ったんだ。」
柔 「うん、その後におじいちゃんとおとうさんの思いを、耕作さんの
考えとして話してくれたけど、あたしもそんな気がしたの。」
耕作 「そういう風に思える様な君だから、話したんだ。」
柔 「それもこれも、全部、耕作さんのお陰だと思ってる。」
耕作 「これも何度も言ってる事だけど、俺は君に切っ掛けを与えてる
だけに過ぎないと思ってるよ?」
耕作 「あくまで君自身が自分で考えて決めた事なんだから。」
柔 「そうなんだけど、でも、耕作さんが居なかったら、あたし一人じゃ
何も決められなかったって思うの、これも何度も言ったよね。」
耕作 「やっぱり、二人は最良のパートナーだね。」
柔 「うふふ、そうよね。」
柔 「耕作さん、お待たせ~、出来たよ~、持って行くね。」
耕作 「ありがとうね、じゃあ、そっちに行くから。」
柔はキッチンから朝食を持って耕作の元にやって来てテーブルに並べていった。
柔 「どうぞ、召し上がれ。」
耕作 「今日も和食だ~。」
柔 「うん、やっぱり、朝はこれでしょう?」
耕作 「うん、そうだね。」
柔 「食べよう?」
耕作 「うん。」
耕作、柔 「いただきま~す。」
耕作 「今日の卵焼きはどうかな?」
柔 「食べてみてね?」
耕作 「おぉ~、キノコが色々入ってるんだね~。」
柔 「どう?耕作さん。」
耕作 「食感が良いね、色んなキノコが入ってるせいかな?」
柔 「そうかも?合格かな?」
耕作 「うん、勿論だよ?」
柔 「わ~い、嬉しいな~また増えた~。」
耕作 「やっぱり、凄いよね、柔さんは。」
柔 「何も出ないよ?」
耕作 「君の喜びは出てるけどね。」
柔 「うふふ、ありがとう~。」
柔 「お替りは?」
耕作 「お昼の事もあるから、今日はこれ位にしておくね。」
柔 「は~い。」
耕作 「今朝も美味しく楽しく頂きました。」
耕作、柔 「ごちそうさま~。」
柔 「お粗末様でした。」
柔 「じゃあ、片付けして、お洗濯とお掃除を済ませるね。」
耕作 「うん、いつもありがとうね。」
柔 「その間、耕作さんはコーヒー飲んで寛いでて?」
耕作 「うん、ソファーでそうするね。」
柔は片付けする為にキッチンへ行き、コーヒーを耕作に持って来た。
柔 「今日は二人のキスの味が入ったコーヒーをどうぞ。」
耕作 「ははは、ありがとうね、頑張って。」
柔 「はい!」
柔は片付け始めて、終わると洗濯と掃除に取り掛かった。
耕作 「(あと少しで柔さんは日本に帰ってしまうのか・・。)」
耕作 「(ここまでの仲になると、俺も別れ辛いって気になるな。)」
耕作 「(でも、一旦、分かれても、日本での二人の生活が始まると
思えば辛抱出来るかな?)」
柔 「耕作さん?」
耕作 「うん?どうかしたの?柔さん。」
柔 「あたし、そろそろ帰る事になるけど、耕作さんは寂しくない?」
耕作 「(相変わらず、同じ事を考えるんだな。)」
耕作 「そうだね~、それはやっぱり寂しいとは思ってる。」
耕作 「でも日本に帰れば二人の生活が待ってると思うと、そっちの方の
楽しみが大きいかな?」
柔 「あたし・・、今、帰りたくないって気持ちが強いけど、耕作さんが
そういう風に思ってるなら、我慢して日本に帰るね。」
耕作 「うん、柔さん、二人とも同じ事を考えてるんだから、帰ってからの
事を考える様にしようね。」
柔 「耕作さんも同じ事考えてたのね。」
耕作 「いつまでもずるずるとこの生活を続ける事も出来ないし。」
耕作 「それなら早く日本に帰って、新しく二人の生活を始める事の方が
大事だって思うから。」
柔 「そうだよね、そっちの方が大事だよね、分かった、あたしも
そういう風に思う事にするね。」
耕作 「やっぱり、柔さんは良い子だね。」
柔 「えへ、褒められちゃった。」
耕作 「今日も会社に一緒に来るかい?」
柔 「勿論だよ?残り少ない日々を耕作さんと一緒に居る時間を
出来る限り増やしたいし。」
耕作 「そうだよね、俺もそうだから。」
柔 「同じ事を考えてる事が多くなったね。」
耕作 「二人の心が通い合ってる証拠だね。」
柔 「うん、そう思う。」
柔 「耕作さん、コーヒーは?」
耕作 「うん、もう一杯貰おうかな?」
柔 「うん、直ぐに入れるね。」
柔は耕作の元に来るとカップを受取りコーヒーを入れにキッチンに行った。
直ぐに耕作の元にコーヒーを入れて持って来た。
柔 「二人のお互いを思う心が入ったコーヒーをどうぞ。」
耕作 「はは、ありがとうね、味わいながら頂くね。」
柔 「じゃあ、続きをしてくるから。」
耕作 「うん、頑張って。」
柔 「はい!」
柔は洗濯物を干していった。
耕作 「この光景も日本に帰るまでお預けだね。」
柔 「耕作さん・・・、やっぱり、あたしまだ帰りたくない。」
耕作 「それは俺も同じだってさっき言ったでしょう?」
耕作 「でも、いつまでもこの生活を続ける事も無理だって言うのも言ったよね?」
柔 「うん、それは分かってるんだけど・・あたし・・。」
耕作 「そして、日本での君との生活を始める事が一番大事だって事も言った。」
耕作 「今を我慢すればそうなった時の嬉しさも楽しさも、今以上の気持ちを
二人にもたらすと思うから。」
柔 「耕作さん・・、うん、そうだよね、その時を楽しみにする為の我慢だと
思えば良いのよね?」
耕作 「そういう事だね。」
耕作 「俺だって君のいない生活は、もう考えられないから、その方が出来る限り早く
日本に帰って、柔さんと一緒の生活をするんだって思いを強く出来ると思う。」
柔 「あたしも、そう考える事にするね。」
耕作 「無理に考えなくても、もう君も俺と同じ事を考える様になってるんだって
思ってて良いよ。」
柔 「耕作さん、うん、そうだよね、今はそういう風に二人はなってるんだよね。」
柔 「あたしが日本で思ってる事も耕作さんは思ってるんだって思う様にする。」
耕作 「うん、俺もそう思う様にするね。」
柔 「耕作さん!」
柔は耕作に抱き付きキスをしてきた、耕作もそれに応える様に柔を強く抱きしめた。
柔 「残りを終わらせてくる。」
柔は洗濯物の残りを干しに行った。
柔 「全部終わったよ~。」
柔は耕作の膝の上に座って来て体を預ける様に抱き付いてきた。
耕作も柔の抱き寄せてそれに応えた。
柔 「早く会社に行かないとだけど、少しこうしてて良い?」
耕作 「うん、勿論だよ。」
柔は甘える様に頭を耕作の胸に埋めてきた、耕作はその頭を優しく撫でた。
柔 「やっぱり、落ち着くね、こうしてると。」
耕作 「うん、俺も同じ気持ち。」
二人は暫くそうしていた。
柔 「それじゃあ、着替えるね。」
耕作 「うん、待ってるから。」
柔 「ここでって聞かないんだ。」
耕作 「君の思ってる事は分かってるつもりだから。」
柔 「うふ、じゃあ、着替えてくる。」
柔は着替えを持って風呂場へ向かった。
柔 「お待たせ~。」
耕作 「今日の服も似合ってるよ、行こうか。」
柔 「うふ、ありがとう~、先に行って待ってるね。」
耕作 「俺も直ぐに行くから。」
二人は出掛けのキスを済ませると、いつもの様に別々に部屋を後にした。
耕作 「待たせたね、柔さん。」
柔 「ううん、行こう?」
耕作 「うん。」
二人は会社に急いで向かった。
耕作 「じゃあ、行ってくる、少し時間が掛かるけど待ってて。」
柔 「楽しみが待ってるから大丈夫だよ、いってらっしゃい。」
耕作はいつもの様に走ってビルに向かい途中で振り返り柔に
手を振ってビルに入って行った。
柔はいつものベンチに座って耕作に手を振りそれを見守った。
柔 「(耕作さん、ほんとに以前と全然違う位に逞しくなったな~。)」
柔 「(早く日本で一緒に暮らしたい、そうよね、そっちの方がほんとの
二人の生活なんだから。)」
柔 「(でも、あたし、きっと、ここを離れる時は泣くだろうな。)」
柔 「(その時は悲しみじゃなく嬉しさで泣く様にしないと。)」
柔 「(その時までは今までと変わらない生活をしなきゃね。)」
柔 「(でも、泣きたい時は泣いた方が耕作さんもきっと安心するだろうな。)」
柔 「(耕作さんもそう望んでいるだろうから。)」
耕作 「柔さ~ん、待たせてごめん。」
そう呼ぶ声の方を向くと耕作が微笑みながら柔の元に走って来ていた。
柔 「ううん、色々考えてたから大丈夫よ。」
耕作 「そうか、何を考えてたか俺には大体分かる気がする。」
柔 「同じ思いを持ってるもんね、あたし達。」
耕作 「そうだね、座っても良いかい?」
柔 「うん。」
耕作は柔に寄り添う様にベンチに腰掛けた。
柔 「写真、どうだった?」
耕作 「周りの人に見られないかヒヤヒヤしながら現像してきた。」
柔 「ごめんね~、あんな事しちゃって。」
耕作 「いや、それは俺も嬉しかったから気にしないで。」
耕作 「二人で写ってる事がヒヤヒヤしたってだけだから。」
柔 「そうか、あたし水着だったしね。」
耕作 「うん、それだったから余計にね?」
耕作 「写真は戻ってからゆっくり見ようか?」
柔 「うん、一緒に見ようね。」
耕作 「勿論だよ?いつもの癒しの場所でね。」
柔 「うふふ、楽しみだな~。」
耕作 「その為にも買い物を早く済ませよう?」
柔 「うん。」
二人はスーパーに急いで向かった。
スーパーに到着した二人はいつも以上に買い物を済ませると
いつも通りに別々に部屋に戻った。