みなさんケチャップ強盗という言葉を耳にした事はありますか?


ケチャップスリと言ったほうが正しいのかもしれません。
南米で・ヨーロッパエリアで度々起こるという、一種のお金をかすめ取る方法。

それがケチャップ強盗。


ヨルダンにいた時に、南米でケチャップを利用したスリにあったという人に会い、詳細を聞いていた私。

まさか自分にも起こるとは。


ケチャップで強盗‥‥そんなのに引っかかるなんてアホだな~と思ったあなた。
その通り。アホなんです私。



その詳細を報告しましょう。


それはバルセロナ3日目。
先の日記にもあるように、ようやくこの日雨が晴れ、
やっと観光できると思って気持ちの高まりは朝からMAX松浦でした。


週末にあるバルセロナのチケットを購入して、感動と興奮は最高潮。
すでにスキップルンルン。


そんな浮かれていた状態で、ヨーロッパで一番見たかった建造物サグラダ・ファミリアを目にして
感動で言葉を失っていました。もう呆然と立ち尽くし目の前の芸術に心が奪われていたのです。


心に空白のスペースなどなく、ただただ感無量の幸せな気持ちで満たされ、

目の前の芸術に浸っていたその時、事件は起きた!


「ピシャ!」


空から?緑色の液体が頭上からかかった。

そのかかり方は、さながら散らばった鳥の糞状態。
色は緑の水っぽい色。


空を見上げると鳥が飛んでいた。


「あちゃー、糞落とされちゃった」



気分が満たされていた事もあって全然イラッとすることも無く、
「かけられちゃった」くらいの気持ちでいると、横を通りすがったごく普通のおばちゃん(40代後半くらい)

、「あらー、これはいけない」といった感じでティッシュを取り出し一生懸命拭いてくれていた。


まさに感じのいい世話焼きおばちゃんといったところ。


これがケチャップなら「これは!」と気づけたかもしれない。

でも機転の利かない私。


そして完全に鳥の糞だと思い込んでいたので、

おばちゃんを怪しむどころかなんて親切なんだ!とすら思ってしまった。

「ティッシュじゃ落としきれないわ」とばかりに、目の前の水が流れている池で流しなさいと誘導された。

そこは道行く人が見える微妙に人影になるポイント。


頭についたのが取れたので、「OK、OK」と言って、戻ろうとすると

「ダメよ!たくさん付いているわ」と笑顔交じりに熱心に拭いてくれていた。

もう完全に地元の世話焼きおばちゃんの雰囲気。でも英語が上手。


これが疑いセンサーがビンビンのインド滞在時なら「ナニモノ?」と思っていただろうに。


すると付き添いらしき30代後半の男を呼び、「あんたも手伝いなさい」と、
ごく自然にさらに若干道行く人からブラインドになる池の近くのポジションにシフトした。


自然すぎる流れと次々増える緑色の汚物に夢中。

二人して付いたところを指差しながら、「いやね。ここもよ」、「あちゃーここもだぜ」と言った具合。

おばちゃんメインで話しながら両サイド+自分でも拭いていた。


今思うと、奴らは拭きながらマスタードをつけて時間稼ぎしていたようだった。
お恥ずかしいながら「ありがとう」いいながら、拭いていた。


そしてものの2,3分くらいで、もう大丈夫ねってな具合で拭き終わり、急に去ろうとした。


事もあろうに最後に握手を求めて「グラシアス」とか言って笑顔でお別れをした。

この時「ヤラれた」なんて感覚は一切無く、目の前のサグラダ・ファミリアにまた見入っていた。


まだまだ気分は最高。


気がついたのは帰りに寄ったスーパーのレジでお金を払おうとした瞬間。



「ピッピッピッ、お会計5ユーロです」


「はいはい5ユー‥‥ロ‥‥?」



「ね‥‥??」


「ねぇーーーーー!」



「財布のお札がねぇーーー!」



「はうあー! あの時だ!」



おめでたい事にここで初めて気がつきました。


やられた額、120ユーロ前後。こんな時に限って財布に金入れすぎてた。
高すぎる授業料。


マネーベルトによけておいた、50ユーロがあってなんとか支払いはしたがヘコんだわ。

気分絶頂の日に、最高の芸術作品サグラダ・ファミリアの前では、
今まで培った危機管理センサーは完全にぶち壊れていた。


振り出しに戻る‥‥。


こういうところほどっていうのは、いい加減わかっていた"つもり"だった。


財布が抜き取られていただけではなく、抜き取られて戻されていて、気が付かないかったのです。

そして、私が「グラシアス」って言ってしまったのです。


穴があったら入りたい。


後でかけられた箇所を匂ってみると、こいつはマスタード。
すなわち、今回はマスタード強盗にあったのです。


不幸中の幸いで、ヨーロッパに入ってから無意識的にマネーベルトをケツのラインではなく、
お腹のライン&ズボンの中に潜ませていた。


思い返してみると序盤に男は後ろに回って腰のラインを拭いて物色していたよう。
そして横に移って財布にターゲットを切り替えた。


一瞬の出来事。


見た目庶民的な親しみやすさが前面に出ているおばちゃん。
怪しいといえば、英語がうますぎる事と、男を呼んだ事、場所を少し移した事。
はっきりいってまったく見かけによらないおばちゃん。



旅に出てき9ヶ月。


俺はなにか成長したのか?と疑いたくなる。

この時ばかりは自分に苛立つ。


とりあえずどうしようもないので、
こんな時にどんな心の変化があるか客観的に自分を分析してみた。



嫌な事、腹立つ事があったときの心境の変化を観察。




<序盤の感情>


・お金以上にハメられた事に苛立つ。
・今まで節約してきて、それが無駄になったように感じて虚しくなる。
・自分の行いは日本代表のつもりとか考えてた自分に嫌気が差す。
・同時に日本人はEASYだと思われる事にもイライラする。
・そして、今後も同じ奴らが日本人をターゲットにし、その被害を助長することになった事に申し訳ない。
(少なくともおれから成功したことでまた日本人が狙われる確立は確実に上がるだろうから)



<こんなときに自分がとった行動と心の変化>


・何度もどのタイミングでやられたのか思い出そうとする。
・以前噂を聞いていて気をつけようと思っていたのにヤラれて、己の注意力を疑う。
・腹が減りすぎていたので、自炊してちょっと豪華なメシを食う。(外食ではない)
・気分転換に散歩でもしようかと思ったけど、カードキーが突然壊れる、
 買ったばかりのコショウのフタが壊れるなど細かい事がうまくいかないので、外出は自粛。
 うまくいかないことに敏感になる。注意力が劇的に無くなる。
・旅の資金がいつもより気になり、所持金の再確認をする。
・急にアフリカに行ったときのお金の持っていき方を考える。
・直前にケチった記憶を思い出し、もっとお金を使っておけばよかったとしょうもない後悔をする。



<気持ちの立て直し方>


・音楽を聴く(インドで格安で譲ってもらったMP3活躍)。
・これから見に行くバルサの試合の事を考えたり、とにかく楽しみなことを考える。
・旅できているだけ幸せと考える。
・これくらいの事は些細な事、自分の立場はまだマシだと勝手に思い込み何かと比べる(アホだね)。
・終わった事は仕方ないと言い聞かせる。
・次発生したときに、どう行動するかシュミレーションしてみる。
 そして、勝手に満足する。



<気づき>


・お金以上におとしいれられた事、回避できなかった事に苛立っていて、
 意外にプライドの高さに気づく。


・嫌な事があった後、考えても気持ちがスッキリしない時には多少金遣いが荒くなり、
 自分に甘くなる傾向がある(プライド低い?高い?安い?どっちじゃ!)。



<最終的に>


嫌な不快な事があったとき。

どのタイミングでやられたか、何が良くなかったか、次きたらどうするか、
それだけをなんとか記憶として留めるようとする。


あとは嫌な感情をどう受け流すかを考え、
楽しみな事、好きな事をしてかき消そうとする。

※もし話せる人がいれば、話を聞いてもらう事も。


後悔する。
イライラする。


そして、受け流す。

"もうやられない事が重要"だと、言い聞かせる。



このサイクルが何回か続いて落ち着きを取り戻す。

そして心から"この程度の事"という感情になれば自己治療終了。


翌日には、すっかり忘れている始末。

いいんだか悪いんだか‥‥誰か教えて。


小さなことでも周囲に捌け口がいないと、結構処理が大変なのね。

客観的に観察するって大切。



もう一回来いや!ケチャップ、いやマスタードども!

















いやごめん‥‥やっぱもうやめて。