■第二部 やり手インド人



朝っぱらからカーリー寺院でヘビーな体験をしてちょい疲れたので、いったん宿に戻ることに。

ピュア君は宿の近くで待ってるから、早く戻って来てと急かしてくる。
とりあえず30分休憩して再び合流。


ピュア君の日本在住インド人友達は、今度こそ床屋に行ったらしく二人で行動。
とりあえず、力強く歩き出すピュア君。まだ3度目のコルカタらしく、待ち歩きが新鮮らしい。

しばらくするとどこかに向かっているような様子。
「どこ行こうとしてるの?」と聞くと、「友達のお店!」だという。


店ということで、あんま気が乗らなかったけど暇だし、とりあえずついて行くとこに。

かれこれ力強く歩くこと40分。汗だくになってようやく到着した友達の店らしい旅行代理店は、

シャッターが閉まっていた。


落ち込むピュア君。

すると今度は代理店の裏道に行こうとしている。


おれ:  「今度はどこ向かってるの?」
ピュア; 「お店の友達の家」
おれ;  「それならおれ行かないわ」
ピュア: 「すぐそこだよ。5分で着くよ」
おれ:  「まだ会った事のない人の家に行くのは礼儀正しくないよ。
      小さな頃から父親にそう教えられてるしね。」


インドでは父親の権力がものすごい強い。

すると、ピュア君あっさり了解してくれた。
おれとしては単純にトラブルが嫌だっただけなんだけども。

友達に会いに来たとは言え、旅行代理店に俺を連れて行こうとしたことで、ピュア君の考えが少し見えてきた。


色気づくピュア。


帰り道には、俺がもうすぐバングラデシュに行こうとしているのを知ってるピュア君は、
コルカタで航空券を買えば安いだの、友達の旅行代理店に連れて行こうとしていた意図がはっきりしてきた。


善意か否かは、100%のことがわからないのでノーコメント。


あまりに長い帰り道になので、バスに乗ろうと提案するも、バスは人がいっぱいで暑いから歩こうという。

ほんと変わったインド人だ。


やっと元の場所に戻ってきて、二人で地元食堂でコーラを飲んでいた。
すると、これまた小奇麗でいかにもインテリっぽいようなジェントルな男が、横のテーブルに一人で座ってきた。


コミュニケーションギリギリとれる日本語で挨拶をしてきた。
どうやらムンバイ出身で名古屋で車関係の仕事を何年もしていたらしい。
日本に彼女がいて、一緒に行った遊園地のチケットまで見せてきた。


淡々とした落ち着きのある口調とインテリ感を醸し出した身なり。
30分くらい話してると、この後昼ごはんを一緒に食べないか?と言ってきた。


ピュア君に確認の意味で、それでいいかどうか聞いてみたら、良いという返事だったが、
インテリの放つオーラに押されてピュア君一度も会話に入ってこないで固まってた。

とりあえず一時インテリと解散。


解散後ピュア君インテリのことを絶賛。
「あれはクレバーなやつだ!」と太鼓判の評価。


約束の一時間後、インテリが現れた。


さあメシだ!と思ったが、インテリはサファリと呼ばれる服をオーダーしていて、
もう出来あがってるはずだから、お店寄ってからメシでいいか?とな。


店に向かう時もピュア君「すごいクレバーな人で、きっとパワーを持ってる人だ」と小声で
うれしそうに伝えてくる。すでに師匠として見ているようだ。


店はすぐ近くのマーケットの二階。

店の前に着くとインテリとやけに腰の低い定員のやりとりがはじまった。


インテリ; 「約束の時間だが、もう服はできたか?」
定員:   「申し訳ございません。後15分お待ち下さい」
インテリ: 「なんだと!もう時間のはずだ!俺だけじゃなく、彼らも待たすつもりか!?」
定員:   「大変申し訳ございません。奥のスペースでお待ちくださいませ」



あくまでインテリ風の受け答えとジェントルマン風のインテリ。

すると、衝立の奥に床に座れる狭いスペースへ案内された。
大また2・3歩で外に出れるくらいの場所の一番奥に座るよう誘導された。


個室なら速攻拒否だが、何かあっても逃げるのに難しくない。


また腰の低い定員が来て、何度も待たせてることを誤る。

そして待たせてるのでチャイを持ってくるという。

いったん宿に戻ったときに貴重品すべて盛り込まれたマネーベルトを

貴重品ロッカーに入れてきたので、取られて困るものはない。


万が一、チャイを飲んで眠ってしまっても失うものなし。

店員がチャイを持ってきたとき、インテリは席をはずしてたので、
インテリに運ばれるはずだったチャイをたぐり寄せちょいちょい飲むフリ。


ピュア君がぶ飲み。
ナイスピュア君。


インテリが戻ってきて、壁に掛かっている絵を説明してくれている。
そして、自然な流れでインドの事を説明してきた。

「インドには100以上の言語と36種類の新聞があり‥‥‥」


話し方、情報量、定員に対する偉そうな態度、身なり、メガネ、まさにインテリ。


すると説明の方向性が徐々に変わってきた。
インドのすばらしらを知ってもらいたいベースから、コルカタのショールは、すばらしいベースの展開へ。


わざわざ店員を呼んで、最高級というショールを持ってこさせた。
すると何やらインテリ、ショールを強く握りしめ、そこにできたシワを見て憤慨。

定員に向かって、ショールを投げつけ、

「おれは100%最上級のものを持って来いといったはずだ!」と激怒。


ウソを見分けたインテリに感心するピュア君。


すかさず店員がまた新たにショールを持ってきた。


同じくショールを握ってシワをチェックすると、きれいに元通りツルツルの生地になる。

インテリがおれに、これが本物の証とばかりに頷いてくる。


そしてチェック第二ステップとして、生地の一番端の部分をライターで炙りだした。
偽物と言われる方のニオイは紙が燃えたニオイ、100%ヤギの毛で出来た本物と言われる方は、
髪の毛が燃えたようなニオイ。


やっぱり俺に向かって頷く。


さらにインテリは続ける。


インテリ:「新聞によると、去年の大きな列車事故の影響で、本日45%割引きのはずだが」
定員:  「本日は30%割引きです」
インテリ:「新聞を持って来い!」


持ってきた新聞を開いて記事に指差すと、定員が謝り、45%引きで話しはまとまったらしい。

おれに新聞の記事を指差して証明してるつもりだけど、文字がまったく読めない。

インテリ具合が十二分に発揮され、インテリの発言力は強まる。


店員もここで「クレバーな方ですね」的な発言が出てきた。

そして、存在感が際立ったと自分で感じたのか、インテリが俺に怪しい質問を浴びせる。



インテリ: 「家族を愛しているか?」
おれ:   「もちろん」
インテリ: 「それならほんとにいいものを父親、母親、家族にプレゼントすべきだ。
       これらはコルカタで作られているので、他の地域に比べて安くいいものが手に入る。
       なぜかわかるか?」
おれ:   「ローカルで作られてるから、輸送費がかからないからでしょ。」
インテリ: 「さすが日本人はクレバーだ。しかも今日ならさらに45%割引きだから、
       他のインドの地域で買うより良い条件なのだ。
       そして、ここで日本に送れば荷物にもならない。
       さあ、気に入ったのがあったら、自分の横にキープして。
       父親、母親、家族のために。」



ピュア君の方を見ると、迷いながら二品キープしている。



おれ:   「タイでもう家族のために買って、日本に送ったから必要ない。」 ※本当はまだ
インテリ: 「タイとは比較できないインドの最高級なものだ。
       ほんとに家族を愛してるなら最高級のものをプレゼントすべきだ。」
おれ:   「いや、でも今回いいや。行くとこ行くとこ毎回買ってられないでしょ。
       だから初めに言ったように、いらない。」



尚も食い下がるインテリ。

お客さんとして入店したはずのインテリが、最後には店員となって売り込んでいた。


インテリの役者っぷりは素晴らしかったが、お店にうちらを連れてきて、
待ち時間があった時点でアウトです。


ピュア君に買うつもりかと聞いたら、「買わない」という。そして、表情は暗い。


最後にちょっとインテリに質問してみた。

「もうかなり時間が経ってるけど、15分で出来上がるはずの服はまだなの? もう腹減ったんだけど。」


するとインテリから、さよならの挨拶。

握手の時にはじめて目を合わせてこなかった。


帰り道ピュア君に「あれいくらだったの?」と聞くと、暗い表情で「ひとつ3000ルピーだった‥‥‥。」とな。


完全にまたしても落ち込むピュア君。

インテリに心酔していたインド人のピュア君は、またしてもインド人に期待を裏切られた。



こんな時はカレーに限る!


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                      <食べると元気になるピュア君25歳>



食事後、明日ブッタガヤに帰省するピュア君は、一緒に行こうと誘ってくれる。
しかも、家に泊まって全部タダでいてくれていいという。

その代わり日本に行ったらよろしく頼むとの事らしい。


明日、バングラデシュ行くつもりだと伝えて丁重にお断りをすると、完全にすねてしまった。


「僕らはもう友達じゃないんだね‥‥。」



めんどくさいぞピュア君!!


一回ホテル戻らないといけないからと言って強引にピュア君とお別れ。

別れ際にも、「もういいんだ‥」的な発言を繰り返す。

俺とバングラデシュどっち取るの?みたいな。



おまえは彼女か!?