空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)
745円
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空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)
745円
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ある日、赤松運送二代目社長赤松徳郎の元に一本の電話がかかって来る。
自社のトラックが事故を起こし、歩行していた母子のうち母親の方が外れたタイヤにぶつかり死亡したという痛ましい知らせであった。
その出来事により、赤松の周辺が坂道を転がり落ちるように一転する。
トラックメーカーからの事故原因は車両の”整備不良”という回答により、警察からの執拗な捜査と家宅捜索。取引先からの突然の取引中止。銀行からの融資の断りと、債権回収。そして、世間からの冷たい眼差しとともに子供の通う学校の父兄の嫌がらせや、子供に対するいじめ。
そんな突然直面した不幸に歯を食いしばりながらも、会社と家族を守ろうと必死に奮闘する赤松。
しかし、この事故はただの事故ではなかった。事故の原因を突き止めようと孤軍奮闘する赤松が掴んだ事実は、旧財閥系の「ホープ自動車」による会社ぐるみのリコール隠しだったー。
この本を読んだきっかけは、職場の同僚に、
「美冬ちゃん、本好きだったよね。これ、面白かったから是非読んでみて!」
そう手渡された本が『空飛ぶタイヤ』の上下巻でした。
池井戸潤さんの本は今まで読んだことはなかったのですが、気になる作家さんだったし、原作も映像化やそれこそ『空飛ぶタイヤ』は映画化にもなっていたのでそのまま借りました。
読み始めたら、上下巻一気読みしてしまいました。
赤松や赤松運送がピンチに陥ったと思ったら救いの手が差し伸べられて安堵した途端、またピンチに陥って…と展開がどんどん変わって行き、そしてとうとうホープ自動車が実は会社ぐるみでリコール隠しをしていたと事実をつかんだ後、大企業のホープ自動車をどう追い込んでいくのかとワクワクしながら読んだのでした。
読んでみて思ったことは、「戦う人」を描いた話だと思いました。
戦う対象はそれこそ社会であったり、国家権力(警察)、大きな組織(大企業)、または人の悪意や、自分自身であったりと、複雑な人間模様と心理が描かれていました。
読み応えは十分で、とても楽しんで読むことができました。
映画も見てみたいかな。
作者が大手銀行出身ということで、大手銀行や大企業の環境やそこで働いている人の感覚がリアルに描かれていてとても新鮮でした。
私には縁のない世界なので、単純にその中で働いている人の感覚や心情が「こんな感じ、なのか」と思ったものです。
それこそ私自身の先入観と偏見ですが、大手の銀行なんてものは中小企業が資金繰りに困っていても「無い袖は振れない」とするのが当たり前なんだろうと思っていましたが、話の中で銀行マンとして理想が描かれている場面があったのも新鮮でした。
ある場面では、赤松運送のメーンバンクのホープ銀行自由が丘支店の支店長が顧客の赤松運送に対して業務上過失死傷の容疑がかかっただけですぐに債権回収に走ったことに、ホープ銀行の本店でホープ自動車担当調査役の井崎が赤松自動車に対して「もう少し助けてやってもいいじゃないかな…」とこぼした場面では、井崎に共感しながらページをもめくったものです。
池井戸潤さん、面白いですね。
『空飛ぶタイヤ』以外にも『下町ロケット』など面白そうな本があるので読んでみようと思います…ってもう『下町ロケット』は読んだのですけどね。続編もあるのでますます楽しみです。
ちなみに、ドラマは見ていません。
…見ればよかったなぁ。
さて、久しぶりのブログ更新です。
上下巻の大作で、今回は正直どう書けばいいのか迷いましたが、まぁ自分的に今まで読んできた本の中ではなかったものなので純粋に新鮮に思ったことを書きました。
こうして自分では知り得ない事を知ったり感じたりする事が、本読みの醍醐味ですよね。
ここ最近、関東は暑さも和らいて秋の涼気が漂ってきましたね。
今夜も雨が降っています。
寒暖差がだんだん出てきたので、風邪など引かなよう気をつけようと思います。
皆様も、気をつけて。
ではでは。