今日は上田市男女共同参画課主催の講演会『人が回復するということ~こころ病む母が遺してくれたもの~』へ行って来ました

講師は児童精神科医・夏苅(なつかり)郁子先生。土曜日ということもあり、会場は多くの聴衆で鮨詰め状態。到着時刻が少し遅くなってしまったこともあり、会場後方の窓際に座って時折背伸びをしながら講話を拝聴しました。
“精神科の女性医師”なんて聞くと「さぞかし裕福な家庭で育ったお嬢様なんだろうな」と思うかもしれません。しかし、夏苅先生のお母様は23歳で統合失調症を発症され、適切な医療や支援を受けられず、また病気を打ち明けられぬまま結婚・出産をされました。現在でも統合失調症に対する理解は十分とは言えませんが、今から半世紀以上も前の話です。お母様の症状の悪化と共に生活環境は劣悪となり、また家庭・家族関係も崩壊して行きました。その幼少期の体験から次第に心を病んでしまった夏苅先生。その夏苅先生を回復へと導いてくれた3人のキーパーソン(いずれも女性)との関わりから、『人が回復すること』へ必要な支援をお話して下さいました。
必要な支援とは、清潔な住環境や栄養バランスの取れた食事等の生活支援、結婚・出産期における遺伝カウンセリング、また必要に応じた適正な投薬や診療が挙げられます。これらに加え、先生は「時間薬」と言う表現を用いて説明されました。人は時間の経過と共に過去を精算でき、それに伴い過去の経験を自ら語れる様になります。そして過去を語ることで現在の自分自身を見つめ直し、更に明日への一歩を踏み出せる事に繋がるのです。当会ミーティングの根幹にある“ナラティブセラピー”もこれに該当します。
最後に「人が回復するのに締め切りはない」との先生のお言葉は、とても印象的でした。表現を変えると、支援者にとっては“待つ”ことが最大の支援なのだということです。
もし、人が人によって傷つけられたとするのであれば、その傷を癒すのは薬でも機械でもありません。最良の治療法はやはり“人”そして“想い”なのかもしれない...と思う私です