あるトップ芸人に「2020東京五輪のMCを狙っているんでしょ」と鎌をかけると「いやあ、オリンピックはジャニーズ事務所の独壇場なので、ボクらには仕事、まわってきませんよ」と明快に言われ驚いたばかりだった。 
それから数日も経たない内に「SMAP解散」がネットで流れた(8月13 日(土)夜)。  ガセかと思われたが、日が変わって午前1時ごろスポーツ紙の早刷り(1面大見出し)が出て、「やっぱり、ほんとだったんだ」と業界関係者はタメイキをついた。
 翌日昼のバラエティ番組で御意見番の女性タレントが「なぜ、この時期に発表するの?国民が、リオ五輪で盛り上がっている、まっ最中に(水を差すように)」と苦言を呈したが、そのクレームは、実は、半分は真実を突いていた。
 SMAPは、日本財団(旧日本船舶振興会)の2020年東京パラリンピック支援事業のスペシャルサポーターを務めている。前マネージャーの置き土産だ。
 9ヶ月前の去年11月29日、駒沢オリンピック公園で行われた(障害者と健常者8人が1チームで争う)「パラ駅伝 in TOKYO2015」で、SMAP5人は和気あいあいとマイクで場内の実況中継をし、障害者ランナーたちにエールを送り続けた。SMAPのSはスポーツのSだ。これ以上彼らにふさわしい活躍の場もないだろうと思えた。
 障害者支援のボランティア活動をしている友人の編集者が「手伝っている種目の練習でも、今年になってからジャニーズ勢は(大物でも、大抵一人で、時間の空いた時には)よく顔を見せていますよ」と教えてくれていた。
 
世界的な流れとして、実は本番五輪よりもパラリンピックのほうに今、熱視線が注がれ始めている。
2020年にはオリンピックよりパラリンピックのほうがメインになるのではないか、という業界の感触もある。
格闘技のような、ブラインドサッカー、車椅子バスケ、剣技。ロボティクスの奇蹟のような陸上競技、水泳。
実際にナマで競技を見ると、その迫力に震えが来るほどだ。人類の(これまで目を伏せてきた野生の)可能性にガツン!と後頭部を殴られる。
平和ボケ日本人がこの20年間失念しているハングリー精神とガッツ。不可能を可能にする人智を越えた何かにパラリンピックは満ち満ちている。
そのパラリンピック、リオではまもなく来月の9月7日(~18日)に、開幕する。
五輪の帰国組ラッシュと入れ替えにパラ選手団がブラジルへ出発する日も、すぐそこに迫っている。
 
先週の土日は、もしSMAPがパラ・スペシャルサポーターという大仕事を(非常識にも)辞退するなら、事務所として決断出来る最後の土日だった、ということだろう。
各方面への謝罪、パラ送迎セレモニー、パラ中継番組出演のキャンセル手続き・・・。
 
1週遅れてしまうと、今週の土日は、五輪閉会式だ。テレビにもスポーツ紙にも、これ以上、余計な迷惑は掛けられない。
メンバーたちの意識の変化や、食い違う今後の未来像、2020パラリンピックまで4年間、穏便に持たない、と判断した、事務所側の苦渋の最終決断だったと言えるだろう。
日本財団(創始者笹川良一氏の長男)笹川堯氏が全面バックアップした小池百合子が東京都知事に就任した今、沸騰し始めたパラリンピック熱に逆らうことはもはや許されないと、芸能界では、今や(濃淡の差こそあれ)誰でも気づいている。