やってみました、全身麻酔

看護師さんがおっしゃっていましたが、麻酔の効き方や覚め方は個人差があり、どんなものか、やってみないと分からないそうです

誰かに読んでほしいと言うより、とっても不思議な体験だったので書き留めておきたくて、ここに記します


手術は全身麻酔で、「寝ている間に終わりますよ」と言われたのですが、私の場合は、麻酔が完全には効かず、意識の片隅にぎゅーっと押し込められて、考える事も、身体を持っている事も忘れている間に手術をしていただいた、と言う感じでした


まず、「麻酔をかけます」と言われて、それを理解する間もなく、目は閉じているのに白とピンクの世界がめまいのようにぐる〜っと一周まわり、気分が悪い…と思っているうちに不思議な世界に辿り着きます

回っている間にいろいろと考えられなくなっていくのが分かり、元の自分に戻れるのだろうか…とも思いますが、すぐにそれすら考えられなくなり、

たどり着いたのは、車酔いのようなしんどさの中、白のバックにピンクと白の細かいモザイクのうねりのようなものが見えていて、自分は、いろいろ認識する機能を忘れて、"私"から、このうねりになったんだ…と感じる世界でした

うねりは止まったままで、時折聞こえる血圧を知らせる機械の音で、なんとなく時間が経過し、自分は生きているのだろうという感じでした

あらゆる事を忘れ、すごく少ない細胞の集まりになったような、お腹の中に来たばかり赤ちゃんって、こんな感じなのかも?とも感じました

なんだかしんどいけど、しんどいと認識する事も出来ず、時折血圧を知らせる音や看護師さんの声は聞こえますが、それが何なのかも、分かりません

何度も血圧を知らせる音を聞くうち、だんだんと意識が戻り始めたのか、話す事が出来るのを思い出し、「しんどいです…」と言ったのを覚えています

私のまつ毛を看護師さんが触り、また麻酔の追加をしたのか、薬のような名前が聞こえました

そうこうしているうちに、手術も終わり、点滴を抜きますね、と言った声が聞こえ、点滴を抜く=手術が終わったんだ…と、なんとなく理解出来ました

目を開けても、眼鏡を外していたせいか、何が見えているのか分からず、気持ち悪くなって、何度もゲーゲーなりましたが、水も飲んでいないので、つばか胃液のようなものが少し出た程度でした

そのうち、手と脚を持っていた事を思い出し、口も開いたままだと気付きますが、動かす事も出来ず、ただただしんどくて、息が荒くなり、口もカラカラで、あぁ、死んで行く時は、意識だけあっても身体を動かす事など出来ず、こんな感じなのかもしれないと思いました

少し息が戻り、看護師さんに大丈夫かと聞かれ、「グラフィックの世界に旅に出ていたような感じでした…(笑)」と、意味不明な事を言ってしまいました(笑)

みんなこんなにしんどいものなのか聞いてみたくなり、「みんな、こんな感じですか?」と聞くと「みんなこんな感じどころか、〇〇さん(←私の事)、すごく静かでしたよ」と言われました

人によっては、もっとお話ししたり、泣いたり?なんて事もあるのでしょうか??

身体が動かせない事が不安という程不安でもありませんでしたが、看護師さんなど、誰かが側に居てくれたり触れてもらった所に温かさを感じると、ほっとして、抱っこしてほしい赤ちゃんの気持ちが分かったような気がします

そのうち、嗅覚も戻ったのか、ちょうどお昼近かったので、お昼ごはんのいい匂いがして、幸せで、何度か深呼吸をしました

しばらくして、起き上がれるか聞かれて、全く出来る自信はありませんでしたが、「はい…」と答え、手伝ってもらって座ってみましたが、支えなしでは、それ以上座っていられず、また少し横にならせてもらいました

また暫くして、もう一度起き上がれるか聞かれ、たぶん無理だと思いながら「やってみます…」と伝え、やってみるとなんとか立つことも出来、支えてもらいながら、病室に戻りました

ベッドに着いた途端、また吐き気がして、何度かオエっとなってしまいましたが、それ以降は吐き気も治まり、麻酔を抜いてから1時間半〜2時間くらいかけて、車酔いのようなツラさもだんだんと良くなりました

病室に戻ってから恐らく1時間程だと思いますが、手も脚も動かす気にもなれず、ただただ横になっていた間、何度も近くの踏切の音が聞こえ、普段特に気にならない音も、暖かな平穏な部屋の中では、いつもより大きく感じるんだな〜と思いました

完全に、麻酔が抜けたかな、と感じたのは麻酔の点滴を抜いてもらってから7時間後くらいかなと思います


以上、私のグラフィック旅行記でした(笑)