シルバーバーチがバーバネル(霊媒) の体を完全に使いこなすに至る様子を、バーバネル自身が次のように語っています。
はじめの頃は身体から2、3フィート離れたところに立っていたり、あるいは身体の上の方で宙ぶらりんの格好で自分の口から出る言葉を一語一語聞き取ることができた。
シルバーバーチは英語がだんだん上手になり、はじめの頃の太いしわがれ声も次第にきれいな声(私より低いが気持ちの良い声)に変わっていった。
ほかの霊媒の場合はともかくとして、私自身にとって入神はいわば「心地よい降伏」である。まず気持ちを落ち着かせ、受け身の心境になって気分的に身を投げ出してしまう。そして「私を通じて何とぞ最高で純粋な通信が得られますように」と祈る。すると、一種名状し難い温かみを覚える。普段でも時おり感じることがあるが、これはシルバーバーチと接触したときの反応である。温かいといっても体温計で計る温度とは違う。恐らく計ってみても体温に変化はないはずである。やがて私の呼吸が大きくリズミカルになり、そしていびきにも似たものになる。すると意識が薄らいでいき、まわりのことが分からなくなり、柔らかい毛布で包まれたみたいな感じになる。そしてついに「私」が消えてしまう。どこへ消えてしまうのか私にもわからない。
聞くところによると、入神はシルバーバーチのオーラと私のオーラとが融合し、シルバーバーチが私の潜在意識を支配した時の状態だとのことである。意識の回復は、その逆のプロセスということになるが、目覚めた時は、部屋がどんなに暖かくしてあっても下半身が妙に冷えているのが常である。時には私の感情が使用されたのが分かることもある。というのは、あたかも涙を流したあとのような感じが残っていることがあるからである。
入神状態がいくら長引いても、目覚めた時はさっぱりした気分である。入神前にくたくたに疲れていても同じである。そして1杯の水をいただいて、すっかり普段の私に戻るのであるが、交霊会が始まってすぐにも水を1杯いただく。忙しい毎日であるから、仕事が終わっていきなり交霊会の部屋に飛び込むこともしばしばであるが、どんなに疲れていても、あるいはその日どんなに変わった出来事があっても、入神には何の影響もないようである。あまりに疲労がひどく、こんな状態ではいい成果は得られないだろうと思った時でも、目覚めてみると、いつもと変わらない成果が得られているのを知って驚くことがある。
私の経験では交霊会の前はあまり食べない方がよいようである。胸がつかえた感じがするのである。またいろいろと言う人がいるが、私の場合は交霊会の出席者(招待客)についてあらかじめあまり知らない方がうまくいく。余計なことを知っているとかえって邪魔になるのである。
シルバーバーチの霊訓(一)
アン・ドゥーリー編
近藤千雄訳
14ー16ページより抜粋
