いま、センターSPを確定し、残るSPたちを選定している。
フロントL/R、および、Rear(sideと言った方がわかりやすいのだけど)、TSは気に入っているのでいまのまま、
C決定済み。
Auro-3Dにフォーカスを絞ると、残るSPたちとは、Ch(1本)、 Fh(2本) Rh(2本)、Sb(2本)
計7本である。FWもあるけれど、ATMOS専用なのでどうでもよいとしても加えると9本もある。
前面に位置するSPなので、見栄えの統一感も欲しいから同一モデルが良い。
候補を絞っているが、どうもKEFしかない。
KEFは先進的なR&Dで有名であり、技術的なアドバンテージを売りにしていると思っていた。
でも、なぜかHPでは、技術的な解説をしていない。
客に対して、スペックでアプローチをかけようとしていないのだ。
1980年代の日本のオーディオメーカーがこぞって、スペック争いをしていた日本の黄金時代と違う。
ただし、少し英文を検索すると、KEFが発表しているホワイトペーパーが見つかる。
ホワイトペーパ―は、いわゆる白書だ。
政治経済では、マクロレポートを意味する。
オーディオ業界においては技術的な考え方、製品までの経緯、測定データなどを
網羅する読み物で、特にLS50Metaに関してのペーパーは読みごたえがある。
B&Wは、ノーチラスにおいて、消音テクノロジーを確立しているが、
KEFもまた、ツィーターのアブソーバーを売りにしているようだ。
LS50Metaにおいては、詳細なスペックも提示されていて、
再生帯域 47Hz-45KHz(-6dB),79-28KHz(±3dB)
能率 85dB
最大音圧 106dB(1m)
インピーダンス 8Ω
ツィータはアルミ
7.2kg(小型なのでずっしり感がある)
などと書いている。
アルミだから、高域特性は限界があるが、おそらく素直に減衰しているはずだ。
できればチタンかマグネシウムが良いんだけどなぁ。
ん。まてよ。
ま さ か 。
85dB であるにもかかわらず106dBまでの音圧を再生できる
というの本当か?
ホワイトペーパーなので、ウソは書かないだろう。
peakとは書いていないから、連続だろう。
前回書いた公式に沿って計算すると、
このSPで106dB(軸上1m)を出すには、連続 126Wの入力が必要である。
そんな大出力に、本当に耐えるのか?
メーカーに聞いても そんなマニアックな質問に即答しないしだろう。
2本手に入れたので、自分で試してみることにする。
音圧を図るには、サイン波ではなく、ホワイトノイズをオクターブバンドフィルタで
減衰させて測定するのが正しいはずだが、ピンクノイズをいれてもかまわない。
いきなり大音量でガンガンやると怖いので、サイン波で予備的に試みる。
サイン波1kHzを、10Wづつ増加しながら、歪をみる。
パワーアンプの出力は、アキュフェーズのA65というアンプをもっているので、
ブリッジ接続で240w /8Ω(480w /4Ω)の出力が可能となる。
正確なwメータも便利だ。
スピーカーに接続し、音を出す。
マイクで拾ってパソコンにいれ、スペアナで音圧を測定する。
スペアナで計測するdBは、正確な音圧計で校正しているので、0.5dB精度で計測できる。
スペアナでひづみ率も測定できる。
サイン波で少しづつ、音出ししながら軸上1mで計測してみる。
ひづみは十分に低いが、音圧をupすると少し低くなり、再び上がる。
正常な反応だ。
85dBを超えたあたりから、歪は1%を超えてきた。
90dBを超えると、2%歪。
97dBを超えると、5%を超える。
ここまでやれば、このSPは、できれば85dBまでの音量で使うべきであるとわかる。
がんばっても、90dBだ。
このあたりが、このSPの限界かな、と思った。
97dBを超えるはじめると、明らかに変調された変な音になる。
これで終えても良かったのだが、ここからが本番。
シグナルをピンクノイズに切り替え、さっそく最大音圧まで挑戦する。
カタログデータの106dBまでの耐性を測定してみることにした。
90dBからスタートする。
97dBでは、ピンクノイズの音が明らかに変調されて汚い音になる。
103dBで、ボイスコイルが振幅の限界にきて、ブツブツいうようになった。
パワーアンプの出力は、80Wを超えている。
計算上は、104dB出るはずだが、103dBしか出ていない。
リニア性がもう出ていない領域なのだろう。
この状態になると、ボイスコイルは許容できる振幅をすでに超えて、前後の壁にぶつかりながら
ビリビリ動いており、おそらくは、ダンパーの制御を超えている事をしめしている。
かなりやばい状態だ。
この状態で数分は継続していたので、
too lateかな。
壊れていないにしても、これはもう、使い物にならない可能性が高い。
ええぃ、どうぜなので、106dBの限界までさらにボリウムを上げる。
予想通り、煙が出た。
さすがに火はふかなかった。
パワーアンプのプロテクターも働いた。
おおう。
やりきった感があった。
1本失ったが、役に立つ計測ができたので良しとしよう。
このSPの良さを生かすには、85dBを超えない範囲で使うのが良いという事になる。
これを、Fhに使う場合、85dBの音圧が出る時、FL/FRは、たかだか、95dBしか出ない。
まぁしかし、十分な大音量だろう。+5dBのトレランスはある。
このSPを必要数手に入れることにして、販売店に納期を確認してみることにする。
失った1本の補充も必要なので、6本になる。FWchも入れると8本か。
なるべく近いシリアルが良い。
もう、ゴールが見えてきた。
あとは、どうやって天吊りするかだが、軽いスピーカーなので、なんとでもなる。
こんな感じになるかな。