シャウエンから大都市フェズへ移動。
モロッコの街並みは大体旧市街のメディナと新市街にはっきりと二分されている。
フェズはタンジェ・シャウエンと比較にならないほど大きなメディナを有し、
革製品や染物製品が有名らしい。
そして、他の旅人に会って話しを聞いたところ、人の質が急激に悪くなるというもの。
こればっかりは自分で体験するしかない。
まず、暗くなった頃に新市街のバススタンドに着き、ローカルバスで旧市街へ。
その途中10歳にも満たない女の子にバスを降りるポイントを聞いていた。
親切に、そしてふざけながら降りたいポイントに誘導してくれた女の子達。
旧市街に向かっている途中、12歳の男の子が割り込んできて英語で宿の勧誘をしてくる。
「Welcome to Morocco my friend」
「What are you looking for?」
「I know many cheap hotel.」
「What kind of room do you want?」
「At first, you check our place
and after that you can dicide as you like ‥」
「Of course, I make good price only for you. My friend.」
質問に対しても、完全に一丁前の言い回し。
そして彼もすでに4カ国語はイケると豪語している。
そんな彼がいきなり懐っこい身なりの綺麗な女の子達を追い払おうとした。
なぜか聞くと、「彼女達にお金を払う気があるか?」と言ってくる。
そして、ただの好奇心と帰る方向が一緒だと言って
ついて来ていた女の子達を見ると、実はお金をもらう気でいたようだった。
12歳の男の子に思いっきり、アッカンベーをして去る女の子達。
旧市街に入った頃、途中でさらに高校生くらいの若者が同じようにホテルの勧誘をしてきた。
一緒に平行して歩く若者と12歳の少年。
看板のない扉を開けて中に入ると広々した空間が広がり、ある部屋に誘導された。
普通のホテルとは明らかに雰囲気の違うプライベートルームのような空間にベット。
若者が執拗に値段交渉をしてくる。
「通常120DHだが、3泊するなら言う通り100DHでオーナーと交渉しよう」と。
交渉が終わり、最後に12歳の少年が騒ぎ出した。
何やら、「俺がガイドだ!お客を連れてきたのは俺だ!」と言い張っているよう。
12歳の小さな少年が体のデカイ高校生くらいの若者に堂々と立ち向かって主張している。
勝手に決めてくれと言わんばかりに、それを黙って見つめるオーナー。
強めに、「問題があるなら、他に行く!」と、言うとそこで少年が引いたが、
いきなりモロッコでのリアルな外国人争奪戦の様子を垣間見た。
宿に到着するまでの短い時間に、10歳を満たない少女達、そして12歳の少年、
最後には高校生くらいの若者が日本人の足元を見て接し続けていたという事になる。
少年だろうが、大人だろうが、言語を巧みに操る彼らの外国人を捕まえる気迫は凄まじい。
後に、街角にいるアクセサリー売りの兄ちゃんから聞いた話によると、
50人単位のビックツアーグループが1日に何度もフェズの街を訪れるという。
韓国人グループが週に1回、
日本人グループが週に2回、
スペイン人グループで週に4~5回、
フランス人グループにもなると毎日だという。
学校でも早い段階で語学を習得させ、国一番の収入源である観光収入に力を入れているとの事。
国と子供達、同時に生き抜く為に術として語学ということだろう。
狭い迷路のような路地にビッシリならんだお土産屋。
そして外国人に声を掛け続ける若者。
開かれた国、モロッコ。
そこに住む彼らの生活に旅行者の存在‥いや、旅行者から落とされるお金の存在は欠かせない。
そして、その力の大きさをよく知っている。
お金は、持ってる人が無い人に施すべき。
そんな考えがモロッコにもあるらしい。
その対象に旅行者が向けられた時、彼らは躊躇なく大胆な金額を要求してくる。
傍にいる見知らぬ男も一緒になって頷きながら‥。
モロッコ人はモロッコ人。
置かれた境遇の違いは、簡単には埋められないと実感する出来事が散らばる。
そして、ここではそれを意識させられる瞬間が、露骨に直接的に突然やってくる。
どんなにその国が好きになっても、国籍の壁は簡単に越えられない。
日本人はやっぱり日本人。
