BABAとの最後の日。


今まで教えてもらったリズムを練習小屋で一緒に叩く。
時折頷きながら叩く彼の姿が横目に入り、この時間を忘れないようにと集中し頭に記憶した。


この日で約束のレッスンは終了。
結婚式の時は練習らしい練習はなかったので、実質約10日間×1時間、
BABAに教わって、マリの曲を叩いていた。


成果は……合計10時間そこそこでは、劇的な進歩などあるはずもない。
それはBABAのマメだらけで石のように硬くなっている手の平が証明している。


ただ、良質な音を継続的に聞けた事で、耳は良くなったと思う。
少しずつ進歩しているのがわかるのも喜びだったし、
今まで意識したこともなかったマリという国で、マリ人と一緒に太鼓を叩いているのが、
不思議で、なんとも表現しがたいワクワクした気持ちになった。


さらに結婚式やセレモニーにも連れて行ってもらい、準備段階から終わりまで
グリオのメンバーと行動させてもらえるなんてのは、なかなか経験し難いものだったと思う。


メンバーにも気さくに声をかけてもらい、不安や孤独とは無縁の最高すぎる時間だった。


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学びという点ではBABA自身から学んだ事が多い。


バンバラ語とフランス語のBABAと、日本語と英語のセイドゥー。
お互い共通でわかりあえる単語なんて10個あるかないか。


もちろん何言ってるかわかるために苦労した事の方が多いが、
でも何を言おうとしているかが、段々わかってくるのが不思議だった。


本気で相手と向かい合えば、言葉の壁は案外軽く越えられるのかもしれない。


"何を核として言いたいのか?"


そこに焦点は当てられ、余計に味付けされず、伝えたい事をストレートに伝えあえた気がした。



BABAとニジェール川を眺めながら、笑いながら地元の手作りチャパロー(ビール)を飲んで、
コミュニケーションが取れたように思えたあの瞬間は、なんとも忘れられない。

もちろん、あの炭酸のない地元のビールの味も。


一人のマリ人と継続的に付き合えた事で、
マリという国の文化や風習、生活環境、金銭感覚、共有意識などに触れる事ができた。


特に苦戦したのがお金の問題。


伝統伝達者のグリオなのにみんな揃って金がなさ過ぎる。
何か不測の事態があれば、もちろん金がいる。
銀行のカード、クレジットカードなんて誰一人持っているわけなどないので、

そんな時は、ある人から借りるしかない。

そうやって、金の貸し借りは日常茶飯事に行われる。


彼らの感覚だと、仲間ならばとにかく貸すという感覚。
俺の感覚だと、関係を崩したくないから貸したくないという感覚。


この考え方が決定的に違った。



考え方を変えれば、これも彼らの中での共有意識の一つなのかもしれない。


ある結婚式の時、タライに盛られたご飯が振舞われた。
その時、そのご飯とは逆方向に歩くおれに、あるママさんが怒ってきた。


「どこ行くの!? ご飯はみんなで食べなきゃだめよ!!」


とにかく、みんなでシェアしていくのが自然。

食事も、お金も、時間も、問題も、喜びも。


そこに住む人と継続的に行動し、共有して感じることは多い。
ガイドブックの範囲をはるかに超えた時間だった。



何か一つのことを始めたら、そこから一気に世界が広がる。


ジャンベを習うという一つの入り口から、人との出会いを通して、
西アフリカの目的だった音楽とカルチャーに触れる機会に恵まれ、どんどん世界観が広がる。



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マリをアフリカを、体験し体感する、その流れが掴めたかな。



最高の時間に感謝!!



アカイン!