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あだ吉のきものがたり

大井海岸芸者 あだ吉の着物まわりと日常のあれこれ

週末は30℃を越える暑さになるそうです。厳密に言えば、土曜はまだ五月なので袷を着るべきなのですが、どう考えても気候に合わない。
五月も半ば頃から、街を行くご婦人方も単衣。
私もお稽古は早々に単衣にさせて頂きましたが、悩ましいのがお襦袢。袷でも締められるような帯を合わせるのなら、お襦袢もやはり袷に合うようなものが相応なのだけれど、日中はそれさえも暑くて敵わない。
まぁ、歩いて行けるところに稽古で行くだけだし、その辺りは緩やかに考えようとお襦袢も紋紗にしてしまおう、と紋紗のお襦袢を引っ張りだせば、当然、つけてある半衿は真夏向けの絽の半衿。まず、これを付け替えなくてはと焦っているうちに六月になるので、楊柳の半衿が良いかと思い直してみる。毎度の事ながら、衣替えはちっともはかどりません。




先日、お稽古に向かう途中、細い路地を留袖姿のご夫人が私の前を歩いておりました。
お連れ様は礼装の紳士。確かこの先にはレンタルパーティースペースがあり、新郎様か新婦様のご両親であろうお二人はそちらに向かっていらっしゃるのだな、と微笑ましく背中を見送っていたら、あららら。ご婦人のバックからひらりひらりとしろいものが風に舞って落ちたのに、慌てるお二人は気付かぬまますたすたと行ってしまうではありませんか。
落とし物を拾い、後を追いかけ呼び止めると振り返ったご婦人が開口一番。
「帯、下がってきちゃってない?これで大丈夫?直してもらえない?」
大切なパーティに遅れそうで、焦っていらっしゃるのでしょう。
落とし物についてはありがとう、でも、助かったでもなく、ひたすらご自身の着姿を気にしていらっしゃいました。
帯山を直して差し上げると、
「帯揚げはこれでいい?」

…………。
念のため、言っておきますが、彼女と私は初対面ですよ。逞しいというか、なんというか。
ご同行の紳士は「そこまでお願いしても申し訳ないし、もう、いいじゃぁないか。」とやや呆れ顔。

「私のことはお気遣いなく。女性はこういうことが気になるものです。
折角、綺麗に着ていらっしゃるのですから、直しましょう。」と私。

少し吃驚しましたが、晴れの日のお手伝いが出来たのは良かったです。



東京の芸者は5枚こはぜが主流ですが、先日、祇園の芸妓さんが「芸妓の足袋のこはぜは3枚」と書いていらっしゃったので、この習慣、いつの頃からなのだろう?と不思議に思いました。
それというのも以前、足袋屋さんに「関東の4枚 関西の5枚」というお話を伺いしましたので、これではまるきり逆ですよね。
最も、「関東の4枚 関西の5枚」というのはあくまで一般的な慣習を言ったもので、花柳界の慣習は素人さんとは別なのかもしれませんけれど。

東京の芸者も昔は3枚が粋とされていたようです。 いつの頃から、5枚が普通になったのでしょうか?

写真は男踊りのお姐さんに譲って頂いた6枚こはぜの足袋と、足袋の寸法が九文三分と記された古い3枚こはぜの足袋。

あだ吉のきものがたり-六枚こはぜと三枚こはぜ