
これが刊行されたのが1994年だそうですが、私はリアルタイムでは読んでおらず、恐らく2000年代に読んだと思います。
当時はまぁ面白いミステリー小説だったぐらいの印象でしかなかったんですが、久々に読むとかなり衝撃的な内容でした。
一度読んでいるので、ミステリー、推理小説的なオチは全て覚えていたのですが、その他の細部は結構忘れていて、ラストに至っては半分以上すっぽ抜けていたので、久々に読んでも衝撃的なラストでした。
あらすじとしては、舞台は戦後すぐの日本で、東京の雑司ヶ谷の医院に奇怪な噂が流れます。
娘は20ヶ月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという…。
その20ヶ月の妊娠の謎と夫の消失の謎は完全に覚えていました。
じゃあ読んでも面白くないんじゃない?と言われそうですが、それに類する人間ドラマが面白かったですね。
ちなみにこの姑獲鳥の夏を発端に日本の推理小説界では新本格というものが流行ります。
他に森博嗣だったり綾辻行人だったり他にも色々。
ただ個人的に京極夏彦はその新本格の作家に比べてかなり異色な気はします。
ちなみに京極夏彦はこの姑獲鳥の夏を執筆後、講談社にファックスで全文送り付けたんだそうです。
それを受け取った講談社としては、文章力から何から素人とは思えなかったので誰か匿名の既存の作家じゃないかという憶測が飛んだみたいです。
それ程当時並外れた小説だったみたいですね。
姑獲鳥の夏は読書の趣味のある方にはお勧めしたい一冊ですが、一点だけ注意して頂きたい点が。
とある人物の薀蓄が結構難しいのでそこで挫折しないで欲しいということです。
姑獲鳥の夏では量子力学の話であったり仮想現実がどうの、という小難しい薀蓄が出てきます。
正直私もここは100%理解は出来ないのですが、出来ないままでも読み進めればストーリーの本筋とはそこまで関係の無いのでなんとかなります。
あとは姑獲鳥(うぶめ)という妖怪の説明も出てきますね。
この妖怪が登場するのがこのシリーズの特色であって魅力でもあります。
なんでも京極夏彦は民俗学者という側面も持っていて、まぁ私なんかと頭の出来が全然違いますね。
妖怪に関する書籍も出していますが、この人どうやら水木しげる信者らしく、確か対談していたり何か出版物を出していたように思います。
姑獲鳥の夏の中では姑獲鳥という妖怪の概念だけが出て来るだけなので怪奇小説だとかそういう類の小説ではありません。
何故ここまで連連とこの小説について書いているかと言うと、結局読後に打ちのめされてしまったんですね。
ちなみに今は次作の魍魎の匣も読み終わって、その次の狂骨の夢を読んでいます。
いずれも一度読んでいるのですが、俗にいう京極堂シリーズを全て読み返してみようと思っています。
この二作にも妖怪の概念とまた難しい薀蓄が語られています。
それも京極堂シリーズの持ち味なので楽しんでいますけどね。