子どもと向き合う大人は、
その子のこれまでをみつめ、今を見て取り、
これからどうなっていきたいのか、
子どもからの言葉にならない密やかな問いを受け止めます。
(秦理絵子さんのことばより)
子育ては常にこの連続です。
言葉で会話する事柄ではなく
大人が子供に気持ちを問うなどという
そういったことではなくて
子供自身も言葉にすることができない
自分の中の意志や自律心の萌芽を、
個々の本質的な側面を
大人が汲み取っていきながら
子どもと向き合っていくこと
とても難しいことですが
子どもが誰かに依存することなく
紛いもなく自律心を育てるには
それ以外に方法がないのです。
大人でも同じですよね
本心ではないことをする時
決して心は豊かに膨らんではおらず
その結果においても
先の先に発展するようなことには
ならないはずです。
本人が目の前の現実に
どれだけの熱量を持って向き合っているか
逆に言えば、誰がなんと言おうと
というくらいのひたむきさで
取り組んだ時の現実は
本当に誰の予想もつかないような
結果が生まれるという可能性を
十分に含んでいる。
そちらの方が、どんなにか
生き生きとした人生でしょうか。
それを子どもたちにも
紛れもなく当てはまるのです。
そこのところは子ども、大人だと
区別することは必要ありません。
人間の本性の話なのだと
今一度、認識を持たなければいけません。
修学旅行については
2学期が始まってすぐ
申し込みがあり、
オリエンテーションが行われ
部屋や活動班決めなどの準備が始まります。
申し込みはしたものの、
本人が行く気になっていない
ように周りに示している態度の奥に
どんな気持ちが隠れているのか
また、彼が知らない世界を
どんな形で伝えてあげることができるのか
思惑は山のようにあるのに
できる手立てを彼の気持ちに寄り添って
削ぎ落としていくと
本当にしてあげられることは
数えるくらいなのです。
そしてその多くは、
直接言葉で伝えることといったことではなく
子どもの知らないところで
まさに創意工夫をこらす事柄なのです。
そこに真剣に、本気になって取り組む
これにつきました。
ケース会議を開き、
蟠りのあるクラスメイトの2人に
専門的な知識のある相談員の方から
息子の気持ちや、フラッシュバック
一度の体験がトラウマになって
何度も何度も感覚的に追体験していること
それを子供の彼らにも分かるように
そして決して責めることのないように
話してもらうことから始まりました。
忘れているかもしれない、と
思っていましたが
彼らは2人とも、正直に
覚えていると答えてくれました。
そして会って謝りたいと言ってくれました。
どんなにか勇気がいったことでしょうか。
彼らの気持ちを考えると
本当に敬意を払わずにいられません。
担任の先生に付き添われて
息子のところにやってきて
どんな会話をしたのでしょうか
息子の方も、
受け入れるしかなくなりました。
彼らの気持ちを。
だからといって、
何が変わるかというものでもないのです。
残念ながら。
子供同士のことですから
誤った方も気まずくなるし
謝られた方も、じゃあ教室に戻ろうとか
修学旅行に行こうとかいう
そんな簡単なことではないのです。
子どもの中で何かが変容し始め
熟成して行動でもって示されることを
ひたすら待つしかないのです。
修学旅行がもう少し先であったなら
息子の特性や気持ちの理解が
もっと早くになされていたなら
入学してからずっと
何かの違和感を感じても
それを先生方と共有することが
できなかった、これまでのことについて
今更あれこれと言うことはありませんが
これから後に続く子どもとその保護者の方達
そして我が家もまだ先があるわけですが
少しでも、子どもを取り巻く環境が
変わっていくことを願ってやみません。
話を元に戻しますが、
こうして最後の1人との面談がなされたのは
修学旅行の4日前のことで
終わって帰ってきた息子に
話したんだって?と聞くくらいしか
できませんでしたが、
うんまぁ、了解するしかないよな。
といった答えが返ってきただけでした。
実は、この面談を前後して
ケース会議での話を受けて
私の方で、修学旅行の当日泊まるホテルの
近くに私が宿泊する宿を手配していました。
これは、学校の方が頼んでいる
旅行会社の担当者さんを紹介してもらい
直接、電話で事情を話して
そういったことでしたら、と
この繁忙期にやりくりして宿をとっていただ
いていたのです。
もし、
面談して息子が皆と一緒に行くとなったら
キャンセルさせていただくことも
承知していただいて
ギリギリまで待っていただいていたのでした。
旅行会社の方は
毎年お世話になっている方だそうなんですが、
ご自身は、体調を崩して
修学旅行に行けなかった、
そして大人になった今でも
同窓会で旅行の話に参加できなくて
寂しい思いをされているんだと
話してくださいました。
そのやりとりをしていきながら
旅行会社の方と、私とで
息子の様子を見守っていたような
そんな感じでした。
ですが、こればかりは
どんなにこちらが手を尽くしたところで
本人の気持ちが変わるものでもありません。
面談が終わって、私は冒頭の
秦理絵子さんがおっしゃっていたようなことを
頭に思い描いて、考えあぐねていました。
そんなところに、教頭先生から
せっかく宿もとっているのだから
2人で観光でもしてきたらどうですか?
と冗談まじりに仰っていただいたんです。
私も無意識に体裁など考えていたようで
クラスの子ども達と一緒に行けるかどうか
という形でしか考えていなかったものですから
そう言われて、眼から鱗が落ちた気がしました。
ちょうど息子も観光はしたいと
いっていましたし、
なら本当にしてしまおうと
旅行会社の方にはキャンセルはなしで
その代わりに予約していた部屋に
子供と2人で泊まれるかどうかの相談を
持ち掛けたのです。
続きます。