この作品も非常にリアルだった。
劇中の台詞、「つぎはぎだらけの家族」
血の繋がりという点だけでとらえるならば、確かにこの物語はそう。
離婚とそして連れ子と共に再婚をした2組の家族を描いてる訳ですが、
淡々とその過去と現在、そして葛藤を
描ききっており、誠実な作品という印象。
現実のケースだとこういった場合、
壊れてしまうことも少なくないでしょうが、
ここでは安易な好転にはせずとも、
現実的な落としどころを見せて終わる
そのラストにも好感が持てます。
主演は浅野忠信。
彼は決して上手い役者だとは思いませんが、
こういった程よい人間の弱さも見せる
不器用な役柄はその限られた技量故に
ハマり役だと思います。
他のキャストも皆良くて、
役者の演技を堪能する意味でも
優れた作品と言えそうです。
特に南沙良はこういった難しい多感な年頃の、
自分でもよくわからない感情を
もて余すような役柄は本当に映えます。
監督は私と同年代の三島有紀子。
何本か他の作品もマイリストに
あるので、観てみないといけませんね。
地味ながら、人間関係の機微が味わえる
リアリティ溢れる良作でした。