NAVYBLUEさんの京都若旦那通信から
http://kate97.blog.so-net.ne.jp/2012-02-07
転載開始
(前略)――【2000年】7月5日早朝、マンハッタン西岸ハドソン河沿いのピアに繋留中の「かしま」の横へ、7万噸の「QE2」(クイーン・エリザベス2)が入港してきた。その朝、ハドソン河には、2ノット半の急流があって、流れに押された巨大な船は、あれよあれよと言う間も無く、右舷前部を「かしま」の艦首部分にこすりつけた。
隣りのピアへ接岸後、「QE2」の機関長と一等航海士が船長のメッセージを持って「かしま」へ謝りにきた。
応対に出たのは、練習艦隊司令官 吉川栄治海将補と「かしま」艦長上田勝恵一等海佐の二人。
「幸い損傷も軽かったし、別段気にしておりません。エリザベス女王陛下にキスされて光栄です」相手の詫び言に対し、上田艦長がそう答えた。これが大評判になった。
これを「タイムズ」や「イブニング・スタンダード」などの各紙が記事にしてニューヨークに於いては無論のこと、日本のネイバル・オフィサーのセンスを評価する声が高かったという。
前日が、今世紀最後のアメリカ独立記念日で、洋上式典に参加する為、世界各国の帆船170隻、海軍艦艇70隻がニューヨーク港に入っており、何千人もの船乗りの間に忽ち噂が広まって行ったものらしい。
普通ならニュースにもならぬ小事故で、「かしま」は大使五人分ぐらいの国威発揚をしたとの賛辞もあったそうだが、これは、吉川司令や上田艦長はあづかり知らぬこと。ましては、口にはせざること。「サイレントネービー」の伝統と、良き時代の帝國海軍の、「ユーモアを解せざる者は海軍士官の資格無し」の心構えとは、海上自衛隊の戦後生まれのオフィサーたちにも、きちんと受け継がれているもののようである。
*この時の練習艦隊(3隻)の遠洋航海は、「世界一周コース」。艦隊に乗り込んだ実習幹部(少尉候補生)は、世界各地に寄港して見聞を広め、艦上レセプションなどのパーティを通じて直に世界の方々と接してネイバルオフィサーとなっていく。
実はおじさんはこのエピソードを知っていた。転載記事本体の冒頭にも書かれている様に、おじさんも当時文藝春秋に連載中であった阿川弘之氏のコラムで知って感動した記憶がある。
いい話を集めると決意した時、このクイーン・エリザベス2の話は書き残したいと思いつつも、文藝春秋の何年何月号かすら見当が付かず、溜まりに溜まった月刊誌をダンボールに入れて山積みにしていたものも、家族の苦情で泣く泣く処分したしで、一から当たるという原始的手法も用いること叶わず、お得意の記憶で書くしかないなと思い定めていたときに、NAVYBLUE氏の記事に出会ったという訳である。
過去を暗黒に塗りつぶしたがる左翼人士達に、この手の話はどのように伝わるのであろうか。ちょっと興味がある。中に帝國海軍の伝統が書かれているが、ユーモアを解すこと、みだりに口を滑らせないことなどは、さすが終戦時に帝國海軍大尉であった阿川氏でなければ書き得ない言葉である。
しかし待てよ、これは本当に文藝春秋からの書き写しなのか。もしかしたら、原文を加工しながら自らの知識を交えて再構成したものではないのか。と言うのも、ちょっと阿川弘之氏の文体と異なるようだし、キスは接吻と書いてあったような気がするし、原文そのままを書き写すなら、この管理者ならきっと断りの文章を入れると思うのだ。
いずれにしても、とても上手な文章であることは間違いない。よってNAVYBLUE氏への感謝を込めて、転載させていただいた次第である。ただ、新鮮に驚いて感動して貰うために、京都若旦那通信で付されたタイトルは敢えて伏せさせていただいた事をお詫び申し上げる。
尚、転載文中、ピアとは英語でpierと書く桟橋のことと推定する。さらに、どうでもいい雑学の部類の知識になるが、クイーン・エリザベス2の呼び方は国王のように一世、二世と呼ぶのは不敬であり、1号、2号と呼ぶのが正しいと何かで読んだことがある。つまり、2nd:セカンドではなく、two:ツーの呼称が正解となる。
http://kate97.blog.so-net.ne.jp/2012-02-07
転載開始
(前略)――【2000年】7月5日早朝、マンハッタン西岸ハドソン河沿いのピアに繋留中の「かしま」の横へ、7万噸の「QE2」(クイーン・エリザベス2)が入港してきた。その朝、ハドソン河には、2ノット半の急流があって、流れに押された巨大な船は、あれよあれよと言う間も無く、右舷前部を「かしま」の艦首部分にこすりつけた。
出典:京都若旦那通信
隣りのピアへ接岸後、「QE2」の機関長と一等航海士が船長のメッセージを持って「かしま」へ謝りにきた。
応対に出たのは、練習艦隊司令官 吉川栄治海将補と「かしま」艦長上田勝恵一等海佐の二人。
「幸い損傷も軽かったし、別段気にしておりません。エリザベス女王陛下にキスされて光栄です」相手の詫び言に対し、上田艦長がそう答えた。これが大評判になった。
出典:京都若旦那通信
これを「タイムズ」や「イブニング・スタンダード」などの各紙が記事にしてニューヨークに於いては無論のこと、日本のネイバル・オフィサーのセンスを評価する声が高かったという。
前日が、今世紀最後のアメリカ独立記念日で、洋上式典に参加する為、世界各国の帆船170隻、海軍艦艇70隻がニューヨーク港に入っており、何千人もの船乗りの間に忽ち噂が広まって行ったものらしい。
普通ならニュースにもならぬ小事故で、「かしま」は大使五人分ぐらいの国威発揚をしたとの賛辞もあったそうだが、これは、吉川司令や上田艦長はあづかり知らぬこと。ましては、口にはせざること。「サイレントネービー」の伝統と、良き時代の帝國海軍の、「ユーモアを解せざる者は海軍士官の資格無し」の心構えとは、海上自衛隊の戦後生まれのオフィサーたちにも、きちんと受け継がれているもののようである。
*この時の練習艦隊(3隻)の遠洋航海は、「世界一周コース」。艦隊に乗り込んだ実習幹部(少尉候補生)は、世界各地に寄港して見聞を広め、艦上レセプションなどのパーティを通じて直に世界の方々と接してネイバルオフィサーとなっていく。
文中赤字転載者
転載終了実はおじさんはこのエピソードを知っていた。転載記事本体の冒頭にも書かれている様に、おじさんも当時文藝春秋に連載中であった阿川弘之氏のコラムで知って感動した記憶がある。
いい話を集めると決意した時、このクイーン・エリザベス2の話は書き残したいと思いつつも、文藝春秋の何年何月号かすら見当が付かず、溜まりに溜まった月刊誌をダンボールに入れて山積みにしていたものも、家族の苦情で泣く泣く処分したしで、一から当たるという原始的手法も用いること叶わず、お得意の記憶で書くしかないなと思い定めていたときに、NAVYBLUE氏の記事に出会ったという訳である。
出典:Wikipedia「阿川弘之」
過去を暗黒に塗りつぶしたがる左翼人士達に、この手の話はどのように伝わるのであろうか。ちょっと興味がある。中に帝國海軍の伝統が書かれているが、ユーモアを解すこと、みだりに口を滑らせないことなどは、さすが終戦時に帝國海軍大尉であった阿川氏でなければ書き得ない言葉である。
しかし待てよ、これは本当に文藝春秋からの書き写しなのか。もしかしたら、原文を加工しながら自らの知識を交えて再構成したものではないのか。と言うのも、ちょっと阿川弘之氏の文体と異なるようだし、キスは接吻と書いてあったような気がするし、原文そのままを書き写すなら、この管理者ならきっと断りの文章を入れると思うのだ。
いずれにしても、とても上手な文章であることは間違いない。よってNAVYBLUE氏への感謝を込めて、転載させていただいた次第である。ただ、新鮮に驚いて感動して貰うために、京都若旦那通信で付されたタイトルは敢えて伏せさせていただいた事をお詫び申し上げる。
尚、転載文中、ピアとは英語でpierと書く桟橋のことと推定する。さらに、どうでもいい雑学の部類の知識になるが、クイーン・エリザベス2の呼び方は国王のように一世、二世と呼ぶのは不敬であり、1号、2号と呼ぶのが正しいと何かで読んだことがある。つまり、2nd:セカンドではなく、two:ツーの呼称が正解となる。
by 考葦(-.-)y-~~~