私は三人兄弟の真ん中。次男坊だ。
三つ上の兄貴と三つ下の弟がいる。
兄貴は、昔から変わり者で名が知れていた。
今で言うところの発達障害だと思うが、当時はそんな言葉も医学的発想もない時代だったから、とにかく変わった子として評判だったようだ。ズバ抜けて出来ることとまったく出来ないことがあったっけ。

物心ついた頃から、そんな兄貴を私は尊敬し、崇拝していたように思う。
いつも子分のように、どこに行くにもついていった。何をするのも一緒だったし、家の中でもよく一緒に遊んだ。

兄貴は空想の世界が好きだった。
二人が小学生(何年生だったかは忘れたが)だった頃、兄貴はよくノートに創作物語を書きなぐっていた。それはほとんどが冒険小説だったように思う。
そして、兄貴が書いた小説を二人で声に出して読み、さらには、それを二人で演じる遊びをよくやったのを思い出す。

子供部屋(兄貴と二人で1つの部屋が与えられていた)に、父が学生時代に使っていたという製図板を敷き、それをイカダに見立てた設定で、何日も掛けて川を下っていく冒険小説をよく演じた。

魚を釣って食べたり、鳥を捕まえて食べたり、流れてきた木の実を広い集めて食べたりした。
魚や鳥や木の実もちゃんと画用紙に絵を描いて作るのだ。
それを部屋のあちこちに散らばらせ、イカダを動かし、荒れ狂う川を下りながら、生き抜いていくドラマをよく演じたものだ。

二人でイカダに横たわり、夜空を眺めたこともあった。もちろん、本物の夜空ではなく、ただの天井であり、それは空想上の夜空であったのだが、兄貴が素敵な夜空の描写を語り聞かせてくれると、部屋の天井は、あたかも大草原の真ん中に流れる大きい川の水面で、激流下りを乗り越えた二人が、無限の広がりを感じる宇宙が見える夜空のもと、のんびり星を眺めているかのように見えてくるから不思議だった。

あの頃の兄貴は、僕の憧れそのものだったのだ…

つづく (^_^;)