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二日目の日曜日、

残りの犬も数頭となったところで、 その犬は登場した。


優勝候補 №1 

そう思ってたのは 私だけではないだろう。

地を這うような低い体勢から、鋭角な鼻を使う。

研ぎ澄まされた日本刀のような、

まさに、追及するために生まれてきたような犬である。

ゼッケンも10番台と絶好の位置だったが、

発情のため最後となった。



朝昼兼ねた簡単な昼食を済ませ、訓練士さんのもとへ。

飼い主さんをはじめ、何人もの人たちが取り囲む中、

いつもと変わらぬ様子で、冗談を言っておられる。

車から下ろした時から、すでに競技は始まっており、

緊張、不安、興奮は誰しもあると思うのだが、

先生には、まったく感じられない。


第1会場、駐車場の右上。

ブッシュが多く、普通はこの場所を避けることが多いが、ここからスタートするようだ。

棘や硬い枝が多く、

「しっかり突っ込めるだろうか」 

そんな心配をよそに順調に進む。

いつもの覇気ある追及、 

それでいて、しっかり抑えも効いている。

第1物品発見。

足元の悪い上りを一気に駆け上がる先生。

ご高齢であるが、犬も訓練者も気合が入っており、

熱い気持ちがビシビシ伝わってくる。

ここまで、まったく減点なし。

その先はピンなしの右屈折、まるで進行方向を知ってるかのようだ。

長い半円?を淡々と通過。

半円後半の緩斜面を下れば、斜め右上への登りに入る。

指導手の方向に向かうせいか、

それとも、感覚的に犬が下りと勝手に判断してしまうためか、

失敗する犬が多い箇所である。

しかし、キツイ傾斜を物ともせず、力強い足取で登る。

そして、下りに入った。

慎重だ。

まったくブレない。

沢山の追及犬を見てきたが、

こんな追及が出来る犬がいることに、正直 驚く。

長い下りが終わり、左へ登り、

5歩のピンなし屈折をきれいに入った。

見事なまでの完璧な追及に、見るもの誰もが手に汗握る。

その先には封筒が。

と、思った瞬間

少し行ったところで伏せる。

第2物品?

え、もう少し先のはずでは。

犬は満足そうな顔で指導手を見ている。

やはり、物品があったのだろうか。

周りの誰もが ???

一瞬、時間が止まったかに思えた。

暫し沈黙の後、審査員が犬の元に近寄り、前足の間から何かを拾いあげた。

そして指導手を呼び、何か話されている。

ここで 終了。


あれだけの追及をしてただけに、何とあっけない幕切れだろう。

犬をつれ帰ってくる先生、

みんなからの問いかけにも、多くを語られない。

先生の手の中には、小さく折りたたんだビニールがあった。

他の会場で、物品(割り箸)は違えど、同じようなケースで やり直しがあったことも、知っておられた。

しかし、一度決まった判定、

執拗に抗議されることはなかった。

犬も人も、この日のために、一年間頑張ってきたわけで、愚痴の一つも言いたくなる。

アマと違い、競技会に出るからには、結果を求められるのがプロの訓練者。

自分だったら、どうだろう?

こんなかっこいい立ち去り方が出来るだろうか、

とても、とても出来ません。



霧ヶ峰って、 いろんなドラマがあります。











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