フジTVの人気番組、「ほこ×たて」の「絶対に捕らえるスナイパー」VS「絶対に捕らえられないラジコン」で対決順が操作され、最初の対戦のラジコンボートで決着していたものを、尺が取れないから最後に回し、他の対決を先にしたかのように編集した上、対決冒頭で決着していたものを、終了間際に当たった様に編集していた疑惑が持ち上がった。
おじさんは個人的にはこの番組が好きで、金属VSドリルでは関係産業界に嵐が巻き起こっているようであったし、サンプルと本物を見極める達人対サンプル職人では、職人の凄さもが際だっていたし、見極める達人のいぶし銀的眼力も同じく際だったものであった。
名対決が幾つもあったが、決着がついた後には、勝敗を越えて両者を讃える言葉しか出てこないくらい、清々しい雰囲気が漂っていた。
だが、所詮は教育テレビではない。民放のバラエティーである。制作側はそういう感覚で作っていたが、実は企業が注目する番組へと成長し、おそらく小学生を子供に持つ親は、子供に見せるにふさわしい番組と位置づけていた筈である。
そういった成長の度合や世間の位置づけに誰よりも敏感である筈のテレビ制作者が、何の躊躇いもなくあの順番変更をしたのだとしたら、フジはいよいよ末期の様相を呈しており、近頃の視聴率の低迷も宜(むべ)なるかなである。
おじさんは産経新聞を30年以上購読し続けている。フジもグループ会社の一つだから、元気であって欲しいという気持はあるが、こういう感覚を現場の第一線の人間が持っているとしたら、一度、地に落ちて、出直すのも悪くないだろう。
凄腕のスナイパーなる人々が、最初のボートで負けたというのは意外だが、残りのヘリコプターと自動車も、最後に当たった様に編集してあったものの、実は動き始めの撃たないと約束していた瞬間に撃ってしまった様だね。
一人、映画に出てくるようながさつな男がいたが、あんな人物にフェアとか約束を守って貰えると信じていたとすれば、君たち甘すぎるよ。
口頭ではなく、書面で契約を交わしたのか。契約に違反してスタートから5秒以内に発射したら、たとえ命中したとしても報酬は支払わない上に、契約違反で1万ドル申し受ける。さらに、壊れた機械代全額及び、スタッフ全員分の渡航費・宿泊費の実費を申し受けると書いていたら、馬鹿でも守っただろう。契約の国だからね。
今更遅いが、結局、経費を使って収録した物が没になったら丸損だから大目玉を喰らう。よって、何とか切り貼りして手に汗握るようなバラエティーに仕上げようとしたものと推測される。
ところが、もう制作側が考えているバラエティーではなかった、というのが実情だろう。
テレビの世界も数少ない天才が最前線を支えているのだろう。今、フジにはそれがいない。だから、昔、視聴率が良かったドラマをちょっと目先を変えて放送してみたり、お笑い系の番組を次々終了させたりと、ふわふわ漂っているような印象を受ける。
そういった空気の中、面白く視聴率も良かった 『ほこ×たて』も打ち切らざるを得なくなってしまった。
おじさんは、テレビ業界のことは週刊誌以上の知識はない。経費の節減や諸々のプレッシャーで、手を染めたと推測されるが、これが打ち切りの原因になるかも知れないと、誰も脳裏を過ぎることはなかったのか。
経費を掛けたからと言ってそれに見合う商品ができるとは限らない。モノとは違うので一般の商品と同列に論じるつもりはないが、前にも『何とか大辞典』で似たようなことがあったのを思い出した。
過去に金をかけてずっこけたドラマなんか山のようにあるだろう。それを考えれば、今度、掛かった経費など物の数ではあるまい。小手先の誤魔化しは信用の失墜という金に換算できない大損を被るという事を、もうそろそろ誰か気づけよ、フジさんよ。
おたくが日本にある唯一の自由主義国家らしいテレビ局なんだから。