いままで、音楽をステレオで再生することに注力していた。
その延長で、AVアンプでマルチチャンネル再生も一応やっていたけれど、あくまでも映像のおまけとしての音声を再生するだけであり、ソースに対する理解がまるでなかった。
昨年から、音楽もマルチチャネルで再生することに興味をもちはじめ、いまさらながらなのだけれど、マルチチャンネル再生における基本を勉強している。
いろいろな文献がwebで公開されていて、論文やホワイトペーパーもあって読みごたえがある。
ものすごく数が多い文献を読み漁ったが、知っておいた方がよいことを、ピックしてメモしたので、それを自身の備忘として記録した。
ここでは、それを紹介しておきたい。
<LFE>
ディスクメディアに記録される帯域は、ドルビーでは上限は120Hz, DTSでは80Hzに制限される。欧州のデジタル放送でも、ドルビーに準ずる。
つまり、それ以下の音声は、LFEとして記録するので、再生時には、LFEが必須となる。
これは、2chステレオには存在しない制約条件といえる。
<再生周波数特性>
ダビングスタジオや映画館では、Xカーブが基準となっている。
Xカーブとは、63Hzから2kHzまでがフラット、63Hz以下は40Hzで-2dBまでリニアに減衰、2kHz以上は、10Khz で-7dBまでリニアに減衰、10kHz以上になると、減衰量が少し増して16kHzで-11dBまで減衰するカーブだ。この周波数特性を、自分の部屋のリスニングポイントで実現するのは、ひとつの基準になると思う。
<スピーカーの距離>
LPとの距離は3m以上が理想。それが難しくても、2m以下になると、不安定になりやすい、としている。
各SPがリスニングポイントからの距離差が8mmを超えるばあい、20kHz以下にディップが生じる。
30cm以上の距離差がある場合、近い方の音源に定位を強く感じるハース効果が起こる。
SPとサブウーハとの距離差が1mを超える場合、ディップを生じる。
こうした問題を解決するために、タイムアライメント調整と、ベースマネジメントが必要になる。
<タイムアライメント>
普通AVアンプ自動調整するのだけど、8mmの精度となると、レーザーポインタで測定して、自分で距離を手入力するのがよいことになる。
<ベースマネジメント>
アンプ側で用意されるLFEのローパスフィルタは、24dB/oct に固定される。
(AVアンプでは、クロスオーバー周波数が各SPごとに設定できる事が多いが、-24dB/octということになる)
LFEにはメインchに対して+10dBのゲインが要求される。
プロが行うミキシングの過程では、80Hz以上のLFE信号は定位感が出やすいために避けられており、ローパスフィルタは80Hz になることが多い。
ということは、できれば、マルチchを再生するすべてのSPに対して、LFEを80Hzで設定できるのが理想になると思う。実際には、部屋のスペースや天井に吊る設置上のサイズや重量の制約もあって、難しいとは思うけれど。
このとき、ベースマネジメントで改善が図れる帯域は、80Hz以下であり、それ以上の低域帯域では、室内音響処理が必要である。
<マルチchのレベルバランス>
このように調整される。
5ch(L C R )における音圧レベルを85dBとする。
音圧は、サウンドプレッシャーメータ(slow , c特性)で測定する。つまり、単位はdBCとなる。
レベルバランスは、ベースマネジメントを終えた後にを行う。
LS Rsに関しては、音楽ソースでは 85dBC、映画ソースでは82dBCとする
これは、映画再生時と音楽再生時は、マルチチャネル音量バランスは異なることを意味する。
こんな重要なSP設置調整時の約束事は初耳であった。
僕が使っているDENON AVC-A1Hでは、同じソースに対して、音楽モードのサラウンドモードと、映画モードのサラウンドモードで、(たとえばDTS-HDモードとして)、音楽モードでは映画モードに対してLs/Rsが3dB下がっているかどうか、こんど確認してみたい。
2つのチャネル間のタイムアライメントは、8mm(0.025msec以下)精度で調整する.
ここまで追い込んでディレイを調整する必要があるのか。うーん、DENONでは難しいかもしれない。
なるほど、ね。