某ガイドブックより、アフリカ4大危険都市にランクインしているというダカール。
大きな建物、きれいな外観をしたレストラン、舗装された道路、スーツを着たアフリカン。
第一印象は、華々しい発展途上の都会といったところ。
しかし、環境に慣れいろんな通りを歩いているうちにすぐにバランスの悪い環境に気がつく。
表面上は華やかでも、少しはずれにいくと、くたびれた外観が目に付く。
表は良くても、裏はイマイチ。
欧米モデルの都会を追いかけるには、やはり無理がある。
とはいえ、ここは紛れもなくアフリカ有数の都会。
ダカールに来て苦労したことは、食と宿。
食に関して。
"地元の人と同じものを食べる"、というスタンスで旅をしている僕としては、ここでの食事はほんとに苦労した。
ビルや代理店、商店、お土産屋などきれいに区分けされ計画的に整備された地域には、屋台の居場所があまり多いとは言えない。何件か発見出来た屋台でも、前評判と違って食のバリエーションは少ない。
とはいえ、セネガル人が溢れているダカール。うまいものがないわけがない。
真剣に飯センサーを張りめぐらせ、行き着いたのは、やはりマーケットの傍。
アフリカンママがバケツにタライに炊き込みご飯やらいろんな味のソースをこんもり蓄えていた。
炊き込みご飯は意外にも醤油味っぽいし、その他のぶっかけソースもアジア人ウケする味付け。
味が濃いという面だけ除けば、すごく味覚の感覚が近いなと思った。
夜になるとほとんどの屋台は閉まり、肉とたまねぎを煮込んだ薄い照り焼きのような味付けのサンドイッチ。
これぐらいの選択肢しかなくなるのがちょっとつらかった。
値段もマリの倍近く。
それでも地元の人は毎日同じサンドイッチを食べていると思うと、外国人向けのレストランばかり増えているこの街では働き盛りのセネガル人にとって生活しやすい場所とはいえないと感じた。
宿に関して。
安宿という概念はあるのかないのか、とりあえず一泊10000cfa(2000円)から。
バックパッカーにとってこれは長期滞在しずらいという理由には大いになる。
宿が高いところ恒例の、「おれの家泊まりな!アフリカンハウスだぜ!ノープロブレム」の合わせ技による口説き文句が始まる。恐らく宿の半額位の相場となるだろう。
今回は、中心部で飛行機の手配やらやることが多かったので、その周辺で最もリーズナブルな宿に泊まった。
クリスチャン系のその宿。
後で気がつけばそこは地元で有名な売春宿。
うーむこの街…相性が悪い…早く航空券getして出たいぞ!
整備された道路と、たくさんの航空券関連の代理店。
陽気な人々としつこい物売り。
サイドミラーがないタクシーとピカピカの自家用車。
強風で倒れそうな屋台と欧米人で溢れたレストラン。
スーツを着たビジネスマンと路上に座るタバコ売り。
格差があからさまで、なにもかも対照が際立つ街ダカール。
ダカールの物売り事情について。
この街で一番目立っていて、一番多く絡んだのが、路上物売りの人達。
その数は、モロッコ、モーリタニア、マリを圧倒する。
街の中心を行動していただけに、毎日それをかわすのが本当に大変。
角を曲がれば物売りのアピール。
交差点を超えれば物売りのアピール。
立ち止まればすかさず物売りのアピール。
特にこの辺り特有の「スーッ、スーッ、スーッ」という呼び方に結構うんざりしてしまう。
街の中心街を歩こうものなら10秒おきに声をかけられ続ける。
フレンドリーにしていても、「よし、見るだけ俺の店に来ないか?」という流れになる。
そうじゃなくても、仲良く話してても必ず最後にはお金にならない事はまずない。
外に出るのが嫌になったりもした。
ダカールに来るのが、黒人さんに慣れた頃で本当に良かった。
ブラックアフリカに"怖い"という先入観を持って上陸したてでこの環境に身をさらしたならば、
どれだけストレスが溜まるか計り知れない。
<車のシートを一日中売る男>
彼らが売っているもの。
一番は、なんといっても携帯電話のリチャージカード売り。
これをテープで何枚も繋ぎ合わせて、大きな盾のようにして街を練り歩いている。
ある日、一人のリチャージカードマンを観察してみた。
すると彼は視界に入ったすべての人に声をかけ、それを一日中続けているようだった。
もちろん、ライバルの多すぎるこの商品が売れている様子を見たことがない。
その他にTシャツ、楽器、ブレスレッド、布、絵……。
バリエーションが結構あると思いきや、みんな揃って同じものを売っている。
何か工夫して自分だけのアイデアで勝負という感覚はあまりないように思える。
そして、そのほとんどが観光客向けの商品。
大きなお金が落ちるのは観光客から。
その意識があまりに強すぎるが故に、少数の観光客の争奪戦に自然と巻き込まれる。
ここでの生活には、気の長さと大らかさが何よりも必要だと感じた。
人だかりが出来たと思ったら、この中の9割は街の物売り。
これが意味するのは、この街は仕事にあぶれている路上物売りと
店へ連れ込む為の勧誘の人達で溢れているということ。
物売り、勧誘する人のほうが旅行者よりも、ビジネスマンよりもダントツで多い。
仕事を期待して出稼ぎのつもりで、よその国や田舎からダカールに出てきても、
供給過剰のこの環境では彼らのジレンマは大きい。
そして、一日何十回も彼らの勧誘を断り続ける旅行者への負担も大きい。
あるセネガル人曰く、「ダカールにはもう仕事はない」 とまで言っていたの印象的だった。
これが今のダカール。
ここから格差が広がり続けていくのは目に見えている。
この環境。
はっきり言って一日でも早くダカールから出たかった。
日中は35℃を超えるなか安い航空券を求めて歩き回り、その度に過剰な視線を浴び、
物売りの執拗なマーク交わす。選択肢の少ないため毎回まったく同じものを食べ、スーパーに買い物行っては大きな札を出すとレジに過剰にキレられ、外に出ると今度はタクシーの勧誘。
疲れきって知らずに泊まってしまった売春宿では心から休まることもできず。
夕方、晩御飯を食べに外に出ると何者かが勝手にガイドをしはじめて、無視していても「最後に金を出せ」と言われ追いかけられる。服を捕まれたりして、また宿に戻る。体調も思わしくない中、考えるのは航空券の事ばかり。
嫌なことあったときにも、ふざけあえる現地の人達もほとんどいない。
こんな修行みたいな時間を過ごしていた。
完全に相性悪い。
<ふざけあったセネガル人>
いろんな意味で追い込まれ、何もかもうまくいかないダカールでの日々。
そんな中、一緒にふざけ合えた三人のセネガル人のおかげで精神的に助けられた。
物売りで話していても商売を忘れないが、その適当ぶりが面白くて、セネガルで心から笑えたのは彼らと一緒の時だった。
もう一人、手がうまく動かない路上に座り込んでタバコと飴だけを売っているおじさん。
会話がなりたたなくても、気持ちで通じ合えたおじさん。
彼らがマイナスだらけのセネガルの印象を変えてくれた。
その国が好きになるも嫌いになるも、決め手はやっぱり出会う人。
ここでの経験が、アフリカの旅に深みを持たせてくれた。
やっぱりブラックアフリカ、一筋縄ではいかない。
やれやれだぜ。






