アンデス山脈をかわして太平洋沿いに位置する首都・リマ。
人口800万人のこの都市は、冬でも平均気温18℃前後の温暖な気候で、
ゲストハウスにはこんがり日焼けしたサーファーが南米各地から集まっている。
あんまりイメージはないけど、泊まっていた8人ドミトリーは日焼けした南米の青年と、
サーフボードで部屋の雰囲気はさながら南国モード。
そもそもペルーといえば、インカ帝国時代の中心地。
インカ帝国と言われてピンとこなくても、マチュピチュっていえばペルーのイメージが沸いてくるだろう。
道行く人々は浅黒くて、身長は低め。
それで体系は欧米系の体つきから、丸みのある先住民・インディヘナ系のシルエットの人を多く見かける。
コロンビアはたくさんの白人と南部に多い少しの黒人。
エクアドルは、白人に若干インディヘナの血が混じった感じ。
そして、ペルーはインカの名に恥じないインディヘナっぽさが俄然増えた。
<海は汚いけど、サーファーわんさかの海岸>
ペルーのことをあまり地図で見たことがなかったが、面積は相当でかい。
エクアドルで日本の本州くらい。
観光資源とフジモリ大統領以外では印象の少ないペルーは以外に小さいと勝手なイメージを持っているけど、
実際総面積は日本の3.4倍で結構でかい。
そのわりに人口は3000万人いくかいかないかにとどまっている。
観光地としてのイメージが強いペルー。
西の海沿いに行けば、温暖でサーフィンなどのマリンスポーツが楽しめ、
中心部を縦に走っているのが、アンデス山脈ゾーン。
そして、北東部にはアマゾンのエリアでシャーマンのアヤワスカに代表する古い文化が残っていて、
徹底的に攻めようものなら、かなりの時間を費やしてしまいそうな色彩豊かな土地柄をしている。
<靴磨き屋>
リマもそんな広範囲で見てまわったわけじゃないから、はっきりしたことは言えないけど、イメージしてたより街はよく整備されてて、多くの人がイメージしている都会の風景が広がる。
そう思えば、乗り合いバスのコレクティーボが広がり、靴磨き屋があったりと、
先進国と発展途上国どちらの匂いも広がる雰囲気を持っている。
とはいえ、観光産業が盛んなお国柄らしく、タクシーやお土産屋では値段交渉が必要になってくる。
<情熱的な恋人の銅像>
ここで若干年配のペルー人女性と知り合った。
ある日の夜、どうしてもビールが飲みたくなって売店に立ち寄ったとき、挨拶ついでに
僕の貧しいスペイン語に根気良く耳を傾けてくれる人が興味を持って好意的に話してくれた。
マッサージ師でありヨガや東洋の文化に興味があるらしく、日本の禅や瞑想といった話の流れからなぜか話題は健康をテーマにしたものに。ペルーなどアンデスの地域の健康に関わるものといえば……マカ。
日本で"マカ"といえば精力剤のイメージが強いが、本場ではどうなのか聞いてみた。
彼女曰く、
「マカは昔からアンデスの先住民が飲んでいた体のバランスを整えるものでもあるし、薬のような役目もしてとても重要でシンボルのようなもの。 習慣的に老人はもちろん、子供だって飲むものなのよ!」
ほう。
では、「どこでマカ買えるの?」と聞いてみると、
「今何時?もうそんな時間? ギリギリいつもいくお店が開いてるかもしれないから行きましょう。」
そう言われて、一緒に歩き出すと数ブロック先のベジタリアンフード専門店の超ローカルなお店にたどり着いた。
そこには英語も話せる店員もいていろいろ質問してみると、マカのことについて詳しく教えてくれた。
「マカは標高の高いアンデスの地域にしか生息していない球根のような植物。マカが育つにはたくさんの土壌の栄養素を必要とするため、一度生息したとこは何年も植物が育たなくなる。厳しい環境で土のエネルギーを吸い取っているため、植物としてのエネルギー・栄養がとてつもなく含まれている。」
ほう。
「マカを摂取して体のバランスを整える栄養とエネルギーを多く摂取できる。私の場合の効果を例えて言うのなら、普段仕事をするのに8時間が限界だとして、マカを飲めば10時間いけるようになる。」
アンデス秘伝の滋養強壮の漢方って感じですかね。
日本でアホみたいに高く売っているマカ飲料も、ここでは純度100パーセントの粉末150gで5$くらい。
マカなどの漢方の役割も果たす植物の効果は大きいと思うけど、こういうのは食べ物や薬に乏しく栄養を摂取しずらい高地の人達だからこそ必要なものであって、選びきれない食材と薬が溢れている下界に住むわれわれには必要不可欠なものに感じない。
身近なものが体にどういう効果があるかを知ることのほうが大切な気がする。
まあ、せっかくなので疲れたときには、インカの力・マカパワーのアシストで効果を探るっしょ。
<この距離感なのにつり竿ではなく、ラインで釣り。そのチョイスが渋い。>
さらにリマというかペルー滞在中に元大統領のフジモリ氏のことについて、地元の人達の評判を聞いてみた。
「経済を向上させた」
「チリや隣国に貴重な権利を売った」
「貴重な観光資源の権利を売り飛ばし、マチュピチュは今やチリの持ち物」
「外資をかなり積極的に取り入れた」
「みんなの生活水準が上がった」
「格差が広がった」
「先住民の権利をあまり考えていなかった」
などなど、外国資本を積極的に受け入れていったことで短期的な国の経済面を向上させたらしいが、
元来ペルーの持ち物の権利を失ったことや先住民・インディヘナへの配慮が、長期的に見ると汚点になっているよう。
潤いを得た人はいい評価で、自国愛に溢れている人にはあまりいい評価がないってとこなのかね。
ちなみ、そんなペルーの物価は軒並み上昇中で、特に観光地ではそれが顕著に現れているらしい。
そういえば、リマといえば昔テレビで放送されていた、日本領事館立てこもり事件を思い出す。
わざわざ領事館を見に行くことはなかったけど、リマのイメージってそんくらいだったな~。
<リマの夕暮れ>
西の空。
日本がある方向に沈む夕日です。
今後の南米の旅は海沿いリマを最後に内陸のアンデス、そんで山・山・山。
南米で見れる最後の太平洋を後にして、次の目的地クスコへ向かう。
こっからどんどん南米のハイライトを攻めて行くぜよ~