しらっきーのひとりごと
9月29日ソワレ
実は最初に観劇した時
話の筋は掴めたものの
曲の歌詞が全く頭に入ってきませんでした。
ちょっと話がそれますが…
ただでさえ気候の変化に影響を受けやすく
気圧や天候によって体調を崩す私は
この夏の異常な暑さに
かつてないくらい体調が悪くなり
元々の鬱の症状が酷くなっていました。
体のだるさ、気力の低下
睡眠の乱れ、食欲不振
クリニックへの通院もままならず
何度も予約をキャンセルしては
再予約を繰り返し、
とにかく動けずに
1日横になったままで時間が過ぎる。
そんな毎日でした。
そのために観劇予定も2本見逃しました。
9月に入ってようやく動けるようになり
観劇も行くことが出来ましたが
十分に睡眠が取れていない時や
体のだるさがあるような時は
鬱症状のひとつである
“話を理解しにくい”
という状態が強くなっていたようで
最初の観劇時は
全く自分の中に入ってきませんでした。
(実は「ラグタイム」2回目観劇の前日
「スリル・ミー」を観劇していましたが
こちらも後半は頭に入ってきませんでした。
なので、感想も思い浮かばず
観劇記録も書けていません)
そんなわけで
2回目の観劇にして初見のような感覚でした。
この作品は
人種差別がメインテーマですが
これが現代の社会の中にもまだあることが
一番の問題であるという問題提起が
テーマでもあると思います。
アメリカでの警官による
黒人への暴行死や射殺のニュースが
たびたび耳にされますし
昨年ダブリンで開かれた体操大会の表彰式で
黒人少女にメダルが与えられなかったことに
批判が殺到し
アイルランド体操協会が謝罪の声明を出す
といったニュースもあったりしたし。
誰もが
穏やかに暮らしたいだけなのに
虐げられなければならない。
でも、自分の子供達の時代には
差別や偏見なく
誰もが
同じように生きられる世の中になるようにと
世界を変えようと動いた
コールハウスの願いは
いまだ叶えられていないことになる。
20世紀初めの頃が時代背景の作品ですが
いまだに
同じような差別心理が人間の中にあることは
悲しむべきことだと思いました。
また、ユダヤ人も物語の中に登場しますが
ユダヤ人もまた
偏見の目を向けられた民族ですし
だからこそ
白人、黒人、ユダヤ人という
3つのグループをあえて絡ませて
作品は描かれたのだと思います。
そして
黒人ともユダヤ人とも
偏見なく接することの出来るマザーの存在は
世界が目指すべき姿であり
差別する側として描かれる白人の中において
唯一の希望の象徴として
3つのグループの要にあると感じました。
差別、偏見
それに立ち向かう姿
そうしたことを描きつつ
アメリカという国の
期待と現実を表したのが
この「ラグタイム」という作品なのかな
と思います。
ユダヤ人のターテが
娘の将来のために希望を求めて
アメリカに移民としてやってくるものの
以前よりも貧しく辛い日々を送った後に
サイレントムービーで成功するのは
アメリカなら夢が叶えられるという
アメリカンドリームと
白人の中でさえ
富裕層と労働者層の格差があるように
成功するのは一部の人達のみという
資本主義的な構図を表しているところに
表されているように感じました。
キャストは実力派の方達ばかり。
中でも気になったのは
サラを演じた遥海さん。
その声量とパワーは圧巻でした。
それから
ヤンガーブラザー役の東啓介さん。
この方は別の意味で気になった…
というのも、
ラグタイム観劇直前に
TVerの配信で
「〇〇ちゃん」というドラマを見ていて
そこにちょっと変わった
S〇Xの観念を持った役柄で出ていたから。
その役柄と重なって見えてしまい
真面目な役柄なのに
妙に変な人のような気がしてしまって…
ごめんなさい、東さん
でも めちゃくちゃ背が高くて
かっこよかったです。
大好きな川口さんはファーザー役。
序盤でターテ役の石丸さんと
歌い合うところは力強く
探検から戻ってきた時のコミカルさ
二幕からの重要で難しい立ち位置など
ファーザーとしての存在感を
しっかりと見せてくれて
代表的な役の一つになったと思います。
なかなか難しく重いテーマでしたが
現代社会にもまだ残る問題として
これからも繰り返し
上演される必要があるように思いました。