おじさんは数年前からサスペンダーをするようになっている。
最初はしまむらで紺のものを買った、理由はそれ1本しかなかったから。
毎日同じという訳にもいかないので、次のものを探すのだが、なかなか思ったようなものが見つからない。
洋服の専門店でさがすと、礼服用のものがあった。黒と灰色を購入。
帰って装着すると、黒は何とか大丈夫だったが、灰色は短すぎて肩が凝りそうだ。どうせなら、逆であって欲しかった。
その後、思い出す度に、サスペンダーを探すのだが、痩せた人向けのものが多く、真に必要に迫られているおじさんのようなタイプ向けのものは、極めて少ないことを知った。
おじさんも昔、笑ったことがあるから一般人の気持はよく分かる。
しかし当人にとっては深刻な問題なのだ。
どういうことかと言うと、普通の体型の人はベルトで軽く締めると、それで事足りる。
ところが腹部が出てくると、ゆで卵に下から袴を着せ紐を巻くようなもので、下へ下へとズボンが落ちる。
いきおい何かアクションをすると必ずズボンを上げる動作が入る。次にアクションの前後に入るようになり、気がついたら背中からYシャツが出て来るようになって、サスペンダーという言葉が頭をよぎるようになる。
そして、しばらくの葛藤を経たのちに、サスペンダー購入へと向かう寸法になる。
そのような訳で、とにかく種類を増やさなければならない。
ある日、100円ショップにあったので、数本買って家で装着?したら、1本だけ長さ的に使えるものがあった。ラッキー
しかし、これだけ太っている人間が増えているのに、あまり着けている人を見ないのは、どうしてだろう。
ネットで検索してみると、幾つか出てきたが、大きい物でも長さが短いような気がする。しかし、世間ではこれで何とかなっているのだろうと手始めに2本購入したところ、やはり短かった。
鉄アレイで伸ばすという乾坤一擲のアイデアも、何とももならずに、ズボンがくるぶしが見えるほど上がってしまう。
そうだね~、ピエロが履いた感じと言えばいいかな。
そんな苦労?を見たせいか、娘が父の日にサスペンダーをプレゼントしてくれた。
色は深みのある紺で、いかにも高価そうな雰囲気が漂い、おじさんは深く満足して礼をいったが、着けてみてウン?となった。
端のズボンを吊る部分に皮製の二股の部品が付けられるようになっていて、5~6㎝、前後で10㎝は長くなる計算だ。
いざ着けた結果は、何と折り返しの金具が、肩よりも後ろ、背中の方に行ってしまったのだ。
これが普通に合うのは、2メートルのバスケット選手か、相撲取りではないかと想像し、どんなところで買ったの? と訪ねると、
店は普通の店で、大きいのありますかと聞いたら出てきたのだという。
確かに端の部品を取り付けなければ、胸の上部辺りに折り返しが来て問題なく使える。
でも、すてきな革製の部品はそれを着けると端が2本に別れ、前4点、後2点の計6点でズボンと繋がり、とにかくおしゃれなのだ。
それが使用できないということは、半分以上おしゃれ度が下がる。
自分ではそんなに特殊な体とは思っていないので、折り返しなんか気にせずに件の皮を着けようかと考えている。
それをカミ様にいうと、それよりもダイエットをしたらと軽くおおせになった。
では後日。 ( ̄∇ ̄+)