戦争の悲惨さについて、私の子どもたちが初めて知ったのは、アニメ「火垂るの墓」を通してだったと思います。

子どもと行った書店で徳間書店のアニメ絵本を見つけ、せがまれて買ったところ、繰り返し読んでいました。

 この絵本、ぼろぼろになった今も大事に家の本棚にあります。

アニメは映画館でなく、家庭でビデオ視聴。が、子どもたち号泣、終わりまで見ることはできませんでした。

 

後に、原作の野坂昭如「戦争童話集」を読みました。

空襲のさなか子どもをかばって自分の身体の水分を与え続け、とうとう凧のように薄っぺらになり、風に飛んで行ってしまった「凧になったお母さん」、

「小さな潜水艦に恋したでかすぎるクジラの話」、

「ウミガメと少年」他、 

どれもせつない、悲しすぎる~

 

 

 

 

 

 

 

中でも私は特に、絵本「年老いた雌オオカミと女の子」が忘れられません。

子どもより先に泣いてしまいそうになるのを必死にこらえて読み聞かせをしたものです。

 満州の荒野で出会った、年老いて群れから離れた雌オオカミと、幼い女の子。

 女の子を食べようとするオオカミですが、飼い犬のシェパードと間違われすっかり懐かれてしまい・・・いつしか女の子を守ろうとするオオカミでしたが、女の子は熱に冒され、ついに

オオカミともども・・・・

実は女の子は、ソ連軍の侵攻から逃げ出した開拓団の一員で、はしかにかかったため母親から泣く泣く捨てられたのでした。

引揚げ時、このように親の手で捨てられたり殺されたりした子どもたちがどれだけいたことか・・・・

 

 

東京大空襲について私が知るきっかけになった作品は、母が買って実家にあった

高木敏子「ガラスのうさぎ」と、海老名香葉子「うしろの正面だあれ」です。

著者二人とも、生まれ育った家と家族を東京大空襲で失い、その後苦労して成長。

 

 

 

 

そして、ちょっと意外に思われるかもしれませんが、私は宮部みゆきのミステリー

「淋しい狩人」(1993年)の中の「詫びない年月」(「嘘つき喇叭」もいい!)

「東京下町殺人暮色」(1990年 後に「刑事の子」と改題)を読んで、東京大空襲を初めて身近に感じ、そこから早乙女勝元さんの写真集や証言集を探して読むようになりました。

 

 

 

東京下町隅田川近くで生まれ育った宮部みゆきさんは、小説の中で、まず焼夷弾で住民の退路を断ってからその中に爆弾を注ぎ落とし、老人女子どもといった非戦闘員をも焼き尽くし、生き残った人々の運命も大きく変えた東京大空襲・戦争の非道さを告発し、その被害体験、そしてその中でおこった加害の記憶を地元で語り継ぐ大切さを語っています。

 

それにしても、10万以上の市民を焼き尽くした東京大空襲、アメリカ軍でも作戦に対し虐殺だ、戦争犯罪になると反対の声が挙がったそうです。

それを押し切って決行指揮した司令官カーチス・ルメイ大将に対し、1964年12月、日本政府(当時佐藤栄作首相)は、航空自衛隊への協力を賞し、勲一等旭日章(日本の勲章では最高位)を与えています。

・・・・理解不能・・・・

 

まだまだご紹介したい本はあるのですが、時間がないのでまたに。