1歳9ヶ月を迎えた娘。

おしゃべりは上手ではないけれど、相手のお話を聞く力、理解しようとする姿勢が意欲的に生まれる月齢。

 

前歯が生え始めた生後7ヶ月あたりの頃、前から2番目の両サイドの歯がなんだか最初からギザギザの

表面で生えてきて、少し気にはなっていた。

1歳半検診の歯科検診で「虫歯です」と突然思いもよらない診断の結果を告げられた。

え?早すぎるし、甘いものなんかまず食べていないし、ジュースも飲まないし、口移しはしないし、箸移しもしてないし、、、、

歯磨きしてるし、

なぜ?なぜ?と困惑した。

 

それから間も無く、娘は体調を崩し、2度も続けて入院したため、なかなかゆっくり歯医者巡りをできず

1歳8ヶ月になり、ようやく3箇所の歯医者を巡り、セカンドオピニオンならずトリプルオピニオンして

出た答えは、なんらかの(口移し、お箸共有がなくても、顔の近くで話していて、口からの唾液が飛んで虫歯菌に感染することも十分にあるそうで、、、)形で虫歯菌が口に入り、

前から2番目の両サイドの歯は、生まれつきの劣性の歯で、糖質や虫歯菌が付着したために、虫歯になったらしい。

しかもその2番目だけが永久歯に影響が出そうな歯の生え方、虫歯の進行であるため、すぐに虫歯の進行を止めるには夜間の授乳などで授乳後の口ゆすぎができないのであればそれが最も進行を早めるという先生たちの見解、、、。

そう考えると、突然の「おっぱいバイバイ」しか選択肢がなくなってしまった。

 

私はWHOの世界平均である4歳まで授乳をしたいと思い、ここまでやってきた。

毎日寝不足で、自分が口にする飲み物、食べ物にも最大限の気を使ってきた。

自分の体調管理すら、授乳していると体力を使うため、コントロールが難しく、また頭の回転も比較的ボーっとしてしまう傾向にもあった私なので、仕事にもミスが多く、産後の仕事復帰は思うように進んで来なかった。

でも、それが授乳のせいだとしても、授乳を止めるのは嫌だった。

できる限りを尽くしたい。。。

 

産後6ヶ月あたりから母乳がほとんど出なくなり、おっぱいマッサージに通い、自らもおっぱいマッサージを

してここまでなんとか出し続けた。いつしか両方合わせても50mlくらいしかでなかった乳は、1年8ヶ月経過の際に

は100ml以上出るように復活していた、いや、させていた。

良質の水分をたくさん採って、我が子の喜ぶ顔を見るのが愛おしかったから。

 

そう、本当に誰のためでもない、むしろ娘のためなのかさえわからなくなるくらい、

授乳することは私の最大限の体力の消耗であり、それなのに最高の至福の時間でもあった。

 

それが生まれつきの歯の劣性、そこに付着した母乳や虫歯菌が原因で授乳が

断念となるとは想像もしていなかった事態で。。。

 

いずれ計画断乳もしくは自然卒乳をと考えていたことも諦めざるを得ず、

歯科医からのすぐにも断乳した方が良いという診断に、泣く泣く理解納得し、その日に授乳を止めることにした。

 

歯医者で先生の話をしっかり娘に聞いてもらおうと、

歯の模型を見せ、娘の歯を鏡で見せ、先生と私で

「こことここの歯に、虫さんがいるのね。蟻さんとか虫さんはわかるよね?歯に小さな虫さんがたくさんついていておっぱいをゴクゴクすると虫さんがいーっぱい増えちゃうの。だからもうおっぱいバイバイして、虫さんもバイバイしなきゃね。できるかな?その代わりご飯をもぐもぐいっぱい食べて、そのあと必ずゴシゴシ歯磨きをして、お口クチュクチュをちゃーんとしてたら、虫さんはちゃんとバイバイできるよ!やってみようか?」って話をして。

 

「むし、怖い、バイバイ」「うん、うん」と娘。

 

とはいえ、そんな普通の日に突然では、いつも通り主人の帰りは遅いし、私一人で実行するしかなく、

そのまま授乳を止める1日目の夜はやってきた。

1年9ヶ月、添い乳で誘寝してきた娘がすぐ理解できるわけないと思ったけれど、

日中から夜になる時間の中で考えてでた私の決意は「とにかくわが娘を信じよう!」「娘を信じてるから、彼女の納得いくまで何度もお話をして、抱きしめて、授乳していた時よりも多く肌に触れ、言葉がけをたくさんして、彼女にも私を信じてもらおう!」と

断乳や卒乳の下調べはせず、予想もせず、計画もせず、

娘自身のペースに最大限の寄り添いをしてみようと、食後のお遊びから、お風呂、寝る前の時間、これでもかというほどに楽しい話をして、彼女の思うままにしたいようにしてみた。

 

お布団に入り、大好きな本を読もうとすると、「いや」。

じゃあ、お話をしようというと、「いや」。

でも娘なりに葛藤しているのかすぐに「おっぱい」と切り出してはこず、とにかく不機嫌。

こちょこちょ遊びとネンネのお歌で雰囲気を作り直して見るものの、

ようやく眠気に勝てず、「おっぱい====!!」と絶叫する娘。

でも、「うん、うん、そうだね、でもお話ししたよね。歯医者さんで先生が言ってたよね?おっぱいチューチューすると、お口の歯についた虫さんがいっぱいになっちゃうから、おっぱいバイバイするんだよね?」

うなだれながら、諦めかける娘。

でも虫さんにバイバイしたいけれど、眠りの前の美味しい一杯のオッパイが恋しくて、泣いたり、話したり、納得したり、でも諦めきれなかったりと、行ったり来たり。

ギューーーーーット優しく抱きしめて、重くて腕がもげそうだけど、抱っこ紐なしでとにかくうーんと信じてるよー、愛してるよーと囁きながら、私を信じてもらおうと、そこから1時間抱き続けて、やっと泣きながら睡眠。

気がついたら声も枯れるくらい言葉がけをしていた。。。

 

そんな娘が大泣きする中、私が思い出したことは、娘がこの世に生まれてきた瞬間のあの感動と、初乳の時の娘のなんとも言えないお猿な表情。1歳9ヶ月の月日が走馬灯のように頭の中を駆け巡り、涙はボロボロ溢れながら、でも「ありがとう」って気持ちで胸がいっぱいになり、不思議なことに「ごめんね」という言葉の連呼は私の中には生まれなかった。

 

寝かしつけてからいつもならすぐ自分の時間を過ごしてきたが、今日は二人だけの時間をもっと過ごしたいと思い、眠り姿を見つめながらしばらく今までの日々、これからのことをゆっくり考えていた。

 

彼女の母親になれて嬉しいと心から感謝し、私の話を聞いて、信じてくれて、眠ってくれた娘を敬い、

とても愛おしく、そして自分が母親として自分自身を信じる、ということを教えてくれたこの機会に

本当に大きな人生の節目を感じた。

 

断乳って言葉を使うと、「とても可哀想」とか、「ごめんね」とかそんな言葉をよく聞くけれど、

理由はどんなであれ、おっぱいに限らず、育児の上で、いや、人と人との関係性の上で、

互いを「信じ合う」ってことがどれだけ素敵で大事で、尊くて愛おしいことかと改めて気づかされた。

 

同じような寝つきの悪さで2日目も終わり

迎えた3日目。

日中もおっぱいを欲しいとはもうあまり口にせず、道でアリを見ては、

「あ、アリ!むし!バイバーイ」

笑顔を見せてくれる娘にただただ感服。

 

寝るときは2日間とも、1時間抱いて寝かしつけていたのに、

3日目は本を読み終わり、私にピタッとくっついたかと思うと

えーん、えーんと半べそをかきながら、2、3回布団をゴロゴロしていたかと思ったら一瞬で熟睡しており。

1度もおっぱいと言わず、生まれて初めて娘が一人で就寝した日。

 

娘の成長が嬉しいような、寂しいような、でも笑顔でおっぱいバイバイの話をできたこの3日間、

彼女を心から信じて本当に良かった。生まれて生きてくれて、本当にありがとう。な気持ちでした。

 

どうかこれから卒乳、断乳のママの皆さん、自分とお子さんたちとの絆を信じて

日頃からたくさんお話しかけをして、信じ合う勇気を持って育児進めて見てください。

いいお母さんや良い子供になんかならなくていいんです。

自分自身が自分らしくあり、自分と子供の持つ力と、お互いのことを思う信頼で

育児は楽しくやっていけます。

そのために、たくさんたくさん、声かけして、一緒にいる時間を深く深く見つめ合う時間で

過ごして生きましょう。

 

私が4日目から泣かないように頑張らなきゃ。

娘も私も明日の空はいつもと違って見えるのかもなー。

おやすみ。