シルバーバックに出会うまでの日記。


<4月21日>


[5:00am]


前日夜10時に寝付いてたはずなのに、0時に目が覚め、そのあと何度も目が覚める。

3時以降は30分以上寝付けず。そして、朝5時に時計の目覚ましが鳴る。


[6:15am]


約束の時間通り、チャーターしたランクルが宿の前に迎えに来た。
ホッとひと安心。
車にはエクアドル人二人、アメリカン、オージーの4人がすでに乗っていた。



Go For  シルバーバック


[6:40am]


参加者全員の集合場所であるキニギのORTPNオフィスに到着。

しばらく待たされた後、同じ車に乗っていた人達+さらに2人が追加され、一ケ所に集められた。


事前の情報だと、主催しているORTPNから行きたいゴリラファミリーの希望を聞かれ、MAX8人のグループ分けが行われると聞いていたが、集合がかかるまで特に何もアクションはなかった。

今回どうしても行きたいのは、最大のファミリー数を誇り、会うまでの道のりが最も過酷で時間もかかり、最も自然の中に深く生息している1番人気だろうグループ。


"Susa Family"


車チャーターの時、グループ振り分けに権限のない旅行会社の人に、
「ゴリラに会うためにここまで来た」
「これはおれの夢なんだ!」
「だから一番大きなSusaファミリーに会いたい!」


主張もむなしく、"すべては当日ORTPNオフィスの人間によって決められる"、とだけ告げられていた。


"会えればどこでもいい"
そう自分に言い聞かせるしかなかった。



向かう場所を告げられる前、

集合した円の中でドキドキしながら待っていると、エクアドル人のアンナが突然呼んできた。


「AKI ! 私たちSusaグループよ!!」

旅行会社の人も「行きたかったんだよな?」と、笑いながら言ってくれた。

もしかしたら、彼が希望として出してくれたのかもしれない。
選ばれたのは、どうしても行きたかったところ。


その瞬間、ちょっと泣きそうになって、
何を対象にするでもなくただ感謝するしかなかった。


通じたわ。



[7:50am]


集合場所だったキニギのORTPNオフィスをチャーターしたランクルで出発する。
途中から村に突入し、舗装されていないきついのぼり坂に体を揺られながら進む。
子供たちが走って通り道に出てきて、必死に手を降ってくる。


[9:20am]


約1時間30分で山の麓、車が行ける限界地点に到着(高度2700m)。
皆、杖を借りてトレッキングスタート。

歩き始めは、山の斜面にある畑を縫うようにして登っていく。
先頭には銃を持った人、さらにナタを持った人、ガイド、補佐役の4人が加わった。


Go For  シルバーバック Go For  シルバーバック


[10:00am]


畑エリアが終わり、突然目の前に現れた深い竹やぶ。
ここから本格的なトレッキングを前にガイドからゴリラを見る際の注意事項、
ブリーフィングが行われた。

「カメラのフラッシュはたかない、大声で話さない、指をささない、7m以内に近づかない、
向こうから寄ってきた場合は動かない、万が一触れてきてもこちらから触れない、、」など。


そしてトランシーバーで何やら連絡を取り合っている。
通常ゴリラトレッキングの際には、

事前にトレッカーが山に入りファミリーの位置を把握しておく。


その情報を頼りに旅行者が山に入る為、会える確立は90なんちゃら%といわれている。
前日からファミリーが大きく移動してしまうと探すの大変らしく、

100%会える約束はされていない。


この時の連絡では、「今だファミリー発見できず」。
経験豊富なトレッカーに期待して、深い竹やぶの中に突入していく。


序盤は緩やかな坂で少しひんやりとした中を進んでいく。
なんだかここが、アフリカの中心部に近い熱帯の気候だということを忘れさせる。

竹やぶゾーンを超えると、すぐにジャングルの雰囲気を感じさせる

木のツル、コケ、ギザギザの葉、トゲのある枝、ぬかるんだ足下、そして濃すぎる緑。


さっきまで話をしながら歩いていた人達の口数がめっきりなくなり、

先導してくれる人がナタで枝を切って進む音だけが響くようになる。


ヒト一人がやっと通れる道。
しゃがみながら、転びながら上へ、上へ向かう。


Go For  シルバーバック


[11:00am]

約1時間ほど登ったころだろうか


トランシーバーで連絡を取り合っているガイドの様子的に、先陣を切っていたトレッカーたちがファミリーを発見したようだった。その方向へ向かうが、いよいよ崖のような下り坂を下り、一人では登れない身長以上の段差を手を引いてかけ登る。若い人たちでもきつく息が切れる場所。年配の人もいて、この時点で息は相当上がっている。


先導しているガイドについて行くだけ。
人のために作られた道はないまったくのジャングルだった。
会うのが最も大変なSusaファミリーまでの道のり。


立ち止まるとマラリアを媒介するハマダラカの特徴そのまんまの蚊が飛んでいる。

慌てて振り払いながら、まだしばらく進む。


[11:20am]


標高3050mに達した時、軍服を着たルワンダ人トレッカー3人が待っているポイントに到達した。
一緒に登っていたガイドが一言。


「彼らがここにいるということは、この先にファミリーがいる」


ここでカメラ以外の荷物を置き、ファミリーのいる方向へ向かう。
もうドキドキと小便が止まらない。
この時点で朝からたったの6時間で9回もし続けた小便小僧(+前日夜中に2回)。
興奮と緊張が体に伝染して完全におかしな状態になってる。


さっきまで最後尾でタラタラ歩いていたクセに最前線に陣取る。


[11:30am]


Susaファミリー方向へ歩いていたと思ったら、ガイドが突然止まりだした。
前に入るおっちゃんが「ハッ!」として振り向いてきた。


いかんぞ! 心臓の音が聞こえるー! 吐きそうー!


そっと横に目をやると3mほどだった。


Go For  シルバーバック


ほんとにいた。


ほんとに山に住んでた。


黒いのが、ぬいぐるみが動いてる!
衝撃以外なにものでもない。


3頭のメスと子供がそこにはいた。

こっちに気づいてもお構いなしで、草食って、遊んでる。
その毛並みに触れたい。

Go For  シルバーバック

出ましたナックルwalking。


事前の説明では7m以上距離を保つという話だったが、

ガイドも攻めの姿勢でガンガン詰めていく。しかもゴリラも寄ってきたりもする。


左見れば3mの位置に、右見れば4mほど、正面見れば2mの位置まで迫っている。

大股2歩で野生のゴリラがいる。


動悸が止まらない。


ここには柵もオリもない。



Go For  シルバーバック

あら?? 誰か来たのかしら?


と、食事中の美人さん。


Go For  シルバーバック

THEノミ取り。


いつものくつろぎ風景。

手が作りものみたい。


そして辺を見渡すと、いたるところで木々が揺れ、

彼らのテリトリー内に来ていることを実感する。


ときたま、どこからともなく獣の唸り声を出すゴリラ。
ポコポコ胸を叩くドラミングが遠くから聞こえる。


それに対して、ゴリラと同じ声を出し、
「大丈夫だ」と彼らに返事をするガイド。


超かっこいい。


Go For  シルバーバック

20分ほど食事中のメスゴリラに行く手をはばかれていたが、

移動してもっと開けた空間に行くと、さらにゴリラが目の前を通る。


鬼近い!!


人よりサイズの小さめなメスゴリラ同士がじゃれあい、追いかけ合う。
写真の2頭が僕の足にかするくらいのところを追いかけ合ってきて、私失神寸前。


Go For  シルバーバック

するとその時背後から明らかにサイズの違う銀色の影


はうあー!!!!!


出た! シルバーバック!


待て待て!!
落ち着けバカタレ!


彼はまだこのファミリーのボスではない。


ゴリラのファミリーは1夫多妻制。
12歳から18歳の間にオスゴリラは、まだ背中の黒い子供の状態であるブラックバックから、

大人の証である銀色の背中シルバーバックに変化していく。


シルバーバックになったオスゴリラは徐々にファミリーを離れるようになり、

後に別の場所で自分のファミリーを持ってボスになる。


今回訪れたSusaファミリーは全部で24頭の一番大きなグループ。
(かつては1つのグループだったが現在はSusaAとsusaBグループに分かれている)

そのグループだからこそ、一人前になる前のシルバーバックもいる。


それにしても、メスとは比較にならないオスの存在感。
若干恐怖すら感じるこのドキドキ感。たまらん。


Go For  シルバーバック

リアルな距離感の写真。
若いシルバーバックもドシッと構えて食事中。


このパンチ力なのに草食。


ファンが増えてまうやろー!


Go For  シルバーバック

目が合うと人と目が合った時のようにコミュニケーションになる。


進化の過程で違った方向に枝分かれした人間とゴリラ。
彼らには、他の動物では全く感じられなかった、感覚の近いインテリジェンスがあった。


もしかしたら彼らにしかわからない進化があるのかもしれない。
目が合うとそんな彼らの不思議な感性に触れられた気がした。



Go For  シルバーバック Go For  シルバーバック


ゴリラの身ぶりや、ちょっとした行動やコミュニケーションは、人間のそれとよく似ている気がする。


メスゴリラを見てると、ドッシリ構えながらもオープンなアフリカンママそのまんまだった。


そこらで遊んでる子供ゴリラのじゃれ方もそっくり。
手でマンガの中で子供同士が遊ぶような典型的なじゃれ合い方。
手で引っ掻き合い、足をバタバタさせ、乗っかる。


そして怒ったら、パタパタ頼りない音でドラミング。


持って帰りたくなるほどのかわいさ。


Go For  シルバーバック

ボスのシルバーバックは木の陰で寝てるらしく、

そのスキに突然おっ始まったファミリー拡大を目論む合体。


頼りないオスゴリラにメスゴリラも退屈気味。



すると、木の奥からノシノシノシ。



Go For  シルバーバック

でたーーーーー!!!!!


ボスシルバーバック!!!!!


やっと会えた。


こいつは本物だ。


ビリっとくるその存在感で思わず後退りしてしまう。


Go For  シルバーバック


彼に会うためにここまできたんだ!


そんな感動する隙を与えず、一目散にボスシルバーバックが向かった先が、合体中のゴリラ。


オスゴリラを跳ね除け、下をペロッと出しながらメスゴリラをぶん取る。




まさか、、ボス、、、



Go For  シルバーバック


銀色に輝くその背中を追い求め1年3ヶ月。


``Go For シルバーバック`` と、1大テーマが付けられた旅。


そして、子供の頃からの夢。



その感動のご対面が交尾中じゃさすがに泣けんでしょう(笑)


「泣いたでしょ?」と、思っている方々。 泣けない理由がここにはある。


その分爆笑させてもらいました。


もしかして、15歳以下は参加不可の理由はここにあったのか!?


さすがボスぐらいになると細かいことは気にしない。
スケールが違うね。



Go For  シルバーバック


なんか文句あんのか??


いえ、なんもないっす。


Go For  シルバーバック

その強烈すぎる存在感とサイズ、明らかに違うボスの風格。


明らかに知能も高いボス。
あまり動かずたまにチラッと見て、
問題ないことを確認し、絶対的な安心感を放つ大黒柱シルバーバックに惚れ惚れしてしまう。


男とは、かくありたいものよ。


Go For  シルバーバック

驚きもあったが、それ以上に居心地の良い空間。
もっと一緒にいたいと思える温かさがあった。


受け入れてくれたゴリラたちとの幸せな時間は幕を閉じた。


幸せな時間でした。


文章や言葉では言い表せない感覚。
大切にしまっておきます。


Go For  シルバーバック


ルワンダで確かに会って来たぜい!!!



ゴリラ鑑賞時間の1時間が終わり、荷物を持った瞬間振り出した強烈なスコール。


願って願って決まったSusaグループ。
登山中からカミナリが鳴っていたのにも関わらず、

まるで待っていてくれたかのように降り出した雨。


強烈な想いが、あらゆる状況までも変えてしまったかのようだった。



フィナーレにふさわしい最後。



Go For  シルバーバック


またいつでも来いや!